製菓・製パン販売店をM&Aで売却、開店するメリット
- 飲食 M&Aレポート
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製菓・製パン販売店の動向
現在、私のところへ相談頂く業種として多いのが製菓製パン販売店です。いわゆるパン屋さんやケーキ屋さんなどの洋菓子店、和菓子店さんなどのお店です。特に最近は高級食パン店からのご相談が増えております。数年前より高級食パンブームが巻き起こり、日本全国に高級食パンの店舗がオープンしていきました。今でも一部エリアや地方エリアは出店余地が残っているところもあり、オープンが続いているかもしれません。その結果、小商圏の中にたくさんのFCチェーン高級食パン店がひしめき合うようになり、当初の開業計画の売上に届かないお店や、オープン時は高い売上を保っていたものの、想定より早いオープン景気の終息から、フランチャイズ加盟店や自社オリジナルの高級食パン店からのご相談を多く頂くようになりました。もちろん売上好調なお店も多くありますので、そういった店舗経営者様は店舗M&Aの買手として良いM&A案件は無いかとご相談を頂いております。その他にも歴史ある洋菓子店や和菓子店など、純粋な経営者の高齢化による後継者不在や、原価高騰や人件費上昇による経営状況の悪化からご相談頂くことも増えております。買手側は高額な既存設備を有効活用して少ない費用で開業できるため、非常に人気のM&A業種となっております。
製菓・製パン販売店のM&A手法
製菓製パン販売店のケースで最も多いのが店舗を現状有姿そのままで売却するケースです。本業がある企業は本業を継続するために、本業と製菓製パン販売事業を切り分けて事業譲渡を行います。もちろん株式譲渡でも構いませんが、株式譲渡の場合は借入金や店舗に紐づかない負債や労働問題なども含めて承継しますので、年商1億円前後の、いわゆるスモールM&Aについては事業譲渡で進めるケースが譲渡実行までの期間が短く一般的です。船井総研のM&Aコンサルティングでは、他のM&Aブティックが行っていないような1店舗からのM&Aマッチングが可能です。しかも、月間数千社社にのぼる支援先企業様含めて、成長が著しい企業様のご紹介も可能となり、比較的く売却できるケースがございます。
製菓・製パン販売店のM&Aにおけるメリット・デメリット
製菓・製パン販売店を含む店舗事業者様におきましては、閉店するにしても借入金がある、定期賃貸借契約の期間もまだ残っている、原状回復費用の支払いも出てくるといった、通常の閉店は数百万円から数千万円のキャッシュアウトが生じるケースが一般的です。飲食店M&Aのコラムでも記載しましたが、店舗を賃貸借契約にてお借りしている場合は契約内容によって、下記のようなことが想定されます。
・契約期間満了まで借りていないことによる敷金
・保証金の没収・賃貸借契約解除に伴う空家賃や違約金の発生
・原状回復義務に伴う店舗解体工事費の発生
・リース品の買い取り及び契約残存期間の一括費用支払い
・固定資産除去損の計上
・食材消耗品や備品等の一括廃棄費用
しかし、船井総研では製菓・製パン販売店などの店舗M&Aに精通する専門コンサルタントが多数在籍していますので、賃貸店舗はもちろんのこと、土地建物の不動産付きの店舗や、フランチャイズ店舗、赤字の不採算店舗やショッピングセンター内の店舗など、様々なケースでの売却実績がございます。製菓製パン販売店のM&Aは売手側のデメリットである撤退費用が無くなり、現金収入が得られることにメリットがあり、買手側は新規出店するよりも安い費用で出店できることから、売手買手双方のメリットが大きいことが製菓・製パン販売店におけるM&Aの魅力です。製菓・製パン販売店におけるM&Aのデメリットとしては、通常の閉店とは異なり、売手側と買手側との調整が発生致しますので、売却活動から譲渡契約まで早くて3か月程度を見込む必要があります。売手側と買手側のメリットをまとめると下記の通りです。
【製菓・製パン販売店のメリット】
■売手側・現金収入が得られる
・撤退費用最小化原状回復費(解体費用)、空家賃、建物賃貸借契約やリース解約に伴う違約金など
・敷金保証金の返還
・雇用が守れる
・屋号や想いを引き継いでもらえる
■買手側・開業費用が抑えられる(内外装造作及び、厨房・ダクトなどの設備投資)
・新規出店時の障害が少ない
・出店までのスピードが早く、空家賃が少ない
・従業員が引き継げる為に採用費が少ない(採用費最小)
・ノウハウ、取引先、マニュアルなどが引き継げる
【製菓・製パン販売店M&Aのデメリット】
■売手側・経済条件や家主との契約内容調整に時間がかかる
・譲渡が決まらない期間の精神的負担や累積赤字の増加
■買手側
・中古設備や中古造作を引き継ぐので、メンテナンスが必要な場合がある
ただし、デメリットを凌駕するメリットがあるので、積極的にM&Aを活用すると良いと私は考えます。
製菓・製パン販売店のM&Aで気を付けておくべきこと
製菓・製パン販売店のM&Aで気を付けなければいけないことは、従業員や第3者へ情報が漏れないことが非常に重要です。万が一、従業員に情報が洩れてしまった場合は、今後の不安から退職者が増加したり、良からぬ噂が出回ったりするケースがあります。また、店舗の譲渡対象物を明確にしておく必要があります。店舗設備や造作物以外にも、リースやレンタル品の取り扱いはどうするのか、従業員の処遇はどうするのかなど、電気ガス水道などのライフラインの契約、クレジット契約やその他仕入先情報やマニュアルレシピなど、様々な譲渡対象物を整理しておくことが重要です。
製菓・製パン販売店のM&A相場
製菓・製パン販売店に限らず、店舗M&Aの場合は、ほとんどの業種で下記の算出例にて譲渡代の試算を実施します。
■黒字店舗
①年倍法:固定資産額(簿価)+営業利益年2~4年
②EV/EBITDA法:EBITDA2年~4年
■赤字店舗
①無償譲渡or1円譲渡
②固定資産額(簿価)
③アドバイザリー手数料同等額
最近取り組んだケースでは、大手フランチャイズの高級食パン店のFC加盟権付きの店舗譲渡があります。FC加盟してわずか2年未満でしたが、当初のFC本部からの事業シミュレーション通りの売上がいかずに、オープン後から赤字運営となってしまったFC加盟オーナー様ご相談頂きました。オーブンなどの設備機器が最新で高額でしたが、赤字額が増加しないうちの早期売却がご希望の為、固定資産額を下回った金額設定で募集した為、買手候補の企業様が数社検討頂けました。FC本部様も、FC店様が閉店するとロイヤリティ収入が無くなる為に、本来必要なFC加盟金も無償で後継企業様付けを行って頂きたいとのことで、非常に良い条件が整って活動が行えました。
また、別の和菓子店では、ブランド力の高い店舗を複数構えており、和菓子製造と店舗運営が中心の事業でしたが、買手企業様は全国の催事販売に強いパイプがある企業様の為、譲渡後すぐに売上が倍増しました。このように、製菓製パン販売店のM&Aは買手次第で可能性が広がるM&Aとなっております。
製菓・製パン販売店のM&Aを検討し始めたら最初に行うべきこと
まず製菓・製パン販売店のM&Aを検討し始めたら、M&Aコンサルタントに相談することが重要です。我々船井総研の製菓・製パン販売店をはじめとする店舗専門コンサルタントは、パン屋さん、ケーキ屋さん、和菓子屋さんなどの店舗経営者様に親身に寄り添い、最善のスキームと売却価格を試算し、相場取引例も含めて、現実的に売却できる価格のご提案を行わせて頂くことが可能です。なによりも初期相談は無料であることが経営者にとってはうれしいところではないでしょうか。また、船井総研のご支援先企業様には成長意欲が高い企業様が多いことや、製菓・製パン販売店に精通したコンサルタントが在籍することも、船井総研の強みだと考えます。是非自店舗の方向性を考えた際は、閉店する前に船井総研のM&Aコンサルタントにご相談下さい。きっと明るい未来が見えてくるでしょう!
2008年銀行に新卒で入行。与信管理・調査部門を4年半程度経験後、21012年頃より、銀行にてM&Aアドバイザリー業務に従事。その後、2019年船井総研に参画後も、引き続きM&Aアドバイザリー業務に従事。
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