スムーズなM&A交渉に必要な2つのこと
- M&Aコンサルティングレポート
スムーズに交渉が進むM&A案件は2つの特徴があります。
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①M&Aの交渉を始める前から、社長が会社をM&Aする理由が明確になっている。
会社を売る場合、買う場合いずれにも言えることですが、社長自らがM&Aを行う理由をはっきり説明でき、会社を買った(売った)後にどうしていくか、明確に方針を決めていることがスムーズなM&Aの前提です。特に売り側に言えることですが、一度会社を売ろうと決断したとたん、経営者といえどもどうしても経営に関するモチベーション・情熱が下がってしまうのが常です。育ててきた会社を手放すことに未練が出て、交渉途中で結局、譲渡を取りやめるケースもありますが、M&Aに割いてきた交渉期間が無駄になるだけでなく、一度モチベーションが下がった状況では、その後の経営についても上手くいかない場合が多いようです。
②スピード感
会社を買収したい、譲渡したいというご相談をいただいてからM&Aの成約にいたるまでは中小企業の場合でも、1年以上掛かることは珍しくありません。ただでさえM&Aの交渉は成約に至るまで長期に渡るうえ、交渉に関わる関係者も、「売り手」「買い手」「売り手買い手それぞれのアドバイザー」「デューデリジェンス等を行う会計士・弁護士・コンサルタント」など、非常に多くのステークホルダーがいます。さらに、1年もすれば自社を取り巻く外部環境は大きく変わっています。いわゆる「旬を過ぎた」M&Aは成約したとしても売り手にも、買い手にも良い結果にならないため、スピード感を持って交渉にあたることが必要になります。
中小企業の場合はM&Aを行うのが初めてというケースがほとんどですから、交渉のスピードを落とさないために、
・信頼のおける従業員をM&Aの専任担当者として、期間中他の業務に優先させて交渉・調整にあたらせる。社長自らが行う場合も、普段の業務よりも優先的に交渉にあたる。
・それぞれのステークホルダーとの連絡手段を定め、見ていなかった、知らなかったという事が起こらないようにする。
など、1日でもスピードを落とさないような工夫が必要になります。
私たちがアドバイザーとして付かせていただく場合も、まず社長自身のM&Aの意思が明確であることを確認した上で、成約までのスケジュールを逆算し、交渉過程でスピードを落とす基になる障壁を取り除いていくことを重要視しています。
大学卒業後、ノンバンクへ入社。
営業・法務・管理部門を担当する中、当該ノンバンクが投資ファンドに買収されたことにより、その後、投資ファンド側でのM&A(企業買収・売却)や事業再生支援に従事、買収企業でのハンズオン支援などにも携わる。
2019年12月より、船井総合研究所M&A支援部に合流しM&A仲介業務に従事。
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