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スタートアップのM&Aとは?成功のための対策解説

  • M&Aコンサルティングレポート
スタートアップ M&A

・スタートアップとは?

近年注目を浴びつつあるスタートアップ企業ですが、「ベンチャー」との違いがわからない、という方もいるかもしれません。

まず初めに、「スタートアップ」について説明したいと思います。

実のところ、「ベンチャー」と「スタートアップ」には厳密な違いがあるわけではありません。どちらも新興企業のことをさしますが、違いとして「イノベーション」があるかないか、という違いになります。

スタートアップは単なる新興企業を指すのではなく、従来型のビジネスから外れた、新しいビジネスを構築する役割を担っています。また急速なイノベーションを可能にするためには大きな資金が必要となり、莫大な資金援助によって動いているのもスタートアップの特徴です。

・M&Aとスタートアップ

スタートアップのEXITの手段として、大きくM&AIPOの2つの手段があります。しかしながら日本におけるスタートアップのEXITの手段はIPOの比率が大きく、M&Aは現時点では主流とは言えません。

原因については様々いわれており、バリュエーションでの不一致や、のれん代等の減損発生の懸念などが要因だとみられています。

一方で、米国では、スタートアップのEXITとしてM&Aが頻繁に行われておりスタートアップ支援が活性化していることなどから、国内でもスタートアップのM&Aはスタートアップ側、買収企業側両者の中長期的な利益獲得のために注目され始めています

これからのスタートアップの戦い方として、M&Aの存在が大きくなりつつあるといえます。

・EXITとは?

前述した「EXIT」に関して、簡単な説明をします。

EXITはスタートアップを含むスモールビジネスへの出資者が、支援対象の企業から利益回収をすることをさします。「出口戦略」とも呼ばれ、スタートアップと出資者の関係の最終段階と言えます。

出資者はスタートアップへの援助資金を、このEXITによって回収し、利益を獲得します。つまり、EXITはスタートアップには出資者への価値提供の場、出資者には利益獲得の場を意味しています。

EXITの方法としては前述の通り、IPOとM&Aがあります

 ・IPO(株式開示)

今まで非公開だった株式を証券所で売買できるようにすることをさします。出口戦略としてIPOを行った場合、出資者は市場で株式を売却することで利益を得ます。

現時点では、日本で比率の高いEXITです。

 ・M&A(合併吸収)

自社を売却して、他社に買収されることをさします。

M&Aにはスキーム(手法)が様々ありますが、スタートアップのM&Aの場合「株式譲渡」が一般的です。出資者が保有する株式を、買収企業に売却することで出資者が利益を回収します

出資元が買収企業だった場合などは、「事業譲渡」のM&Aを行う場合もあります。

・スタートアップM&Aのメリット・デメリット

スタートアップのEXIT戦略としてM&Aを選択する場合、いかのようなメリット・デメリットが考えられます。

メリット

・短期間で実現できる

IPOを選択する場合、証券取引所の審査に通過する必要があり、その準備には3~5年かかるとも言われています。また、審査料にも多額の費用がかかり時間と資金を大きく消費する手法になります。それに対して、M&Aでは、買収企業との合意が素早く形成された場合、その時点で即座に成立させることが可能です。

・成功率が高く、再チャレンジしやすい

IPOが証券取引所の非常に厳正な審査を通りぬけなければ成立しないのに対して、M&Aは前述の通り、買収企業との合意が形成できれば実行することができます。審査に落ちて大金を失うこともなく、仮に不成立でも再チャレンジのハードルが低いため、安定性のある取引を行える可能性が高いです。

・シナジー効果を期待できる

売却企業の持つ新しいビジネス価値や、買収企業の資金力・ブランド力などよってシナジー効果を得ることが期待できます。

売上によるシナジーや経営コスト面でのコストシナジー、業務提携による経営シナジーなどが期待できます。

デメリット

・経営権が狭まる

スタートアップM&Aのほとんどが「株式譲渡」であり、経営権が買収企業へと移るため、経営者としての立場を維持することは難しいでしょう。条件によっては退陣となる場合もあり、会社から完全に離れる可能性もあります。

・利益が少ない

M&Aの場合IPOと異なり、両者の交渉と合意によって成立するため、買収企業の利益の観点から、スタートアップ側が得られる利益がIPOより少なくなる傾向があります。

・条件通りの買い手が見つからない

条件が一致し、素早くM&Aが完了するケースもありますが、望んだ条件の買収企業が見つけられるとは限りません

マッチング率を上げるためにも、買い手が求める点を理解し、自社の企業価値を高めることが求められます。

・従業員からの信用

大企業への組織統合や経営方針の変化がスタートアップ企業の従業員の不安を生み、離職等につながる可能性があります。

 

・M&Aスタートアップ成功のための対策

M&AによるEXITを成功させるためにも事前の対策が重要になります。考えるべきポイントや対策をご紹介します。

・タイミング

M&Aを行うタイミングとして、市場の傾向から自社が属する分野の需要が高まっているタイミング、また社内の状況として継続的に成長傾向にあり、業績も好調であるタイミングにM&Aを行うことで最大限の利益を獲得することができます

・シナジーのある買い手

単に相手が大企業、というような点ではなく、自社の強みと買収企業の強みを分析して、売却後に十分なシナジー効果を期待できるか検討しましょう。

・バリュエーションのすり合わせ、交渉

相手企業とのマッチングの時点で目的に沿った相手か見極めることや、エグゼキューションにおけるバリュエーションの段階でお互いが期待する利益のすり合わせ条件の確認を入念に行いましょう。

・従業員への対応

M&A成立後の組織統合(PMI)の際に、スムーズに統合が行われ、従業員が安心して会社に在籍することができるよう事前に条件を確認することや、従業員にM&Aを伝えるタイミングに配慮することを徹底しましょう。

・M&Aスタートアップの相談

M&Aはプロセスが複雑で、必要となる知識も多岐に渡るため、専門家への相談は必要不可欠です。

スタートアップのEXIT戦略でM&Aを行う場合、M&Aでの懸念材料となる利益面や従業員への対応、自社の企業価値といった点や、買収企業とのマッチングや交渉の部分でも、専門性のあるコンサルタント等を活用することは非常に有効です。

・まとめ

スタートアップのM&Aは日本国内ではまだまだ成長途中ですが、増加傾向にあります。IPOと比べて短期で利益獲得を見込めることや、ハードルが低いこと、大企業とのシナジー効果を得られるという点を活かして、スタートアップM&Aを検討されてはいかがでしょうか?

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