M&Aのリスクとは?売り手側・買い手側両方のリスクや対処法を解説!
- M&Aコンサルティングレポート
M&Aは、買い手にとっては外部の経営資源を獲得できる、売り手にとっては後継者不足や、待遇の改善など双方にとってメリットのある手法です。
一方でM&Aには、様々なリスクが伴います。
今回の記事ではそもそもM&Aにはどのようなリスクがあるのかと、そのリスクに対する対処法など、詳細に記載していきます。
リスクが生じてもそれに対する正しい対処を行っていれば怖くありません。
きちんとリスクがそもそも何なのかと、それへの対処法を知っていきましょう。
コンテンツ
財務リスク
財務リスクとは、M&Aで生じる資産や債務などの財務に関するリスクのことです。
具体的には以下リスクがあります。
簿外債務
貸借対照表に計上されない(簿外)債務のこと
中小企業では、賞与引当金や退職給付引当金等が貸借対照表に計上されていないことが多いため、そこへのリスクが伴う可能性がある。
偶発債務
M&A時には債務として計上されていなくても、将来的に債務となるリスクのあるものがあるリスクのこと。
資産の実在性に関するリスク
貸借対照表に計上されているものの、実際には存在していない、または現金化が難しいといった資産のことがあるリスクのこと。
法務リスク
法務リスクとは、法律面に関するリスクです。
具体的には以下が挙げられます。
株式に関するリスク
売り手企業の会社での株式移転に関する瑕疵のこと。
会社の設立から現在に至るまで、株券の発行がなされていないなどの過失があること。
取引先との契約に関するリスク
経営上、M&Aを行うことで取引先との契約継続が難しくなる。
売り手企業が、他取引先と自社にとって不利な契約を結んでいたなどのリスク。
資産契約に関するリスク
自社オフィスの賃貸契約がM&A契約によって、契約継続が難しくなるなどのリスク。
許認可に関するリスク
許認可の継続が難しくなるリスク。
経営リスク
経営に関するリスクとは、雇用や事業の経営など、経営全般に関するリスクのことです。
具体的には以下が挙げられます。
雇用に関するリスク
多額の未払い残業代がある、労務時間の管理が適切に行われていないなどのリスク。
事業の将来性や収益性に関するリスク
買収予定の企業への事業の将来性が見込めない、将来的に他業種からの参入が見込まれるなどのリスク。
経営統合に関するリスク
PMIにおいて企業文化や統合フローがうまくいかないなどのリスク。
人材リスク
人材リスクとは、M&Aの実施による従業員・役員への影響のリスクです。
具体的には以下があげられます。
従業員のモチベーションのリスク
M&Aにより労働環境が変わると、従業員のモチベーションが低下する可能性があります。
それにより生産性が下がる可能性がある等のリスクがあります。
従業員の人件費に関するリスク
労働環境の変化によるモチベーション低下を恐れ、人件費を上げることで、コストが増大してしまうリスク。
従業員の運用に関するリスク
人材評価や労務管理などが異なることもあるため、M&Aを行った際に運用がうまく回らないリスク。
リスクを回避する方法とは?
M&Aには様々なリスクがあることを述べてきました。
これらリスクを回避する方法は、・買収企業の企業価値やリスクを事前調査するDDの実施や契約に関する事項が正確であると表明する表明保証条項の規定、早期から売り手企業・買い手企業両方の統合への準備を行う、早期からのPMIの準備やM&Aアドバイザーなど専門家の活用が挙げられます。これら方法を吟味し、回避していきましょう。
まとめ
M&Aは、買い手と売り手の両方にメリットのある手法であり、外部の経営資源や後継者不足などを解消できます。
しかし、リスクも伴います。
財務リスクでは、簿外債務や偶発債務、資産の実在性に関するリスクがあります。法務リスクでは、株式や契約、資産契約、許認可に関するリスクがあります。経営リスクでは、雇用や事業の将来性に関するリスク、経営統合に関するリスクがあります。人材リスクでは、従業員のモチベーションや人件費、運用に関するリスクがあります。
これらのリスクを回避するためには、事前調査や契約の正確性、統合の準備、専門家の活用が重要なので、吟味しながら行うようにしましょう。
船井総研では、50年以上にわたる業種別コンサルティングの経験を活かした、M&A 成立後の業績向上・企業の発展にコミットするM&Aを目指しております。業種専門の経営コンサルタントとM&A専門のコンサルタントがタッグを組み、最適な成長戦略を描きます。