成熟期の業界における資本提携活用法
- M&Aコンサルティングレポート
今回は成熟期の業界におけるM&Aの活用法について考えてみます。
企業のライフサイクルは、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つに分類されます。
成熟期に入った業界の場合、成長が鈍化し横ばいの状態となります。
この状態となると、体力勝負(資本力勝負)に陥ることとなります。
企業の最たる目的は、企業が継続していくことと私は考えております。
これは今と同じことをしているだけでは、資本力のある企業に対抗できず衰退していく可能性は高いです。
つまり、継続するためには成長する必要があります。
そうなると成熟期に入った業界の中小企業が選ぶ道は大別して次の3つになります。
(1)今までの経営から改革を行い、業界で先進的な取り組みを行う
(2)資本提携により、経営を継続する
(3)早期撤退をする
(1)の場合、誰もが考えもしないアイデアや行動が必要となります。
これは誰でもできる、、とは言い難く、確実性もありません。
先進的で社会的意義のあるものが成功可能性が高いです。
(2)の資本提携とは、いわゆるM&Aによる子会社化や合併のケースです。
M&Aにより株式を譲渡することで、買い手の株式保有割合に応じ、売り手の株主が行使できる範囲が狭まります。
一見、メリットがないように見えますが、現在ではこの仕組みを利用し次のステップに進まれる方もいらっしゃいます。
株式譲渡することによるメリットは、
・借入金を含めた譲渡のため、資金繰りの心配がなくなること
・買い手の企業の子会社になっても、実態的には変わらず役員の残留も可能性があること
・買い手の企業の資本力により、販売促進のための投資資金を捻出できること
・株式の譲渡代金をもって、異業種の成長企業と資本提携し成長を目指すこと
など、最近では極めて前向きなM&Aが増えてきているように感じます。
M&Aという言葉自体も昔と違い、企業存続のための手段として経営者の間で広く捉えられるようになりました。
(3)は、このまま続けても資金・人材・商品のどれをとっても競合に対抗していくことが困難な場合、選択する必要性が出てきます。
ここで注意が必要なのが、(2)のように資本提携を検討すると実は企業価値が高値でついたり、経営を存続できる可能性が残っているケースがあります。それならもっと早く相談しておけばよかった、とおっしゃる経営者の方もいらっしゃいます。
船井総研に新卒入社後、賃貸支援部を経てM&A支援部に配属し、不動産管理業中心に業務を行い、入社3年で1件の成約経験を持つ。
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