初めての事業承継の成功とお金の問題解決②
~退職金編~
- 事業承継
コンテンツ
1. はじめに
承継後の自身のライフプラン策定を
前回は、事業承継において一番大事なポイントは事業承継後、つまり「事業承継が成功したかどうか」という点であり、事業承継とは、ヒト・モノ・カネにおいて細かく最適な対応が求められ、次の項目を①~⑦の順に事業承継を進めていく必要があることにふれました。
①借入金の状況把握と対策
②役員退職金の調達適正額の把握
③後継者の確定
④自社独自の事業承継スキームの構築
⑤事業承継計画の策定
⑥アクションプランの実行と検証
⑦承継者と後継者双方の合意
今回は②の役員退職金の課題についてふれていきます。
2. 役員退職金のポイント
借入金の対策が出来たら次は承継後のご自身のライフプランを検討しておく必要があります。
主には「退職金」が事業承継後に得られる大きな個人財産になるわけです。
ここで役員退職金は次の計算方法が一般的です。
役員報酬月額 × 役員在任期間 × 功績倍率
ここでの計算として、役員報酬月額はいつのものを根拠とするのか、功績倍率は何倍がいいのか等、状況によって判断が変わってくることがございます。
これは顧問の税理士とご相談の上、業界相場を見ながら慎重に確定する必要がありますが、それよりも重要なポイントは、
・退職金を払い出す原資が会社にあるのか、返済可能な範囲で調達できるのか
・自身の生活水準を保っていける分はいくらか
の2点です。
2-1. 退職金を支払う原資は会社にあるのか?
退職金を支払う原資は会社にあるのか?
まず退職金を支払う場合、退職金は会社の経費になります。
自社にお金がなければまず払う事はできませんし、運転資金を圧迫してしまっては本末転倒になります。
仮に自社で十分に支払えない場合は、金融機関からの資金調達が必要になります。ところが、前述した通り、会社の経費になることから、自社の株価が圧迫するため、金融機関としても融資しづらいものとなります。
また、退職金によって事業が成長するわけでもないので、ますます渋られてしまう可能性が高いです。
この場合、経営計画をしっかりと作成し、返済計画についても全く問題がないことを証明できなくてはなりません。
2-2. 承継後、生活資金は現実的にいくら必要なのか?
この支払可能な退職金と対比して、今度は事業承継後の自身の生活資金がいくらなのか検討してみましょう。
ご自身、配偶者、成人していない子息、ご親族に係る生活資金が毎月いくら必要であるのか、これに加えて、承継後に準備が必要な資金(ご自身の新たな計画・相続財産・医療費)がいくらかかるのか、自身の今後のライフプランを確認し、現在のご自身の年金、預貯金、保険、その他財産を差引くと、退職金で最低でもいくら必要なのかが見えてきます。
ここを計算せずに、会社のことを考えすぎて退職金をあまり取らないケースが散見されますが、個人の生活が窮することは事業承継の成功とはいえません。特に最低限必要な生活資金は確実に計算し、捻出しなければなりません。
このように承継後の家族も含めた生活資金を確実に準備することで、安心して次の事業承継のステップに進められることになります。
3. 最後に
前回と今回の二回にわたり配信させていただいた、お金の課題を中心とした事業承継の成功について、
弊社では、創業50周年記念企画としまして、日本生命様とタイアップさせていただき、
「創業50周年特別企画 事業承継セミナー」を開催致します。
(開催済み)https://lpsec.funaisoken.co.jp/50anniversary/shoukei/
全国47都道府県、47か所での開催を予定しており、日程が決定している拠点から随時公開をさせていただいております。
どの会場も無料開催ですので、最寄りの会場にて是非ご参加ください。
次回のレポートでも、事業承継のポイントをお伝えいたします。
「後継者の決め方」、自社に最適な「事業承継スキームの選び方」等をお伝えして参ります。
少しでも事業承継をお考えの方は是非ご覧ください。
税務監査・財務コンサルティングの業務経験に加え、事業承継・事業再生コンサルティングの成功経験を多く持つ。2017年10月に船井総研中途入社後、M&Aコンサルティングにより22件の案件成約を担当。 現在、船井総研における事業承継・M&Aコンサルティングの中核的な役割を担う。
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