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整骨院における2022年のM&A動向の振り返りと整骨院業界2023年時流予測

  • 整骨院 M&Aレポート
整骨院 M&A

整骨院の2022年の経営動向の振り返り

整骨院・接骨院は、交通事故や日々の生活におけるケガ・痛みに対して、投薬・手術ではなく無血療法の施術により治療を行います。

店舗数は2018年に5万件を超え、いまだに増加傾向となっています。

厚生労働省「令和2(2020)年度 国民医療費の概況」によれば、令和2年度の国民医療費は42兆9,665億円であるのに対して、柔道整復師の療養費は2,863億円となっており、平成28年度の3,663億円から段階的に減少傾向にあり、保険を主体とした運営は厳しく、大部分が自費メニューを取り入れることで経営を成り立たせています

さらに今後も柔道整復師の療養費は減少していく可能性が高く、自費メニューでの高収益化によりビジネスモデルを確立していく必要があります。

採用の面においても柔道整復師は、令和4年で受験者数・合格者数・合格率ともに前年を下回っており、年々合格者数が減少していく中で、人的資源の確保が極めて重要になっています。

コロナ禍によりオンラインでの採用活動が促進されており、今後の採用活動としては、自社ホームページとは独立した採用専門ページを作成することに加え、SNSを活用した自社情報の発信を定期的に行い、就職希望者の目に留まるように採用戦略を切り替えていく必要があります。

また、転職市場の発展により既存社員の離職も懸念されており、勤務時間・給与・独立との比較などによる離職を防ぐため福利厚生制度・早期育成制度・人事評価制度の設計も重要です。

生産性の面においても、商品・価格設計を行い、問診から次回リピートまでのオペレーションを精査し、WEB集客を中心とした集客を行っていき、向上を図る必要があります。

商品としては、サブスク型のものを取り入れリピート率の向上を図ることが生産性アップの条件となります。

また整骨院は社員一人一人のモチベーションも大きく影響するビジネスになります。

何のために柔道整復師になったのか、仕事の達成感は何か、自身のキャリアプランをどう考えるべきか、院としてのパーパスは何かなど、仕事そのものに対するやりがいを明確にして、自社ブランドを確立していく必要があります。

以上の要因から、従来の整骨院・接骨院から、根本的な変革が求められており、業界では好不調の二極化となっています

整骨院の2022年のM&A動向の振り返り

整骨院における、M&A 件数は、レコフ M&A データベースによると 2022 年は16 件(データ種別を M&A、検索期間を 2022 年 1 月 1 日~2022 年 12 月 31 日と設定し、フリーワード検索で整骨院と設定した際の件数データ)。

店舗数を伸ばし、数十店舗になっている企業はブランド設計もできており、M&Aによる買い手としてロールアップを検討していることが多くあります。

一方で5店舗未満であればM&Aによる売り手として資本力かつ成長力のある企業との資本提携を検討する企業も多くあり、M&Aによる組織再編が水面下で多く発生している業界です。

買い手としてのM&Aのメリットは、店舗出店~軌道に乗せるまでの時間を買うことです。

スケールメリットを高めることで業界運営にて必須の商品設計・採用・生産性向上・資金調達の効果が大きく出るためです。

譲り受けた企業のブランド力が高ければそのまま活かして店舗展開を図ることによって、同エリアに別業態の店舗展開が可能になるなど、M&Aによるシナジー効果は高いです。

この他、人材の確保、拡大による社員の出世ポストが増える、競合防衛のためのM&Aによるエリア展開、ホールディングス化により金融機関からの資金調達力が上がり、より投資しやすい環境となるなど買い手側の目的は多岐にわたります。

業界上位層はほとんどの企業がM&Aによる拡大を検討しており、上位層同士の大規模M&Aも発生しています。

上位層同士のM&Aでは、出店戦略を進めた結果による財務状況の悪化により発生する再生型M&Aが多くを占めますが、自社単独での成長スピードからより加速度的に成長を目指すための成長戦略型M&Aも一部見受けられます。

M&Aの目安としては少なくとも自社規模の2分の1以下としていただくことで、急激にマネジメントの工数が増え業績が悪化するなどの事態を防ぐことができます。対等合併のようなM&Aは、M&A後の意見の相違などによる分離にもなりうるため、慎重な判断が必要です。

売り手としてのM&Aのメリットは、自社の株式を現金化できることが主たるものになりますが、数年後のビジョンが描けない企業にとっては優良企業との資本提携によってノウハウを共有し、成長していくことにより、社員の雇用や地域住民の健康を守っていく社会的意義もあります。

開業から5店舗までの店舗展開はマンパワーで進めてきたが、マネジメントに限界を覚え譲渡するという理由が圧倒的に多く、M&A後に自身は柔道整復師としての業務をメインとしてやっていきたいという希望をされるオーナー経営者が多いです。他業界に比べ、経営者年齢の若い業界ですので、後継者不在から事業承継型M&Aを検討される企業は実は少ないです。年齢的にも40代~50代でのM&Aによる譲渡を検討し、その後は買い手企業にグループインし経営陣の一人としてやっていく方、柔道整復師としてやっていく方、全く別の新規事業を展開される方などセカンドライフは様々です。

整骨院・治療院の企業価値相場

整骨院・治療院M&Aにおいて考えられる企業価値相場については、

・店舗数

・柔道整復師の人数

・店舗立地(今後も集客が望める立地か)

・出店エリア(その後の出店可能なエリアであるか)

・店舗あたりの年商規模・収益規模

によって基本的なバリュエーションが評価されます。

企業で出せる年間収益の3~5年分を企業価値として算出し、店舗数や人材が豊富にあれば、プレミアム価値がつく場合があります。

逆に立地としてNGな場所であることなどが見受けられると減額となる場合があります。

また店舗数が1店舗でのM&Aは買い手側のメリットである「時間を買う」という目的からは離れるため、シビアな評価を受ける可能性が高く、買い手・売り手の条件が一致しないことが多くありますのでM&Aによる売りを検討する場合は事前の準備、アプローチの方法について専門家と協議しておく必要があります。

また企業の財務状況も譲渡条件に大きく影響します。

上記の企業価値に加え、資産の評価として、現金預金、商品在庫、機械・器具、土地・建物の時価を算出します。

一方で借入金、回数券などの預かり金、従業員の退職引当金の時価を算出します。

時価評価された資産と負債の差額がプラスとなれば上記企業価値にプラスされますし、差額がマイナスとなれば上記企業価値にマイナスされます。

整骨院・治療院M&Aにおいて次の3つが重要な論点となります。

・販売済みの回数券販売に見合う資金が企業内にないケース

財務状況が悪化している企業に多く見受けられるケースです。

先に回数券を販売した際に、会計処理をすべて売上に計上してしまい、預り金(負債)として計上していないことから、簿外負債として調査時に判明します。

さらに施術未遂の状態で預かっている資金を運転資金に使ってしまい、その後の施術時にも資金はもらえないことから、資金繰りがさらに圧迫することになります。

・保険適用の不正請求がされているケース

柔道整復師の施術のうち、保険適用が可能なものとしては「骨折、脱臼、打撲、ねんざ」など限られています。

これ以外の保険適用ができないメニューに対して不正に保険請求を行ったり、水増しした保険請求を行う整骨院・治療院が譲渡企業として存在することで、買い手としてはコンプライアンスが遵守できていないとして断念することも多くあります。

特に上場企業が買い手となる場合は条件面以外には最も重要な論点となり、調査も慎重に行われます。

・社員の勤務時間に残業が多く見受けられるケース

企業の粗利益から人件費をどの程度拠出しているかを図る指標として、労働分配率というものがあります。

低ければ低いほど、生産性が高いと見れるものですが整骨院・接骨院では労働分配率が業界平均と比較して極端に低い企業があります。

決算書を一見すると利益率が相応に高く、収益体質に見えるかもしれません。

ただ、この要因は社員の退職が相次ぎ、残った社員が膨大な残業を強いられている可能性もあり得るという点です。

しかも残業代を十分に支払っていないことから、人件費がその分浮いていて、労働分配率が低くなり、一時的には収益体質の企業になります。

ところがこれを放置しておくと、M&A後に大量離職が発生したり、社員から残業代未払いによる訴訟が発生したりすることで運営自体が危ぶまれ、成長どころではなくなる可能性があります。

適正な人員配置、勤務時間、残業代の計算、過去退職者の推移とその理由などの調査が行われます。また、企業によっては従業員退職金制度をつくっていることもあります。

この場合に、退職金引当金として資金を留保しているのかどうかも譲渡対価に影響を及ぼしますので注意が必要です。

M&Aは基本的に会社ごと譲り受ける「株式譲渡」スキームが一般的となりますが、

整骨院・治療院特有の懸念事項があることから、事業に必要なものだけを譲り受ける「事業譲渡」スキームが使われることも多くあります。

事業譲渡スキームであれば、会社の簿外負債なども引き受ける必要性はなく、のれん代として支払う対価も経費として処理できるため、買い手としても検討しやすいスキームです。

ただし、事業譲渡スキームでM&Aをする場合は次の部分に注意が必要となります。

・社員はすべて再雇用手続きが必要となる

・事業主体が変わるため、回数券の引継ぎ対応について協議が必要

・店舗が賃貸の場合、家主との新規契約手続きが必要

・屋号変更・業態変更などにより患者に対する説明が必要

スキームとしてはメリットが高いものではあるものの、M&A後の手続き面で煩雑になるということもありますので

スキーム決定については総合的な判断が必要となります。

このように整骨院・治療院M&Aでは留意点が様々あるものの、

買い手が多く存在している業界であり、M&Aのメリットも多くあります。

買い手としてM&Aによる成長戦略を検討している企業は、仲介会社に紹介依頼をしておくことが必須です。

何でもいいからほしいというよりも、自社の買収ニーズを明確にしておくことで紹介がスムーズになります。

売り手としては、店舗数が少ない場合でも自社業績を総合的に判断すると条件に見合った譲渡ができる場合もあります。M&A専門家と協議して譲渡戦略を練っておくことが重要です。

整骨院業界の2023年時流予測につきましては、下記の時流予測レポートもご覧ください。

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