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M&Aにおけるインサイダー取引について、規制と対策する上での重要なポイントをわかりやすく解説

  • M&Aコンサルティングレポート
M&A インサイダー

インサイダー取引とは

インサイダー取引(内部者取引)とは、非公開の重要情報を知っている全ての会社の関係者や取引関係者が、その重要情報が公表される前に有価証券の売買を行うこと、若しくは情報を他者に伝達したり、他者へ取引の推奨を行うことです。非公開の重要情報を知っている会社関係者及び取引関係者は、その情報が公開された場合の株価の変動を予測することが可能です。こうした行為は証券市場のみならず、金融市場全体の信頼性を損なう行為であるため、金融商品取引法でインサイダー取引は規制されており、違反者には非常に重い罰則が設けられています。

インサイダー取引の事例

伊藤忠商事株式会社によるファミリーマートの公開買い付けに際して

令和2年に伊藤忠商事と関係のある法人の役員は伊藤忠商事によるファミリマート公開買い付けに関するインサイダー情報を知り、公開買い付け実施の約3時間前に買付株数2000株・買い付け価額約350万円のファミリーマート株の買い付けを行った。

年間のインサイダー取引の件数

経済産業省の証券取引等監視委員会によると、令和4年度においては、年間350件のインサイダー取引が摘発されており、課せられた追徴金(後で説明します)は合計約10億円に上ります。

インサイダー取引に関する規制の対象

インサイダー取引に関する規制の対象者・対象情報・対象行為を理解することはインサイダー取引を回避する上で非常に重要です。

規制の対象者

M&Aにおけるインサイダー取引においては、当然、買い手企業の従業員や売り手企業の従業員は規制の対象となりますが、両社の元従業員であって、売買に関する情報を得られ若しくは得た場合は規制の対象となります。その他、取引先の会社関係者やM&A仲介業者・コンサルタント・顧問弁護士・公務員なども含めた情報を得ることができる両社のすべてのステークホルダーは規制の対象です。加えて、第一次情報の受領者もまた規制の対象ですが、第二次以降の情報受領者に関しては、投資行動に対する萎縮効果を生じさせないために規制の対象外となっています。

規制の対象となる情報

規制の対象となる重要事実には決定事実・発生事実・決算情報・バスケット条項があります。規制対象の各例は以下の通りです。

決定事実:買収・合併・有価証券の発行等

発生事実:損害・主要株主の異動

決算情報:業績予想

バスケット条項:上記以外で、運営・業務または財産に関する事実で投資者の投資判断に影響を及ぼすもの

規制の対象となる行為

インサイダー取引に関する規制では株式を含めた有価証券の売買のみならず、情報伝達や取引推奨行為も規制の対象となっています。また、インサイダー取引は利益の有無は無関係で処罰されます。しかし、事実公表後の売買では該当しません。

インサイダー取引に関する罰則

刑罰

個人の場合は5年以下の懲役または500万円以下の罰金、法人の場合は5億円以下の罰金が課せられます。さらに、インサイダー取引によって得た財産は没収されます。

追徴金納付命令

追徴金納付命令とは、インサイダー取引規制の違反者に対し金銭的負担を課す行政上の処分のことであり、追徴金が課されます。

インサイダー取引を未然に防ぐには

会社としても、従業員がインサイダー取引で摘発された場合は世間的な信用を失い、株価の下落などの影響が出ることもあります。そのために、従業員含めすべてのステークホルダーに対してインサイダー取引を未然に防ぐ施策を検討する必要があります。

研修

まずは、インサイダー取引が重罪であることや、インサイダー取引の線引きなどの説明を研修等にてしっかりと行う必要があります。特に会社の密接なステークホルダーであるM&A仲介業者やコンサルティング企業、顧問弁護士事務所等は有価証券の取引の有無に限らず顧客情報を慎重に扱う義務があります。

有価証券取引の会社による事前把握・管理

顧客情報を多く扱い、インサイダー情報を多く扱う企業では自社の従業員が有価証券の取引を行う際に、従業員が会社にその旨を提出し、会社が承認する必要があります。また、就業規則にて雇用期間中及び退職後の一定期間において特定有価証券の取引を禁じている会社も存在します。有価証券の取引は従業員の自己責任ではなく、会社側が管理をすることが有効です。

まとめ

M&Aや金融市場に限らず、あらゆる取引においてインサイダー取引はその市場のバランスを崩壊させる可能性のある行為です。インサイダー情報が1つ漏洩することによって当該取引が無効になることに限らず、最悪の場合は市場全体に悪影響を及ぼします。そのため、日本に限らず各国でインサイダー取引に関しては規制と罰則が設けられています。M&A取引において、経営陣はもちろん、その他従業員や関係者に対してもインサイダー取引に関するルールを遵守させる必要があります。

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