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食品製造・食品卸における2022年のM&A動向の振り返り

  • 食品製造・食品卸 M&Aレポート
飲食 M&A

食品製造・食品卸の2022年市場動向

 「2022年の食品」と言うと、記録的な値上げラッシュを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

 2022年4月、小麦粉を主原料とする食品の値上げが相次いで実施されました。8月以降は、原油高による輸入・物流コストが上昇。緩やかに進行していた円安・ドル高が10月にピークを迎え、1ドル150円という32年ぶりの水準まで急落したことも記憶に新しいかと思います。

 私たち船井総研の支援先でも輸入商品を扱う企業では、原料高・原油高・円安の三重苦に悩まされ、商品価格への転嫁を余儀なくされるケースも多く見受けられました。食品製造業においては、トレーやフィルムなどの包装資材の調達にもこの三重苦の影響は表れています。

 消費者にとっては、脱コロナで外出・外食も積極的にできるようになる一方で、食料品の

インフレを大いに実感する1年になったのではないでしょうか。価格転嫁の背景にある原価高、原料高といった経営環境の悪化は、M&Aによる合理化を後押しすることになります。

食品製造・食品卸の2022年M&A件数

 M&A情報提供のレコフM&Aデータベースによると2022年の食品製造・食品卸のM&A件数は以下の通りです。 食品のM&Aは132件(データ種別をM&A、検索期間を2022年1月1日~2022年12月31日と設定し、業種をマール40分類の食品と設定した際の件数データ) 食品卸のM&Aは55件(データ種別をM&A、検索期間を2022年1月1日~2022年12月31日と設定し、業種をマール40分類の食品卸と設定した際の件数データ)

食品製造・食品卸の2022年M&Aのピックアップ事例

製糖業における業界再編 日新製糖・伊藤忠製糖

 日新製糖と伊藤忠製糖の経営統合は、売上高460億円と309億円の企業の統合ということで食品業界におけるビッグニュースでした。

 ※2022年10月発表、持株会社への移行は2023年1月1日付

 健康志向の高まり・甘味離れから、国内の砂糖消費は過去30年以上にわたり減少を続け、コロナ禍もそれに拍車をかけました。その間、製糖企業の数は24社から13社に集約されています。

 消費減に原料やエネルギー、物流コストの高騰が加わり、業界2位グループである2社も経営統合に踏み切りました。食品業界において、寡占している業態は多くありません。経営環境が厳しい業界全体において今後再編の気運が高まると予測できます。

 2社の持株会社の名称「ウェルネオシュガー」には、「Well-being(幸せ・健康)+Neo(常に若々しく・日々新たに)+Sugar(糖を基軸に)」という思いが込められていると発表されています。「糖」には砂糖だけではなくオリゴ糖など砂糖から作られる派生商品も含まれています。

 ここから、単なる合理化だけではなく新製品の開発新領域の開拓の必要性と意欲を感じさせます。悪化する経営環境の中で、業界大手もM&Aを通じて対抗策を講じ、自ら変化を起こしています。

ストロングバイヤーの動向 ヨシムラ・フード・ホールディングス 

 ここ数年、食品製造業・卸売業のM&Aに積極的なヨシムラ・フード・ホールディングスは、2022年も4社3件のM&Aを実施し、存在感を高めました。

 同社は、商品力や技術が高いにもかかわらず後継者不在などにより事業を承継していくことが難しい中小食品企業をM&Aによって引き受け事業の成長と継続を実現することを目的としています。

【出資者】ヨシムラ・フード・ホールディングス

【対象事業】マルキチ(北海道網走市)

【事業内容】ホタテを中心にサケイクラ、カニなどの製造加工・販売や鮮魚など冷凍水産品の卸売

【スキーム】株式譲渡 21億6800万円

【出資者】ヨシムラ・フード・ホールディングス

【対象事業】丸太太兵衛小林製麺(札幌市)

【事業内容】生麺(ラーメン)、餃子の皮、調味料などの製造・販売

【スキーム】株式譲渡 8億9200万円

【出資者】ヨシムラ・フード・ホールディングス

【対象事業】細川食品(香川県観音寺市)、細川フーズ(同県三豊市)

【事業内容】国産野菜を使用したかき揚げ、チヂミなどの冷凍総菜や赤飯などの冷凍米飯製品を製造

【スキーム】株式譲渡 11億4500万円

大手食品企業によるテクノロジー企業のM&A

 ロボット、ウェルビーイング、昆虫食などの領域においても食品製造業者のM&Aの動きが見られました。新規事業による継続発展を目指す大手業者によるスタートアップ領域へのM&Aは、今後も盛んに行われることが予想できます。

【出資者】ヒライホールディングス(熊本市)、Future Food Fund(東京都)

【対象事業】アールティ(東京都)

【事業内容】食品盛り付け作業を行う人型協働ロボット「Foodly」の開発

【スキーム】資本参加

【出資者】Future Food Fund(東京都)

【対象事業】グリーンエース(山形県酒田市)

【事業内容】粉砕技術を用いて食品加工の際に廃棄される未利用部位の有効活用事業に取り組む農産物アップサイクル事業

【スキーム】資本参加

※Future Food Fund:オイシックス・ラ・大地が運用する投資ファンド

【出資者】ニチレイ

【対象事業】TAKEO(東京)

【事業内容】昆虫食品の研究開発、製造、販売

【スキーム】資本参加

【出資者】明治ホールディングス

【対象事業】PLIMES(茨城県つくば市)

【事業内容】ウェアラブル嚥下計/摂食嚥下モニタリング解析サービス「GOKURI」開発

【スキーム】資本参加

【出資者】カルビー

【対象事業】S’UIMIN(スイミン、東京)

【事業内容】脳波ウェアラブルデバイスとAI技術を活用した睡眠測定サービス提供

【スキーム】資本参加

まとめ

 2022年の食品製造・食品卸のM&A件数は38件であり、過去10年のM&A件数は大きく変動していないと述べました。しかし、業界再編、ストロングバイヤーの動き、大手メーカーの出資などの動きを見ると、原料・原油高などの市場動向の影響がさらに強まる2023年以降は、ますます業界のM&Aが活性化すると予測せざるを得ません。

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