整骨院業界におけるM&Aのメリット・デメリット
- 整骨院 M&Aレポート
本稿では、整骨院業界の企業様がM&Aを選択することのメリットやデメリットについてお伝えいたします。
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そもそもM&Aを検討するタイミングとは
現在、事業承継の手段として第三者への承継が注目されています。統計データでは毎年一定程度、後継者不在の企業があると言われています。
こちらのデータでは、2020年時点で60歳代の経営者のうち約5割が、70歳代の経営者のうち約4割が後継者不在となっております。また、後継者不在率を年商別にみると、年商5000万円未満の企業で約8割、年商5000万円~1億円の企業で約7割となっており、中小企企業・零細企業を中心に後継者不在の課題に直面していることが伺えます。最終的には会社を畳むことも一つの方法ではありますが、清算時にお金がかかり引退後の生活資金の工面が難しいとのお悩みを頂戴することも多々ございます。なので、身の回りに後継者がいないからといって、即座に廃業を選択されることはお勧めできません。
オーナー様にとってのM&Aのメリット
事業承継の方法は、引継ぐ相手によって分類することができます。ここでは代表的な方法のメリットやデメリットをご説明します。
M&Aのメリットは、オーナー様が金銭的な対価を得やすい点と、身の回りに限らず、外部から後継者を探すことができる点があげられます。親族内承継では、贈与税や相続税が課されます。納税資金の確保や持ち出しがネックになっており、対価が得られないという金銭的な問題で進みにくいという実情がございます。また血縁・縁故で選ばれた後継者が周囲の信頼に足る人物か、経営者としての資質を問われる点もあります。企業内承継の場合、社内で企業を良く知っている人物が引き継ぐというメリットがあります。ただし個人が会社の株を買う恰好になりますので、買収資金の調達に苦慮する場合が多いです。
M&Aのデメリットは候補先探しや金額や条件の交渉、スキームの検討といった手続きが多くなる点です。また交渉相手あっての話ですので、納得できる協議内容を実現するためには、コミュニケーションや交渉術が求められます。これらの点はアドバイザーを起用することでスムーズに進みやすくなるといえるでしょう。なおM&Aでは利害関係者に対する十分な説明が必要です。利害関係者の代表例は、主要な取引先、金融機関、そして従業員です。特に従業員は、どのように環境や条件が変わってしまうのか?という不安を持つことが多いです。不安の解消策として、雇用条件や経営体制、今後の会社の成長性といった点について、売り手と買い手が協力して丁寧に説明する取り組みが求められます。
整骨院業界におけるM&Aのメリット
それでは、整骨院業界におけるM&Aのメリットは何でしょうか。今度は事業の観点を中心に見ていきましょう。
【譲主側のメリット】
・ノウハウの共有による事業基盤の強化や技術者の成長が期待できる。
・大手傘下による従業員のキャリアアップや、大手資本を活かした攻めの経営が期待できる。
・複数の事業経営の場合は、本業へ経営資源を集中することができる。
【譲受側のメリット】
・有資格者の確保により、企業の成長のスピードアップが期待される
・店舗拡大と自社ノウハウの活用により、売上・利益の拡大が期待される
・商圏内のシェア獲得により、早期に地域一番化を目指すことができる
・他エリアの店舗を買収することで新規エリアを開拓の足掛かりにすることができる
整骨院業界は店舗数の拡大や柔整師の確保が事業拡大の要になることが多いです。事業面におけるM&Aのメリットはこれらを一気に獲得できる点にあります。
税務監査・財務コンサルティングの業務経験に加え、事業承継・事業再生コンサルティングの成功経験を多く持つ。2017年10月に船井総研中途入社後、M&Aコンサルティングにより22件の案件成約を担当。 現在、船井総研における事業承継・M&Aコンサルティングの中核的な役割を担う。
中野 宏俊の紹介ページはこちら 船井総研のM&Aの特徴とM&Aに関する解説ページはこちら