企業価値の見るべきポイントが変わった
- 企業価値評価
M&Aにおいて企業価値を算定する際には「バリエーション」や「デユーデリジェンス」という方法を用います。
その論点として
コンテンツ
1.ビジネスデューデリ
→その会社が将来的にどれだけの成長要素があるのか、逆に売上や利益が落ちる要素はどこにあるのか、といった部分。
2.財務デューデリ
→企業価値を算定する上での根拠となる財務内容を明確にするために、決算書の内容の中では判別できない売掛金がホントに回収できるのか、固定資産の現在価値がいくらなのか、隠れ負債がないか等々・・・。
3.労務デューデリ
→今いる人財がどれだけの戦力なのか、買収後の離職リスクがどれくらいあるか、給与規定、退職金規定がどうなっているのか、残業代の未払いがないか等々・・・買収後に従業員とのトラブルがないかを確認するために行うものです。
4.法務デューデリ
→そこの会社が法的、道義的に違法行為や不条理は行為を行っていないか、取引先に不合理な契約を撒かせていないか、昨今ではSNSなどで誹謗中傷などを受けていないか等々・・・。
この1~4の中で、これまでは重要度や優先順位は
1→2→3→4の順番で
1で将来収益を確定させ、
2でその裏付けを取り、
3で人的マイナス要素で減額し、
4でリスク要素を確認し、最終決定を行う
ということで時間と費用のかけかたも、上記の順番になります。
しかし、昨今はそれが変化してきています。
「4と3に徹底的に時間と費用をかけて、1はある程度、体系化ができているし、
「2」は表明保証(決算書や提出書類に記載されていることが事実であることを表明したもので、
それが虚偽の場合は買収後も契約を取り消しできることを保証する契約書類)で
リスクヘッジできたりします。
要は優先順位が4→3→2→1に変わってきているということです。
企業価値の考え方として
4の「法務デューデリ」でその会社のコンプライアンスを確認し、
3の「労務デューデリ」で労務リスクがないか確認して、
2の「財務デューデリ」で財務内容の信憑性を確認して、
1の「ビジネスデューデリ」でその会社の成長性やそれを阻害するリスクを確認し、
という順番です。
2004年船井総合研究所に中途入社。以降、成熟産業を中心に事業再生案件に従事。金融円滑化法や金融支援に伴う再生支援実績は40件を超す。M&Aでは3件の法的整理(会社更生法2社・民事再生法1社)に伴うスポンサー募集をはじめ、中規模以上のアドバイザリー業務に従事。不採算事業売却や成熟事業売却などのM&Aを得意とする。一般社団法人日本ターンアラウンド・マネジメント協会準会員。
平野 孝の紹介ページはこちら 船井総研のM&Aの特徴とM&Aに関する解説ページはこちら