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事業承継についての考察~代表者連帯保証と事業承継特別保証制度~

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事業承継・M&A

1.足枷となる”経営者保証”

経営者がその経営する法人で銀行取引を行う際に、必ずと言っていいほど「連帯保証人」としてのサインを行っている事と思います。この連帯保証人というのは、銀行からの返済を法人で滞らせてしまった場合、貸し手である銀行が直ちに経営者本人に請求を行うことが可能になるというものです。筆者がお付き合いしている企業の経営者様でも、もともと連帯保証を差入れていた方が多かったように思います。その中でも「連帯保証は経営者である責任」という意見をお伺いすることもありました。

その中でも、事業承継時についてはこの連帯保証は大きな落とし穴になることが多くあります。平成30年度中小企業機構の実施したアンケートによると、後継者のうち3人に2人は、この連帯保証を理由に事業の承継を拒否しているという事実があります。

2.事業承継特別保証制度とは

この連帯保証について、令和2年という年は非常に大きく方向転換がされているように思えます。その中の一つの施策が「事業承継特別保証制度」です。これは、令和2年度より開始する施策で事業承継時に金融機関による経営者保証の解除を後押しする為の制度です。概要としては、事業承継を更に促進させる事を目的に経営者保証(連帯保証と同義)無しでの借入を促進する保証協会融資が始まったという形になります。

これは、次の要件※を満たす場合に、経営者保証を解除する保証制度で、事業承継期(3年以内の承継を予定)で、「事業承継計画」を作成している法人、または、令和2年1月から承継を実施、承継日から3年以内であれば遡って適用が可能になります。
※①資産超過であり、②返済緩和債権(リスケ対象のもの)がなく、③EBITDA有利子負債倍率{(借入金-現預金)/(営業利益+減価償却費)}が10倍以上で、④社外流出がない。

既存で経営者保証のあるプロパー借入も込みで、借換を可能とするという異例の制度で、これについては行政の本気度を伺い知ることが出来ます。元来、プロパーの借入を保証協会の融資に切り替えることについては、旧債振替と呼ばれ銀行が負っているリスクを保証協会に付け替える事となってしまう為、原則これが行われたことが発覚すると保証協会での取引が出来なくなるなどの厳しい対応を迫られることが多くあります。そういった背景がある為、この借換も可とする対応については、注目せざるを得ません。

この制度を利用する為の保証料率は、0.45%~1.9%となっていますが、47都道府県に配置された経営者保証コーディネーターによる確認を受けた場合、0.2%~1.15%に削減が為されるようになっています。

借入期間は、一括返済を選択すると1年以内となっていますが、分割返済を選択すると、10年以内据置期間1年以内を選択でき、柔軟な期間設定が可能になるような制度設計となっています。

3.まとめ

このような形で、政府的な動きとしては、事業承継を促進させる方向で各種制度を整えていくことが行われています。前提として大切なことは、自社の財務の中でどのような現状となっているのかの「正しい」把握と、承継までに資金が貯まる動きを取っていくことです。今回のこの制度は、連帯保証(経営者保証)についての解決策としては有効な一手になるとは思います。

各種条件面の部分で具体的に自社が該当するのかどうか?自社の借入や保証についての適切な現状把握を行いたいということがあれば、弊社の専門コンサルタントとの経営相談のお時間をご用意させて頂いております。
M&A、事業承継の準備を検討されるのであれば、是非ご活用下さいませ。

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