農業法人のM&A動向、メリット
- M&Aコンサルティングレポート
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農業のM&A
現在の日本における農業法人のM&Aは、盛んとは言えません。しかしながら、今後拡大してゆく可能性を秘めている分野であると考えられます。本記事では、農業及び農林水産業の現在の動向とM&Aスキームを解説します。
農業法人のM&A目的
農業は、一般的にイメージされる酪農や栽培といった分野だけでなく、農業資材や流通、販売まで広がり、多種多様な事業を含んだ業界です。そのため、技術革新や事業拡大の影響によって経営スタイルも変化し、M&Aが注目される可能性が十分にあると言えます。
昨今の農業法人のM&A動向としては、規模拡大、新規参入、事業承継といった目的で行われることが多いようです。
規模拡大
就業者、従業員の高齢化、後継者不在のため、比較的規模の大きい農家や地方自治体と提携した農業法人が農地を引き取るケースや、法人ごと買い取るといったケースです。
新規参入
農業以外の業種を軸としている企業による農業参入の際のケースになります。新規参入のためのM&Aは、ゼロベースでのスタートよりも効率的な手法と言えます。
法規制の緩和などによって以前と比べると、新規参入のハードルも下がっているため今後活用される可能性が高いかもしれません。
事業承継
事業承継は売却側の視点のものであり、事業継続が困難になったためM&Aを活用するケースです。後継者不在のため、他の法人に譲渡することで事業を引き渡します。この事業承継のケースは農業に限らず非常に多いケースと言えます。
M&Aの動向
M&Aには株式譲渡や事業譲渡、合併、会社分割などの様々なスキームが存在しますが、農業M&Aにおいては、事業譲渡と個別資産(農地)の譲渡がほとんどになっています。
一般的なM&Aでよく活用される株式譲渡は農業のM&Aではあまり多いとは言えません。
というのも、他業界のようにM&Aによるキャピタルゲインが得にくいことや、業界のビジネス構造が特殊という点で農業M&Aに手が出しにくくなっている、という理由があるためです。
例えば、農業法人の中でも農地所有適格法人を買収する場合は、売上高の過半を農業が占めていること、総議決権の過半数を農業関係者が占めていること、といった農地所有適格法人の条件を満たしていなければ農地を所有できず、買収を行うことができません。
また、一般的なM&Aであれば、多くの契約先や従業員を抱えている場合に、事業譲渡を行うと契約手続きが煩雑となるため、個別の契約を必要としない合併等のスキームが行われますが、農業においては法人で数千人規模の従業員を抱えている例を少なく、契約先を限られるため事業譲渡の方が迅速に行うことができます。
このような条件、事業形態の特殊さから、M&Aのハードルが高く、かつ行われたとしても事業譲渡が主流となっています。
しかしながら、法規制の緩和などによって農業への新規参入のハードルは徐々に下がっており、今後M&Aの活性化が期待できる業界です。
M&Aのポイント
農業法人のM&Aでは、法人間で直接的に成約するケースなどもあるようですが、十分な調査やスキーム選定が行われていない場合、不測の負債を負うリスクや得られた利益を失うリスクが考えられます。特に新規参入を考えてM&Aを検討する場合は、農業法人のM&Aに関する専門知識を持ったアドバイザーの存在は必須と言えるでしょう。
まとめ
農業法人は、その業態の特殊性や会社規模の観点からM&Aが頻繁に行われているわけではありませんが、後継者問題や法規制緩和の影響によって今後成長してゆくと考えられます。 ご検討の際は、専門家を活用して十分なシナジーを獲得できるように対策しましょう。
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