簡易的な企業価値算定と実際の企業価値の差
- 企業価値評価
企業の価値を簡易的に査定する方法は大まかに2種類で、
時価純資産にEBITA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)の数倍をかけたものを
足す方法と将来のキャッシュフローを一定の割引率を適用して割り引いて求めるDCF法とあります。
弊社も含めてM&Aブティックの多くは案件相談の入り口で株式の売却を検討している株主様に対して、
この2つの指標でおおよその売値を想定し、株主様に売却の可否・買主探しに進むか否かを判断してもらっています。
しかしながら、実際に相手探しを行うフェーズになると様々な要因で株式価値が増減します。例えば
・企業が特殊な技術力・特許を持っており、それを自社に取り入れた場合にシナジーが生まれやすい
・従業員面談を行ってみたら優秀な従業員が多かった。(あるいは逆だった。)
・属人的な仕事が多く、キーパーソンが退職すると事業がなりたたなくなる。
・不動産等の資産価値が著しく毀損している。
・決算書では好調な売上、営業利益を出しているものの、直近の試算表で著しく業績が悪化してしま
っている。
・業界・商圏によっての優位性
等々様々な要因によって株式の価値が決まるため、一概に簡易査定だけでは判断できない要素が
複雑に絡み合って値段が決まります。
最近行った価格査定の会社で老人ホームに特化したリフォームの会社がありましたが、その会社がまさしく一般的な値段しか簡易査定上出ませんでした。しかしながら、その会社自体は、大手リフォーム会社がこぞって欲しがる技術(特許)を持っており、
簡易査定の金額からははるかに値段の高い金額で売却されることが予想されます。
また、斜陽産業と呼ばれている会社に関しては、利益が出ているのにも関わらず、企業価値がほぼ“0”円という結果になってしまったこともありました。
企業価値は当然買側がきめるものであり、評価の仕方・得られるシナジーもまちまちです。
弊社では専門特化した業種コンサルが多数在籍しております。故に業界ごとに適正な価値査定・買主・売主探しを行えます。
2004年船井総合研究所に中途入社。以降、成熟産業を中心に事業再生案件に従事。金融円滑化法や金融支援に伴う再生支援実績は40件を超す。M&Aでは3件の法的整理(会社更生法2社・民事再生法1社)に伴うスポンサー募集をはじめ、中規模以上のアドバイザリー業務に従事。不採算事業売却や成熟事業売却などのM&Aを得意とする。一般社団法人日本ターンアラウンド・マネジメント協会準会員。
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