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M&Aコンサルティングレポート

M&Aにおける独占交渉権とは? 意味や法的拘束力、優先的交渉権との違いを解説

M&Aにおける独占交渉権とは? 意味や法的拘束力、優先的交渉権との違いを解説

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M&A 独占交渉権

1.M&Aにおける独占交渉権とは?

M&Aにおける独占交渉権(Exclusive Right)とは事業の譲受企業が譲渡企業との間で、独占的にM&Aの交渉ができる権利のことをいいます。独占交渉権が存在する期間内では、譲渡企業は現在交渉している譲受企業以外の買い手とのM&A交渉ができなくなり、他の買い手がより好条件を提示してきたとしても、交渉を進めることができなくなります。

2.独占交渉権の期間

独占交渉権は双方が基本合意書に著名・捺印したタイミングで付与されます。譲受企業は独占交渉権が効力を持つ期間内に契約を締結できなければ、別の買い手が出現する危険がある一方で、譲渡企業は長い交渉期間を与えると、別の買い手とより好条件で契約する機会を逃す危険があります。

こうした事情がある中で、独占交渉権の期間は一般的に3か月から6か月、小規模の場合は1か月から2か月となっております。この期間は独占権付与からM&A成約までの期間で決定されます。すなわち、基本合意書の締結から譲受企業によるデューデリジェンス、そして最終契約までの期間となります。期間について法的なルールは存在しませんが、売り手に不利な契約のため、買い手は消極的な姿勢を見せることが多いです。

3.独占交渉権の法的拘束力

売り手が独占交渉権の合意に違反し、他の企業と接触した際に何のペナルティも課されないとなると、独占交渉権の効力が実質的に失われ、合意をした意味がなくなってしまいます。そのため、譲渡企業が独占交渉権の合意に違反し、他の買い手と接触した場合に違約金を定めておく等の法的拘束力を持たせることが一般的です。

4.基本合意書との関係

前述の通り、独占交渉権は基本合意書へ著名・捺印したタイミングで付与されます。基本合意書とは最終契約の前に譲受企業と譲渡企業がM&Aの実施に向けた基本的な事項について合意できた内容を確認するための契約書のことです。基本合意書には主に以下の事項が記載されます。

・双方のM&Aの意向 
・M&Aのスキームやスケジュール 
・譲渡価格
・デューデリジェンスへの協力義務
・デューデリジェンスや契約書作成の費用分担 
・独占交渉権 
・秘密保持条項
・有効期間 
・準拠する法律、裁判所の管轄  

基本合意書を締結した後、譲受会社は譲渡会社自体や譲り受ける事業についてデューデリジェンスを行います。デューデリジェンスは税務、会計、法務、ビジネス等について行われ、M&Aの障害となる問題の有無やM&A実施前又は後に解決すべき事項を洗い出します。そしてその内容をもとにM&Aスキームや妥当な譲受価格を検討します。

独占交渉権について、譲受企業にとっては他の買い手の出現によって、M&A交渉が決裂するリスクを軽減できる一方、譲渡企業にとっては他の買い手との交渉が制限されるため、より納得のいく条件でM&Aを行いたい場合、独占交渉権の付与は望ましくありません。実際、M&Aの交渉にあたって他の有力な買い手がいない場合に、独占交渉権が付与されることが多いです。

なお、基本合意書の段階では双方基本的な資料を検討しただけであるため、デューデリジェンスの結果次第で、契約内容が変更される可能性があります。基本合意書の中でも買収スキームや価格の部分には法的拘束力を持たせることは現実的でありません。そのため、独占交渉権については例外的に法的拘束力を持たせることになります。

5.優先的交渉権とは?

優先的交渉権とはM&Aの交渉に際して複数の買い手候補が存在する場合に、そのうちの1社または数社が他の候補者よりも優先的に売り手と交渉できる権利です。優先交渉権が与えられていない会社に優先できますが、同権利が与えられている会社同士では優先度に優劣はありません。また、あくまで「優先的」に交渉する権利のため、特定の買い手候補に優先的交渉権を付与した後でも他の買い手候補と交渉することは可能です。

6.独占的交渉権と優先的交渉権の違い

独占的交渉権は付与された譲受企業だけが売り手を「独占」して交渉できる権利であるのに対し、優先的交渉権は付与された候補が「優先的」に売り手と交渉できる権利であるという点が異なっています。 

譲渡企業から見ると、優先的交渉権は複数の買い手から価格や条件などの提案を受け、最も望ましい相手と契約できるのに対し、独占的交渉権を付与すると、1社としか交渉をすることができません。

譲受企業から見ると、優先的交渉権は他の候補に優先して交渉できますが、複数の候補に付与されている場合、競争相手を完全に排除することはできません。対して独占的交渉権は競合相手を排除して、売り手と買い手の間で一対一の交渉ができるため、優先的交渉権よりもメリットは大きいといえます。

7.優先的交渉権を合意するメリットとデメリット

・売り手

特定の候補に権利を付与しても、引き続き他の買い手候補とも交渉することができるので、最も良い条件を提示した買い手候補を選択できることがメリットしてあげられます。また、他の買い手候補の存在をほのめかすことで、よりよい条件を引き出せる可能性もあります。一方で売り手側に特段のデメリットはなく、特定の買い手との一対一の交渉に制限される独占交渉権と比較すると、売り手側に有利な仕組みといえるでしょう。

・買い手

買い手側のメリットとしては他の候補に比べて優先的に交渉ができる点があります。デメリットとしては、売り手は並行して他の買い手候補とも交渉ができるため、競合相手が排除されるわけではないことが挙げられます。また、複数の候補に優先的交渉権が付与されていることもあり、そうした候補者の間では優先度に差がないため、他の候補者より良い条件を提示することが求められます。売り手を独占して交渉できる独占交渉権と比較すると、メリットは小さいといえます。

8.独占的交渉権を合意するメリットとデメリット

  • 売り手

独占交渉権の売り手側のメリットとしては買い手に安心感を与えられることです。デメリットとしては、独占交渉権を付与すると、他の買い手候補との交渉が一切できなくなるため、現在の買い手よりも良い条件を提示されても対応ができなくなります。また、買い手からの大幅な値下げ交渉がなされる危険もあります。加えて、権利を付与した相手との交渉が成約しなければ、新たに候補を1から探すことになります。そのため、売り手にとってはデメリットの方が大きいといえます。

  • 買い手

買い手側から見ると、売り手を独占し、時間をかけてM&Aの交渉ができる点がメリットです。買い手企業は基本合意書の締結後、譲渡企業をデューデリジェンスによって調査することになりますが、他の買い手候補に売り手を横取りされてしまった場合、調査の費用は無駄になってしまいます。そこで、基本合意書に独占交渉権を盛り込んでおくことで、売り手の横取りされるリスクを回避できます。万が一、売り手が合意を反故にして他の候補とM&A交渉を進めても、損害賠償を請求できるため、M&Aの成約が担保されることになります。そのため、買い手に大きなメリットとなる仕組みといえるでしょう。

9.まとめ

独占的交渉権とは譲受企業が譲渡企業との間で独占的にM&A交渉をする権利のことです。付与されるタイミングは基本合意書の締結時で、期間は3か月から6か月と基本合意書の締結からM&A成約までにかかる一般的な期間が設定されます。優先的交渉権は売り手が複数の候補を並行して交渉可能なのに対し、独占的交渉権は譲渡企業と譲受企業の一対一の交渉に制限されるため、買い手に有利な契約といえます。それぞれの特徴やメリット・デメリットを踏まえ、双方の納得できる形でM&A交渉を進めるのがよいでしょう。

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