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医療・介護における2022年のM&A動向の振り返り

  • 医療・介護 M&Aレポート
介護 M&A

加速する少子高齢化

厚生労働省によれば、日本の総人口は近年減少局面を迎えており、2065年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は38%台の水準になると推計されています。

また、団塊の世代の方々が75歳となる2025年には、75歳以上の人口が全人口の約18%となり、2040年には65歳以上の人口が全人口の約35%になると推計されています。諸外国と比較しても、日本における少子高齢化の動きは継続しており、今後も人口の推移や人口構造の変化を注視していく必要があります。

医療業界の動向

日本の医療機関、特に診療所においても、医師の高齢化が顕著です。診療所に従事する医師の平均年齢は60.2歳と年々高齢化が進んでおり、80歳台の医師がいまだに現役で活躍しているといった話も聞かれます。

当然、高齢だから問題であるという訳ではありませんが、手先の繊細な技術を必要とする外科などでは患者としては心配になるのも事実です。また、近年では電子カルテシステムや電子処方箋の導入が推進されており、それらを積極的に活用していこうとする厚生労働省の方針に沿うならば、やはり一定の若返りというのも必要でしょう。

特に我が国は、2018年度の診療報酬改定から「かかりつけ医制度」を推進しています。

日本医師会では、かかりつけ医を「健康に関することを何でも相談できる上、最新の医療を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介してくれる、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義しています。

つまりは、かかりつけ医は地域医療の「入口」であり、適切な采配を行う「要」であるという訳です。その重責を担うには、診療所の運営が安心して継続できることが前提となってきます。

しかしながら記述の通り、医師の高齢化が進み、事業承継がうまく進んでいないという現実があります。後継者候補の子供が都市部で開業し、後継ぎがいなくなった地方の診療所。せっかく子供が医師になったのに、経営リスクを嫌い勤務医としての生活を選択される…などといったことは、どの地域においてもよく聞く話です。

介護業界の動向

一方で介護業界においては経営者の高齢化が顕著に進んでいるといったことはありませんが、そもそも論として、地域社会におけるサービスの地域的偏在の防止やサービス水準の維持を目的として、自治体が施設数を制限する「総量規制」が引続き運用されており、一般的な営利事業と比較して、参入障壁は非常に高いものとなっています。

日本の財政的な問題も背景にはあり、高齢化が進み需要が拡大する中においても、簡単には事業者数が増えないジレンマを抱えています。

解決方法としてのM&A

では、どのような解決方法があるのでしょうか。その答えの一つがM&Aであり、実際にその件数は公表されているデータだけでも増加基調にあります(レコフM&Aデータベースより参照)。

【医療・介護サービスのM&A件数】

2022年 155件(データ種別をM&A、検索期間を2022年1月1日~2022年12月31日と設定し、業界を介護・医療サービスと設定した際の件数データ)
なお、直近4年間で毎年増加している傾向にあります。

医療…M&Aによる診療所承継(第三者による事業承継開業)

(売り手) 創業者利益の確保

      職員の雇用維持

      患者引継ぎによる地域医療体制の維持

(買い手) 設備引継ぎによる初期投資額の抑制

      医師、看護師などの専門職人材の確保

      患者引継ぎによる早期の経営安定性の確保

介護…大手資本による中小介護事業者の買収・事業譲渡

例:株式会社ケア21(総合福祉事業・東証スタンダード)による有限会社シィノン(訪問介護事業・大阪府豊中市)の株式取得、2022年4月

例:株式会社インターネットインフィニティー(総合福祉事業・東京グロース)の連結子会社である株式会社カンケイ舎が、株式会社合の家(住宅型有料老人ホーム・訪問介護・居宅介護支援・千葉県市原市)が運営する有料老人ホームを事業譲受、2022年12月

(売り手) 大手グループインによる信用力向上

      営業、人的資源の活用

(買い手) スピーディな事業展開の強化(営業エリア拡大)

      サービス向上へのシナジー効

簡潔にまとめましたが、売り手、買い手共にそれぞれメリットが享受でき、なおかつ最大のポイントとしては「地域包括ケアシステム」を維持できる点があげられます。

「地域包括ケア」とは、「医療や介護が必要な状態になっても、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した生活を続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される」という考え方であり、地域社会にとってその維持は、社会貢献度が高いことは言うまでもありません。医療や介護を生業とする事業者にとって、これはこの上もないパーパスでもあります。

終わりに

少子高齢化が進む日本、それでも参入障壁の高い医療・介護事業。一方で高齢化が進む診療所、複雑化・難易度が増す介護制度…これらに対応するためには常に変化し続けるしかありません。自力単独での適応が難しければ、第三者や大手資本の力を借りればよいのです。この流れは今後ますます加速することが予測されます。

点だけ注意点があります。どのような選択肢においても、ベストな選択を行うには相応の時間と労力が必要です。そして早めに準備を進めることが肝心です。そこは船井総合研究所が全力でサポートさせて頂きます。明るい未来を掴むために、まずは一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

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