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M&Aとは?

     

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M&A基礎知識や業界情報の収集にお役立てください。

M&Aにおけるクラウンジュエルとは? 買収防衛策としての特徴や条件、リスクを解説します。
船井総研 M&A

最終更新日:2023年12月4日

船井総研では、50年以上にわたる業種別コンサルティングの経験を活かした、M&A 成立後の業績向上・企業の発展にコミットするM&Aを目指しております。業種専門の経営コンサルタントとM&A専門のコンサルタントがタッグを組み、最適な成長戦略を描きます。下記の動画では、船井総研によるM&Aの特徴を40秒程度でまとめておりますので、良ければご覧ください。

目次

下記をクリックいただくと該当箇所へと遷移します。是非ご覧ください。

船井総研が運営する業種別M&Aサイト

船井総研では、業種別にM&Aの情報を発信するサイトを運営しております。
よろしければ下記も合わせてご覧ください。

M&Aとは

M&Aの意味

M&Aとは、「Merger and Acquisitions(合併と買収)」の略称です。
狭義の意味においては、
①2つ以上の会社が「合併」する事(会社分割や吸収合併)と、
②まとまった事業単位の資産・権利もしくは、株式を「買収」する事(事業譲渡もしくは、株式譲渡・新株引受・第三者割当増資・株式交換)を言います。
広義の意味では「提携」(資本提携・業務提携)も含みます。
感覚的には、企業や事業の売買(や協業)という事になります。

本記事でお伝えする事

近年では、M&Aという言葉自体は、企業や一事業部門の買収を代表例として、多くのビジネスマンが知る言葉となっています。これは、売手にとっては事業承継や事業の選択と集中に、買手にとっては短期間に企業成長をなし得る手段として非常に有効である事が浸透し、譲渡側の課題解決と、譲受側・成長企業の重要な基本戦略としての地位を確立してきたからです。

それに伴い、M&A事業者が近年急増し、連れて従事者も急増していますし、情報も溢れるようになっています。これらの盛り上がりは、経営者の高齢化・生産性の低さが叫ばれる日本において、望ましい事とも言える一方で、現時点で言えば、経験の浅い事業者・従事者も急増し、表面的な情報が広まりやすくなっているという環境になります。大きな効果をもたらし、大きな金額が動く業務ですので、M&A仲介ビジネス環境は加熱している、にもかかわらず、専門的かつ守秘義務の厳しい内容のため情報が入りづらいという構造の中、M&Aを行う当事者の方々にとっては、適切か疑わしいという環境が生まれ、自身の進め方が適正なのか、アドバイザーの助言を鵜呑みにして良いのか、疑問を感じる方も多くなってきています。

適切なアドバイザーへのご相談という言葉を良く見聞きするかと思いますし、実際にそれは全く持ってその通りです。M&Aはオーダーメイド性が高く、通常業務に比べて馴染みの薄い領域での検討範囲も含め極めて広いため、慣れない方や、ご自身で行われる場合、大きな見落としも起こりやすく、譲渡後のリスク回避が出来ていないという事になるためです。

大前提は、知見のある事業者・担当者の方と、個社ごとの事情・オーナーや担当者を含めた関係者の考え方の癖を含めてカスタマイズした内容・方法・順番で進める事、ではありますが、本記事では、M&Aについての基本事項と共に、数ある手法について、どのような内容でどのような場合に選択されているのか、実務経験者の肌感を交えてお伝えし、貴殿の検討の一助にしていただきたく解説しています。

M&Aの目的

(1)売手の目的

①主目的
・後継者不在等の事業承継問題の解決
・低採算事業等、事業の整理
・成長に向けた戦略的な傘下入り
②雇用等関係者
・従業員雇用・取引先の維持安定
③経済性
・売却資金の獲得・借入からの解放や連帯保証の解除
④譲渡企業が得るもの
・成長の加速
・企業の安定
・弱みを補い、強みを伸ばす

(2)買手の目的


①主目的(企業成長・効率化)
・規模の拡大・効率化・新規能力(事業・商品・技術)の獲得・外注業務の内製化
 既存の経営リソースとのシナジー
②要素
・人材・ノウハウ・商品・拠点・販売先・仕入先・既得権的権利関係・有利な契約等を、稼働している事業単位・企業単位で獲得
③自社立ち上げよりも有利に進める
・短期間で行う
・安全性を一定担保して行う
(稼働してきた事業のため、収益性・運営実現性等に見込みが立ちやすい)
④その他
・M&Aを行った実績自体が評価を得る(株価の上昇傾向・ビジネス情報の流入等)

M&Aの流れ

ご縁の話ではございますが、M&Aのためには、(最速)3ヶ月~、(順調にいき)半年、(ご縁次第で)~1年~2年~…といった時間を要します。代表的な株式譲渡(会社ごと譲渡)を基本とすると、概ね以下の流れで進むのが一般的です。※個別対応事項やスキームによっても大きく異なります。

(1)準備をする(譲渡側)(1ヶ月程度)

①M&Aアドバイザーに相談する
②自社の状況・譲渡条件を整理する
③初期の手続きを行う(譲渡側)
④提案資料を整える
⑤候補先を相談する
※良い話をするアドバイザーではなく、妥当で経験値を感じる話をするアドバイザーを選ぶことが重要です。


(2)譲受候補に打診する(期間の読みにくいご縁の工程)

⑥初期の手続きを行う(譲受側)
⑦案件資料の提示・説明と、QAを行う


(3)譲渡・譲受の両者で進める(ここから3ヶ月程度)

⑧両者面談を行う
⑨意向表明・基本合意を行う(仮契約の位置づけ)
⑩デューデリジェンスを行う
⑪最終契約を締結する
⑫決済・クロージング

以下、それぞれの詳細を見ていきます。


(1)準備をする(譲渡側)

① M&Aアドバイザーに相談する
適切なM&Aアドバイザーに相談する事で、M&Aを行う事で得られるものと、M&Aを行わないとどうなるのかが整理されます。また、譲渡条件や譲渡後の姿が、一定見えるようになります。譲渡条件で多いのは、売却額・雇用維持・屋号や法人名の維持・譲渡後のご自身や親族勤務者等を含む処遇・引継期間といった事があげられます。ここでご注意いただきたいのは、耳ざわりの良い事を話すアドバイザーが良いアドバイザーではありませんし、厳しい事を言うアドバイザーが良くないアドバイザーという事でもありません。どういった条件で折り合うかは、まだ見ぬ譲受先との合意がとれるかどうかです。例えば、売却額の仮算定が高いアドバイザーを選びがち、という事は非常に多くある事例です。ですが、合意する価格を提示するのはアドバイザーではないので、極論アドバイザーの価格算定には、何の意味もありません。もちろん、そこまで言うと言いすぎで、優秀なアドバイザーはある程度的をえているのですが、買手はどう考えるかが適切に検討され、理解できるものでないと、単に高い仮算定だから嬉しいという事で依頼すれば、的外れとなります。良い事も言いにくい事もきちんと理解されているか、自身の価値観を含め、実際にはどういう場合が多いか等を通し、納得できる話をするアドバイザーかを判断していただく必要がございます。

②自社の状況・譲渡条件を整理する
適切なアドバイザーとの相談の中で、適切に自社の状況を整理し、条件項目の洗い出しをした上で、絶対条件と希望条件を明確に切り分ける必要があります。要求水準にもよりますが、希望を何から何まで満たす事は稀で、条件設定=譲受候補の減少ですので、実現性のある条件設定を行いつつ、本来の主目的を達成する事が重要です。実現性の乏しい条件設定での譲渡活動は、ただの徒労と情報拡散になります。とは言え、この当たり前の事が、専門的且つ守秘義務の厳しい世界であるがゆえに、業界の従事者等でないと、なかなか妥当性の判断もしづらく、言うは易し、行うは難しとなってしまいます。人を見る目を養ってこられている経営者様を前提にお話しすれば、ここでのポイントは、腹を割って話せる、信用できる担当者かどうか、様々な関係者の理解がえられる整理がされうるかどうかです。

③初期の手続きを行う
初期の手続きとしては、以下が基本となります。
A.秘密保持契約    (アドバイザーとの情報管理・守秘義務の定め)
B.必要資料を共有する (会社を知るには様々な資料・情報が必要になる)
C.アドバイザリー契約書(手数料や業務内容を定める契約を締結する=依頼する)

A.秘密保持契約(CA・NDAとも呼ばれる)
M&Aにおいて最も重要な事は、最初から最後まで情報管理です。これさえ守れていれば、事故にはなりませんし、これが守れなければ、即大事故の危機です。一方で、慎重すぎて間延びする事も逆に全く良くありませんので、アドバイザーと相談しながら、適切なタイミングで適切な水準の情報開示を行う必要があります。

B.必要資料を共有する
初期段階では、人・モノ・金・情報・ビジネス等について、主要情報を整理する必要があります。決算書は必須と言えますが、その他は、個社ごとの事業内容・管理状況・事務体力を踏まえ、譲渡企業における重要度に合わせた水準の資料共有をアドバイザーに行う事となります。「資料は提出しないけど、良い相手がいれば資料提出をするよ。」と言った事が、しばしば見受けられますが、基本的にそういった場合は、お互いやめておいた方が良いでしょう。その順番では、ほぼうまく進む事はありません。

C. アドバイザリー契約書
アドバイザーとの契約書の締結です。契約内容や費用、責任範囲、業務期間や手数料等を定めます。手数料条件は、多くの場合レーマン方式という、規模が多きくなるほど手数料が上がるという構造になっています。また、最低金額の設定もほぼございます。

④提案資料を整える
買手候補への打診を行うにあたり、以下の資料を準備します。
A.ノンネームシート (守秘義務前の譲受候補に提示する情報。個社特定されない情報)
譲渡企業・事業を特定されない範囲で、内容を伝え、入口の興味を確認する書面です。
条件は、まずは特定されない範囲でとどめる事、次に伝えるべき魅力が伝わり、伝えたい方には響く内容とする事が重要です。時には、買手で補いやすいだろう弱みを積極的に記載する事もあります。
B.企業概要書    (守秘義務後の譲受候補に提示する情報。)
IM:インフォメーションメモランダム:Information Memorandumとも呼ばれます。
一般に、企業概要から決算情報、ビジネス内容、人材情報等について記載されており、
概略を大まかに全てつかめるようにアドバイザーが資料をまとめます。

⑤候補先を相談する
ここまでの過程と並行して行われる事が多いですが、どのような相手先にアプローチをするのかを相談します。絞り過ぎることも良くありませんが、とは言え取引先への打診は控えたい等(逆に取引先だからこそ良い場合もありますが)、留意すべき点を踏まえ、案内不可先のチェックを行う工程です。個社チェックと共に、どういった類の相手先は案内してはいけないのか、逆に良いのかの基準がアドバイザーとすり合わされる事が重要です。ネームクリア:NCと呼ばれる工程で、譲受候補先の一覧をロングリストと呼びます。

(2)買手候補に打診する(主:アドバイザーと譲受候補のやり取り→従:譲渡先へも相談)

⑥初期アプローチと手続きを行う
ノンネームシート(個別特定不可情報)での興味を確認後、秘密保持契約を締結します。また、アドバイザリー契約書の締結も行います。

⑦案件資料の提示・説明と、QAを行う
企業概要書(個社特定の詳細情報)の提示をし、いよいよ譲受候補による本格検討となります。その後、引き続き前向きに検討を進めるか判断するために、多くの場合、質疑や追加資料の希望が出されます。実際に行えるか、行った場合にどういった相乗効果が期待されるか、適切な情報提示が継続的になされそうか、投資回収や資金調達も踏まえ実効性のある内容か等、譲受企業には見えないところで行われている相手候補先との協議の部分で、アドバイザーの手腕が問われる項目の一つです。

(3)譲渡・譲受の両者で進める(ここから3ヶ月程度)

⑧両者面談を行う
資料等の事前の概略情報で、譲受企業が前向きとなった場合の次の工程です。実際に両者がお会いいただき、事業・考えをお話いただく中で、風土・人となりを感じていただく場であり、両者検討を進める事を確認する場(意思表示は後日確認が基本です)となります。また、何かの開示に抵抗のある情報を開示するためのきっかけとなる事も、度々ございます。

⑨意向表明(譲渡側から)・基本合意(両社の合意)を行う(仮契約の位置づけ)
両社で前向きに進める事が確認できれば、書面で条件の確認を行います。意向表明は、譲受側からの一方的な提示(実際はアドバイザーが事前調整を行う事が基本)で、基本合意は両者が押印する=両者の意思確認です。口頭でいくら前に進んできても、いざ書面に整理して書き出すと、様々な話題に出ていない内容も決める必要性に気付くという事もあります。次のステップのデューデリジェンス(詳細調査)は、労力・開示情報の水準が跳ね上がりますので、その前に、両者の考える条件骨子・意向をしっかりと確認しあいます。これらの書面が、お話ごとの当該時点にふさわしい内容で過不足なく作成されるかどうかは、当事者+アドバイザーの手腕に依存します(想定力+事前調整力)。また、重要な事ですが、このステップからは特に、当事者にも一層の責任感として、最大限の誠意と努力といった水準で求められます。

⑩デューデリジェンスを行う
デューデリジェンス(DD)とは、対象を詳しく調べる事です。譲受側が、買収後のリスクを最小限に抑制し、買収の成否や、基本合意時の条件について、判断するための情報を整理することを目的とします。つまりは、譲渡側にとっても後から揉めないための調査協力工程です。一般に、弁護士・会計士、時に社労士や事業の専門家等が調査に加わり、隅から隅まで会社の事を調査します。項目としては、財務DD(財務・税務)・法務DD(法的リスク)・労務DD(人事)・ビジネスDD(事業環境・計画)・技術DD(品質・特許等)といった項目がございますが、規模等の影響を受けながら、当事者の考えに合わせた項目と水準で行われます。資料チェック+ヒアリングによりおこなわれる事が多く、想像よりも労力を要します。詳細はアドバイザーに実際にお聞きいただければと思いますが、慣れた専門家・慣れたアドバイザーかどうかで、時に破断の必要のないお話において、破断のリスクにまで影響する事があります。

⑪最終契約を締結する
デューデリジェンスによる調査結果を踏まえ、基本合意前と後での条件の調整や、後日調査後の協議項目としていた内容を修正・相談しきり、最終契約書(株式譲渡契約書等。その他、事業譲渡契約書・造作譲渡契約書・吸収分割契約書・必要に応じて、付随して不動産売買契約書・賃貸借契約書等)の締結に入ります。同時に、司法書士等を含めた、必要な手続きの段取りを進めておきます。

⑫決済・クロージング
全てが整えば決済・クロージングとなります。完了後、早々に関係者への挨拶・対応が必要となる事が多いので、事前にアドバイザーと相談の上、直後の対応事項から整理しておきましょう。

スキームの選択

以下、検討の入り口でスキーム別の概念をお持ちいただくために、一般的な状況の場合を想定しつつ、現場に強い船井総研として、M&Aの実務担当者の肌感を、中小企業M&Aの目線(譲渡価格数百万円~10億円程度の譲渡案件を想定している方々に対しての目線)で、
語弊を恐れずに記載させていただきます。
※事情は個別企業で様々ですので、落とし穴も随所にございますし、手法のカテゴライズとは別に、様々な内容を組み合わせながら行います。
リスク発見のためには、また最適なスキームの選択・実行には、多くの知識・経験が必要です。 以下でのみのスキーム選択における安全性・妥当性については、何ら保証いたしかねますので、必ず、アドバイザー・専門家の指導の元、ご検討されるようお願いいたします。

株式譲渡事業譲渡会社分割その他
主な目的・事業承継(引退)
・戦略的傘下入り
・事業の選択と集中
 として、子会社譲渡
事業の選択と集中事業の選択と集中事業承継のステップ
・戦略的協業
概念会社を丸々譲渡する一部の事業部門の譲渡一部の事業部門の譲渡(中規模~大規模)・中堅企業・上場企業等で行われる事がある。
譲渡・承継
対象内容
株式事業部門の資産・権利
(不動産・設備・在庫・営業権・人員・関連契約等)
・事業部門の資産・権利を別法人に移し、その後に株式譲渡を行うイメージ(新設分割)
・譲受企業への合併までを同時に行う事もある。(吸収分割)
(様々)
頻度感
M&A仲介
介在時
M&Aのほとんど
(業者介在型では)
たまにある程度
(小規模・当事者同士では相応にある)
数%極僅
相談先多くのM&Aアドバイザーが慣れている慣れたアドバイザーが少ない慣れたアドバイザーが少ない慣れたアドバイザーが少ない
参考船井総研に専門チーム有船井総研には専門チームがあります船井総研には専門チームがあります(専門チームは
 ありません)
他スキーム
との比較
簡易・多い・税務有利
・手続きが簡便
・譲渡側の税務メリットも出やすく、経済合理性が高くなる傾向。
煩雑・少ない
・手間がかかる
・必要な内容を個別に承継するので、見落としに注意。
・契約は、基本的に全て締結しなおし。
大がかり・少ない
・事業譲渡との違いは、
契約内容も一定条件内であれば、まとめて譲渡可能(※実務上の感覚としては、契約先との協議が軽くなる事が多いというイメージが妥当)。
※但し、より専門的な領域で、特に、①オーナーチェンジ条項②労働承継法等への慎重なケアが必要。
極稀
・上場企業が買手の場合や、一部経営権の譲渡・協業化、資金注入をしながらのM&Aの場合等にはその他のスキームを検討する事があります。
・ただし、中小企業が売手となるM&Aでは、一般的ではありません。中堅企業以上が売手の場合に、検討される事があります。
・考慮外でも良い
代表的な
譲渡理由
・後継者不在
・早期引退(ハッピーリタイア)
・戦略的傘下入り
・事業再編(子会社譲渡)
・事業再編(小規模傾向)
・後継者不在企業の引退に向けた事前の事業整理
・事業再編(大規模傾向)
・後継者不在企業の引退に向けた事前の事業整理
・戦略的提携
・計画的承継の準備
選択理由の
代表例
(同上)・一つの法人で、複数業種の事業を行っている場合や、一部エリア・一部店舗だけの承継の場合。
・また、株式譲渡の検討から、リスクの高い何がしかの理由が発覚した場合の、スキーム変更時
・複数事業(譲渡外事業も)を、一つの法人で行っている等、株式譲渡が適さない場合に行う。
(左記事業譲渡の理由)
+大き目の施設の譲渡や、関係する権利関係の新たな締結が困難な場合に検討する
・分社による手間・費用をかけてでも、承継対象事業に関する必要契約等権利の承継対応が簡便化・安全化するメリットが勝る場合に検討
※中小企業が売手となるM&Aでは、一般的ではない
・上場企業が相手の場合や、一部経営権の譲渡・協業化、資金注入をしながらのM&Aの場合等
・資本提携を挟みながらの数年がかりの経営権の譲渡を想定する場合等
実際の実現性
  ≒
買手の慣れ

M&Aとしては一般的で、比較的探しやすい。
◎or△
◎スクラップ&ビルド系の業種では、比較的探しやすい(小売店・飲食店等多店舗展開業種)。
△その他の業種では、手続きが煩雑等、あまりスムーズではない事も多く、必要性がなければ選択しない。
〇or▲
〇一部特定の業種では一般的
▲買手も不慣れな傾向
・複数種類の専門家の介入が必要(M&Aアドバイザー・弁護士・会計士・司法書士・社労士等)で、大掛かりな内容

相手は限られる
一言最も一般的なM&Aは、
株式譲渡です。
・M&Aアドバイザーが実は不慣れという事も多く、経験があるか留意してください(知ったかぶりに注意)
・小売店・飲食店等業種では、買手に馴染みやすいスキーム。
・慣れているアドバイザーや、師士族先生は少数です(知ったかぶりに注意)
・慣れた専門家の推奨があれば検討、なければ検討外のイメージ。
(同左)

M&Aのスキーム一覧

スキーム

株式譲渡によるM&Aとは?株式譲渡の手続きとメリット・デメリットについて解説

株式譲渡

1.株式譲渡によるM&Aとは?

株式譲渡によるM&A(合併・買収)は、企業が他の企業の株式を取得することで、その企業を統合する方法の一つです。このプロセスでは、主に買収する企業が買収対象企業の株式を取得するために、買収対象企業の株主に対して現金や株式を交付します。また、買収する企業は、買収対象企業の株式の過半数を取得することにより、経営権を獲得します。

株式譲渡によるM&Aは、企業の成長戦略や市場進出戦略など、多くの理由で行われます。例えば、企業が自社の業務を拡大するために、市場で競合する企業を買収することがあります。また、新たな製品や技術を獲得するために、競合他社を買収することもあります。M&Aは、企業の競争力や市場シェアを強化するために、戦略的な重要性があると考えられています。

2.株式譲渡が成立するまでの流れとは?

株式譲渡が成立するまでの一般的な流れは、次のようになります。

・株式譲渡契約の締結

買い手と売り手が株式譲渡契約を締結します。この契約には、株式譲渡の条件や価格、決済日などが含まれます。

・機関決定

 取締役会及び株主総会で株式譲渡の承諾決議をおこないます(譲渡制限会社の場合)。なお、買い手も同様の機関決定が必要となります。

・書類及び引渡物品の準備

 株券(株券発行会社の場合)、株式名義書換請求書兼株主票、会社実印、印鑑証明書、銀行印、通帳、鍵等を準備します。

・譲渡価格の支払い

決済日になると、買い手は売り手に対して、株式の譲渡価格を支払います。

・株式譲渡の完了

支払いが完了すると、株式譲渡は完了します。買い手は株式の所有者となり、売り手は株式の所有権を失います。また、取締役等の変更登記が必要な場合は登記申請をおこないます。

株式譲渡には、上記の流れに加えて、契約書に従うことが重要です。契約書に明記された条件に従わない場合、株式譲渡が成立しない可能性があります。また、株式譲渡には税金や手数料が発生する場合がありますので、それらについても事前に確認しておく必要があります。

3.株式譲渡の対価・企業価値の評価法とは?

株式譲渡の対価として、取引当事者は譲渡価格を合意する必要があります。企業価値の評価は、譲渡価格を決定する上で重要な要素となります。

企業価値の評価法は、様々な方法がありますが、一般的な方法としては以下の3つが挙げられます。

・業界平均法

業界平均法は、同じ業界の企業の財務指標や評価額を参考にして、評価する方法です。この方法は、業界内の企業の評価を比較することで、相対的な評価を行うことができます。

・割引現在価値(DCF)法

割引現在価値法は、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて評価する方法です。この方法は、将来のキャッシュフローの予測に基づいた評価方法であり、将来の収益性や成長性を反映しているため、成長企業や未上場企業に対して有効な方法とされています。

・時価総額法

時価総額法は、株式市場での企業評価額を基に企業価値を評価する方法です。時価総額とは、企業の発行済み株式数に市場での株式価格を掛けた金額です。この方法は、市場の需要と供給に基づいた評価方法であり、市場価値を反映しているため、株式市場に上場している企業に対しては有効な方法とされています。

上記の評価方法を総合的に考慮し、企業の業績や成長性、市場環境などに応じて最適な評価方法を選択し、譲渡価格を決定することが求められます。

4.株式譲渡の際の会計処理・税金の注意点とは?

株式譲渡に際して、会計処理と税金の注意点は次のようになります。

【会計処理】

株式譲渡による収益は、営業外収益として処理されます。譲渡益は、譲渡価格から取得原価を差し引いた金額となります。取得原価には、取得時に支払った金額や手数料、税金などが含まれます。また、譲渡益は、会計年度ごとに計上されます。

【税金】

株式譲渡による譲渡益には、所得税と住民税がかかります。ただし、譲渡した株式が1年以上所有していた場合は、譲渡益にかかる税金が軽減される「特定口座譲渡等の課税制度」があります。この場合、所得税と住民税の課税率は最大20.315%となります。

また、法人が株式を譲渡する場合には、法人税もかかります。ただし、譲渡益が一定額以下の場合には、法人税が免除される「中小企業等経営強化税制」があります。

さらに、譲渡された株式が非上場株式である場合には、贈与税や相続税の問題も考慮する必要があります。譲渡前に専門家に相談することが望ましいでしょう。

5.株式譲渡の譲渡(売り手)側のメリットとは?

株式譲渡の譲渡(売り手)側のメリットはいくつかあります。以下にいくつか挙げてみます。

【売り手のメリット】

・資金調達が可能

株式を譲渡することで、資金調達が可能になります。譲渡された株式に対する代金を受け取ることで、現金を手に入れることができます。

・リスクヘッジ

株式を所有している場合、リスクが存在します。株式譲渡により、リスクを軽減することができます。また、株式を持つことで、企業の経営状況に依存するため、リスクを回避するために譲渡することもあります。

・ROEの向上

株式譲渡により、企業に対する株式所有比率が減少するため、資本収益率(ROE)が向上する可能性があります。

・所有権の解消

株式を譲渡することで、企業に対する所有権を完全に解消することができます。所有権を解消することにより、企業とのかかわりを絶つことができます。

以上が株式譲渡の譲渡(売り手)側のメリットの一部です。ただし、株式譲渡にはデメリットやリスクも存在するため、注意が必要です。

6.株式譲渡の譲り受け(買い手)側のメリットとは?

株式譲渡の譲り受け(買い手)側には以下のようなメリットがあります。

【買い手のメリット】

・拡大・多角化

買収側が、譲渡先企業の事業や技術、顧客ネットワークを取得することで、自社の事業を拡大し、多角化することができます。

・市場シェアの拡大

買収により、譲渡先企業の市場シェアを取得することができます。これにより、自社の市場シェアを拡大し、競争優位性を高めることができます。

・財務的なメリット

譲渡先企業の事業により、新たな収益源を確保することができます。また、譲渡先企業の資産や知的財産を取得することで、財務的なメリットを享受することができます。

・経営陣・人材の取得

譲渡先企業の経営陣や人材を取得することで、自社の経営力や人材力を強化することができます。

・リスク分散

買収により、自社が従来手掛けていなかった事業や市場に進出することができます。これにより、自社のリスクを分散し、事業の安定性を高めることができます。

ただし、買収には多くのリスクが伴います。買収後に予想外の問題が発生した場合、買収側の企業価値や株価に悪影響を及ぼす可能性があります。よって、買収前に十分なデューデリジェンス(事前調査)を行い、リスクを把握することが重要です。

7.株式譲渡の譲渡(売り手)側のデメリット・注意点・税務上の留意点とは?

株式譲渡の譲渡(売り手)側のデメリット、注意点、税務上の留意点は以下の通りです。

【売り手のデメリット】

・譲渡益による税金がかかる。

・株主としての権利や利益を失う。

【売り手の注意点】

・譲渡価格や条件について、契約書を交わす前にしっかりと検討する必要がある。

・譲渡価格を調整するための条件付き売買契約が結ばれる場合がある。

・個人的な事情や企業戦略など、譲渡の理由を明確にする必要がある。

【売り手の税務上の留意点】

・譲渡益には所得税及び住民税が課税される。

・譲渡所得がある場合は確定申告を行う必要がある。

・譲渡益が一定額を超える場合は、源泉徴収される可能性がある。

・損失が生じた場合には、損益通算により所得税や住民税が軽減される場合がある。

8.株式譲渡の譲り受け(買い手)側のデメリット・注意点・税務上の留意点とは?

 株式譲渡の譲り受け(買い手)側には、以下のようなデメリットや注意点が存在します。また、税務上の留意点もあります。

【買い手のデメリット】

・買収側は、買収にかかるコストや手数料、そして譲渡先企業の負債を引き継ぐ可能性があるため、支払う金額が大きくなる場合があります。

・譲渡先企業の業績不振や問題が、買収側にも影響を与える可能性があります。

・譲渡先企業の株式を取得したことにより、買収側にはその企業に対する責任が生じることがあります。

【買い手の注意点】

・譲渡先企業の事業内容や業績を詳しく調べる必要があります。買収にあたっては、専門家のアドバイスを受けることが望ましいです。

・譲渡先企業の株式を取得する際には、M&A(企業買収・合併)契約書を締結することが必要です。この契約書には、買収の条件や保証、禁止事項などが定められます。

・買収に伴い、譲渡先企業の従業員や顧客、サプライヤーなどにも影響が及ぶため、適切なコミュニケーションが必要です。

【買い手の税務上の留意点】

・譲渡先企業が法人である場合には、法人税の問題もあります。

最後に、中小企業の多くはオーナー企業となりますが、長年、個人と法人が一体となった経営を続けてきた会社が多く見られます。具体的にはオーナー貸付金や個人保証などが挙げられますが、その他として、株主の分散(所在不明など)や名義株の問題(名義株を証明する証憑等がないなど)などは厄介な問題と言えるでしょう。

業歴が長い会社になるほどこれらの問題が後から判明することが多く、当時を知る人物の死亡や所在不明などで問題を複雑にすることが多々あります。売り手様におきましては、売却のご検討と併せて、専門家による事前調査をおすすめします。

株式交換によるM&Aとは?株式交換の手続きとメリット・デメリットについて解説

株式交換

株式交換によるM&Aとは?

株式交換によるM&Aについて解説させていただきます。

そもそも株式交換によるM&Aは、買い手が対象会社の全部株式を取得し完全子会社化することを目的として用いる方法であり、過半数取得などを目的とする場合にはこの方法を用いることはできません。

また、親会社となる会社の相応の株式数と完全子会社化される株主が保有する全ての株式を交換することにより本取引は成立します。本制度は1999年の旧商法改正時に導入されました。

大半の株式交換事例は買い手側が上場企業である場合が多いです。

理由としては、売主側も買い手側の株式を取得することとなるため、市場流動性の高い上場株式の方が換金性も高く、譲渡後にいつでも現金化できる資産で持ちたいという売主側のニーズがあります。

株式交換が成立するまでの流れ・手続きとは?

取締役会による決議

完全親会社となる会社では会社の意思決定ルールに基づき、取締役会決議において機関決定を行うこととなります。

また、完全子会社となる会社においても取締役会による承認決議が必要となります。

株式交換契約の締結

株式交換契約書においては下記の項目記載が必須となっております。(項目を欠く契約書は効力が発生しないため注意が必要です。)

・当事会社の表示(商号・住所)

・株式交換対価の交付に関する事項(株式交換完全子会社の株主に対して交付する金銭等)

・株式交換による完全子会社の株主に対する株式交換対価に関する定め

・新株予約権の交付に関する事項(株式交換完全子会社の新株予約権者に対する対価・その割当等)

・株式交換の効力発生日

事前開示書類の備置き

株式交換契約と法務省令で定める事項を記載した事前開示書類について、株式交換の効力発生日から6カ月を経過する日まで据置く必要があります。

法務省令で定める事項とは下記の通りとなります。

・交換対価の相当性に関する事項

・交換対価について参考となるべき事項

・株式交換に係る新株予約権の定めの相当性に関する事項

・計算書類等に関する事項

・法第789条第1項の規定により株式交換について異議を述べることができる債権者があるときは、株式交換が効力を生ずる日以後における株式交換完全親会社の債務(当該債権者に対して負担する債務に限る。)の履行の見込みに関する事項

・吸収合併契約等備置開始日後株式交換が効力を生ずる日までの間に、前各号に掲げる事項に変更が生じたときは、変更後の当該事項

双方の株主総会で特別決議による承認

簡易株式交換、略式株式交換等の一定の条件を満たす場合を除き、株式交換の効力発生日の前日までに双方の株主総会にて特別決議による承認を受ける必要があります。

反対株主の株式買取請求

株式交換であれば少数株主の強制排除が可能ではありますが、株式交換に反対する少数株主は自己の有する株式を公正な価格で買い取るよう請求することができます。(請求できる期間は簡易株式交換を除き効力発生日の20日前から前日までの期間となっております。)

債権者保護手続き

ケースに応じて、株式交換の効力発生1カ月前までに債権者に対して異議申述公告・個別催告を実施する必要があります。

臨時報告書の提出

上場会社・継続開示会社において、一定の場合を除き臨時報告書を提出する必要があります。

登記

株式交換の効力発生後、2週間以内に登記が必要となります。

事後開示書類の備置き

株式交換の効力発生後、6カ月を経過する日まで事後開示書類を据置く必要があります。

また、事後開示書類に記載が必要な事項は下記の通りです。

・株式交換が効力を生じた日

・株式交換完全子会社における株式買取請求手続、債権者異議手続、及び新株予約権買取請求手続の経過

・株式交換完全親会社における株式買取請求手続及び債権者異議手続の経過

・株式交換により株式交換完全親会社に移転した株式交換完全子会社の株式の数(株式交換完全子会社が種類株式発行会社であるときは、株式の種類及び種類ごとの数)

・その他、株式交換に関する重要な事項

この他にも、条件に応じて対応しなければならない手続きがいくつもありますので、案件毎に専門家の指導の下行っていく必要があります。

株式交換のメリットとは?

完全子会社の場合

■法人を存続させることが出来る。

合併であれば、法人が消滅してしまいますが、M&Aであれば法人を存続させることが出来ます。

長年働いてこられた従業員の方々は少なからず会社に愛着があるはずです。法人を存続させることで取引成立後の離職リスクを抑えることが出来ます。

■少数株主の強制排除により完全子会社化が可能

会社法の規定に従い、完全子会社化することが可能です。

株式譲渡の場合、完全子会社化するためには全ての少数株主と交渉し株式譲渡契約を締結する必要があります。条件達成ハードルも高く、場合によっては莫大な時間を要します。

株式交換はこのような問題を解決することが出来るのです。少数株主の地位を強制的に失わせる方法を「スクイーズアウト」と呼びます。

■親会社の経営に参画することも可能

売主は株式交換によって親会社の株式を取得することになりますので株式保有割合に応じて親会社の経営に参画することも可能となります。

完全親会社の場合

■買収資金を必要としない

株式交換の最大のメリットは何といっても買収資金を必要とせず自社株式を利用することでM&Aが実現できることにあります。

その分を今後の設備投資や人材育成等に充てることも出来ます。また、M&A後にグループ全体の売上や利益が拡大することによって時価総額が拡大し、更なる攻めのM&Aが可能となります。

株式交換のデメリット・注意点とは?

完全子会社の場合

■煩雑化する可能性

親会社においても同様ですが、株式交換は会社法に規定されている組織再編上の行為であり、通常の売買取引とは異なります。

手続き漏れによって効力が無効となるリスクもあり、会社法に則ったより緻密な手続きが必要となります。株式交換について知見の深いM&A仲介会社の選定し、綿密なスケジューリングやリスクの洗い出しを行う必要があります。

■親会社株式の株価下落リスク

買い手側は本取引実行にあたり、自己株式の処分もしくは新株発行を行うこととなります。発行済株式数が増える場合、1株当たりの利益が減少することを意味します。このことだけに目を向ければ株価にはマイナス要因となります。ただし、完全子会社化による業績向上等が市場から大きく期待される様であれば株価が上昇する可能性もあります。

下落リスクについては事前に考慮しておく必要があります。

完全親会社の場合

■不要な資産含め全ての資産を取得することとなる。

債務を引き継ぐことは勿論のこと、目に見えない簿外債務を引き継ぐ可能性があります。事業譲渡であれば、そういったものを引き継ぐことはありませんが、株式譲渡・株式交換においてはそういったリスクを引き継ぐこととなりますのでデューデリジェンスの重要性が高まります。

■過半数取得を目的とする場合には用いることはできない。

冒頭記載の通り、株式交換は完全子会社化を目的とする際のみに用いることが出来るM&Aの手法であるため注意が必要です。過半数取得を目的とする場合には通常の株式譲渡取引を用いることとなります。

以上、今回ご紹介させていただきました通り、株式交換は多くのメリットを享受できるM&A手法である一方、煩雑な事務手続きや緻密な計画が必要となる取引ですので、本取引をご検討の場合には知見の深いM&A仲介会社を選ぶことが重要となります。

事業譲渡によるM&Aとは?事業譲渡の手続きとメリット・デメリットについて解説

事業譲渡

事業譲渡によるM&Aとは

中小企業におけるM&Aは株式譲渡によって行われるのが一般的ですが、今回は事業譲渡について簡単に説明させて頂きます。株式譲渡は会社全体を譲り渡すことになりますが、それに対して、事業譲渡は会社ではなく特定の事業を対象として譲渡します。事業を譲り受ける側(買い手)としては必要な事業(人材・資産)のみを取得することができます。
会社法21条1には、「事業を譲渡した会社(以下この章において「譲渡会社」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項 の指定都市にあっては、区又は総合区。以下この項において同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から20年間は、同一の事業を行ってはならない。」とあり、譲渡会社には競業避止義務が発生します。

事業譲渡が成立するまでの流れ

事業譲渡の大まかな流れは以下の通りです。
➀譲渡対象とする事業を決定する
②譲り受け対象先(買い手)を探す
③トップ面談を行う
④譲り受け側(買い手)から意向表明書を受け取り、基本合意契約を締結する
⑤譲り受け側(買い手)はデューデリジェンスを行い譲渡条件を調整する
⑥事業譲渡契約書の締結・対価の支払・資産・権利移転等の手続きを行う

事業譲渡の金額(対価)の計算

上記の①において、譲渡対象とする事業を決定する際には、同時に事業譲渡の金額(譲渡対象事業の対価)も大まかに決めておくと良いでしょう。譲渡対象事業の金額は、大まかに、譲渡対象事業の時価純資産にのれん代を合算したものになります。のれん代は、譲渡対象事業の実質利益の3倍~5倍前後が目安になります。

事業譲渡の譲渡側のメリット

事業譲渡の譲渡側(売り手)のメリットとしては、会社を存続させ、譲渡対価として成長資金を得ることができる、譲渡対象とする事業(残したい事業)を選択することができる、ノンコア事業の譲渡により主力事業に集中することができるといった点が挙げられます。複数店舗を展開する飲食チェーンが不採算店舗を売り、好業績店のみを残す場合にも事業譲渡を活用することができます。

事業譲渡の譲受側のメリット

事業譲渡の譲受側(買い手)のメリットとしては、希望する事業だけを選択して譲り受けることができる、対象事業の資産・負債を特定して承継するため簿外債務、未払残業代などのリスクを回避することができる、細かな調査を行う必要が無いのでデューデリジェンスの期間・コストを削減しやすくなる、のれん代を損金計上することができる(5年間の均等償却)といった点が挙げられます。

事業譲渡の譲渡側のデメリット

事業譲渡の譲渡側(売り手)のデメリットとしては、株式を譲渡するわけではないので株主個人に現金が入るわけではない(法人にお金が入る)、株式譲渡の対価に対する税率(20.315%)よりも事業譲渡の対価にかかる税率(34%)の方が高くなる、法人に入った事業譲渡の対価を株主個人に給与・配当などで事業譲渡の対価を戻す際にも税金が発生する、譲渡対象とする事業について個別の資産・負債を特定する作業や様々な既存契約の移転手続きが発生する、譲渡益に対する税金の発生といった点が挙げられます。

事業譲渡は株式譲渡よりも手続きが煩雑になるため、事業譲渡契約書の締結まで時間を要するケースが多いです。例えば、取引先が数千社あったり、従業員数が数千人いる場合は、契約書(取引契約・雇用契約等)をいったん解除して契約し直す必要があるので譲り渡す側も譲り受ける側も工数負担が大きくなります。また、原則として株主総会特別決議が必要になるため大企業が事業譲渡を行う際には大きな負担となります。

事業譲渡の譲受側のデメリット

事業譲渡の譲受側(買い手)のデメリットとしては、手続きが煩雑になる(売り手のデメリットと共通)、株式譲渡と比較した場合に税負担が大きくなるといった点が挙げられます。
例えば、許認可は一般的に法人に付与されるため、事業譲渡により主体となる法人が変わったとしても許認可は売り手に残ったままになります。従って、許認可が必要な事業における事業譲渡の場合には、事業を譲り受けた側が許認可を取得する必要があります。従業員の雇用契約もすべて巻き直しになるため、譲り受ける事業の運営上不可欠な優秀な人材の流出リスクがあるということもデメリットとして考えられます。
また、譲り受ける事業の資産について、消費税課税資産が含まれる場合は、消費税が発生する他、不動産取得税、登録免許税などが発生します。

会社分割によるM&Aとは?会社分割のメリットとデメリットについて解説

新設分割
吸収分割

1. 会社分割によるM&Aとは?会社分割の種類「新設分割」「吸収分割」について

会社分割とは、株式会社または合同会社で運営されている事業について、その権利義務、関連資産、組織・人材などを切り出して包括的に他社に引き渡すことです。「事業を包括的に引き渡す」点では、合併も同様のスキームだと言えますが、合併では存続会社以外は消滅するのと比べて、会社分割ではM&A後も分割を行った会社は消滅せずに残った事業の運営主体として存続する点が相違点です。

新設分割とは、会社が持つ事業の権利義務の一部、あるいは、全て新設会社に承継させます。
新設分割は新会社を設立したうえで自社事業の権利義務を承継させるため、一つの会社内で完結します。その点で、複数の会社間で実施される事業譲渡とは大きく異なっていると言えます。
一方で吸収分割とは、会社が分割した事業の権利義務をほかの会社に承継させる手法です。吸収分割は2社以上の会社内で実施されます。

2.会社分割において押さえなければいけない「労働契約承継法」について

労働契約承継法はM&Aや企業再編などを行う際の手法である「会社分割」に関連する法律です。 同法では、会社分割によってこれまで働いていた会社とは別の会社に転籍することになる労働者及び会社分割後に承継会社へ移籍しない労働者が、転籍後も会社分割前と同じ雇用契約の条件が保護されるように定めています。
同法で定められている対象は分割する会社が雇用している労働者全員を指しています。正社員だけでなく契約社員やパート、アルバイトなど雇用形態に関わらず全ての労働者に対して労働契約承継法の規定に沿った手続きを行います。

3.会社分割が用いられるケースについて

会社分割では事業ごとにピックアップして分社化できるため、M&Aが難しい 中小規模の会社でもグループ再編に利用しやすい手法です。
会社分割は、成長事業を子会社として分社化させたり、不採算事業を切り離して会社の経営を安定させたりと、企業グループの再編や経営統合を行う場合に利用されます。一方、分割承継会社にとっては、既存事業とのシナジー効果を早期に獲得する手段として利用されています。
中小企業の多くが後継者不在に悩んでおり、後継者がいたとしても事業を引き継げないケースが見受けられます。また、闇雲に事業を拡大し続けた結果、グループ内において事業が重複し経営効率が落ちているというケースもあります。好調な事業があっても、会社全体で見れば、他の不採算事業の業績に埋もれてしまい、会社の評価が低くなるということも珍しくありません。その場合、株式譲渡などで会社を丸ごと売却するよりも、分割した方が高く売却できることもあります。

4.会社分割が成立するまでの流れとは?

新設分割についての大まかな手続きは以下の通りです。
(1).分割計画書の作成
(2).分割会社に事前開示書類を備置
(3).労働者への事前通知
(4).反対株主の株式買取請求通知
(5).債権者保護手続きの実施
(6).株主総会の特別決議で承認を得る
(7).登記申請を行う
(8).分割会社と新設会社に事後開示書類を備置

吸収分割についての大まかな手続きは以下の通りです。
(1).吸収分割契約を締結
(2).分割会社と承継会社に事前開示書類を備置
(3).労働者への事前通知
(4).反対株主の株式買取請求通知
(5).債権者保護手続きの実施
(6).株主総会の特別決議で承認を得る
(7).登記申請を行う
(8).分割会社と承継会社に事後開示書類を備置.吸収分割契約を締結
(9).分割会社と承継会社に事前開示書類を備置

5.会社分割の対価・企業価値の評価法とは?

事業を譲り受けた会社(承継会社)は、原則として自社の株式を対価として交付しますが、現金など他の資産を交付することも認められています。
そして前述では「新設分割」と「吸収分割」の2パターンでしたが、対価について考える場合、対価の支払先によってさらに2パターンの計4パターンに分類されます。

(1) 分社型・新設分割

分社型新設分割は、会社分割するにあたって新しく会社をたちあげ、その新会社に分割会社の事業を承継します。分割元の企業は、事業承継の対価として新会社が発行する株式を受け取る方式です。

(2) 分割型・新設分割

分割型新設分割は、会社分割するにあたって新しく会社をたちあげ、新会社に分割会社の事業を承継する対価は分割元となる会社の株主に対して交付されます。

(3)分社型・吸収分割

分社型吸収分割は、会社分割するにあたって新会社を設立せず、既存の会社に対して分割元となる会社が保有する事業の一部または全部を承継する方式となります。

(4) 分割型・吸収分割

分割型吸収分割は、会社分割するにあたって新会社を設立せず既存の会社に事業承継を行いますが、その対価は分割元の会社の株主に対して交付されます。

6.会社分割の際の会計処理・税務の注意点とは?

会社分割の会計処理では、分離元企業・分離先企業とそれらの株主、の4者で方法が分けられます。しかし、選択した会社分割の種類によっては取引に関係しない主体もあるので、必ずしも全ての仕訳・会計処理を行うわけではありません。
会計処理の仕方がほとんど同じものもいくつかあるので、個別に考えるべき仕訳・会計処理の数はさらに少なくなります。
会社分割の税務については、適格分割か非適格分割かによって異なります。
適格分割とは、税制上一定の要件を満たした税務のことで、8項目あります。
その逆に、非適格分割とは適格分割の要件を満たさない税務のことです。
下記の通り、適格分割は持ち株比率によって満たす必要がある要件が異なります。

(1)企業グループ内の分割(持ち株100%)の場合

金銭不交付要件:組織再編の際に、株主に金銭などの対価が交付されない要件のこと
按分型要件:分割型分割の際に、株主に応じた株式交付がされる要件のこと

(2)企業グループ内の分割(持ち株50%超え100%未満の分割)の場合

金銭不交付要件:同上
按分型要件:同上
主要資産・負債引継要件:会社分割において、主要な資産や負債が分割承継会社に移転する要件のこと
従業者引継要件:分割会社の80%以上の従業員が引き継ぎ先でも従事する要件のこと
事業継続要件:分割会社の分割事業が、会社分割後に分割承継会社に引き継ぐことが見込まれる要件のこと

(3)共同事業の場合(持ち株50%以下)

金銭不交付要件:同上
按分型要件:同上
主要資産・負債引継要件:同上
従業者引継要件:同上
事業継続要件:同上
事業関連性要件:分割会社の分割事業と、分割承継会社の分割承継行が関連することを示す要件のこと
事業規模要件または経営参画要件:事業規模要件とは、分割会社の分割事業と分割承継会社の分割承継事業相互の売上金額、従業員数あるいはこれらに準ずる規模の割合が5倍を超えないことを示す要件のこと。経営参画要件とは、分割前における分割会社の役員のいずれかと分割承継会社の特定役員のいずれかが、会社分割後に分割承継会社の特定役員となることが見込まれる要件のこと。
株式継続保有要件:分割型分割と分社型分割それぞれによって異なる。分割型分割の場合は、分割会社に支配株主がいる場合、分割型分割により交付される分割承継会社の株式のうち、支配株主に交付されるものの全部が、支配株主により継続して保有されることが見込まれている必要がある。分社型分割の場合は、会社分割によって交付される分割承継会社の株式全てが、分割法人によって継続して保有されることが見込まれている必要がある。

7.会社分割のメリットとは?

(1)一部の事業のみを売買可能
複数の事業や部署が存在している会社では、会社分割によって社内を整理し、事業承継をすることができます。また、複雑化していた株主関係を整理することも可能です。

(2)あらゆる契約を簡便に承継可能
財産債務を包括して承継するため、契約関係の移転手続きがシンプルです。

(3)税金負担が軽い
会社分割は企業の組織再編行為であるため不課税取引に該当し、消費税はかかりません。

(4)倒産リスク分散・新規事業参入の実現
会社の良い部分を分割し、会社の状況を改善して事業承継したい場合に用いられる為、不採算事業や負債のスリム化も可能です。事業単位で分割が行えるため、新規事業を立ち上げる際にも、会社分割は有効です。

8.会社分割のデメリット・注意点・税務上の留意点とは?

(1)不要な資産や簿外債務の引継ぎリスクがある
簿外債務の存在が後から判明する等、予想外の債務を引継ぐリスクがあります。

(2)株主総会の特別決議を行う必要がある
株主総会の特別決議で、株主の2/3以上の賛成を得なければ実行できません。

(3)税務手続きが複雑
税金の優遇を受けるためには専門的なアドバイスの元対応する必要があります。

(4)株価変動に伴う信頼性・企業イメージの低下
上場企業の場合、 1株当たりの利益が減少し、株価下落するリスクがあります。

合併によるM&Aにおける「吸収合併」「新設合併」のスキームについて、それぞれの概要、成立するまでの流れ、メリット・デメリット、税務上の留意点について説明します。

合併によるM&Aとは?合併の種類「吸収合併」「新設合併」について解説

新設合併
吸収合併

1. はじめに

M&Aという言葉は「mergers and acquisitions」の略語で、日本語では「合併と買収」という意味になります。合併も買収もM&Aのスキームの一つであり、一般的には買収のスキームが多く使われています。

買収とは、他企業を支配する目的で株式などを取得し、議決権の過半数以上を買い取ることや、他企業の事業部門を買い取ることを言います。

一方で合併は複数の会社が法的に1つの会社になることを言います。

合併と買収の違いについて述べると、合併が複数の会社が1つになるのに対し、買収は株式の取得により、被買収会社を子会社化します。買収後も両社はそのまま残ります。実務的には完全子会社化した後、一定の時間をおいてから合併が行われるケースが多く見られます。

合併はさらに「吸収合併」と「新設合併」の2種類に分けられます。

「吸収合併」

吸収合併とは、会社が他の会社とする合併であり、合併によって消滅する会社の権利義務のすべてを合併後存続する会社に承継させるものです。吸収合併が行われると、吸収する側の存続会社の法人格のみが残り、吸収される側の会社の法人格は消滅します。なお、消滅会社の資産や負債、許認可や免許などは存続会社にすべて引き継がれます。

「新設合併」

新設合併とは、2以上の会社がする合併であり、合併によって消滅する会社の権利義務のすべてを、合併により設立する会社に承継させるものを指します。新設合併が行われると、合併前のすべての会社の法人格は消滅し、新たに設立された会社にすべての資産や負債が引き継がれます。

2.吸収合併が成立するまでの流れとは?

吸収合併の主な手続きは以下のとおりです。

1合併契約締結のための取締役会決議、合併契約の締結

2債権者に対する異議申述公告・個別催告

3事前開示書類据置

4株式買取請求に係る株主への通知または公告

5株主総会招集手続

6株主総会決議

7合併の効力発生

8事後開示書類据置

9吸収合併に係る変更登記

10合併契約締結のための取締役会決議、合併契約の締結

3.新設合併が成立するまでの流れとは?

新設合併の主な手続きは以下のとおりです。

1事前準備

2取締役会の承認

3契約の締結

4事前開示

5債権者保護手続き

6株主総会の招集・承認

7反対株主の買取請求手続き

8効力発生・登記

9事後開示

4.吸収合併のメリットとは?

吸収合併のメリットは、以下のとおりです。

合併によって会社の規模が拡大する

複数の会社が一つにまとまるため、会社の規模が拡大します。その結果、取引先の拡大やスケールメリットなどが発生しやすくなります。

新規参入がしやすくなる

吸収合併の場合は、新設合併とは違い、消滅会社に与えられた許認可や免許をそのまま引き継ぐことが可能です。したがって、許認可や免許が必要な事業への新規参入がしやすくなります。

新設合併と比べると、合併のための手続きが少なくて済む

後述の新設合併の場合は、合併する法人のすべてを消滅させたうえで、新たに法人を設立しなければなりません。一方吸収合併は消滅法人のみを消滅させるため、手続きが新設合併と比べると簡素で済みます。

合併のための対価の支払いを存続会社の株式で行える

株式譲渡による子会社化などとは違い、合併の対価を現金ではなく自社株の交付で行えます。合併のための資金調達や、合併によるキャッシュフローの悪化を心配する必要がありません。

消滅会社に繰越欠損金がある場合、その欠損金を引き継げる場合がある

一定の基準を満たした適格合併で、吸収される側に消滅会社の繰越欠損金がある場合は、その欠損金を引き継ぐことが可能です。したがって、欠損金の合計額に法定実効税率をかけた金額分だけ、法人税の節税効果を期待できます。

5.新設合併のメリットとは?

新設合併のメリットは、以下のとおりです。

対等合併とみなされるため、合併に対してポジティブなイメージがつきやすい

新設合併は吸収合併と異なり、合併前のすべての会社が消滅するため、対等合併とみなされます。吸収合併と比べると、得意先や従業員などが合併後の会社に対して不安や不信感を抱くことはあまりないでしょう。世間的にもポジティブなイメージがつきやすくなります。

会社規模の拡大によって取引がしやすくなる

会社規模が拡大することで、得意先や仕入れ先などからの信頼度が上がります。その結果、取引が活発になり収益が上がりやすくなる素地ができるでしょう。

シナジー効果が生まれやすい

会社規模の拡大により仕入高が増えることから、仕入単価を下げるなどのスケールメリットが生じやすくなります。また、技術力の向上による、売上高の増加なども見込まれるでしょう。もちろん、異業種などへの新規参入もしやすくなります。

6.吸収合併のデメリットとは?

吸収合併には以下のデメリットがあります。

合併のための対価の支払いが存続会社の株式で行えない場合がある

存続会社が非上場会社の場合は、その株式を株式市場で売却できません。非上場会社の株式は、一般的に流動性が低く現金化することが極めて難しいため、場合によっては株式でなく現金での支払いを求められる場合があります。

従業員のモチベーションが下がる可能性がある

吸収される側の会社の従業員は、合併により自社が消滅してしまうことで不安に感じたり、リストラを心配したりするようになるでしょう。その結果、仕事が手につかず、モチベーションが下がってしまうかもしれません。

7.新設合併のデメリットとは?

新設合併には以下のデメリットがあります。

手続きが煩雑になる

吸収合併に比べると、新設合併の場合は債権者保護手続きや、株主総会の特別決議などを実施しなければなりません。このような煩雑な手続きを数多く行う必要があります。

すべての許認可や免許などを再取得しなければならない

吸収合併とは違い、新設合併の場合は許認可や免許を新設会社が引き継げません。したがって、許認可や免許が必要な場合は、新たに取得しなおさなければなりません。

吸収合併よりもコストがかかる

法人は、消滅させるときに印紙代や専門家への費用などがかかり、設立するときにも定款の認証や登録免許税などの費用が必要です。したがって、法人を消滅させるうえに新設する新設合併は、吸収合併と比べてはるかにコストがかかります。

統合作業(PMI)の負担が大きい

どのような形でM&Aを行う場合でも、合併後の統合作業(PMI)の負担は大きいものです。しかし、新設合併の場合はその負担がとりわけ大きくなります。吸収合併であれば、消滅会社側の社員が存続会社側のルールに合わせれば済みますが、対等合併であればルールの策定にも非常に時間と手間がかかるでしょう。

8.税務上の留意点

合併における税務については、税制適格合併と税制非適格合併で異なります。ここでは、合併に伴う税務の種類とそれぞれの内容をご紹介します。

税制適格合併

税制適格合併は、一定の要件を満たした場合に資産などの移転を帳簿価額による引き継ぎがされたと見なされ、譲渡損益の計上を繰り延べることができるものです。税制適格合併では、非適格合併のようにみなし配当課税は生じません。

税制適格合併の要件は次のとおりです。

(1)100%の資本関係

・存続法人の株式のみを対価とする

・「交付された株式のうち継続して保有する見込みのもの」と「保有株式の合計」が消滅会社の発行済株式の80%以上

(2)50%超えて100%未満の資本関係

・存続法人の株式のみを対価とする

・「交付された株式のうち継続して保有する見込みのもの」と「保有株式の合計」が消滅会社の発行済株式の80%以上

・従業員の80%以上が引き継がれる見込みがある、主要な事業の継続の見込みがある

税制非適格合併

非適格合併の場合、消滅会社の株主は時価で株式を譲渡し、合併新株などの交付を受けたものと見なされます。

そして、みなし配当と譲渡損益が発生し、これらに課税されます。また、繰越欠損金を引き継げるのも適格合併のケースに限ります。

第三者割当増資によるM&Aとは?第三者割当増資の手続きとメリット・デメリットについて解説

資金調達の一種である「増資」にはどんな種類があるのか?

資金調達の方法にはデットとエクイティの二つがあります。デットとは銀行借入や社債が該当します。対して、エクイティとは株式による資金の調達方法です。増資とは新たに株式を発行ないし自己株式を割り当てて、それを購入(払込)してもらうことで資金が会社に流れ込むスキームです。

エクイティのメリットとしては、デットのように明確な返済義務が定められない点があげられます。もっとも配当といった株主への利益還元や、株主からの期待に応え続ける必要があります。専門用語では株主資本コストと言いますが、当該者会社へ出資するということは、別の会社への出資する可能性を捨てていると捉えられます。そうした機会損失を上回るリターンが期待されるわけです。

さらに増資には公募増資や株主割当増資、第三者割当増資といった方法があります。平たくいうと、公募増資とは誰に株式を割り当てるのか定めない方式、株主割当増資は既存株主に対して割り当てる方式、そして第三者割当増資は既存株主でない特定の第三者に株式を割り当てる方式となります。

第三者割当増資によるM&Aとそのメリットとは?

第三者割当増資とは、特定の第三者に新株を引き受ける権利を与えておこなう増資のことです。株式を引き受ける申し込みをした者に対しては、新株もしくは会社が処分する自己株式が割り当てられます。

第三者割当増資が用いられる場面の一つとして、スタートアップに対してVC(ベンチャーキャピタル)が投資する時があげられます。会社設立から期間の浅いスタートアップは、十分な実績など銀行融資に必要な信用力を確保できておらず、デットによる調達が難しい場合が多いです。他方で、将来的に事業が成長する可能性も多分に秘めている場合もあります。エクイティではあらかじめ出資者に株を購入してもらい資金を得て、会社が成長し株価があれば売却益や配当によって利益を得てもらう、ということも可能になります。出資者からすると、いわば会社や事業の将来性を期待して株を買う、ということになります。

上場企業においても第三者割当増資が行われるケースがあります。例えば協業を予定している会社に株を割り当てて、資本面の関係を強化する目的で利用されます。また、資金調達とは別になりますが、TOBを阻止する目的で利用される場合もあります。また、経営再建に向けて資金注入が必要な際にもとられます。

なお、増資に共通するデメリットとして、一株当たりの価値が希薄化することになります。これを専門用語でダイリューションと言い、既存株主が不利益を被る可能性があります。株主が分散している場合は注意が必要です。

第三者割当増資の流れとは?

第三者割当増資の流れは会社法で定められていますが、おおまかには下記の流れをたどります。

新株主募集の条件決定や割当の決議

まずは割り当てる株式数等、基本的な条件を取締役会で決議します。後述しますが「有利発行」となる場合は、既存株主の保護のため株主総会決議が必要です。

① 募集株式の数(種類株式発行会社においては、募集株式の種類及び数)

募集株式の払込金額又はその算定方法

③ 金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額

④ 募集株式と引換えにする金銭の払込又は③の財産(金銭以外の財産)の給付の期日又はその期間

⑤ 増加する資本金及び資本準備金に関する事項

募集事項の通知

先述の事項を取締役会で定めた場合、払込期日(又は払込期間の初日)の2週間前までに、株主に対して先述の募集要項を通知するか、又は公告をする必要があります

募集株式の引受の申込みをしようとしている者に対して、以下の項目を通知する必要があります

① 株式会社の称号

② 募集事項

③ 金銭の払込をすべきときは、払込の取扱いの場所

④ その他法務省令で定める事項

引受の申込

引受を申し込む者は発行会社に対して下記の書面を交付します

申込みをする者の氏名又は名称及び住所

② 引き受けようとする募集株式の数

割当先の決定・申込者に対する通知

取締役会で、申込者の中から誰に割り当てるのかを決定します。また割り当てる株式の数を定めます。

新株主による出資の履行

募集株式の引受人は、払込日(又は払込期間内)に払込金額の全額を、会社が定めた銀行等の払込の取扱いの場所において、払込みます

第三者割当増資時の対価・企業価値の評価法とは?

 第三者割当増資時の企業価値評価の手法は一般的なM&Aと変わりありません。一般的には、コストアプロ―チ・マーケットアプローチ・インカムアプローチがあります。

コスト・アプローチ

コスト・アプローチは、主として会社の貸借対照表上の純資産に着目したアプローチです。代表例は年買法です。これは評価対象会社の純資産に加えて、現状及び将来の収益性や無形資産の評価も含めてEBITDAの数年分を営業権(のれん代)として評価する方式です。

マーケット・アプローチ

マーケット・アプローチは、上場している同業他社や類似取引事例など、類似する会社、事業、または取引事例と比較することによって相対的に価値を評価するアプローチとなります。EBITDA倍率やPER倍率といった指標を用いて企業価値を算出します。このアプロ―チの特徴は、上場企業のIRデータなど類似するケースを収集することで客観性を担保する点にあります。ただし類似するケースが無い/少ないといった場合は比較材料が限定的にならざるをえません。

また、市場株価はいわゆる少数株主価値(=経営権を持たない価値)といわれ、経営権をとるために過半数を超える株式を取得する場合にはコントロール・プレミアムを考慮する必要があります。

インカム・アプローチ

インカム・アプローチは、評価対象会社から期待される利益、ないしキャッシュフローに基づいて価値を評価するアプローチとなります。

具体的にはDCF法があげられます。対象会社の綿密な事業計画や収益予測など、将来のキャッシュフローについてある程度リアリティのある資料が必要になります。

第三者割当増資で特に気を付けなければいけない「特に有利な発行価額」とは?

第三者割当増資では、募集株式の払込価額が時価より低い金額となるか?注意が必要です。

払込価額が時価より低い金額に該当する場合、株主総会の特別決議が必要になります。特別決議を行わずに有利な価格で新株発行を行った場合、取締役は会社に対して公正な払込金額と募集株式の払込価額の差額について、賠償責任を負うことになります。

また、著しく不公正な払込金額で募集株式を引き受けた株主についても公正な払込金額との差額に相当する金額について支払い義務を負います。

非上場企業の場合、日常的に頻繁に株式が売買されていないため、時価評価についてより丁寧な確認が必要です。会計事務所等の専門機関と連携することが重要です。

スタートアップ界隈を除く一般的な中小企業の場合、エクイティよりデットファイナンスを採るケースが多いです。ただし、将来的にIPOを目指すなど、事業性によっては実行可能となる場合もあります。詳細はお問合せください。

M&Aとしての資本業務提携とは

昨今、M&A市場は拡大を続けていますが、大企業・中小企業ともに資本・業務提携も活発化してきています

今回はそんな資本・業務提携についてお話しさせて頂きます。

資本・業務提携とは?資本業務提携とM&Aの大きな違い

まず資本・業務提携について、そして資本業務提携とM&Aの違いについてご説明させて頂きます。

〇資本提携

まず資本提携とは、複数の企業がそれぞれの技術やノウハウ・資金などを提供し合い、複数の企業の力を合わせて成果の獲得を目指す提携関係を指します。資本提携を行うにあたっては、出資を受ける側が出資する側に対して、株式譲渡や第三者割当増資などを行い、提携を結ぶ企業の一方がもう一方の株式を取得する、またはお互いが株式の取得を行います。

〇業務提携

業務提携は、資本関係を築かずに技術やノウハウを共有しながら、互いに協力して業務を行うことで業務の効率化や業績向上を目指すことを指します。技術や人材、サービス力などの経営資源を持ち寄り、技術協力による共同開発などを行うことで、コスト削減や新商品の開発等、様々なシナジー効果を生み出すことを目的としています。

〇資本業務提携

資本業務提携は、、先述した業務提携に伴い、対象会社に対して資金を投入し、提携先に対して議決権を与える手法です。資本の移動と業務の連携を同時に行うため、より関係性を強化できる特徴があります。

〇資本業務提携とM&Aの違い

資本業務提携は、M&Aの1つに含まれる場合もあります。ただし、M&Aや買収の場合、経営権を移転させる目的で行われるケースが多いのが現状です。一方で資本業務提携は、経営権の移動が行われません。資本業務提携を結んだ後も、経営権に影響が出ないように、10%程度の株式取得で留めるため、それぞれの企業は独立した経営権を保有することになります。資本業務提携とM&A・買収では、そもそもの実施目的が異なるためM&Aよりも必要な資金は少なく、資金投入のリスクが低い点もポイントとなります。

2.資本・業務提携の方法と流れ

資本・業務提携についてそれぞれ説明させて頂きました。次は資本・業務提携の方法と、どのような流れで進んでいくのかを説明させて頂きます。

〇資本提携の方法

資本提携の大半は株式譲渡、第三者割当増資のどちらかで行われます。

・株式譲渡

提携企業が法人または個人から発行済みの株式を買い取ることで資本提携を行う方法です。株式譲渡は法手続きが非常にシンプルである一方、株主が多く存在している場合には、株式の買い集めに時間を要してしまう可能性があります。

・第三者割当増資

新たに発行する株式を特定の第三者に割り当てる、新株引き受け方法のひとつです。第三者割当増資では、既存の株主もそのまま株式を保有し続けるため、新株を受け取る第三者はそれほど大きい影響力を得ることができません。そのため、支配獲得を目的としない資本提携と相性がいいスキームです。

このほかにも株式交換や株式移転など、資本の移動に伴い経営権が移動する場合も資本提携に含まれる場合があります。

〇業務提携の方法

業務提携の方法は様々な種類がありますが、企業同士で行われている業務提携は以下の3つです。

・技術提携

複数の企業が技術面で協力し合うことで、双方のメリットを期待する業務提携です。企業の立場はともに対等であり、お互いに独立した経営を保ったまま協力するという特徴を持っています。

・生産提携

生産提携は、生産の一部や製造工程などの一部を他企業に委託し、生産能力を補完するものです。OEMやODMもこれに該当します。双方にとって生産設備の獲得やブランド力の獲得につながります。

・販売提携

自社の開発した製品やサービスなどを、ブランドや販売チャネル、販売ノウハウなどの販売資源を持つ他社に委託する提携方法です。販路の拡大や、新規顧客の獲得、それに伴う売り上げの増加などが見込まれます。

〇資本・業務提携の流れ

資本提携・業務提携それぞれ違いはありますが、基本的な流れは同じです。

まず提携を進めるにあたって一番重要なのは、何を目的として資本提携を行うのかを明確化することです。現状の課題や今後の目標などを再度洗い出し、どういった企業と提携すべきかをイメージすることで、実効性のある資本・業務提携に繋がります。

資本・業務提携を行う目的を明確化することができれば、実際に提携企業を探します。その際、自社の弱みや補ってくれる企業や、強みをさらに伸ばすことができる企業など、シナジー効果を得やすい提携企業を探します。

候補先が見つかったら、資本・業務提携の詳細を擦り合わせていきます。出資比率や取り決め、お互いどこまで協力できるのかを交渉していきます。

そして意見や条件に対し双方合意すれば、契約条項を定めたうえ締結へと進みます。

資本・業務提携は時間と労力を要するため、M&A仲介業者など、専門家を活用することも選択肢の1つとなってくるでしょう。

3.資本・業務提携のメリットとデメリット

次に資本・業務提携のメリット・デメリットについてそれぞれお話しさせて頂きます。

・資本提携

【メリット】 強力な関係構築ができ、双方にとってシナジー効果を創出しやすくなる

資本提携は、単なる業務提携(アライアンス)に比べ、提携相手に株式を譲渡するため経営面や財務面で様々なサポートを受けやすくなります。また提携先が社会的に認知度・ブランド力が高い企業の場合、自社の企業価値向上にもつながるでしょう。

【デメリット】提携内容によっては経営に干渉される可能性がある

多くの資本提携では、提携先に譲渡する株式を発行済み株式総数の1/3未満に抑えることが一般的です。そのため、会社経営に大きなダメージを受けるほどの干渉は基本的にはありませんが、一定割合以上の議決権を保有する少数株主権によって様々な権利を行使することができるようになります。そのためどの程度の出資比率を与えるか、長期的に関係を維持できるかといった点に注意する必要があります。

・業務提携

【メリット】他社の経営資源を生かし自社の発展につなげられる

業務提携は先述した通り、資本の移動が伴わないため、資本提携やM&Aと比較してコストや手続きが少なくて済むのが特徴です。そして何よりも他社の経営資源を自社の発展に生かすことができるため様々なメリットがあるといえるでしょう。

【デメリット】 経営資源・情報の流出リスクと提携の希薄化

業務提携では内部機密情報や経営資源を相互に公開するため、自社の技術やノウハウが流出や自社の製品の模倣による売り上げ低下などのリスクがあります。また資本の移動が伴わない身軽な提携の為、業務提携自体が希薄化してしまい、提携解消となる可能性もあります。

4.資本業務提携の事例

最後に資本業務提携の事例を3つ紹介いたします。

・亀田製菓×マスヤ

2022年12月23日、亀田製菓株式会社と株式会社マスヤとの間で資本業務提携契約が締結されたと発表されました。亀田製菓は「亀田の柿の種」や「ハッピーターン」など米菓の製造販売を行っている。一方マスヤは、米菓の製造・販売を行っており、「おにぎりせんべい」や「杵もち揚げ」などを主力商品として展開しています。今回の資本業務提携により、亀田製菓が持つ米菓製造技術や営業・マーケティングなどのノウハウを提供し事業成長を図る狙いがあります。また、マスヤの生産余力を活かし、OEM生産の検討など関連事業の拡大を進めていく方針です。

・日本郵船×ギリア

2023年1月30日、日本郵船株式会社は、ギリア株式会社と資本業務提携をしたと発表しました。日本郵船は、日本の大手海運会社であり、定期船や航空運送、物流を行うライナー&ロジスティクス事業などを行っています。一方ギリアは、人工知能および応用技術にかかるコンピュータソフトウェアや、システムなどの企画、開発、コンサルティング、保守等を行っています。近年の海運業界では、自立運行システムの確立や脱炭素を見据えた新エネルギー活用等の技術革新が求められています。今回の資本業務提携により、ギリアの持つ研究開発力やAI技術を生かし、自立運行船や避航操船の開発・営業部門やバックオフィス部門のDX化を進めていく方針です。

・イオンモール×マリモ

2023年3月28日、イオンモール株式会社は国内のマンション開発を担う株式会社マリモと資本業務提携したと発表しました。イオンモールは、イオン傘下の中核会社で、ショッピングモールの開発と運営を担っており、国内に140か所のモールを抱えています。一方マリモは、地方の中心都市や郊外でマンション開発に強みを持つ企業です。商業施設開発を得意とするイオンモールと、住宅・不動産開発を得意とするマリモが資本業務提携を築くことで、商業施設と住居が一体となった大型施設の開発を目指しています。

今回の資本業務提携で、イオンモールはマリモホールディングスよりマリモ株式の30%相当を譲り受けました。そして日本国内の不動産事業を当面の業務提携の範囲とし、物件の共同開発に関する情報の共有、人的交流を行っていく予定です。

5.まとめ

今回は資本・業務提携についてお話させて頂きました。M&Aと比較してそれぞれメリット・デメリットはありますが、検討する上では選択肢を多く持っておくことが非常に重要です。船井総研は着手金等は無料、クロージングまで一切費用が掛かりませんので、お気軽にご相談ください。店舗M&Aを含む事業譲渡から株式譲渡・資本業務提携まで幅広くご対応させて頂きます。

M&Aで企業を譲り受け(買収)した後の社長・従業員の生活

1.会社をM&Aで譲り受け(買収)した後の譲り受け側の社長の人生・生活はどうなる?

企業がM&Aによって売り手企業を譲り受け、子会社化した際に買い手側企業の社長としては、まず当面はポスト・マージャー・インテグレーション(PMI)の実行管理を行うこととなります。PMIとは、M&A後の統合プロセスをいいます。企業体としての統合、マネジメントの統合、総務・経理・労務などのバックオフィス業務の統合、従業員への周知と理解など多岐にわたります。

マネジメント・総務・経理・労務・法務・営業のあらゆる面を買い手側の担当チームの編成を行い、何をすべきなのか計画を立て実行管理をしていくことになります。

特に売り手企業のマネジメント人材が一定期間の引継ぎ後に引退する場合、買い手側から経営者を送り込むこととなります。中小企業M&Aの場合、買い手企業の経営者が子会社(売り手企業)の経営者を兼務するケースが多くあり、買い手側の経営者としては業務工数の多くを取られることになります。

企業にはそれぞれ企業文化や経営方針があります。いかに買い手企業の方が優秀なノウハウや戦略を持っていたとしても、いきなり企業文化をすべて捨てて統合するような企業はありません。売り手企業の文化を尊重し、否定せずに信頼関係を築いていくことが極めて重要になります。そういった意味でM&Aにおけるシナジーが想定よりも時間を要することが多くあります。中小企業同士のM&Aとなると、上記の通り買い手側経営者には負担が多くかかることになります。

実際にPMI後の買い手側の経営者の意見では、次のようなものがありました。

・最初は従業員が心を開かず、理解を得るのにとても苦労したが、あきらめずに信頼関係を構築するためのミーティングを繰り返すうち、行動してもらえるようになり、想定以上に業績が好転した。

・想定と違い、前向きにとらえてもらえる社員が多く、より高い目標を掲げたところ懸命に頑張ってもらえ、出店スピードが予定よりも早まった。

・売り手企業の前経営者には言えなかったが、面談のタイミングで従業員から企業が抱える問題・弱点を話してもらえ、改善のきっかけをつかめた。

・M&A検討時には明かされていなかった追加費用が発生し、譲受後当初は経営がより困難になった。

・大変なこともかなりあったが、総じて自身の経営者としての良い経験になったし、M&Aによってさらに拡大していく可能性も見えてきた。

このように、M&Aの直後は譲受側としては非常にパワーのいるタイミングとなりますが、従業員との信頼関係の構築や実態の把握に努められた経営者は、M&A戦略を習得し次のステップへと成長されています。

M&Aを複数回実行していくために、ホールディングス化を行い、M&Aしやすい体制を作ります。親会社となるホールディングス会社では、主に子会社のバックオフィス業務と事業のコンサルティング機能を担い、子会社は自社事業に集中することができ、結果を出しやすい環境を作ります。子会社が成長していくことでポストが増え、より社員の成長に寄与します。子会社の数が多くなるにつれ、金融機関の信用も高まり資金調達力も高まります。その後、上場をすることでグループとしてのブランディングができていくこととなり、株主は上場時のキャピタルゲインを得られることとなります。

自身がわからない事業分野・企業文化だったとして、それをマネジメントにより統合していくプロセスは、企業成長の可能性を大きく秘めているといえます。

2.会社を譲り受けた後の譲り受け側の従業員の人生・生活はどう変わる?

M&Aにおける買い手企業の従業員の中には、PMI業務として重要な役割を担う方もいらっしゃいますが、基本的に従業員に対してマイナスに働くことは考えにくいといえます。

基本的にM&Aでは株式譲渡スキームが使われ、企業がそのまま親子関係で残る状態となるため、それぞれの事業はそのまま運営され、良い部分を連携していくことになります。

例えば、クロスセル、大量仕入れによる原価改善、グループでの採用活動によるコスト削減などです。買い手企業の従業員としてはより業績が上がるチャンスとして、より積極的にグループ連携を行っていくことでポストも増えキャリアアップにつながることでしょう。

一方注意が必要なのは、親会社と子会社の従業員とは対等であるという点です。ここを疎かにし、上下関係のある接し方をすると、グループ間の連携に障壁ができ、M&Aによるシナジー効果が見込めないこともあります。

場合によっては売り手企業の従業員が差別により大量離職してしまい、買い手企業の風評被害に繋がるということもありえます。

全く別の文化を持ちながらでも、同志として受け入れていく感覚が必要となります。

3.会社を譲り受け(買収)する会社のメリット・デメリット

会社を譲り受け(買収)する会社の最大の目的は「時間を買うこと」です。

自社単独で地道に成長する時間よりも、M&Aによって既に運営されている企業と一緒になることで、成長スピードを飛躍的に上げ、上場や地域一番店化を目指すことができます。

M&A(買い)を検討する場合に注意しなければならないこととして、会社規模として自社の半分以下程度の企業を検討した方が成功する確率が高いです。

理由としては、自社が成長してきた経験値が活かせないからです。自社が経験してきたプロセスを活かして、売り手企業を導いていくことでM&Aを活かしていきます。

この他、自社にない機能・技術付加、専門人材の確保、企業ブランドの譲受など目的は多くあります。

例えば自社が年商100億円を目指す企業として、現在の年商規模が80億だったとした際に、自社のみの出店スピードではあと10年かかるかもしれない時、外部環境の変化が早く地道に行くと達成ができないかもしれない可能性があるとき、M&Aによる成長戦略を検討することをぜひおすすめいたします。

自社がエリア拡大するとしたら次はどのあたりがいいか、どのような技術があればより成長できるか、どのような機能があれば生産性が向上するか、などを検討していくことが重要です。

逆にM&Aによるデメリットとしては、売り手企業の借入金に対してオーナーの個人保証に代わり、買い手企業が連帯保証を負うこととなります。返済可能であることを見込んでM&Aを実行することが重要です。

また投資回収が遅れる、できない可能性もあるということです。投資活動ですので確実性があるわけではないですが、M&Aの専門家と連携することで大部分のリスクヘッジができます。

主に注意が必要な点として、ビジネス面・財務面・労務面・法務面において次の通りです。

・ビジネス面

 ・企業の商圏と競合状況、シェア割合

 ・自社商品の差別化状況と改善項目

 ・企業のシェア拡大可能性のあるエリア

 ・事業改善のためのアクションプラン

 ・採用戦略

・財務面

 ・資産の時価評価による資産価値減少状況

 ・簿外負債(退職引当金・未払い残業代・前受金)の存在

 ・主要取引先それぞれの依存度、代替先の存在

 ・企業の実態的収益力(EBITDA)

 ・投資資金と業界相場の乖離

・労務面

 ・就業規則の内容不備による残業代発生リスク

 ・役員・従業員退職金規定の運用状況

 ・従業員の勤怠管理と残業状況、未払い残業代の総額

 ・退職状況、今後の懸念人材

 ・従業員の高齢化による退職リスク

・法務面

 ・不動産の建築違法性(確認済証、検査済証の存在)

 ・取引先との契約書におけるM&A実行リスク(COC条項など)

 ・個人情報の取り扱い、情報の運用範囲

 ・賃貸契約などの契約継続可能性

 ・営業上のコンプライアンス遵守状況

M&Aでは、トップ同士の面談後、基本合意契約を経て概ね1~2か月間の独占交渉権が売り手から買い手に対して付与されます。

この期間で買い手企業としては業界専門コンサルタント・税理士・社労士・弁護士と連携し、デューデリジェンス(買収前調査)を行い、

最終的な条件を提示します。ここがM&A後にトラブルにならないための要となりますので、費用をかけてでも確実に行っておくべきです。

4.会社を譲り受け(買収)する際の従業員の混乱・退職を防ぎ、業績悪化させないためにはM&Aの専門家に相談を!

M&Aにおける株式譲渡契約が成立した後、まずやらなければならないこととして、従業員への説明です。売り手企業の従業員としては青天の霹靂であり、M&Aの事実が売り手経営者から知らされた後、不安が広がっています。

買い手企業の経営者からの説明に時間を要すれば要するほど、従業員の離職リスクが大きくなります。無碍な対応をすれば大量離職につながる可能性もあります。

そのため、売り手経営者の説明の後、できるだけ早期に買い手側企業の経営者から売り手側の企業の従業員へ説明が必要になります。

なぜM&Aによって譲り受けることとしたのか、買い手企業の経営理念・方針はどのようなものか、子会社化した後の従業員の待遇は変わるのか、売り手企業の経営方針はどう変わっていくのか、など詳細の説明が必要です。全体説明に加え、個別面談による丁寧な説明をすることで、従業員の離職リスクを最小限に留めることができます。一般的なM&Aとしては、従業員の待遇面に対してM&A後すぐに不利益な変更はなく、従来の待遇を維持していくことが多いです。また、企業文化・方針についてもいきなり変える場合は、離職リスクは高まりますので、変更を行わなければならない理由を着実に説明して理解を得られるようにすべきです。

また、買い手側の従業員に対しても上下関係やセクショナリズムが生まれないように丁重な説明・指導が必要です。

稀に買い手側の従業員の一部が売り手側の従業員よりも立場が上と勘違いをして、紛争を起こすケースがあります。経営陣としては、日々そのような事態にならないように公平な呼びかけが必要となります。

これらの従業員の部分も含め、M&Aはメリットが大きく存在する反面、多岐にわたるリスクヘッジが必要となります。

M&Aの専門家を含めて条件を調整し、M&A後も迅速にPMIができるように、業界を知るM&A専門家を使い、自社の中からもメンバー編成・計画しておくことをおすすめします。

また、下記の動画内では譲り受け企業にとってのM&Aのメリット、デメリットについて解説しております。こちらも合わせてご覧ください。

M&Aで譲渡(売却)した後の社長・従業員の生活

1.会社をM&Aで譲渡(売却)した後の譲渡側の社長の人生・生活はどうなる?

「株式を譲渡(会社を売却)したら社長ではなくなる」と思われている方も多くのではないかと思います。

実はこれはケースバイケースです。

我々がM&Aの現場でご支援をさせていただいているケースから見ると、売主側が「社長として残りたい」と意思表示を示せば、社長として残ることができる可能性は高くなります。

一方で、「譲渡が引退したい」や「次の事業を行いたい」と意思表示を示せば、実現する可能性は高くなります。

つまり、M&Aにおいて株式を譲渡した際の現経営者の立ち位置は、自分たちの意思である程度はきめることができます。

ただし、株主が別の方になりますので、M&A後、取締役の任期ごとに選任される中で、選任されないというケースは稀にあります。

また、役員報酬に関しては、譲り受け企業側の役員報酬との兼ね合いもありますので下がる場合もあります。ただし、下がる場合は、その分を株価に反映させ譲渡金額を高めることができます。

譲渡をすることで創業者利益(譲渡益)を得ることができ、かつ、その後は役員報酬をもらいながら今まで通りの生活を過ごすことができるということは一つのメリットとも言えます。

※社長継続を望まない場合は、譲渡益を得て役員を退任するという形になります。

社長として残った場合のデメリットとしては、今までオーナー経営者として接待交際費等の経費を自分の考えで使用できていたものが制限されてしまうという場合はあります。

我々のご支援先で譲渡後、経営者を継続している社長にヒアリングしたところ、

「『企業が成長するということを目的に譲渡した』と考えれば、接待交際費の制限があることは仕方ないよね。その分、譲渡対価をもらっているわけだから」との返答もありました。

上記のようにオーナー経営者ではなくなるわけですから、今まで通りすべてが一人で決めれるといった自由度は少なくなるかもしれません。

その引き換えに、責任という面では軽くなる点も多く、個人保証が外れる等のメリットもあります。

2.会社を譲渡(売却)した後の譲渡側の従業員の人生・生活はどうなる?

株式譲渡後の事業主様はどのようになるかを見ていきましょう。

オーナーが変わるので、最初は非常に驚くとともに、「自分たちの仕事・生活はどうなるのだろうか?」と不安に感じられことも多々あります。

雇用条件などを突如変更し、従業員様の待遇が大きく変わるということはありません。労働条件の不利益変更となるようなことに関しては法律で禁じられているので、その点は安心していただければと思います。

一方、オペレーション等は変更をしなければならない場合もありますし、しなくても良い場合もあります。こちらに関しても譲り受け企業次第とはなるのですが、より企業が成長していくために何を行うべきかという点に関しては、親会社となる企業からのノウハウが注入されるケースも多くあります。

M&A実行後にうまく引継ぎができ従業員様がそのまま継続的に働いていただけるかどうかのポイントは、元のオーナー経営者がうまく引継ぎを行っていくかで大きく変わると言っても過言ではありません。

多くのM&Aをお手伝いさせていただいている中で、雇用関係がうまく継続できているケースは、元オーナー経営者が最低でも2年~3年は会社に残り親会社となる企業と従業員様の間を取り持って調整していくケースです。

譲渡後すぐに退任してしまうケースにおいては、譲り受け側が継続雇用を希望していても、従業員様側から退職希望が出てしまう確率が高まります。

従業員様の生活で大きく変わる点は、上場企業などが譲り受け企業の場合は、住宅ローンが通りやすくなったり、金利をさえることができる場合もあり、プライベートにおけるメリットは少なからずあります。

3.会社を譲渡(売却)する社長のメリット・デメリット

次にオーナー社長にとってM&Aで株式を譲渡するメリット・デメリットを見ていきましょう。

メリット① 譲渡対価を受け取ることができる

非上場企業の株式は市場での売買がなされないため、現金化する手法は限られてまいります。親族内に承継する場合は、通常は贈与や相続という手法になるため、対価を得れるどころか引き受け手が税金を支払わなければならないというのが通常です。

親族外の経営陣、従業員様が引き継ぐとなれば、株を引き受けるために銀行から借り入れを起こす必要がありますが、なかなか融資が実行されないというケースもあります。また、融資実行がされたとしても、一般的なM&Aでの売却価格よりも低めの価格での譲渡となるケースがほとんどです。

第三者への株式譲渡となると、1社だけでなく、複数社と交渉し価格提示をいただくことが一般的になるため、自社の市場での評価額で取引を行うことができます。つまり、前述の2つの手法よりも、譲渡対価が高くなり、オーナー経営者の手残りは増えるのが一般的です。

メリット② 個人保証が外れる

銀行からの融資を受ける際、個人保証をいれているオーナー経営者も多いのではないでしょうか?

M&Aで株式を譲渡した際には個人保証が外れることが一般的です。個人保証が外れることで肩の荷が下りたとおっしゃる経営者は多くいらっしゃいます。

メリット③ 後継者問題に悩まなくて済む

自分の後に経営者を誰にするか、というのも悩みの種であると言われる方も多くいらっしゃいます。ご子息の中や従業員様の中で適任者がいれば、そこに越したことはありません。

しかし、適任者がいない場合は頭を悩ます種の一つとなります。

株式の譲渡後、適任者がいない場合は、引き受け手から、現経営者から引き継げる人財を送り出してくれる場合もあります。

今まで頭を悩ましていた後継者問題をクリアすることができるのもM&Aで株式を譲渡をするメリットとなります。

デメリット① 経営の自由度は少なくなる

前述しましたが、オーナー経営者であった場合と比較すると経営の自由度は少なくなります。

100万円以上経費を使う場合は社長であっても稟議が必要になったり、接待交際費に関しても規定が設けられたりと、今までにないルールが出来上がるケースがあります。

親会社としてはガバナンスをきかせてM&A実行時よりも企業を成長させなければ、大きな投資を伴ってM&Aをする意味がなくなってしまいます。

ただし、あくまでもガバナンスという意味で決まりができるという意味であって、経営者としての立ち位置は変わるものではありません。

デメリット② 社内の反発・ハレーションを調整しなければならない

株式譲渡実行後は社内の中で、「なんであの会社に譲渡するんだ」「社長だけ良い思いをしてずるい」などの反発が生まれる可能性はゼロではありません。

そのような反発が起きた際に、しっかりと「なぜあの会社と資本提携したのか」「株式譲渡は社員様の未来のためだ」ということを伝えていかなければなりません。

実際に実行した会社様の状況を見ていると経営者様が丁寧に説明をしている企業においては、1か月~2か月程度で社員様も納得し前向きに理解してくれるようになる傾向にあります。

4.会社を譲渡(売却)する従業員様のメリット・デメリット

メリット① 雇用が維持される

譲渡をした場合の従業員様のメリットの一番は雇用が維持されることです。もし、後継者が見当たらず廃業という選択肢を取った場合は雇用が維持することができなくなります。

もちろんM&Aでの第三者への承継だけでなく、現経営陣や従業員様への承継の場合も、雇用の維持をすることができます。

メリット② 待遇がプラスになる場合がある

譲り受ける企業様は、基本的には自社よりも大きな会社になる可能性が高く、待遇面や福利厚生面で現状よりも充実する場合があります。

また、ケースバイケースになりますが、労働環境も譲り受け企業様の基準に合わせてることで、より働きやすい環境になる場合もあります。

ただ、ケースバイケースであることは間違いないのので、ト面談時に譲り受け企業の従業員様がどのような待遇になるのか、譲り受け企業様の従業員様はどのような働きをしているのか、などを確認しておくことは大切です。

メリット③ 住宅ローンが借りやすくなることもある

譲り受け企業様が上場企業であったり、倒産リスクが低い企業様の場合、住宅ローンが組みやすくなるといった副次的なメリットも出てまいります。

ただし、こちらも譲り受け企業の市場評価の問題が大きく影響しますので、全てのM&Aで当てはまるわけではございません。

デメリット① オペレーションの変革を求められることがある

従業員様にとって一番ストレスに感じる部分は、今までの業務の流れを変えなければならないことです。すべてのM&Aで必ずオペレーションが変わるわけではありませんが、譲り受け企業は、現状維持で良いというわけではなく、さらなる成長を期待する傾向にありますので、新たなチャレンジを指示されることは多くなります。

また、会計基準を譲り受け企業と統一する、システム周りを譲り受け企業と統一する、などバックオフィス業務でも変革を求められることがございます。

企業が成長を続けていくうえで、常に変革をしていくことは必要不可欠になりますが、M&Aを通してより明確にドラスティックに変革が求められるケースもあります。

今まで長年やっていたことを変更するということは、少なからずストレスとなることはございます。

デメリット② 今までと違う業務をしなければならなくなることがある

バックオフィス業務と通ずるものがありますが、稟議の流れを変更したり、ホウレンソウのやり方の変更を求められたり、と業務内容を変更していかなければならないケースも多くあります。

5.会社を譲渡(売却)する会社のメリット・デメリット

メリット① 企業文化やアイデンティティを守ることができる

譲渡すると企業文化がゼロになってしまうのではないかと不安に思われるケースも多くありますが、企業文化・アイデンティティを大切にし、長所を伸ばすことを価値と感じ譲り受けるという企業様もあります。

ただし、あくまでも業績が伸びていく、成長していくことが前提とはなります。譲渡後、業績が下がっていってしまっている状況では何かしらの変革を求められる場合もあります。

逆に言えば、事業が伸びているタイミングで譲渡をすると決断した場合は、企業文化やアイデンティティを保ちやすくなるとも言えます。

メリット② 社名や屋号を守ることができる

株式を譲渡すると社名や屋号を変えなければならないと思っている企業様もいらっしゃいますが、社名や屋号を維持することも可能となります。

M&Aといっても様々なスキームがあり、一般的な株式譲渡の場合であれば、社名は継続されます。吸収合併などのスキームを選択した場合は社名が消滅してしまう場合もありますが、中小企業のM&Aの場合は株式譲渡や会社分割といったスキームが一般的となります。

株式譲渡や会社分割といった形で企業を譲渡する際は社名や屋号は残る傾向にあります。

メリット③ 投資できる資金が多くなる

譲り受け企業が大手資本に代わることで、借入の枠が大きくなったり、親会社から資金注入をすることによって、投資予算を大きくとることができるようになります。

今まで投資をしたくても中々投資ができなかった、という状態だった企業であっても、投資を積極的にすることで成長軌道に乗せることができます。

デメリット① 従業員が離散する場合がある

オーナー(株主)が変わることで、一番のデメリット・リスクとして考えられるのは、従業員様が退職をしてしまうというケースです。

前述のように、変化が伴うことを嫌う方も一定数いらっしゃいますので、100%の方が会社に残ってくれると断言はなかなかできません。

譲渡したことをプラスに捉えることができる従業員様もいれば、マイナスに捉える従業員様もいますので、丁寧に説明しながら極力、従業員の皆様が残ってくれるよう努めていくことが大切になります。

従業員の離散が起こる特徴としては、オーナー社長が株式を譲渡後、全く経営から離れてしまうというケースです。顧問や代表、役員として残る場合は離散を最小限に食い止めることができます。

デメリット② 任期を迎えると退任しなければならない場合もある

経営者として残留したものの、譲り受け企業の期待していたような結果が残せない場合は、退任を求められる場合もあります。

譲渡のタイミングでは契約書に、「何年間は経営者として残る」という条件を盛り込むことがあります。(こちらのことをM&A用語でロックアップと言います)

ただし、この期間が終えた後は、企業が定めている取締役の任期で選任されるか、されないか、ということになりますので、株主総会にて決定することとなります。

株主が他社ですので、自分の意思に反して退任を要求される場合もあります。

6.会社を譲渡(売却)する際の手残りを残す、従業員の処遇を守りたいなら、M&Aの専門家に相談を

譲渡を検討した場合、専門家を間に入れず直接知り合いと交渉をされるというケースもあります。条件や交渉がスムーズにいけば問題はないのですが、M&Aにおいては交渉しなければならないことが多く出てきます。

前述のように経営者自身のこと、従業員様のこと、社名や屋号のこと、そして、何よりも譲渡対価をいくらに設定し、手残りを一番多くするためのスキーム等、考えなければならないことは数多くあります。

また、譲渡側の株主は表明保証という形で、もしもの場合は、契約違反として訴えを起こされる場合もあります。

そのようなことが起こらないように、M&Aの工程で細かく決めごとを伝えることや、契約書を意図している内容で作成していくことは非常に重要になります。

そこをしっかりと専門家と相談しながら行うことで、株主であるご自身、そして従業員様、会社を守ることができるようになります。

M&Aを検討し始めたら、まずはM&Aの経験値の高い専門家に相談をされることをお勧めいたします。

船井総研M&Aでは無料のご相談やセカンドオピニオンサービスなども承っておりますのでお気軽にご相談ください。

また、下記の動画内では譲渡企業側のM&Aのメリットとデメリットについて解説しております。こちらも合わせてご覧ください。

M&Aで発生する税務について解説

M&Aを検討する中では、自社の株価、譲渡価額だけでなく、M&Aを実行した際には株主に対してかかる税金というものを考えておく必要があります。

「いくらで売れるのか?」はもちろんのこと、「結局のところ、いくら手元に残るのか?」という観点は譲渡を判断するにあたって大事な判断軸になってくる部分です。

ここでは、M&Aで発生する税務、税金について解説させていただきます。

M&Aにおける税金の種類

M&Aで発生する税金の種類は採用するスキームによって異なりますが、よく利用される手法である「株式譲渡」と「事業譲渡」のそれぞれについて解説させていただきます。

「株式譲渡」の場合

「株式譲渡」とは、会社のオーナーが自身の持つ株式を譲渡することにより、経営権を第三者に渡す手法となります。

株の保有者が個人の場合と法人の場合とで、かかる税金が変わってきます。

個人の場合は、株の売却によって得られた利益に合わせて「譲渡所得税」が課されます。

譲渡所得の計算式は、

「譲渡所得=株の売却金額 - (株の取得費用+譲渡手数料)」

このような計算式で算出され、この譲渡所得に対して

20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の税金がかかります。

翌年の確定申告の際に、すべての所得を合わせて税金を支払うこととなります。

法人の場合は、法人所有の株式を譲渡した場合が対象となります。

株の譲渡により譲渡益が出ていれば法人税の対象となりますが、法人税の対象となるのは、事業全体の損益を通算した金額に対する課税となりますので、他の事業の損益によっては税金が課税されない場合もあります。

譲渡益の計算式は、個人の譲渡所得と同様、

「譲渡益=株の売却金額 - (株の取得費用+譲渡手数料)」

こちらの計算式となり、他の事業と通算した損益によって税金が課せられます。

なお、法人税の支払い時期は、決算終了後のタイミングとなります。

「事業譲渡」の場合

事業譲渡とは、法人が経営する事業のうちの一部(または全部)を他の法人に譲渡するM&Aの手法です。

特定の事業のみの譲渡が可能になり、企業の存続が可能になるなどのメリットがある譲渡手法となります。

事業譲渡の場合、事業譲渡の対価として支払われる金額の譲渡益に対して法人税が発生します。

計算式としては、

「事業の譲渡益=事業の譲渡価格-(譲渡する資産+譲渡する負債)」

で計算されます。

法人の場合事業全体の損益を通算した課税となるため、M&Aの譲渡益のみに課税されるのではなく、他の事業との通算した金額と利益に対して法人税が課税されることとなります。

事業譲渡の場合、買い側の企業に対しても、「消費税」が課税されます。

消費税が課税されるのは「消費税課税対象になる資産」のみとなります。

課税資産となるのが、建物、設備・機械等、商標、ソフトウェア、原材料、のれん代など

非課税資産となるのが、土地、有価証券、売掛金、貸付金などになります。

買い手側としては、事業譲渡の譲渡金額に合わせて、上記の消費税を加算した額の支払いが必要となります。

上記以外にも、譲渡する資産の中に不動産が含まれている場合、不動産取引の際に発生する「登録免許税」や「不動産所得税」が課されることとなります。

M&Aにおける税金の対策とは?

M&Aにおける税金の対策として、いくつかの方法を取ることで税額を減額することができる可能性があります。

下記でいくつかご紹介いたします。

  • 役員退職慰労金を活用する
  • 株式譲渡と事業譲渡を税額面で比較する
  • 売却する資産を絞ってM&Aを実行する
  • 売却益をのれん代(営業権)償却などの経費とする
  • 株式譲渡ではなく第三者割当増資を活用する
  • 相続税の取得費加算の特例を活用する

役員退職慰労金を活用する

株式譲渡の場合に税額を下げられる可能性があるのが、役員退職慰労金の活用です。

売主が、M&Aの譲渡価額の一部を退職金として受け取ることで、税額を考慮した最終的な手取り額が全額株式譲渡の金額とするよりも低くなる可能性があります。

退職所得控除を活用し所得税の金額等も考慮しておくと、トータルでかかる税額が低く抑えられる可能性があります。

ただし、役員の就任期間等の条件もありますので、役員退職慰労金を活用する際は専門家への相談と入念なシミュレーションの上での利用が必要です。

株式譲渡と事業譲渡を税額面で比較する

株式譲渡と事業譲渡のどちらを利用するかについては、当然M&A後の経営体制をどうするか?が重要にはなりますが、税務上においてもそれぞれかかる税額が変わってきますので、その点でどちらを実行すべきか、検討の余地があります。

株式譲渡と事業譲渡において大きな差が、個人か法人のどちらになるのかという点です。

損益通算等法人のみ活用できる制度もありますので、一概に税率だけでの比較は難しいですが、個人の株式譲渡における譲渡所得への課税率は20.315%であるのに対し、事業譲渡の法人税の実効税率は約31%になります。

そのため、個人の株式譲渡の方が単純比較で言うと税額は安く抑えられます。

ただ、法人の場合は事業譲渡のみに税金がかかるわけでもありませんし、それ以外の経営権の問題もあるため、単純比較はできませんが、トータルでどちらを活用するかはよく考える必要がある部分であります。

売却する資産を絞ってM&Aを実行する

買主側のM&Aの目的となる資産に絞って実行することで、対価を低く抑えることができるため、結果的にかかる税額を下げることができます。

方法としては、

・株式譲渡ではなく事業譲渡を選択し、資産を絞ってM&Aを行う

・会社分割をすることにより、譲渡する事業を選択する

・不要な資産を処分(売却等)してから株式譲渡を行う

上記の方法を活用することで、譲渡価額を下げることができ、結果的に税額を下げることが可能です。

売却益をのれん代(営業権)償却などの経費とする

法人が当事者となるM&Aの場合、M&Aによる譲渡益に対して直ちに税金がかかるわけではなく、法人の期中の全損益を通算した額が課税対象となります。

そのため、譲渡益をのれん償却などの経費で相殺することで利益を減らすことができ、結果的に税負担を少なくすることが可能です。

具体的な方法としては、株式譲渡益や事業譲渡益が発生した期と同じ期中に、設備投資など投資を行って費用を計上し、譲渡益と相殺します。

なお、事業譲渡の場合、買主側はのれん代(営業権)を償却し、経費とすることが可能です。

(5年間の均等償却として処理します)

それ以外にも、固定資産の耐用年数について、中古資産の短い耐用年数を使用することができるため、場合によっては節税につながる対策を取れることがあります。

株式譲渡ではなく第三者割当増資を活用する

M&Aの手法の一つに、「第三者割当増資」という方法があります。

具体的には、議決権割合が5割を超える数の株式を、第三者割当で買主側に交付し、出資金を支払っていただくことにより実質的なオーナー権を引き継ぐ方法です。

株式の譲渡を実施するわけではないので、税金が発生することはありません。

既存株主が継続することによる経営への影響や、資本金の増額による増税のリスクも考えられるため、総合的な判断により検討します。

相続税の取得費加算の特例を活用する

相続をきっかけに取得した株式を、相続開始から3年10か月以内に売却した場合の利益に関しては、「相続税の取得費加算の特例」が適用できる場合があります。

M&Aによる株式譲渡が相続をきっかけとして起こったものであった場合は、この制度を活用できる場合がありますので、税理士・会計士への相談を必ず行っておきましょう。

譲渡(売却)側が意識しておくべきポイント

節税がM&Aの目的であることは少ないので、実際にはM&Aを実行する目的や得たいメリットを考えて、M&Aの進め方を考えるべきではありますが、目的からずれないのであれば、最終的に得られる経済的利益を考えて、株式譲渡か事業譲渡のどちらが有益かを考えてスキームを組み立てていただくことで、手取りの金額を最大化できる可能性があります。

その時、考えていただきたいのが役員慰労退職金の活用とその金額の設定で、譲渡側、譲受側双方にメリットのある内容を考えておきましょう。

また、相続をきっかけとした株式の譲渡の場合、相続税加算の特例が利用できる可能性もありますので、そうした点も考慮が必要です。

譲受(買収)側が意識しておくべきポイント

株式譲渡の場合

譲受側が株式譲渡でM&Aを行った場合、支払った対価は「株式取得価額」として資産に計上されます。

また、M&A仲介会社への支払手数料も「株式取得価額」への計上が可能です。

事業譲渡の場合

事業譲渡によるM&Aの場合には、消費税の支払いが必要となります。

M&Aの譲渡対価、M&A仲介手数料、取得にかかる経費(DD等)、消費税の合計が必要な金額となりますので、資金の準備やかかるコストの点についてはよく精査が必要です。

経営資源集約化税制(中小企業事業再編投資損失準備金)の活用

M&Aにおいて買主となる場合、相手の企業の内容にもよりますが相応の金額が現金で必要となります。

当然融資を活用する場合もありますが、短期的には大きなキャッシュアウトとなり、また、想定外のタイミングで発生した場合などは買収金額の用意ができずに頓挫してしまうこともあります。

そこで、将来的な譲受を考えられている企業の場合、経済産業省が実施ししている「経営資源集約化税制(中小企業事業再編投資損失準備金)」の活用も重要なポイントです。

この制度は、経営資源の集約化(M&A)によって生産性向上等を目指す、経営力向上計画の認定を受けた中小企業が、計画に基づいてM&Aを実施した場合に、「設備投資減税(中小企業経営強化税制)」や「準備金の積立(中小企業事業再編投資損失準備金)」の措置を活用できるものです。

この制度を活用することで、

・投資額(株式譲渡の対価)の70%以下の金額を準備金として積み立て、積み立てた金額を損金に算入できます。

・積み立てられた準備金は5年の据え置き期間後に、毎年1/5ずつ均等に取り崩すと同時に益金に算入します。

益金参入となるため、最終的にはその利益に対しての課税は発生しますが、積み立てた年の利益は減らせるだけでなく、M&A用の資金準備も可能です。

ただし、下記の要件を満たした企業のみが対象となるためその点は注意が必要です。

・資本金1億円以下の法人

・常時使用する従業員数2,000人以下の法人・個人

・資本又は出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員数1,000人以下の法人・個人

・株式の取得価額が10億円以下

・事業承継等事前調査(実施する予定のデューデリジェンス)の内容を記載した経営力向上計画を策定し主務大臣の認可を受ける

・認定計画の内容どおりに株式取得を実行する

・M&Aの最終合意後に主務大臣に報告を行い確認書の発行を受ける

これらの条件に当てはまる企業の方で、将来的なM&Aを検討されている企業の場合、この制度の利用を前提とした準備もしておけるとよいでしょう。

M&Aの歴史とこれからの展望

1.黎明期におけるM&A失敗事例

高度成長期からバブル好景気の1980年代迄。そして、バブル好景気の債権処理に追われた1990年代。これらの年代はM&A活用の黎明期と考えられます。どちらかというと失敗事例や今後の教訓に活かされる失敗事例の方が目立つ時期です。一時的に成功したと考えられる事例も、その後、失敗に着地した事例多くあります。

例えば、M&Aを活用して事業拡大に成功した企業・ダイエー(小売業)です。1970年代よりM&Aも活用し、店舗数を拡大していきます。ただ、バブル期の土地評価を担保としたM&A成立スキームであったこともあり、バブル崩壊後の含み損が痛手となりました。バブル好景気前後は金融機関自身も時流を読み誤り、不良債権処理に懸命だったころです。当時のM&Aをサポートしたと金融機関も、ダイエーの含み損による倒産は読み切れなかったと思われます。また、含み損という括りでは三菱不動産のロックフェラーセンター買収。松下電器のアメリカのユニバーサル(当時MCA)買収も同様に大きな含み損を抱えての撤退事例となりました。当時は「アメリカの魂を買った」と言われたM&Aも三菱不動産が約1500億円、松下電器は1600億円の損失を計上しています。

失敗事例が目立ったこの頃は、金融機関が貸付先の業績不振の企業を救う「救済型M&A」が主とも言われる時代です。そして、結果として失敗に着地してしまったのは、投資銀行やM&A仲介のコンサルティング会社をはじめとしたM&A成立をサポートする並走者が不在であったともその要因と考えられます。

2.M&A成長期を支えた黒子役の存在

バブル期の不良債権処理がヒト段落しだした頃、IT企業のM&A活用事例が目立つようになります。ソフトバンクのボーダーフォン買収が2006年。楽天が2000年の店頭公開後にM&Aを活用した事業拡大を進めたのも2000年代以降です。また、アメリカではAmazon等がM&Aを活用した事業拡大を進めたのも2000年代以降になります。例えば、Amazonは2009年にザッポス(靴の通販)を買収。Facebookがinstagramを買収したのは2012年になります。このころからM&Aは「戦略的M&A」が目立つようになりました。

レコフデータが集計しているM&A成約件数も1990年代は約1000件未満だったのが1999年には1000件を突破。2000年代は年間2000~2500件の成約件数に増加しています。これは企業経営においてM&A活用方法が上手になったことに加えて、投資銀行やM&A仲介のコンサルティング会社が増えたことも要因と思われます。高額報酬に嫉妬と批判が出がちな投資銀行各社やM&A仲介コンサルティング会社も、こうして歴史を紐解くとその存在は非常に大きいと考えられるのです。

3.そして、中小企業もM&Aを有効活用する時代へ

前節までは大型案件の事例を取り上げてきました。ただ、特に2010年以降は中小企業がM&Aを有効活用するのが時流適応であると考えられる事例になったといえます。M&Aセンター様が推進されている事業承継としてのM&Aはその一例です。後継者不在の企業様がM&Aを活用して事業継承を行うというスキームは一般的になりました。経営者としても、経営者業が終身雇用ではなくなったのです。個人的にはこれは非常に大きなことと思います。激務を続ける経営者には「事業を売却して経営者業を卒業する」という選択肢が得られたのは非常に魅力的なことと思います。

また、経営者が「新規ビジネスへの参入・多角化経営をいち早く実現するためのM&A」や「グループ内再編を実現するM&A」も選択できるようになってきました。例えばですが、新規ビジネスは「自前での新規の立ち上げ」「FC加盟」そして「M&A」といった選択肢があります。それぞれにメリット・デメリットがあるなか、「M&A」による新規ビジネス参入は「時間」「人的資源」などを買えるのが最大のメリットです。加えて、実績のある企業を買収する場合、投資回収も試算し易いメリットがあります。

また、これは個人的な意見になりますが、特に日本の中小企業における海外案件のM&Aは成功しにくい状況が続くとも思います。いわゆるカントリーリスクや為替のリスクを日本の中小企業が吸収しきれないと思われるからです。言葉の壁も大きいです。それらのリスクを冒すよりも、日本国内でのM&A活用に成功することが中小企業の優先事項になると思われます。その経験値が豊富となってから日本企業による海外案件のM&Aなのでは?と思うのです。

4.今後のM&A時流について

今後、M&Aの成約件数は、もちろん増加の一途を辿ることになると考えられます。過去は「乗っ取り」「敵対的買収」「簿外債務を負わされる」といったイメージが先行していたM&Aですが、法整備や各種情報が増えることで有効活用されることが増えてきているのです。中には失敗事例も出てくるでしょうが、中小企業におけるM&A活用はこれからが成長期ではと思います。例えばですが、「シェアアップ」や「人材育成」等で業績アップを積み重ねていく手法を継続しながら、是非、企業規模に捉われず、自社の業務拡大において「M&A」という選択肢も有効活用していただければと思います。

動画で学ぶM&A

船井総研のM&A支援の特徴について

M&Aのメリット・デメリット(譲渡企業側)

M&Aのメリットデメリット(譲り受け企業側)

失敗しないM&Aの進め方(譲り受け企業側)

M&Aを成長戦略のエンジンに

【事業承継対策】個人資産管理会社のメリットとデメリット

【M&Aを行う方必見!】M&Aでよく使われる用語集解説

M&A

M&A とは、「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略称であるが、我が国では、広く、会社法の定める組織再編(合併や会社分割)に加え、株式譲渡や事業譲渡を含む、各種手法による事業の引継ぎ(譲り渡し・譲り受け)をいう。

マッチング

マッチングとは、譲り渡し側と譲り受け側がM&A の当事者となり得る者として接触することをいう。譲り渡し側と譲り受け側の交渉は、マッチング後に開始することになる。

仲介者/仲介契約

仲介者とは、譲り渡し側・譲り受け側の双方との契約に基づいてマッチング支援等を行う支援機関をいい、一部のM&A 専門業者がこれに該当する(業務範囲は個別の支援機関ごとに異なる。)。なお、金融機関、士業等専門家やM&A プラットフォーマーにおいても仲介者と同様の業務を行う場合は、業務の性質・内容が共通する限りにおいて、仲介者として本ガイドラインの適用があるものとする。仲介契約とは、仲介者が譲り渡し側・譲り受け側双方との間で結ぶ契約をいい、これに基づく業務を仲介業務という。

FA(フィナンシャル・アドバイザー)/FA 契約

FA(フィナンシャル・アドバイザー)とは、譲り渡し側又は譲り受け側の一方との契約に基づいてマッチング支援等を行う支援機関をいい、一部のM&A 専門業者がこれに該当する(業務範囲は個別の支援機関ごとに異なる。)。なお、金融機関、士業等専門家やM&A プラットフォーマーにおいてもFA と同様の業務を行う場合は、業務の性質・内容が共通する限りにおいて、FA として本ガイドラインの適用があるものとする。FA 契約とは、FA が譲り渡し側・譲り受け側の一方との間で結ぶ契約をいい、これに基づく業務をFA 業務という。なお、海外においては、主に大規模なM&A に関して、高度な助言業務等を提供するFA に限定してFA(Financial Adviser)と称することがあるが、我が国においては、中小M&A に関しても、譲り渡し側・譲り受け側の一方との契約に基づいてマッチング支援等を行う支援機関をFA と称することが一般的である。

M&A プラットフォーム/M&A プラットフォーマー

M&Aプラットフォームとは、インターネット上のシステムを活用し、オンラインで譲り渡し側・譲り受け側のマッチングの場を提供するウェブサイトをいう。M&A プラットフォーマーとは、M&A プラットフォームを運営する支援機関をいう(利用対象者や提供されるサービスの内容は、各M&Aプラットフォーマーにおいて異なる。)。

セカンド・オピニオン

セカンド・オピニオンとは、中小M&A を行おうとしている者が支援機関と契約を締結する際や、支援機関から受けた助言の内容の妥当性を検証したい場合等に、他の支援機関から意見を求めることをいう。

ノンネーム・シート(ティーザー)

ノンネーム・シート(ティーザー)とは、譲り渡し側が特定されないよう企業概要を簡単に要約した企業情報をいう。譲り受け側に対して関心の有無を打診するために使用される。

ロングリスト/ショートリスト

ロングリストとは、基本的には、譲り渡し側がノンネーム・シート(ティーザー)の送付先を選定するにあたり、譲り受け側となり得る候補先(数十社程度となることが多い。)についての基礎情報をまとめた一覧表をいう。ショートリストとは、基本的には、ノンネーム・シート(ティーザー)を送付して関心を示した譲り受け側の候補先の中から、具体的に検討可能な候補先(数社程度となることが多い。)を絞り込んだ一覧表をいう。なお、譲り渡し側に関する情報の拡散を可能な限り防止する観点から、仲介者・FA がロングリストの内容を譲り渡し側と協議しながら精査し、候補先を数社程度に絞り込んでショートリストとした後、ショートリスト記載の候補先にのみノンネーム・シート(ティーザー)を送付するケースもある。

秘密保持契約(NDA、CA)

秘密保持契約とは、秘密保持を確約する趣旨で締結する契約をいう。具体的には、譲り受け側が、ノンネーム・シート(ティーザー)を参照して譲り渡し側に関心を抱いた場合に、より詳細な情報を入手するために譲り渡し側との間で締結するケースや、譲り渡し側や譲り受け側が仲介者・FA との間で締結するケース(仲介契約・FA 契約の中で秘密保持条項として含められるケースが多い。)がある。「NDA(NonDisclosure Agreement)」や「CA(Confidential Agreement)」ともいう。

企業概要書(IM、IP)

企業概要書とは、譲り渡し側が、秘密保持契約を締結した後に、譲り受け側に対して提示する、譲り渡し側についての具体的な情報(実名や事業・財務に関する一般的な情報)が記載された資料をいう。インフォメーション・メモランダム「IM(Information Memorandum)」やインフォメーション・パッケージ「IP(Information Package)」ともいう。

意向表明書

意向表明書とは、譲り渡し側が譲り受け側を選定する入札手続を行う場合等に、譲り受け側が譲り受けの際の希望条件等を表明するために提出する書面をいう。企業概要書に記載された情報等を踏まえて暫定的な希望条件等を記載し、後述のデュー・ディリジェンス(DD)に進む意向を表明する書面を第一次意向表明書、DD の結果を踏まえて最終的な希望条件等を記載し、譲り受けを希望する意向を明確に表明する書面を第二次意向表明書(最終意向表明書)等と称することがある。例えば、債務超過企業において譲り受け側(スポンサー)を選定する場合に、その過程の透明性・公正性を確保するため入札手続を実施するケース等において、意向表明書が用いられることがある。なお、譲り受け側からの意向表明書に対する応諾書を、譲り渡し側が提出することにより、後述の基本合意とほぼ同様の合意を締結したものとして扱うこともある。

基本合意書(LOI、MOU)

基本合意書とは、譲り渡し側が、特定の譲り受け側に絞ってM&A に関する交渉を行うことを決定した場合に、その時点における譲り渡し側・譲り受け側の了解事項を確認する目的で記載した書面をいう。「LOI(Letter Of Intent)」「MOU(Memorandum Of Understanding)」ともいう。基本的に法的拘束力がないものの、譲り受け側の独占的交渉権や秘密保持義務等については、法的拘束力を認めることが通常である。

デュー・ディリジェンス(DD)

デュー・ディリジェンス(Due Diligence)とは、対象企業である譲り渡し側における各種のリスク等を精査するため、主に譲り受け側がFAや士業等専門家に依頼して実施する調査をいう(「DD」と略することが多い。)。調査項目は、M&A の規模や実施希望者の意向等により異なるが、一般的に、資産・負債等に関する財務調査(財務DD)や株式・契約内容等に関する法務調査(法務DD)等から構成される。なお、その他にも、ビジネスモデル等に関するビジネス(事業)DD、税務DD(財務DD 等に一部含まれることがある。)、人事労務DD(法務DD 等に一部含まれることがある。)、知的財産(知財)DD、環境DD、不動産DD、ITDD といった多様なDD が存在する。

クロージング

クロージングとは、M&A における最終契約の決済のことをいい、株式譲渡、事業譲渡等に係る最終契約を締結した後、株式・財産の譲渡や譲渡代金(譲渡対価)の全部又は一部の支払を行う工程をいう。

PMI

PMI(Post-Merger Integration)とは、クロージング後の一定期間内に行う経営統合作業をいう。

バリュエーション(企業価値評価・事業価値評価)

バリュエーションとは、企業又は事業の価値を定量的に評価することをいう。評価額は、中小M&A で譲渡額を決める際の目安の一つとして取り扱われる。評価手法は様々なものがあり、企業の実態や事業の特性等に応じた手法が選択される。

チェンジ・オブ・コントロール(COC)条項

チェンジ・オブ・コントロール条項とは、ある企業が締結している契約(例えば、賃貸借契約、取引基本契約、フランチャイズ契約等)について、当該企業の株主の異動や支配権の変動等により当該契約の相手方当事者に解除権が発生すること等を定める条項をいう。COC(Change Of Control)条項ともいう。

表明保証条項

表明保証条項とは、契約の一方当事者が、他方当事者に対し一定の時点(一般的には最終契約締結時・クロージング時の両時点)において、当該契約に関する事項について、当該事項が真実かつ正確であることを表明し、かつその内容を保証する条項をいう(同条項違反に基づく損害賠償・契約の解除といった補償等についての規定も設けられることが通常である。)。特に、譲り渡し側(又はその経営者等)が一定の事項について表明保証していたにもかかわらずこれに違反した場合に、譲り受け側に生じた損害について補償等を行うこと等により、契約当事者間における潜在的なリスクの分担を図る機能を有している。例えば、従業員との間の労働紛争が存在しないことを表明保証していたにもかかわらず実際には紛争が生じており、中小M&A 実行後に和解が成立した場合、従業員に支払う和解金相当額を譲り渡し側(又はその経営者等)が負担するケース等が想定される。

債務超過企業

債務超過企業とは、本ガイドラインでは、譲り渡し側が債務超過状態の場合における当該譲り渡し側をいう。債務超過企業であっても中小M&A を実行できる可能性はあるが、その際には債務整理手続等を伴うことがある。なお、本ガイドラインでは、債務超過企業における「債務超過」とは、特に説明のない限り、貸借対照表の簿価上の債務超過ではなく、資産・負債の時価評価を踏まえた実態貸借対照表上の債務超過を意味するものとする。

船井総研でのM&A成約実績一覧(2023年3月20日時点)

吸収分割による近畿ー関東間のぱちんこのM&Aの事例

譲受会社(買収側)

業種 ぱちんこ

地域 近畿

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 ぱちんこ

地域 関東

上場区分 未上場


スキーム

概要

関東にある複数店舗チェーンを関西大手チェーンが買収。本M&A実施後、関西法人に寄せられる関東の情報が倍増した。

事業譲渡により運送会社が整備会社をM&Aした事例

譲受会社(買収側)

業種 運送

地域 関東

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 自動車整備

地域 関東

上場区分 未上場


スキーム

概要

船井総研グループの主要顧客の中堅運送会社から「取引先の自動車整備会社が後継者不在の状態が続いており、グループインさせれないか?ここがなくなると自社の整備にも影響が出る」という相談があった。「お互いに同意はしているが取引先でもあるのでお金の話しはしづらいので間に入って欲しい」という立ち位置であり、特に譲渡側の社長は血縁者ではあったが事業にノータッチであったので、不安を払拭するのにアドバイザーとして時間を割き、成約に至った。

不採算事業を事業譲渡した事例

譲受会社(買収側)

業種 学習塾

地域 関東

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 障害者支援

地域 関東

上場区分 未上場


スキーム

概要

不採算事業として売却先を探していたところ、その事業を今後の柱にしていきたいという会社があり、双方の事業戦略をベースにした事業譲渡という理想的な形での成約となった。

事業譲渡による整骨院のM&Aが奏功し経営改善した事例

譲受会社(買収側)

業種 整骨院

地域 関東

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 整骨院

地域 関東

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲渡企業は複数店舗経営していたものの、業績不振になり譲渡を検討。譲受企業としては、近隣にて展開していたため、相乗効果が高いと考え譲受の検討を行い、検討中も業績悪化が続いたものの、船井総研と再生可能性について検討し、成約に至った。成約後、譲受企業の企業努力により大幅に経営を改善し、業績を伸ばしている。

過去最高益のタイミングで売却を決意。株式譲渡による葬儀会社のM&Aの事例

譲受会社(買収側)

業種 葬儀

地域 関東

上場区分 上場


譲渡会社(売却側)

業種 葬儀

地域 近畿

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲渡企業は過去最高売上、過去最高利益を出したタイミングで譲渡検討を開始。業界再編の波を考えた際に、より資本力のある会社と一緒になって経営していく方が自社の成長に繋がると英断。譲渡後も社名、屋号、経営者はそのまま継続。3年で売上は2倍以上に成長。譲り受け手は当時は上場前だったが現在は上場を果たす。

エリアの選択と集中のためのぱちんこのM&Aの事例

譲受会社(買収側)

業種 ぱちんこ

地域 近畿

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 ぱちんこ

地域 九州

上場区分 未上場


概要

九州から域外出店をした1店舗の売却。売主においては、事業エリアの選択と集中を実現する結果となった。

電気工事業の株式譲渡(MBO)によるM&Aの事例

譲受会社(買収側)

業種 電気工事

地域 北海道・東北

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 電気工事

地域 北海道・東北

上場区分 未上場


スキーム

株式譲渡(MBO)

概要

譲渡企業のオーナー社長より第三者への譲渡の依頼を受け、候補先を選定している最中、譲渡企業の幹部社員3名より「自分たちに会社を譲渡して欲しい」という話しがあり、MBOに切り替えて企業価値算定などを行う。金融機関からのLBOローンも通り、結果としては幹部社員への売却という理想的な形となった。

株式譲渡による葬儀社のM&Aの事例

譲受会社(買収側)

業種 葬儀

地域 中国・四国

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 葬儀

地域 九州

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲渡企業は過去最高売上、過去最高益のタイミングで後継者不在のため譲渡を決断。譲り受け手と共に経営を行っていくことで、地域シェアアップ、生産性向上とシナジー効果を見込み譲渡を行った。

葬儀関連事業による葬儀社のM&A事例

譲受会社(買収側)

業種 葬儀関連事業

地域 中部

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 葬儀

地域 中部

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲渡企業は後継者不在のため譲渡を検討。ただし、業績もあまり良くなく引き受け手を探すのに苦慮。引き受け手は隣県の同業の葬儀関連事業をメインとする事業者。新たな事業展開を検討しているタイミングで譲渡企業の紹介がありM&Aを決断。M&A後、新規出店を加速させ事業展開中。

株式譲渡による整骨院のM&Aの事例

譲受会社(買収側)

業種 整骨院

地域 関東

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 整骨院

地域 中国・四国

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲受企業は業界の中でも地方のモデル企業であり、過去最高売上・最高利益を出し続けていたがオーナー社長の体調不良により、社長業の継続が困難となり、急ぎ、引受先を探す必要があった。オーナー社長の家族、従業員の不安を払拭しつつ、事業を承継してくれるところを探す必要があった。譲受としては申し分のない企業力と経営者力のある会社が譲受先の家族や従業員のことまで船井総研と一緒になって考えてくれ、短期間での成約に至った。譲受後も従業員の処遇改善に努めてくれている。

異業種参入、エリア展開のための上場企業のM&Aの事例

譲受会社(買収側)

業種 アミューズメント

地域 関東

上場区分 上場


譲渡会社(売却側)

業種 ブライダル

地域 近畿

上場区分 未上場


スキーム

概要

上場企業である譲受企業は関東エリアを中心に店舗展開。異業種参入と関西エリアへの展開を検討している中、異業種かつ関西エリアに店舗を構えていることから、今後の関西エリアの活動拠点の中心とすべく意思決定。
譲渡企業は本業に集中するにあたって事業が順調なうちに従業員が安心して働くことができる環境として上場企業への譲渡を決断。

事業譲渡による税理士法人のM&Aの事例

譲受会社(買収側)

業種 税理士法人

地域 関東


譲渡会社(売却側)

業種 税理士法人

地域 関東


スキーム

概要

譲渡企業の代表税理士は高齢であり、後継者としても不在であることから、M&Aを検討していた。船井総研がアドバイザーに就任し、譲受後の対応が丁寧であり、成長戦略を明確に持ち、譲渡企業の税理士が継続できる候補先をご紹介し、双方面談時に経営方針のすり合わせができ、成約に至った。成約後はより生産性が向上し業績アップしている。

葬儀社が生花販売業をM&Aした事例

譲受会社(買収側)

業種 葬儀

地域 中部

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 生花販売

地域 中部

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲受企業より船井総研に対して、取引先から事業承継のために株式譲渡の希望があり、検討したいとの連絡があり、譲渡企業の情報精査から譲渡条件面の調整を行い、双方の関係を円満なまま成約に至った。

シナジー効果を得たうえで、関東に進出するための印刷業のM&A

譲受会社(買収側)

業種 印刷

地域 近畿

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 特殊印刷

地域 関東

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲渡企業の株主はM&A後に別事業展開を検討しており、他社のアドバイザーからの紹介が船井総研にあった。譲受企業として、船井総研のご支援先である企業へご紹介し、関東進出やクロスセルのメリットを感じていただき、成約に至った。成約後、業績が向上し、グループ全体として継続的に成長している。

2か月で成約に至った吸収分割によるぱちんこのM&Aの事例

譲受会社(買収側)

業種 ぱちんこ

地域 関東

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 ぱちんこ

地域 関東

上場区分 未上場


概要

弊社の研究会会員・ご支援先様へご提供している企業交流機会からM&A案件に進展。売主様から「諸条件が合えば引き取ってもらえませんか?」という相談から発展、初見から約二か月で契約成立となりました。双方が合意のもと、営業権や動産(遊技機等)は譲渡。不動産は賃貸という契約形態。

吸収分割によるぱちんこのM&Aの事例

譲受会社(買収側)

業種 ぱちんこ

地域 近畿

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 ぱちんこ

地域 近畿

上場区分 未上場


概要

譲渡企業は後継者不在かつ株主本人が高齢であることから譲渡を検討しており、過去取引のあった船井総研に相談があった。船井総研のご支援先で出店意欲の高い企業を譲受企業としてマッチングし、条件調整を慎重に行い成約に至り、譲受企業の株主としても安心して事業承継が完了できている。

中古車販売業の株式譲渡によるM&Aの事例

譲受会社(買収側)

業種 中古車販売

地域 近畿

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 中古車販売

地域 中部

上場区分 未上場


スキーム

概要

船井総研のご支援先同士でのM&A。譲受会社、譲渡会社のオーナー社長間でM&Aの検討を始めたタイミングで、今後、譲渡価格など条件面については専門家を入れて進めたほうが良いという判断で船井総研が仲介として入り進めた。
譲渡価格を含めた諸条件の調整なども対応し、最初のご相談から約2カ月で全ての譲渡手続きが完了。

ぱちんこ店の不採算店舗の売却の事例

譲受会社(買収側)

業種 ぱちんこ

地域 近畿

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 ぱちんこ

地域 近畿

上場区分 未上場


概要

私的整理における不採算店舗の売却。数十年分の収益弁済と同等額の売却額を実現した。

私的整理による酒造業の事業撤退の事例

譲受会社(買収側)

業種 海外投資ファンド

地域 海外

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 酒造

地域 関東

上場区分 未上場


概要

私的整理における事業撤退。買主は海外の投資ファンドとなったが、日本酒の製販に強い関心があった。

株式譲渡による産廃業のM&A後、業績が向上した事例

譲受会社(買収側)

業種 産廃

地域 関東

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 産廃

地域 関東

上場区分 未上場


スキーム

概要

船井総研のご支援先より取引先から後継者不在のため自社の株を買い取ってほしいと相談があり、条件面の調整を行った。調整中に譲渡企業側での引継ぎに不安があったものの、適切に説明を心掛けご納得いただいたうえで成約に至った。M&A後は譲受企業の産廃品目が増え業績が向上している。

株式譲渡による住宅会社のM&Aの事例

譲受会社(買収側)

業種 住宅

地域 近畿

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 住宅

地域 近畿

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲渡企業は弊社のコンサルティング支援先。業績・財務共に良好な企業様で、お取引先とも共存の良い関係を築いて運営してこられたが、経営者の高齢化が進んでおり、後継者不在が問題であった。弊社のコンサルタントとの会話の中から弊社M&A部門にてご相談を受けさせていただき、M&Aアドバイザリー契約を締結。譲受企業は税理士事務所を中核企業とする多角化事業を行うグループ。譲渡企業の社長のお考えを尊重し、共に歩んでこられた奥様が経理面の全ても担ってきていた事を踏まえ、引継上で安心出来る先とマッチング。丁寧に打ち合わせを重ね、要件に合致する譲受会社を紹介し、意気投合。両社の誠実な検討姿勢が実を結び成約に至った。

地方の中古車販売業による関東の整備会社のM&Aの事例

譲受会社(買収側)

業種 中古車販売

地域 北海道・東北

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 自動車整備

地域 関東

上場区分 未上場


スキーム

概要

後継者不在であった都内の自動車整備会社を地方の地域一番企業の中古車販売会社が譲受した。都内への進出は譲受先の悲願であった。DDにおいて労務問題や法令問題などが多く派生し、それを1つ1つの話し合いで「どこまで許容すべき、どこからは許容できないか」の線引きをジャッジし、成約に至った。

物件撤退において撤退費用を払わず売却できたぱちんこのM&A事例

譲受会社(買収側)

業種 ぱちんこ

地域 関東

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 ぱちんこ

地域 北海道・東北

上場区分 上場


概要

弊社の研究会会員・ご支援先様から撤退物件相談を受けたことから仲介がスタート。会員様は、撤退費用を支払うところだったが、売却益を得ることができた案件。引き受けられた企業様も順調に業績を伸ばしている。

株式譲渡による葬儀社のM&Aの事例

譲受会社(買収側)

業種 葬儀

地域 関東

上場区分 上場


譲渡会社(売却側)

業種 葬儀

地域 中国・四国

上場区分 未上場


スキーム

概要

中国地方の葬儀社が過去最高売上、過去最高益のタイミングで上場企業に譲渡。譲渡企業は業績は良かったが、後継者不在を見越し譲渡。ただし、社名、屋号、代表者は変わらず。譲渡後一年で積極投資を行うことで2倍の売上に。上場企業のグループ会社でも最も伸び率の高い会社と成長している。

葬儀社が石材販売をM&Aした事例

譲受会社(買収側)

業種 葬儀

地域 九州

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 石材販売

地域 九州

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲渡企業は後継者不在のため、譲渡を決断。石材販売業界は衰退業種のため譲り受け先は付きづらい傾向にある。当該案件は顧客基盤にフォーカスし譲り受け先を模索。結果シナジー効果のある地元葬儀社が譲り受け手となる。

関東進出の足掛かりとする建設業のM&Aの事例

譲受会社(買収側)

業種 建設

地域 北海道・東北

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 建設

地域 関東

上場区分 未上場


スキーム

概要

関東の税理士事務所からのご相談。顧問先企業向け事業承継セミナーからのご相談。譲り受け企業は東北の建設業で、成長戦略の中で事業計画の中にも関東エリアへの進出を盛り込んでいたタイミングであった。譲渡企業の課題も、譲り受け企業の強みを活かし克服する計画でスムーズに検討することが可能となり成約に至った案件である。

店舗M&Aによる不採算店舗撤退により、3倍の売上に拡大した事例

譲受会社(買収側)

業種 飲食

地域 関東

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 飲食

地域 中国・四国

上場区分 未上場


スキーム

概要

店舗M&Aによる不採算店舗の撤退戦略支援。定期土地建物賃貸借契約の引継ぎと店舗事業用資産を売却し、後継企業が自社チェーン屋号に変更してリニューアルオープン。低投資かつスピード出店による出店戦略に貢献。旧業態の3倍の売上を獲得。

株式譲渡による介護業のM&Aの事例

譲受会社(買収側)

業種 介護

地域 近畿

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 デイサービス

地域 近畿

上場区分 未上場


スキーム

概要

売手オーナーの体調不良による介護デイサービス2拠点と放課後デイサービス1拠点を運営する企業の株式譲渡。補助金収入や拠点ごとの実態収益力の調査におけるデューデリジェンスを丁寧に行い、スムーズな株式譲渡が成立。

吸収分割によるぱちんこのM&Aの事例

譲受会社(買収側)

業種 ぱちんこ

地域 近畿

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 ぱちんこ

地域 中国・四国

上場区分 未上場


概要

両社経営戦略がうまくマッチングし成約に至った案件。地方郊外での店舗展開を軸とする売り手と、都市駅前での店舗展開をを軸とする買い手による駅前店の吸収分割。

M&Aにより商品・ブランドの承継が出来た事例

譲受会社(買収側)

業種 飲食

地域 関東

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 食品製造

地域 中部

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲渡企業のオーナー経営者は高齢であるため事業引継ぎ支援センターに登録。船井総研より譲受企業の候補をご紹介した。検討途中に業績が大きく悪化し、条件面の調整に時間を要したものの、譲受企業が柔軟に代替案を提示し、円満に成約に至った。M&A後は譲受企業から後継者人材を派遣し、職人技術の承継に励み、商品・ブランドの承継ができた。

店舗M&Aによる不採算店舗撤退事例

譲受会社(買収側)

業種 飲食

地域 関東

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 飲食

地域 関東

上場区分 未上場


スキーム

概要

店舗M&Aによる不採算店舗の撤退戦略支援。定期土地建物賃貸借契約の引継ぎと店舗事業用資産を売却し、後継企業が自社チェーン屋号に変更してリニューアルオープン。低投資かつスピード出店による出店戦略に貢献。

株式譲渡によるアミューズメント業のM&Aの事例

譲受会社(買収側)

業種 アミューズメント

地域 関東

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 アミューズメント

地域 関東

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲渡企業の親会社である投資ファンドからセルサイド・デュー・ディリジェンス(DD)及び譲受候補先の選定の依頼を受ける。その後、バイサイドのアドバイザリー業務を受ける。
船井総合研究所においては、譲渡対象企業の事業内容の詳細、競合環境等を把握しており、コロナ禍の影響を大きく受け、なかなか先を見通せない環境下ではあったものの、最短の期間での成約に至る。

ハウスビルダーが不動産仲介業をM&Aした事例

譲受会社(買収側)

業種 ハウスビルダー

地域 九州

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 不動産仲介

地域 関東

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲渡企業は船井総研のご支援先で自社単独での運営に限界を感じ、M&Aを検討したいとの相談があった。譲受企業として関東へ進出を検討しており、住宅分野への知見もあったことから条件面の調整に時間を要したものの成約に至った。M&A後は譲受企業のリソースを用い、シナジー効果を発揮し業績好調となっている。

エリア拡大を実現したM&Aの事例

譲受会社(買収側)

業種 ユニットハウスレンタル

地域 中部

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 ユニットハウスレンタル

地域 北海道・東北

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲渡企業のオーナー経営者は高齢のため、事業引継ぎ支援センターへ登録しており、そこから船井総研がアドバイザーに入った。候補先としては連携している金融機関からの紹介で同業がエリア拡大を目的に興味を持ち検討となった。譲受企業の調査により複数課題が発見されたが、一つ一つ船井総研から助言を行い、無事解決し成約に至った。譲渡企業のオーナー経営者は引退し、元々やりたかったセカンドライフを満喫している。

吸収分割によるぱちんこのカーブアウト事例

譲受会社(買収側)

業種 ぱちんこ

地域 関東

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 ぱちんこ

地域 九州

上場区分 未上場


概要

譲渡企業は、遊技業の他に医療法人その他の事業を展開する法人であったが、遊技業のカーブアウトを目的にM&Aを実施した。

店舗M&Aによる事業譲渡事例

譲受会社(買収側)

業種 飲食

地域 関東

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 飲食

地域 関東

上場区分 未上場


スキーム

概要

店舗M&Aによる製菓製パン店の事業譲渡。営業権、賃借権、商標権等の譲渡を行い。一般顧客からは運営企業が変わったことは分からない形で、休業することなく運営企業変更を行った。従業員も全員譲受企業にスムーズに引き継がれている。

ホテルの事業譲渡によるM&A事例

譲受会社(買収側)

業種 ホテル

地域 関東

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 ホテル

地域 近畿

上場区分 未上場


スキーム

概要

コロナ禍において閉館中だったビジネスホテルを不動産M&Aにて現金化。土地建物の不動産売買と造作資産譲渡スキームで大手チェーン店が買収。譲受後は2か月でリニューアルオープンするといったスピード出店に貢献。

高級設備確保を企図していた異業種中堅への店舗M&A事例

譲受会社(買収側)

業種 飲食

地域 関東

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 飲食

地域 関東

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲渡店舗は一等ビジネス立地にあるも、コロナ禍で赤字であった。人材難も加わり、運営には厳しい環境ながら、設備は高級で良好、そのまま閉じるにはもったいない状況であった。弊社DMに対しお問合せをいただき、M&Aアドバイザリー契約を締結。譲受企業は一等立地での高級飲食店の確保を企図していた、異業種の中堅企業。大手家主との調整を丁寧に行い、双方の希望を丁寧にすり合わせ、実を結び成約に至った。

ロールアップ案件について、約4か月程度でクロージングした事例

譲受会社(買収側)

業種 美容

地域 関東

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 美容

地域 関東

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲受企業は、投資ファンドが既に投資を実行した同業者であり、追加買収(ロールアップ)としての本件取組みであり、当社は、譲受企業側のファイナンシャルアドバイザーとして本件をサポートする。
譲受企業とは、投資ファンドが当初投資を実行する際におけるデュー・ディリジェンス(DD)において、船井総合研究所がビジネスDDを担当していたこともあり、M&Aにおけるお考えや重視するポイント、M&A後の運営方針等も一定程度、把握できており、譲渡企業オーナーのご事情で、案件検討の当初から、リミットを設けてのスピードを求められるM&Aプロセスとなるが、両社ご面談から、約4か月程度という、当初リミット期限内でのクロージングに至る。

店舗M&Aにより好条件で引き継げた事例

譲受会社(買収側)

業種 飲食

地域 北海道・東北

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 飲食

地域 北海道・東北

上場区分 未上場


スキーム

概要

店舗M&Aにおける総菜・お弁当店の店舗事業譲渡。従業員も全員同条件で引き継がれ、想い入れのある屋号は継続して譲受企業が使用。売手は自社所有の土地建物を買手に賃貸することで不動産収入を得ることで継続的に収益を確保。

M&A後業績アップを続けられている葬儀社の事例

譲受会社(買収側)

業種 葬儀

地域 北海道・東北

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 葬儀

地域 北海道・東北

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲渡企業は過去最高売上、過去最高益のタイミングで譲渡を検討。当該企業の代表は別事業へ集中するため、譲渡後退任。譲り受け手はエリア拡大のためにM&Aを決断。引き受け後、お互いのノウハウを共有しあいながら、ともに業績を上げている。

結婚式場が写真館をM&Aした事例

譲受会社(買収側)

業種 結婚式場

地域 中部

上場区分 上場


譲渡会社(売却側)

業種 写真館

地域 中部

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲渡企業はベンチャー企業であり債務超過ではったものの、譲渡実行時の業績は大幅な黒字を出しており好調であった、一方、譲り受け企業は新たな事業ポートフォリオを展開していきたいという観点でお互いの利害関係が一致。M&Aによる新規事業展開となった。

過去譲渡を検討していたが難航しており、船井総研に依頼し、成約までたどり着いた事例

譲受会社(買収側)

業種 ぱちんこ

地域 関東

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 ぱちんこ

地域 中国・四国

上場区分 未上場


概要

過去譲渡を検討していたが難航しており、船井総研に依頼いただき、成約までたどり着いた。成約の要因はスキーム見直し。「売却」希望だった売主様に「賃貸」でのスキーム変更をご了承いただけたのが成立となった。もちろん「賃貸」への事業スキーム変更は売主様も納得の行く条件であった。

M&A後経営が好転している認可保育園の事例

譲受会社(買収側)

業種 人材派遣

地域 中部

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 認可保育園

地域 関東

上場区分 未上場


スキーム

概要

船井総研のweb経営相談より事業承継の相談があり、M&Aも含めた承継方法の説明を行ったところ、M&Aを検討することとなった。船井総研のご支援先の中でも、条件面に了承していて、譲受の方針が手厚い企業との面談により譲渡企業はすぐに譲渡先を決定。個人で所有する事業用不動産の譲渡についても無事調整ができ円満な成約となった。M&A後は譲受企業が運営に入り、行政と連携してより経営が好転している。

情報漏洩を最小限に留めるため最有力の1社提案しそこで成約となった事例

譲受会社(買収側)

業種 ぱちんこ

地域 北海道・東北

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 ぱちんこ

地域 中部

上場区分 未上場


概要

情報漏洩に慎重な売主様よりご依頼いただいた案件。弊社からは最有力と思える候補企業様を1社ご提案させていただき、その企業様でM&A成立となった案件。情報漏洩の心配を最小限に進めることができた。

地域の企業による承継を実現したぱちんこの事例

譲受会社(買収側)

業種 ぱちんこ

地域 関東

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 ぱちんこ

地域 関東

上場区分 未上場


概要

相続後の後継者による会社精算を前提とした事業売却。地域企業による承継を実現した。

店舗M&Aによる不採算店舗撤退事例

譲受会社(買収側)

業種 飲食

地域 関東

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 飲食

地域 北海道・東北

上場区分 未上場


スキーム

概要

店舗M&Aによる売手の不採算店舗撤退戦略と買手の出店による成長支援。定期土地建物賃貸借契約の引継ぎと店舗事業用資産を売却し、後継企業が自社チェーン屋号に変更してリニューアルオープン。低投資かつスピード出店による出店戦略に貢献。

店舗M&A後数か月で黒転した事例

譲受会社(買収側)

業種 飲食

地域 近畿

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 洋菓子店

地域 中国・四国

上場区分 未上場


スキーム

概要

店舗M&Aによる洋菓子店の事業譲渡。買手は他業種からの新規参入でスモールM&Aとして洋菓子店を1店舗から取得。営業権・賃借権・商標権・レシピ等の譲渡を行い、M&Aによる成長戦略をスタート。譲渡後は数か月で黒字化に成功。

業界再編を予期し業績好調下でM&Aした葬儀の事例

譲受会社(買収側)

業種 葬儀

地域 九州

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 葬儀

地域 中部

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲渡企業は100年以上続く老舗企業。業界再編の波を感じ取った経営者が業績好調のタイミングで譲渡を決断。譲り受け手は大手葬儀社となり、同エリアでも展開。お互いの顧客基盤、ノウハウを活かすことでお互いに成長していくためのM&Aとなった。M&A後の業績は両社ともに上々。

事業譲渡による葬儀のM&A事例

譲受会社(買収側)

業種 葬儀

地域 中部

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 葬儀

地域 中部

上場区分 未上場


スキーム

概要

譲渡先はオーナーの体調不良により事業譲渡を決断。DDを行う時間が限られていたため、事業と建物を譲渡する形の事業譲渡を選択。譲り受け企業はエリア展開を行いたかった場所であったため展開スピードを上げることに成功。引き受け後業績は上々。

店舗M&Aによる店舗事業譲渡事例

譲受会社(買収側)

業種 飲食

地域 北海道・東北

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 飲食

地域 北海道・東北

上場区分 未上場


スキーム

概要

大手焼肉フランチャイズチェーン店の店舗事業譲渡。定期借地契約に自社所有の建物がある案件だったが、売手は建物解体費用を捻出することなくM&Aによる現金化に成功。地主は借地の賃料が途切れることなく、買手との新規契約のまき直しに成功。

売主買主双方の利害が合致したぱちんこのM&A事例

譲受会社(買収側)

業種 ぱちんこ

地域 中部

上場区分 未上場


譲渡会社(売却側)

業種 ぱちんこ

地域 近畿

上場区分 未上場


スキーム

株式交換・株式移転

概要

2店舗の大型店譲渡を成立させた案件。買い手様は、切望されていた未開拓エリアへの新規出店が10年越しで叶った案件となる。地元の有力法人を避けたいという売主様のご要望と、未開拓エリアへの新規出店を切望していた買い手様のご興味が合致したことのが成約要因。

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