契約書は何のためにあるか
- M&Aコンサルティングレポート
過去に商業施設の賃貸借関連の契約書を精査したり、あるいはテナント企業との契約締結に関わったことが多数ありますが、その時の経験でいいますと、契約内容を一読もせずにハンコを押す方が多くいらっしゃいます。
もちろんチェーン店の場合はそのようなことはないですが、個人店や中小企業の場合は比較的多いのです。
のちのち、それが契約解消時に大きなネックとなって、多額の違約金を支払うなどのトラブルにつながった事例も多く目にしています。
契約内容をいちおうは口頭で説明をうけたつもり・・・になっていても、問題が発生するのは契約締結から何年も経った後であるため、当時の記憶はあいまいで「そうえいばこんな話もあったような・・・」的な状況で、よくよく文案を見直してみると、たしかにこのように記載されている・・・ということになってしまいます。
まさかそんな・・・と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際に現場で見ているとそのような事例は想像以上に多いというのが実感です。
M&Aにおいても、基本合意からクロージングにかけて、双方が合意に達したことについては契約書という文書で明示することになります。これは売買時点のことだけでなく、売買終了後についても影響があることです。
取引がうまくいっている場合には契約書はさほど重要ではなく、双方の主張が異なり対立したときに重要になります。ようするに、後々もめた時のために契約書が必要になるのです。
過去にその点についてはこのように合意した、と論点を絞って明確にすることで、無駄な争いを避けるために契約書が作られるといってもよいでしょう。
ですので、法に反しない限り「契約書にはこう書いてあるけど関係ない」ということは決してないのです。
契約締結が近づいてきますと当事者は不安になりますし精神状態も揺らぎます。不安要素は事前にピックアップして、しっかりと契約書に明記することで、契約締結後も安心できることになります。
そのような配慮を十分に実施するのは、我々M&Aアドバイザーの大切な仕事でもあります。
大手証券会社にて、上場・未上場オーナー及び法人の資産運用・事業承継コンサルティング業務に従事。2022年入社後、前職で最も関わりの多かった建設・不動産業を中心に後継者問題の解決や成長戦略としてのM&A仲介業務に従事している。
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