現代の後継者に必要な7つの能力とは?
- M&Aコンサルティングレポート
後継者に必要な能力について触れていきたいと思います。経営者の平均年齢が約62歳、経営者の引退年齢が約67歳と事業承継課題がいよいよ迫っており、後継者は誰にするにせよ考えておかなくてはならない企業が増えております。ご子息とするのが自然の流れとしながらも、最近では経営幹部への承継や第三者承継(M&A)についても割合が増加しており、後継者不在企業が多い中、今後も親族外への承継が増える可能性は極めて高いといえます。
ここで皆さまであれば、後継者に必要な能力とはどのようなものをイメージされますでしょうか。情熱、頭の良さ、人を動かす力などいろいろなものが想像されると思います。現代においては、高度経済成長時代のように、軍隊式の組織の統率力や毎日残業する体力やお酒に強い、なんということは必要ではなくなってきています。船井総研が考える後継者に必要な能力は時流とともに変化していますので、次の7つの能力を紹介していきます。
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1.業務経験
社長は、自社の社員がどのようなことを行っているのか、パートさんに至ってもどのような仕事をしているのか業務の隅々まで理解があることが必要になります。そのため、ある程度部署を回りつつ多少の経験を持ちながらこれを学ぶことが必要と考えます。(エキスパートになる必要はありません)
2.新規事業展開力
現状、単体事業のみで成長を続けていくことというのは、かなり難易度が高く、ある程度の規模になったら、周辺業種の新規事業展開を行い、枝葉を増やしておくことが王道の成長戦略となります。内部・外部要因ともに何が起因して事業が悪化するのか、全てを予測しきるのは不可能と言っても過言ではないでしょう。そのため、複数事業展開の後、ホールディングス化を行い、企業価値を高めていくことも1つの成長過程ととらえております。
3.採用力
採用については、様々人材紹介会社等のサービスがございますが、最終的には社長や幹部が会社の夢・目標を厚く語り、応募者にこの会社がいいと思わせることができるかに尽きます。そのため、自身が採用のためのプロセス・ツールをある程度理解し、重要なところで、応募者としっかり向き合うことができる能力が必要となります。
4.コンプライアンス
自社のコンプライアンスというのは、上場会社でなくともとても重要視されています。給与の額だけではなく、働きやすさというのも応募者の重要なポイントになるため、どのような仕事を行っており、「強要される」ようなことのなく、クライアントに対してもルールに反した行動をとっていることのないように、法令順守を時代に合わせて会社を変えていく必要があります。
5.リーダーシップ
一昔前の軍隊式のリーダーシップのように、大声を出す練習や宴会などで統率は図ることができない時代です。現代では、ハラスメントに係らないようにしつつも業務時間内に指導を行い、KPIを適宜達成させていくプロセスを作り上げた上で管理して、成果に導く力が必要となります。この能力に加えて、情熱をもって業務に取り組む姿勢や、皆を鼓舞する力があれば尚良いと思います。
6.WEBマーケティング
現代において、最低限のウェブリテラシーを持ち、web集客の基礎程度は学んでおかなくては、業容拡大が困難な時代となっています。今後はweb会議等がより主流になり、それを積極的に取り入れることや、営業⇒受注⇒消化⇒請求⇒入金管理⇒経営管理のプロセスをDX化していくことで、生産性を上げていく考えも必須となります。
7.財務判断力
単純に決算書を見て、利益が出たとか、お金がこれくらいあるという一次情報ではなく、そこから、いくらなら借りれるのか、現状の資金繰りに問題がないかとか、今後の投資によってどのような財務諸表に推移するのか、など経営計画を作り、金融機関などに説明していく力が必要となっています。リアルタイムで経営状況を数値で理解し、それが予定通りなのか、どこが課題なのかを考えている経営者は、それ以外の経営者の成長スピードと天と地ほどの差があります。
2002年船井総合研究所に中途入社。以降、不動産業(賃貸・売買仲介、管理)を中心として、全国にご支援先をもち、業績向上コンサルティングを手掛ける。特に賃貸管理業界においてはトップコンサルタントとして、全国の一番店賃貸管理会社の勉強会(賃貸管理ビジネス研究会・現在170社)を立ち上げ、管理戸数拡大、資産コンサルティングなどを手掛け、成功実績を誇る。2022年より、現在のM&A支援部において、不動産業界に専門特化し、事業承継、M&Aを含めた出口成長戦略のコンサルティング活動に従事している。
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