譲渡をご検討中の方 買収をご検討中の方

パチンコホール業界における2022年のM&A動向の振り返り

  • ぱちんこ M&Aレポート
パチンコ M&A 売却 2023年版

M&Aの手残りが増える税務上のメリットあれこれ

2022年は少なくとも情報島に公表されているだけでも約40件のM&Aが成立したパチンコ業界。パチンコ店の事業譲渡事例も多くありましたが、それに加えて、遊技機メーカーのM&A成立事例もありました。また、特にパチンコ店の事業譲渡においては「吸収分割」という事業譲渡スキームが多く選択されていますが、他にも様々なスキームが選択されています。「株式譲渡」を選択することで官報公告工程を省くなど、成立までのスピードを重視するという事例。また、新設会社を買い手様が引き受けるのではなく、新設会社は売り手様に引き継いでもらう元々の会社を買い手様が引き継ぐというスキームもあります。特に売り手様には税務上のメリットがある事業譲渡の方法です。他業種に比べて譲渡金額が比較的高額になるパチンコ業界のM&Aでは、税務上のメリットを追求した様々なスキームが検討されます。M&Aの成立においては、売り手様・買い手様の双方が協力し、「吸収分割」以外の様々なスキームを模索する工程はとても重要です。

場合によって、売り手様・買い手様の双方にメリットのある事業譲渡事例としては、「土地」や「土地・建物」を賃貸にするという方法。信用力のあるパチンコ法人といえども、1物件あたり10億円を超える資金調達は難易度が上がります。対象物件の「土地」や「土地・建物」を賃貸にすることで、資金調達の総額を減らすことができる。双方のメリットが合致する場合があるスキームです。逆に、「土地・建物」を買い手様が購入するスキームにて、買い手様が資金調達を進めやすくなり、事業譲渡を成立し易くなるというスキームもあります。

2023年以降、パチンコ業界は一部店舗のM&A事例だけでなく、企業総てをM&Aで事業譲渡する事例も増えるでしょう。大型のM&Aになるほど、様々な事業譲渡スキームが検討されるべき。様々な事業譲渡スキームのメリット、デメリットを整理した中で売り手・買い手の双方がベストと思える手法を選択する。手前味噌ですが、弊社が担当するパチンコ業界事業譲渡の業務では、「売り手様・買い手様のマッチング」というコンサルティングはもちろん最重要業務。加えて「本件においては事業譲渡のスキームは何がベストか?」というコンサルティングは同じくらいの重要度を占める業務です。

2022年10月末で7000軒を切ったパチンコ店。売り手様の本音とは?

また、2022年も、弊社には、多くの事業譲渡相談を頂戴しました。そんな相談を総括する中で、売り手様の心境は下記に集約されるかと思います。

売り手様の心境

 ☑「スマート遊技機の投資についていけない。追加投資よりも事業譲渡を選択したい」

 ☑「パチンコ業界の将来性が見えない。遊技人口も減少傾向、市場規模も縮小傾向で業界全体に魅力を感じない」

 ☑「規制が厳しく、営業手法に自由度がないので創意工夫がしにくい」

なかには

 ☑「パチンコ事業の経営に疲れた。マンネリ感がある」

という御意見もあります。

総じて「大手パチンコ法人との競争についていけない」「経営者としては十分に満足した。ただ、個人的には事業を続ける意義を持てない」という本音もあると思います。

逆に、積極的なM&Aを実施する買い手様の意図です。

買い手様の意図

 ☑「自社のスタッフの年収を増やしたい。スタッフが活躍するステージを増やしたい。本人が考える成長スピードを上回る成長を自社が実現することで、優秀社員が離れないように努めたい」

 ☑「取引先との関係性を有利にするには自社の事業規模拡大が必須」

 ☑「自社がお客様から支持をされている既存店の営業手法・経営手法が他のエリアでも通用するか?に挑戦したい」

総括すると「社員・従業員のため」「パチンコ業界全体の商慣習を進化させるべく自社が頑張る」といった考え方が根底にあります。

ただ、売り手様としては、M&Aによる他社事業承継だけでなく、MBO(マネジメントバイアウト。既存従業員に既存事業を引き継いでもらう)や、サラリーマン社長への事業承継という選択もあります。私は年々経営者業をされている方に尊敬と畏敬の念を高めていますが、ただ、そんなスーパーマンな経営者業といえども、万能ではないです。激務で心身ともに疲れる気持ちになるのは当然です。ただ、他社譲渡だけでなく、様々な事業継続の選択があるので、狭視野に陥らず、手塩にかけた事業の継続とご自身の人生を楽しんでいただければと思っております

売却を実施した企業が有力な買い手に転じる理由とは?

また、売却を実施した企業様が有力な買い手に転じる事例も多くあります。店舗数を半分に減らした某社は、その効果で

「社員の不正撲滅。また、不義理社員と無理して付き合わなくても良くなった」

「非効率店、不採算店を経営する精神的な苦痛」

といったメリットを享受。「内部留保の改善」も実現し、満を持して事業拡大に転じておられます。別の某社は、基幹店を売却することで、既存店投資の原資を獲得。基幹店があった期の年商を上回る実績を達成されています。ポイントは、「不義理社員」「非効率店」といった精神的な苦痛を減らすことで、前向きな推進力を得たという点です。現在も事業を続けているパチンコ法人各社は、比較的パワーがあるので、どうしても「捨てることで得られる推進力」を軽視しがちです。

スマート遊技機(2023年最重要投資テーマ)とM&A

M&Aからは横道に逸れますが、2023年の最重要投資テーマである「スマート遊技機」においても然りです。「スマートパチスロ」も積極投資する。「スマートパチンコ」も積極投資する。「ジャグラーやAタイプ」も積極投資。総てを追いかける営業手法を選択するパチンコ法人は間違いなく営業が破綻すると思います。どんなに資金が豊富でもそれは無理筋というものです。投資総額が大きくなる「スマート遊技機」投資においては、優先順位という生易しい経営判断ではなく、劣後順位という決断が必須になります。ちなみに劣後順位とは、「やるべきでないことを決める」ことです。

多角化実現は「M&A」が絶対ベスト

また、パチンコ法人各社からは、パチンコ事業に続く第二本業、第三本業づくりに関する経営相談も多く頂戴します。多角化実現に際しては「自社で一から新規事業を立ち上げる(コンサルタントに立ち上げを手伝ってもらうことも含む)」「FCジー加盟」「成功している事業社をM&Aで取得」という三択が検討されることが多い。他業種法人に比べて、比較的投資能力があるパチンコ法人は、多角化実現に「M&A」を選択するのが絶対にベストです。というのも新規立ち上げ(新規立ち上げをコンサルタントに手伝ってもらう)は、物件探しという膨大な時間や、人材育成という時間がかかります。「FCジー」は、信頼のおけるFC本部に出会えるか?が重要。それに比べて、「M&A」は、成功している事業社を引き継ぐので時間とノウハウ・経験が短縮できるのです。

時間を買う発想を含めた「M&A」

また、パチンコ法人各社においても、成功している多角化の多くは、やはり「M&A」が選択されています。一から立ち上げるのは、どんな業種も相当にパワーが要るのは当然。しかし、コングロマリット経営を実現している企業様の多くは、「M&A」を上手に活用されています。「M&A」による事業拡大を7~8割。一からの新規立ち上げが2~3割。これくらいの割合です。この多角化においてもパチンコ法人の悪い癖が出がちで、自社のパワーを過信してしまうことがある。パチンコ法人は投資能力もあり、比較的パワーがあるのは間違いないのですが、ただ、それを過信し過ぎないこと。そして、時間を買う発想も含めて「M&A」を有効活用すべきと思います。

M&A仲介専門会社と船井総研の比較

船井総研は依頼社の業績アップ実現に並走する会社です。何が何でもM&A仲介を成立しないとビジネスにならないM&A仲介専門のコンサルティング会社とは大きく異なる点がここになります。なので、依頼社のベストがM&Aでなく、経営相談を受ける中で別の経営手法だと整理されれば、親身法でそれをご提案・実現に向けて並走するのが船井総研のスタンスです。また、船井総研に限らず、コンサルティング会社各社に相談をされる際は、一部の経営手法に陥らず、自社のビジョンや事業拡大方針等をお話しされ、それを理解してもらった中で親身になって並走してくれるコンサルティング会社とお付き合いされることを心からお勧めします。

PAGETOP