ダウンロード資料 譲渡をご検討中の方 買収をご検討中の方

賃貸管理業界における2022年のM&A動向の振り返り

  • 不動産賃貸管理 M&Aレポート
住宅 M&A

賃貸管理業を経営されているオーナー経営者向けの記事です。賃貸管理業において、長らくコンサルティング活動を実践してきました経験から、今回賃貸管理業における2022年のM&A動向の振り返りについて解説させて頂いています。M&Aが活発化している賃貸管理業界において、昨今の時流を踏まえて、その背景はどうなっていて、成長する企業はどのようなM&A戦略を描き、実践しているのか、そのヒントを見つける機会になれば幸いです。

賃貸管理業界の2022年市場動向

新型コロナウイルスの影響も3年目となり、賃貸住宅建築、収益物件売買、賃貸入居者住み替えなど、コロナ前の状況に戻ってきている傾向はありました。

賃貸住宅の市場においては、都市部の利便性の高い賃貸住宅は、コロナ禍で家賃減少の傾向はあったが、こちらも戻り上昇傾向にありました。ただしコロナ禍をきっかけにした生活スタイル変化や、顧客ニーズの多様化などにより、その周辺部は上昇範囲が拡大していました。

賃貸管理市場は、まず入居率の低下傾向は続いています。地域差はありますが、築年数の古い物件で、設備・間取りなどのリフォーム・リノベーションが進んでいない物件はより空室が目立ち、賃貸物件の所有者は物件からの収支が悪化し資産の見直し・再生を余儀なくされてきています

そんな賃貸物件の所有者に対して、賃貸管理・資産管理の両面で展開する管理会社も出てきており、より管理委託率があがり、管理物件拡大の難度が上がってきています

M&A情勢では、不動産仲介業は売上減少・事業承継から、譲渡が増加傾向にあります。一方、管理業は安定したストック事業であり、経営基盤もあるケースが多く、事業継承事情・市場動向などより、譲渡が年々増加する傾向にあり、買い手希望はより増えてきている為、価値が上昇しています。また人手不足解消の景況から不動産業に従事する(資格保持者、建築リフォーム関係者、実績のある営業社員)など売り手の人材に焦点が当てられ、価値が上がるケースも出てきています。

なお、2022年12月20日に、日銀総裁による事実上、長期金利の値上げが発表され、2023年4月以降、住宅ローンに合わせて、事業用ローン(収益物件購入・賃貸住宅建築)の金利も上がっていく方向化で、2023年の市場は大きな変動が見られると思われます

賃貸管理業界の2022年M&A件数

不動産仲介業界(売買)における、M&A件数は、レコフM&Aデータベースによると2022年は146件(データ種別をM&A、検索期間を2022年1月1日~2022年12月31日と設定し、業界を不動産と設定した際の件数データ)、ここ 2018 年から 2022 年直近 5 年間では、平均年間145 件で横ばいとはいえ、その前過去 10 年間で遡ると、約 10%以上の増加をしています。 なお、全国では、東京だけが突出して多くなっています。企業数の割合が地方に比べて多くなっている基本はありますが、それ以上の割合で、東京でのM&A件数は増加しています。これは譲渡企業の増加もありますが、それ以上に譲受、つまり大手企業含め、買い手企業が複数の件数を実施している事によります。また前項にもありますが、業界では、後継者問題など、譲渡する企業の件数が増えていく中で、譲受企業も増えて、M&A件数が増加傾向にあると思われます

不動産管理業界の2022年ピックアップ事例3選

【事例 1】 不動産賃貸管理業 → 不動産賃貸管理業 

不動産賃貸管理業を中心に営む、クラスコ(石川県金沢市)は、同業であるフロンティアホーム(埼玉県所沢市)の全株式を取得した。フロンティアホームは、不動産賃貸管理業を中心に、不動産仲介(賃貸・売買)、不動産有効活用などを展開してきた。クラスコのFCに加盟し、取引実績があった。クラスコは、やはり不動産賃貸管理業を中心に、不動産仲介(賃貸・売買)、その他同業種の企業に対して、リノベーションFCの展開や、企業ブランディングに注力し、デザイン経営を行ってきた。事業エリアの拡大や、シナジー効果を狙い、相互のノウハウ共有を実現する

下記のM&Aの事例も合わせてご覧ください。

【事例 2】 宿泊施設・飲食施設の管理運営業 → 不動産売買仲介・不動産管理業のうち不動産管理事業

宿泊施設・飲食施設の管理運営を行う、レ・コネクション(京都市)は、不動産賃貸管理事業を営む中央建物(京都市)から、事業を譲り受ける。中央建物は、京都市内で、分譲マンション、戸建の売買仲介や、不動産賃貸管理事業を行っている。特に、レ・コネクションは、中央建物の不動産賃貸管理事業業務の買収から、業務を内製化する事で、業務の効率化を実現する。より事業の拡大、地域の活性化に寄与する

【事例 3】 不動産管理業 → ソフトウエア開発・システム開発業

AMBITION(東京)は、不動産向けのシステム開発のPC-DOCTERS(東京)の全株式を取得した。PC-DOCTERSは、ソフトウエア開発やインフラ構築など、様々なシステム開発を行う。AMBITIONは、都内を中心に不動産賃貸管理業を中心に、不動産仲介(賃貸・売買)などを行い、店舗も19店舗で運営している。昨今、IOT、AIなどのITを駆使した不動産に関するサービス提供に力を入れている。ソフトウエア開発などを、グループ内に取り込むことで、不動産業界向けのシステム開発を開始し、販売強化する。不動産業×不動産テック企業として、業界のITインフラ向上を目指す

「賃貸管理業界における買い手企業の特徴」

賃貸管理業を営む企業にとって、さらなる商圏・シェア拡大を狙うため、同業を買収するケースが、圧倒的に増加している。また賃貸管理業が、より生産性を出せる企業体へ成長するために、自社の足りない事業、内製化したい業務において、関連業種企業を買収するケースも増加しています。

特に賃貸管理業では、DXを推進する企業が増加しているため、ソフトウエア開発、システム開発などをグループ内にて内製化すべく買収を行い、DXを加速したり、そのノウハウを同業の賃貸管理業に売り込む動向もあります。

また賃貸管理業の関連業種企業が、自社の賃貸管理事業の生産性を上げ、効率化するため、また安定的なストック事業を展開する為、賃貸管理業を買収するケースも出てきています。

いずれにせよ、成熟し始めた業界事情の中で、買い手側、売り手側ともに、より成長・シナジー効果を目指したM&A戦略が基本となります。

「賃貸管理業界における売り手企業の特徴」

圧倒的に多いのは、事業承継者の問題がある。親族、従業員への承継予定者が固まらず、第三者M&Aをすすめている。また昨今では、まだ経営者自身がより成長に向けて事業経営を進めて行ける状態にあっても、経営者自身のセカンドキャリア(ハッピーリタイア、別事業などへの挑戦)を考えた上での譲渡が出てきています。

賃貸管理業は、典型的なストック事業であり、安定した収益が見込めるため、親族での承継が多く見受けられたが、昨今では親族承継者が不在であり、第三者へのM&Aが増加しています。

またコロナ禍をきっかけに、新規管理戸数拡大などの施策がとりにくくなり、今後の管理業務運営や、売上向上が見込みにくくなる予想があったり、既にその状態に陥り、譲渡へ進める場合もあります。

上記の中で、買い手企業は、自社よりも売上規模の大きなグループに入る事により、成長へつなぐ動きもあります。売り手の経営者自身は、経営者として残る場合、また社員を継続雇用する場合などになっています。

決して、マイナスの理由での譲渡だけでなく、より成長を目指して譲渡という手段を選択する場合も増えてきています。

PAGETOP