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建設業 M&Aレポート

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電気工事業界における2022年M&A動向の振り返り

電気工事業界における2022年M&A動向の振り返り

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電気工事 M&A

電気工事業界の2022年市場動向

電気工事業界は、建設業界でサブコンと呼ばれる設備工事業界のひとつです。電気工事、空調工事、通信工事等が存在し、また、電気工事の中でも、送電網や電柱などの敷設工事のほか、住宅、ビル、工場の電気配線、配電盤などの機器の取付・施工工事等があり、電力会社からの受注、ゼネコン(総合建設会社)からの受注、建物所有者からの直接受注など、様々な形態がある業界であります。

また、当該業界においては、新築時における電気工事だけではなく、我が国には、1990年前後に建設された建物が多くあることから、点検・修理・リニューアル工事なども底堅い需要があります。

さらに、昨今の再生可能エネルギー需要の高まりから、太陽光発電等の再生可能エネルギーに関連するような環境関連工事も注目を受けています。

しかし、一般社団法人日本電設工業協会による、会員企業の経営実態調査によれば、令和2年度における電気工事受注高は、3兆4,624億円と、前年度比5.4%の減少となり、東京オリンピック・パラリンピック関連の需要増からの反動や、アフターコロナにおける建設需要の動向にも注視が必要ではありますが、右肩上がりでの市場大幅拡大は見込めないものと想定されます。

 

この業界の特徴としては、工事の施工・監理には、電気工事施工管理技士、電気主任技術者等の専門の国家資格を有した人材を確保する必要があり、人的要件の確保に係るコスト負担は、他の業界などと比較した場合に、経営に与えるインパクトが相当高いものとなっています。

また、昨今の新型コロナウィルスの影響国際紛争による半導体不足等に伴う資材高騰・納期遅延なども大きな影響を与えるものとなっています。

さらに、先述の一般社団法人日本電設工業協会の統計によれば、会員企業約220社のうち、約65%が資本金1億円以下の中小企業であり、上記のような経営に対する影響が長期化するようであれば、財務基盤が脆弱な中小企業においては、市場環境の変化への対応が追い付かず、経営の根幹を揺るがす可能性が出てくるものと思われます。

いずれの業界にも共通する部分もございますが、経営者の高齢化後継者不在等からの事業承継問題を発端とする譲渡側におけるM&Aの検討の増加事業領域の拡大専門資格を有する人材の確保等、成長を企図した譲受側におけるM&A戦略等から、M&Aの件数は、一時的に新型コロナの影響はあったものの、増加傾向にあり、電気工事業界においても、このような市場環境の変化を見越して、2022年にも多くのM&Aが成立しています。

電気工事業界の2022年M&Aのピックアップ事例

実際に昨年2022年に公表されている電気工事業界のM&Aについて、事例をもとに、その戦略等についてご紹介・ご説明させて頂きます。

【M&A事例1】

2022年4月には、オリックス株式会社による、株式会社HEXEL Worksの買収が公表されています。株式会社HEXEL Worksは、マンションの配線工事等を行う電気工事業者であり、オリックス株式会社の不動産事業との相乗効果が見込めると判断し、一部報道によれば、その買収価格は400億円と伝えられており、オリックス株式会社としては、一時控えていた企業投資を本格再開するきっかけとなっています。

【M&A事例2】

2022年9月には、JESCOホールディングス株式会社による、阿久澤電機株式会社の完全子会社化が公表されています。

JESCOホールディングス株式会社は、当該業界でも積極的にM&Aを推し進め、事業強化に取り組んでいる企業ですが、群馬県高崎市を拠点とし、100年を超える事業基盤で、官公庁や上場企業からの受注実績を多く有する阿久澤電機株式会社を完全子会社化し、北関東エリアでの業容拡大と、グループ会社間での人材交流・シナジー効果を期待しての買収となっています。

【M&A事例3】

2022年12月には、高島株式会社による新エネルギー流通システム株式会社の株式取得による子会社完了が公表されています。

高島株式会社は、建設資材・太陽光発電システム・産業用資材や繊維まで多くの商材を取り扱う多角的商社でありますが、電気工事の設計・施工の中でも、太陽光発電設備、蓄電池、オール電化製品等を販売する新エネルギー流通システム株式会社を子会社しています。これは、日本全国に販売ネットワークを有する高島株式会社において、幅広い機能を提供するとともに、持続的成長企業への転換を図った基本方針の一環としての投資実行とされています。

まとめ

M&Aは、企業経営の中で大きな転換点になるものです。譲渡側・譲受側のいずれの当事者になる場合においても、あらかじめ、きっちりとした前準備と時機を逸しない経営判断が必要になってきます。

船井総合研究所においては、前準備のことを、「前始末」と表現し、あらゆる仕事・経営の成果は、「前始末」で決まると表現しています。

もちろん「後始末」も、次のプロセスへのステップアップとして重要ではあるのですが、こと「前始末」を徹底することで、物事が円滑に進む確率がアップすると考えられることから、まずは、経営者ご自身での日々の情報収集はもちろんのこと、必要に応じてM&A専門家への相談をすることで、客観的に自社の現状を評価してもらい、M&Aという戦略にどう対峙すべきかアドバイスを受けることも重要になってきます。

M&Aを活用した企業経営は、新聞等で報道される大企業だけのものではありません。

M&Aを自社の戦略としても十分に活用することで、自社の「収益性」「永続性」を高めていきましょう

>>工事業界全般における2022年のM&A振り返りはこちらをご覧ください

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