アパレル業界M&Aの動向、事例
- M&Aコンサルティングレポート
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・アパレル業界のM&Aについて
アパレル業界とは、衣類に関連するデザインや製造から流通、販売までの様々な業種を含んだ業界のことを指します。そのため、業界内には製造業や卸売業、小売業など幅広い業態が混在しますが、一方で製造から販売まで一貫して行う「SPA(Specialty store retailer of Private label Apparel)」と呼ばれる業態も存在し、アパレル業界の形態は多岐に渡っています。
また近年では、上記のSPAの台頭や、ファストファッションの流行などによって業界内は変化を迫られており、ブランド力強化や規模拡大を図るためにM&Aは一つの有効な手段として機能しています。
・アパレル業界のM&A最新動向
現在、国内のアパレル市場規模は、製造工場の海外移転や、品質の悪化などを原因に、縮小傾向にあります。また、先ほど述べたSPAの市場拡大や、店舗を持たないEC専門の販売形態の出現などによって、従来のような店頭販売型の形態からインターネット通販に力をいれたビジネスモデルが主流になりつつあります。
このような規模縮小、新形態の普及を受けて、改革を進めようとするアパレル各社では、急速に変化を促せるM&A事業が大きな注目を浴びています。
アパレル業界のM&Aでは、インターネット販売の拡大に対応するための、EC関連企業の買収や、社会のトレンドに強く影響をうけるというアパレル業界の特徴から他業界間でのM&Aが盛んに行われています。
・M&Aを行うメリット
ビジネス形態が多様に存在するアパレル業界では、M&Aを行うことで各業態の強みや弱みを補強、カバーすることができます。
・売却
・経営安定化
売却のメリットとしてひとつ、「経営の安定化」が挙げられます。経営基盤の安定している大手企業の傘下に入ることで、継続的に安定した経営を行っていくことが可能になります。
・従業員の継続的雇用
上記の経営安定化につなげて、大手企業から買収されることで廃業のリスクを軽減し、自社従業員の雇用も買収先に引き継ぐことで、従業員が安心して働ける環境を提供することができます。
・買収
・エリア拡大
先ほど申し上げた通り、アパレル業界はインターネット販売の普及によって販売形態が変化しており、インターネット販売に特化した企業を買収することで、急速にECへの対応を進めることができます。このような事業エリア拡大のために買収を行うことで、不足していたノウハウを補い、堅実な経営を行うことを可能にします。
・規模拡大
同業他社の買収では、売却企業の強みを取り込んで、自社のプロダクトの弱点をカバーしたり、販売チャネルの拡大を行うことができます。
また、アパレル業界への理解が深い優秀な人材を確保することができます。
・M&Aを行うデメリット
・売却
大手傘下に入ることによって経営方針の変化や、自由性が失われる可能性があります。
・買収
売却側からの反発や債務の引き渡しによるリスクを負う可能性があります。
・アパレル業界M&Aのポイント
・損益管理の確認
売却企業のブランドや店舗での損益と管理状況を確認することで、買収後に見込める損益を明確にすることをおすすめします。
・条件や譲渡対象の確認
・行おうとしているM&Aの条件や形態、対象を確認し、自社がM&Aを行う本来の目的に沿った案件かを確認することで、買収売却後のリスクを回避できます。
・専門家、アドバイザリーの活用
売却でも買収でも、自社に不利益を被る形でのM&Aが行われないためにも、専門知識をもつ仲介業者やアドバイザリーを活用しましょう。
・まとめ
このように、規模縮小や業態の変化を受けて変革が必要とされているアパレル業界では、M&Aが増加傾向にあり、M&Aを有効に行うことで、経営安定化や事業拡大などを図り、利益の保護と向上を目指すことができます。転換期を迎えているアパレル業界で、自社の存続を強固なものとし、競合他社との差別化を図るためにもM&Aを検討されてはいかかでしょうか。
船井総研では、50年以上にわたる業種別コンサルティングの経験を活かした、M&A 成立後の業績向上・企業の発展にコミットするM&Aを目指しております。業種専門の経営コンサルタントとM&A専門のコンサルタントがタッグを組み、最適な成長戦略を描きます。