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建設工事業 M&Aコラム

M&Aの情報をコラム形式で発信してまいります。
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「管工事業界のM&A戦略」

「管工事業界のM&A戦略」

  • 建設工事業 M&Aコラム

新型コロナウイルス感染症がM&A市場に及ぼした影響

今回は管工事業界におけるM&Aについてお伝えさせて頂きます。まずは全業種のM&A件数の推移から。新型コロナウイルスの影響はM&Aにどのような影響を及ぼしているのでしょうか。それを把握するため、マールオンラインのデータをもとに傾向を見てみましょう。

【M&A件数の成長率への影響】
日本で初めて新型コロナウイルス感染症の感染者が確認されたのは2020年1月のことです。従って、その前後でM&A件数の変化を見てみたいと思います。2015年から2019年にかけての5カ年で日本のM&A件数はCAGR(年平均成長率)13.9%で推移していますが、そこからの3年間(直近3年間)、つまり2019年から2021年にかけてのCAGRは急速に落ち込んで2.3%となっています。直近3カ年のCAGRが低下した原因は、必ずしも新型コロナウイルス感染症だけとは言い切れませんが、M&A市場に影響を及ぼしているのは間違いなさそうです。

【M&A件数の減少インパクト】
もう少し定量的に見てみましょう。2020年のM&A件数が新型コロナウイルス感染症の影響を全く受けなかったとした場合、つまり2018年から2019年のM&A件数の伸び率を維持したと仮定して2020年のM&A件数を計算すると4,341件(試算)になります。2020年のM&A件数は3,730件(実績)ですから、新型コロナウイルス感染症の影響により611件のM&Aが消えたことになります。

業種別のM&Aの傾向

【主要業種の2021年のM&A件数と直近3カ年のM&A件数の年平均成長率】
業種別に見てみましょう。2021年でM&A件数が多かった業種は、上から、ソフト・情報(IT業界)、サービス業、電機製品製造業、不動産・ホテル、運輸・倉庫、建設業、商社となっています。直近3カ年(2019年から2021年)におけるM&A件数のCAGRが高いのは、上から、運輸・倉庫、食品製造、建設業、非鉄・金属製品、電力・ガス、機械製造、精密機械製造となっています。これだけだと分かりにくいのでスキャッタープロットで見てみましょう。

管工事業者の傾向・特色

【管工事のポジション】
管工事業は建設業に内包されるので、M&A市場におけるポジションとしては、直近3カ年のCAGR10%を超える業種のひとつです。また、件数的にも年間100件を超えており、比較的M&Aが発生しやすい業種といえます。

【管工事の売上高別および従業員数別の事業者数構成比】
全国管工事業協同組合連合会の所属事業者は、日本国内におよそ1万5,000社あります。全管連ビジョン2020の数字をもとに売上高(完工高)と従業員数別に事業者の構成比を計算してみました。売上高は、10億円以上が7.7%、5億円以上10億円未満が8%、1億円以上5億円未満が37.3%、1億円未満が43.4%(無回答含む)となっています。従業員数50人以上の事業所は5%、20人以上50人未満の事業者は12.3%、10人以上20人未満の事業者は21.3%、10人未満の事業者は61.4%(無回答含む)となっています。これらの構成比が示すとおり、M&Aが発生するとしたら売上高5億円未満・従業員20人未満の事業者が多くなると考えられます。

【建築・土木向けパイプの出荷量】
少し観点を変えて建築・土木向けパイプの市場規模を見てみましょう。矢野経済研究所の公表資料によると、建築・土木向けパイプ(主要25管種)の市場規模(メーカー出荷量ベース)は、2019年度2,485t、2020年度2,279t、2021年度(予測)2,274t、2022年度(予測)2,310tとなっています。これも新型コロナウイルス感染症の影響を受けており、2019年度から2020年度にかけては前年比で8%程度の落ち込みとなっているものの、2022年度の予測では回復過程に入るという予測になっています。管・パイプ類は、液体・気体・粉体・粒体などあらゆる流体の物理的移動に不可欠なもので、開発や建て替え需要以外にも、底堅いメンテナンス需要もあるため、今回のパンデミックで一時的な需要の縮小はあっても、急速に減り続けるような市場ではないと考えられます。

【就業者の年齢】
総務省の労働力調査をベースとした国土交通省の公表資料によると、建設業における就労者のうち、55歳以上は34%、29歳以下が11%となっており高齢化が進んでいます。職場や現場仕事のイメージ改善・労働環境の改善による若手人材の確保と、熟練技術者の技術伝承のための実務訓練などが急務といえるでしょう。

【就業者の過不足率】
国土交通省の建設労働需給調査結果によれば、2020年12月から2021年11月までの12ヵ月間で、配管工の過不足率は、不足している月が8ヵ月あり、需要が元に戻れば、過去の傾向からしても、ほぼ毎月不足状態が続くと考えらえます。

【専門分野のバラツキ】
管工事と表現してしまうとまるで一つの業種のように思いがちですが、用途(住宅・生活インフラ・高層ビル・工場・プラント)や設備・機器の種類、流体(液体・気体・粉体・粒体)の種類、使用する資材・工法・機材・工具の種類などによって、それぞれの専門分野が多岐にわたるのもこの業種の特色といえます。

【エリアの傾向】
エリアの傾向は、汎用性が高い技術分野は別ですが、特に工業地帯(プラントが多くあるエリア)や工業団地周辺は、プラントエンジニアリング会社の指定会社(管工事業者)がそれぞれのエリアに存在するため、管工事業者が独自にエリア拡大をすることが難しい分野もあります。

【受発注構造】
建設・工事全般の特色ではありますが、受発注構造は公共(自治体)または民間(事業会社)がゼネコンに発注し、ゼネコンからサブコン・工事業者に発注するのが一般的です。サブコンの中には、特定の専門分野を持ちつつも別の工事分野を網羅することで事業拡大を図る事業者も見受けられます。

【管工事の建設業業許可】
そもそも管工事業で建設業許可を取得するためには、経営業務管理責任者の要件と営業所ごとに常勤で配置する専任技術者の要件を満たす必要があります。従って、前述の通り、就業者の高齢化や人員不足(採用難易度)といった状況を加味すれば、自力による事業拡大以外の選択肢としてM&Aも視野に入れる事業者が今後増加するのではないでしょうか。

管工事業界におけるM&A戦略のパターン

【M&A戦略】
以上を踏まえると、管工事の事業会社が事業拡大を狙う際のM&Aは以下の様なパターンに分類できます。

パターン1は、これまで対応できなかった工事を分野を網羅する、パターン2は、需要があるエリア・顧客基盤を獲得する、パターン3は、例えば公共事業が苦手な会社が公共事業に強い会社と資本提携する、パターン4は外注先をグループ化するといったイメージです。業種を問わず上記のパターンに当てはめることができると思いますのでご参考になれば幸いです。

事業承継を考える場合でも、譲り受け先となる会社が描く戦略と、自社が描く戦略がマッチするかどうかが選択のポイントになります。

管工事業界M&Aのまとめ

以上、管工事業界のM&Aの環境がどのような状況にあるのかをご説明させていただきました。
今後も、管工事業界のM&Aは活発になってくると考えられています。
管工事業を営む法人を譲渡したい、譲り受けたいというご相談がありましたらお気軽にお問い合わせください。
管工事業専門のM&Aコンサルタントと建設専門の経営コンサルタントがタッグを組んでサポートさせていただきます。

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