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医療・介護 M&Aレポート

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ドラッグストア業界におけるM&Aの時流と今後

ドラッグストア業界におけるM&Aの時流と今後

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ドラッグストア M&A

ドラッグストア業界の特徴と経営の時流

 ドラッグストアとは、医薬品を中心に食品、化粧品、日用品などを販売している店舗を指します。また、薬剤師が常駐する調剤薬局を併設する店舗もあります。

2009年の薬事法改正により医薬品販売規制が緩和され、医師の処方箋を必要としない一般用医薬品がコンビニなどでも販売されるようになりました。さらに2013年の改正では、医薬品の販売ルールが大幅に緩和され、一般用医薬品の中でも薬剤師による対面販売が義務付けられていた第一類医薬品、第二類医薬品のインターネット販売が可能となりました。2017年には、「セルフメディケーション(自主服薬)税制」と呼ばれる制度がスタート。この制度はスイッチOTC医薬品(要指導医薬品、一般用医薬品のうち、ドラッグストアで一般に販売できるよう転用された医薬品)を購入した際に所得控除を受けられるようにしたもので、例えば「パブロンS」や「ベンザブロックL」などが該当しますが、これらによる一般用医薬品の需要拡大の後押しもあり、ドラッグストア業界の市場規模は拡大してきました。それらを背景としてドラッグストア各社の出店攻勢は非常に積極的で、現在では当たり前のように街中にドラッグストアを見ることができます。私の前職の銀行員時代、お客様が所有する遊休地の不動産活用を提案するべく、出店候補先を検討すれば、必ず手を挙げるのが大手ドラッグストアチェーンでした。大手各社の規模拡大への意欲は強く、2022年にはウエルシアホールディングスが業界で初めて売上高1兆円を突破するなど、各社の積極的な経営戦略は現在も変わりありません。なお、日本チェーンドラッグストア協会による「2022年度日本のドラッグストア実態調査」によると、現在の市場規模は、全体売上高は8兆7134億円(前年伸び率102.0%)、全体店舗数は2万2084店舗(前年増359店舗)となっています。

ドラッグストアの業績は立地や商圏に依存するため、出店戦略が重要となります。業界ではこれまで、特定地域に大量出店し、面で市場占有率を上げるドミナント戦略が取られてきました。市場規模が拡大する状況においてドミナント戦略は、顧客認知度の向上、競合店の参入抑止、広告宣伝費の効率化、配送の効率化などが期待でき、非常に有効に機能してきました。しかしながら、最近では特に都市部において店舗の過剰感が見受けられ、地方においても出店余地は減少しつつあり、現状以上の店舗拡大が難しくなってきています。実際に市場規模の前年伸び率は2%増と鈍化しつつあり、またマスクや消毒液などのコロナ特需も消え、マクロで見れば日本はこれから人口減少が進む。そのような背景があり、今後は単純なドミナント戦略は進め難く、業界は「市場規模拡大」から「市場占有率の奪い合い(マーケットシェアの奪い合い)」に舵が切られていく…。成熟業界として大きな過渡期に差し掛かっており、そこではM&Aの重要度が増している現実があります。

大手ドラッグストアのM&A動向について

 ドラッグストア業界では大手の寡占化が進んでいます。大手でも再編機運は高く、2021年10月には当時業界6位のマツモトキヨシホールディングスと7位のココカラファインが経営統合し、マツキヨココカラ&カンパニーが誕生しました。これにより、ウエルシアホールディングス、ツルハホールディングス、コスモス薬品、マツキヨココカラ&カンパニー、サンドラッグの上位5社の売上が、市場の5割を超えました。これら上位5社をはじめとした上位集中は今後ますます加速するものと予想され、マーケットシェアの奪い合いは激しさを増すでしょう。

 一方で、地域の中小ドラッグストアや調剤薬局はどうでしょうか。これら大手との競合圧力に加え、商品仕入価格の上昇、薬剤師不足、DX推進への投資負担、経営者の高齢化(事業承継者不在)など、課題が蓄積しているケースが多く散見されます。

 ここにスピーディーなマーケットシェア拡大を狙う大手ドラッグストアチェーンが目をつけるのは当然の流れで、立地や人材の条件が合致すれば、大手チェーンが調剤薬局1店舗を運営する小規模企業を買収するというような、一見すると互いの規模のミスマッチと思うような事例も散見されるようになりました。それ程に、上位大手チェーンのマーケットシェア拡大への意欲は強いのです。

ドラッグストアのM&Aの成功のポイント

 M&Aとは、「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略称であり、事業・会社の売買取引や企業間の組織再編行為の総称であり、経営統合を実現する手法を意味します。M&Aの手法は多種多様ですが、ドラッグストア業界においては、主に「株式譲渡」と「事業譲渡」のパターンが存在します。

 「株式譲渡」とは、売り手の保有する株式を買い手に譲渡することで、対象会社の経営権を買い手に承継させる手法です。一方で「事業譲渡」とは、一部の対象事業のみを買い手に譲渡する方法であり、会社の経営権は引続き所有します。例えば、3店舗を経営する地場のドラッグストアが1店舗のみを売却するようなケースが該当します。

 M&Aは大企業のみの手法と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、中小企業におけるM&Aは年々増加基調にあり、もはや大企業のみが行う経営戦略ではありません。業界・業種を問わず、会社の経営戦略にM&Aを取り入れるのは当然の時代が来ています。ドラッグストア業界の特徴としては、大手ドラッグストアチェーンなどの上位企業が、地場のドラッグストアや調剤薬局を買収するケースが圧倒的に主流となっています。

 ドラッグストア業界におけるM&A活用のメリットをご紹介します。

【譲渡側のメリット(売り手)】

・大手チェーンのブランド力や資本力のある企業の参加で安定的に経営ができる。

・在庫管理システム導入などのDX・効率化投資がスムーズに進められる。(大手チェーンの経営ノウハウの取得が可能)

・地域包括ケアシステムの維持、顧客を守ることができる。

・後継者不在の場合、スムーズなハッピーリタイアが期待できる。

【譲受側のメリット(買い手)】

・売り手の抱える専門人材(薬剤師など)、顧客基盤を引継ぐことができる。

・時間をかけずにスピーディーな営業エリアの拡大が期待できる。

いかがでしょうか。これらメリットは互いの経営課題を補完し合うことが期待できると考えられます。

ドラッグストアM&A事例

①ウエルシアホールディングスによるコクミンとフレンチとの資本業務提携

ドラッグストア業界最大手のウエルシアホールディングスは、2022年1月、大阪で薬局経営を行うコクミンとフレンチの株式を取得しました。これにより、ウエルシアホールディングスは大阪府への営業エリア拡大と、専門人材やノウハウなどの経営資源を共有し、さらなるマーケットシェアの拡大を進めました。

②クスリのアオキホールディングスによるフクヤの買収

クスリのアオキホールディングスは、石川県を中心に中部・関東・近畿・東北にドラッグストアチェーンを展開している「クスリのアオキ」の持ち株会社です。2020年10月、京都府北部(宮津市)を中心に8店舗の食品スーパーを運営するフクヤの株式を取得しました。これにより、クスリのアオキホールディングスは、食品スーパーの持つ新鮮な食材の品ぞろえ、ドラッグストアの持つ医薬品・化粧品・日用品の品ぞろえ、処方箋を取り扱う調剤薬局の融合により、地域密着経営を加速しマーケットシェアの拡大を狙うことができると判断してM&Aが実行されました。

③ツルハホールディングスによるドラッグイレブンの完全子会社化

ドラッグストア業界大手のツルハホールディングスは、2020年5月、九州・沖縄地方でドラッグストアを展開するドラッグイレブン(福岡県)の発行済株式総数の51%の株式をJR九州から取得し連結子会社としていましたが、2023年5月にJR九州より残る発行済株式を全て取得し、完全子会社化しました。ドラッグイレブンはツルハグループの九州・沖縄地区の中核会社として、さらなる経営基盤の確立と企業価値の向上を目指します。

④ココカラファインによるイー・ウエル、ウエル・サポート、メディカル・サポートの買収

ドラッグストア業界大手のココカラファイン(現マツキヨココカラ&カンパニー)は、2021年7月、三重県で調剤薬局を各社1店舗ずつ運営するイー・ウエル、ウエル・サポート、メディカル・サポートの株式を取得しました。ココカラファイングループは地域社会に貢献することを目指し、三重県におけるドミナントを深耕し、地域におけるヘルスケアネットワークの構築を加速させる目的で買収を行いました。

⓹ココカラファインによるフタツカホールディングスの買収

ドラッグストア業界大手のココカラファイン(現マツキヨココカラ&カンパニー)は、2020年11月、兵庫県を中心に関西において70店舗の調剤薬局及びドラッグストアを運営するフタツカホールディングスの株式を買収しました。兵庫県におけるドミナントを深耕し、地域におけるヘルスケアネットワークの構築を加速させる目的で買収を行いました。

他にも多数の事例が見られます。

終わりに

昨今のドラッグストア業界において、M&Aは切り離せない経営戦略になっています。ドラッグストア、調剤薬局、それに食品スーパーなどの周辺事業を巻き込み、再編の流れはますます加速するものと予想されます。一方で、まさしく今が成熟期と言えるのも事実であり、タイミングを逃せばM&Aの実現が困難になるのも事実です。

また、買い手に対して、売り手はM&Aに慣れていないケースも多いかと存じます。諸手続きを安全に進めるには、M&A仲介会社などの専門家を利用するのが得策かと思います。船井総研では、着手金・中間金無料の完全成功報酬にてサポートさせて頂きます。業種毎に多くの専門コンサルタントがおり、経営のサポート体制にも自信があります。単純なM&Aに終わらない、継続的な成長戦略を視野に入れたM&Aをお勧めしております。ぜひ気軽にご相談ください。よろしくお願い致します。

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