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後悔しない事業承継の進め方~あなたの事業を永続させる準備はできていますか?

  • 事業承継
事業承継

1.はじめに

会社経営者、すべてに共通して生じるテーマとして「事業承継」というものがあります。

  • ■息子・娘に会社をバトンタッチする
  • ■(血縁ではない)経営幹部・社員に会社をバトンタッチする
  • ■金融機関など、外部から社長を連れてくる
  • ■他社に会社を売却する(=M&A
  • ■上場する(=不特定多数に会社を所有してもらう)

これらどれか1つを選択する必要があります。これら以外の選択肢として残っているのは「廃業」だけです。

2.最低でも5年、理想的には10年の準備期間が必要

「まだまだ自分自身、元気なので心配ない」「うちの会社は幹部が皆、優秀なので、いつ私がいなくなっても会社はまわっていくんだ」。事業承継に関してどのようにお考えですか?と経営者に質問すると、このような答えをよく聞きます。そのような経営者の方でも、自身が病気になって入院をしたり、さまざまな身の回りの出来事があると急変します。ある日突然「私がいなくなってうちの会社は本当に大丈夫か?」「息子や幹部を社長に据えるつもりで準備をしてきたが、本当にそれで大丈夫か?」と思い始め、その数年前に「大丈夫だ、安泰だ」と言っていたことがウソように不安に駆られ、ご相談に来られるケースが多々、あります。決断すべきこと、準備すべきことができていないと、結果、承継の時期を遅らせざるを得なくなります。ご相談を受けていると、事業が進まないことがストレスとなり、本業の社長業に身が入らなくなり、業績を落としてしまうケースも多くあります。本末転倒です。会社を引き継ぐためには多くのことを決断し、準備をすることが必要になります。最低でも5年、理想的には10年の準備期間は欲しいところです。もっと言うなれば、自身が経営者になったその日から、考える必要があることです。

3.次世代のための企業としての新しいフレーム作りが重要

では、事業承継の準備としてどのようなことを考えておく必要があるのか。
オーナー経営者の場合は、大きく分けると

  • ■事業(=社長業)の承継
  • ■経営(=株式・オーナー業)の承継
  • ■財産(=個人資産)の承継

になります。この中で「事業(=社長業)の承継」を見てみると、まず、最初に決めなければならないことは「いつ会社を引き継ぐのか=いつ自分が第一線を退くのか」を明確にすることです。「息子が一人前になったら」「専務に取引先をすべて任せられるようになったら」と時期を決めずにあやふやにしてしまっている経営者が非常に多くいます。「自分は65歳の誕生日に引退する」「2020年に引退するんだ」といった明確な設定が必要になります。事業承継はゴールを決めて、そこから逆算して、いつ、何をしていくのかを決めるものです。次に決めるべきことは、当たり前のことですが、「誰を後継者(社長)」にするかです。これも承継が目前に迫るまでは、「長男に継がせる」「(血縁以外の)専務に継がせる」と考えていても、目前に迫ると、「やはり、考え直す必要がある」と言い出される経営者が多くいます。また、受ける側も、目前に迫るまでは漠然と「次は自分がやるんだろうな・・・」と考えていても、いざ、目前に迫ると、「やはり、自分には荷が重い」「自分には向いてない」と辞退をされ、すべて白紙に戻るというケースが実際に多くあります。

ここからは、年代別に見る事業承継でのよくある失敗、そして公開をしないために実行すべきポイントについて解説していきます。

4.『60歳:意識を切り替えつつ、頼れるアドバイザーを作ること』

年代別にみる事業承継でよくある失敗と後悔しないためのポイント
60歳:意識を切り替えつつ、頼れるアドバイザーを作ること
60歳くらいになるまでは、事業承継と言われてもピンとこないものです。経験したことがないだけに、どのような知識が必要かわからないのは当然です。この時期に経営者が注意したいことは2点あります。まず「自分がこの会社からいつかはいなくなる」という前提で経営を考えること。これまで、人材戦略や財務戦略も「自分がいる前提」で考えてきた方も、「自分がいない会社」をイメージして動き出しましょう。また、通常の財務戦略や税金対策だけではなく、贈与税や相続税に詳しいアドバイザーを持ちましょう。

5.『65歳:経営者個人について、そして会社についての対策を考えること』

年代別にみる事業承継でよくある失敗と後悔しないためのポイント
65歳:経営者個人について、そして会社についての対策を考えること
60歳を越えたあたりから同年代の知人の不幸や、自分の病気などから、急に事業承継が現実味を帯びてくる経営者も多いようです。中小企業の経営者にとっては、個人保証を外す準備を進めていく必要があります。また、業界の先行きが厳しいと、本当に身内に承継すべきか悩むこともあります。長期的な視点で見ると、業界の再編が進んでいるところも多いでしょう。そのような環境の中で後継者も育っていないのであれば、事業永続のためのM&Aという選択肢もあり、M&Aを成功させるための企業価値の向上に努める、という判断も考えられます。

6.『70歳:未練を断ち、承継の具体的なスケジュールと対策を詰めること』

年代別にみる事業承継でよくある失敗と後悔しないためのポイント
70歳:未練を断ち、承継の具体的なスケジュールと対策を詰めること
元気な企業の経営者の多くはバイタリティがあり、気持ちが若いものです。70歳を超えて元気にやっている経営者もいます。しかし、体力は落ちているため、正常な判断ができても正常な運営ができないケースは本当にたくさんあります。「自分の存続」ではなく「企業の存続」を第一に考えた承継の対策を早急に行う必要があります。自身が死亡したときに後継者がトラブルに巻き込まれたり、従業員が不幸になったりしないために、経営に関与したいという未練を断ち切り、承継の具体的なステップを踏んでいく必要があります。

7.今からすぐに考えても早すぎない事業承継の準備

次世代になってからもさらに企業を大きく飛躍させるために、次世代になってからの10年〜20年間の世の中の流れ、業界の流れを見据えましょう。自社がどのような企業体であることが理想なのかを考え、それに見合った「器」に企業を変えておく必要があります。株式の持ち方や指示系統・管理系統の見直しのための「事業部の再構築・再編成」、将来的な企業拡大の器作りのための「ホールディングス化・持ち株会社化」や業界再編に備えての「同業他社とのM&A」「関連業界・業種のM&A」などの実行、準備をしておく必要があります。

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