M&Aでの役員退職金とは?その意味と節税について考える。
- M&Aコンサルティングレポート
M&A(Mergers(合併) and Acquisitions(買収))は企業の合併や買収、譲渡というビジネス戦略のうちの一つです。M&Aを通じて、企業は新たな市場への参入や業績拡大を図る一方、組織の改編に伴い課題も生じます。本記事ではその中で役員の退職金に関して深堀したいと思います。
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そもそも役員報酬金とは
そもそも役員報酬金とは、役員が任期満了や、辞任、つまり退職する際に払われる退職慰労金のことです。一般的な退職金は就業規則に基づき支給されますが、役員退職金の基準は各企業の経営方針などによって定められているものです。
ただ、役員退職金は株主総会または定款の決議を経て支給されることから、少し複雑になっています。
役員報酬金を支給することのメリット
さらに会社が役員報酬を支給することによって節税できることや、財務基盤がしっかりしている企業であることの証明などになります。
M&Aに伴う役員退職金について
M&Aにおいて役職退職金を受け取る場合も株主総会での決議が必要です。
また、役員が譲渡企業に残留する場合はM&A成立時点では受け取ることができず、将来退職する際に受け取ることになります。
退職金スキームとは?
退職金スキームとはM&Aにおいて株式譲渡の譲渡対価一部を役員退職金で支払うことを指します。
会社を売却するタイミングで役員退職金を支払うことで、純資産を圧縮して譲渡することで、売手、買手双方にメリットのあるものです。
役員退職金にかかる税金
役員退職金にかかる税金は退職金にかかる所得税の負担が軽減されるようになっています。
役員退職金の課税対象額は下記の式より求めることができます。
退職所得の金額=(退職金総額―退職所得控除額)×1/2
従業員にとって、M&Aによる退職は会社都合になるのか
M&Aによる退職において、M&Aのみが理由の場合は会社都合になりません。
ただし、勤務地が通勤困難になるほど変わってしまう、労働条件や給与形態が著しく変動してしまった場合は会社都合退職になる可能性もあります。
まとめ
本記事ではM&Aが行われた際に退職金や役員退職金がどのようになるのかを見ていきました。M&Aは企業がより成長するためのものですが、M&Aを実施するに伴い複雑なプロセスが多く組み込まれています。そのうちの一つとして、M&Aに伴う退職があげられます。M&Aにおける役員退職金は適切に取り扱う必要があり、役員退職金の透明性を確保し、適切な金額を設定することが重要です。
船井総研では、50年以上にわたる業種別コンサルティングの経験を活かした、M&A 成立後の業績向上・企業の発展にコミットするM&Aを目指しております。業種専門の経営コンサルタントとM&A専門のコンサルタントがタッグを組み、最適な成長戦略を描きます。