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はじめてのM&Aを成功させるために覚えるべきこと(前編)

  • ファーストステップ
M&A

M&Aの成就を左右する3つのポイント

日頃、船井総研M&Aコンサルタントは、無料経営相談にて事業承継やM&Aに関するご質問をいただいております。今回は、はじめてのM&Aを成功させるために、重要なポイントをお伝えいたします。

(1)M&Aの時流を捉え行動すること

コロナウイルスの影響により営業活動の自粛を余儀なくされてしまった企業や売上が過去類を見ないくらいに減少してしまった企業が急増しました。M&Aの市況としても、元々年々増加傾向にある国内M&Aだったわけですが、ちょうど2020年2月~3月は先行きが見えない不安感や資金繰り難を理由としたM&A(売却)を希望する企業が急増しました。ただ3月中旬より開始されたコロナ対策の実質無利子・無担保の緊急融資が開始され申込が殺到したことで、当面の資金繰りが確保できた安心感と営業再開が可能となった状況から、3月~8月頃まではM&Aによる売却を希望する企業が一時的に停滞していました。ここから9月以降、やはりコロナウイルスとの長期戦となることで、経営状況の回復が芳しくない企業、緊急融資の資金に限りが見えてきた企業の売却希望企業が再度増加しています。

M&Aによる「売却」を意識するオーナー経営者の心理的な背景には、
・業績回復の見通しが立たない
・資金繰りに限界が見える
という直接的なもののほか、
・このまま運営しても経営成績の限界が見えている
・自身の成長ビジョンがぼやけてきた

など、間接的に経営が傾く予兆を感じたタイミングでの行動が増えているように感じます。
こうした中で、M&Aが成就している案件と成就していない案件に3つの大きな差があることがわかってきました。

(2)成立するM&AとブレイクするM&Aの違いとは

一つ目は、スピード感の差です。

経営悪化や業績低迷が見えているのであれば、出来る限り傷が浅いうちに、具体的には決算書や進行期の試算表の数値が悪化する前に動くことです。いくら実質無利子・無担保といえど、借入金に変わりはなく、企業価値から借入金分が減額されてしまうのが通常ですし、資金が底をついてから借入金だけ残った企業としてM&A(売り)を検討しても、買い手は極めて限られます。確実な譲渡対価を得て成約にたどり着く売り手オーナーとの違いは、この判断力の差といえます。

二つ目は、経営管理力の差です。

毎月の業績管理をしっかりと行い、経営計画通りに順調にいっているのかを予実管理している企業や、拠点別・店舗別に損益計算書を作成して実績管理している企業は、先の見通しが立てやすいです。この点、買い手にとっても数値的な根拠があることは大きな安心感に繋がります。また事業の選択と集中といった抜本的な対策から販売促進などの細部に渡るまでの具体的な対策を講じやすいことから評価がされやすいです。「顧問の税理士先生に全て丸投げで試算表が出来上がるのが3か月後」、といった企業の場合は、買い手としては費用をかけて詳細まで調査しないとわからないことから敬遠されやすい傾向にあります。

三つ目は、相談相手の差です。
M&Aを検討する際の相談相手として、知見のある相手を選ぶことが成就の分かれ目になることが驚くほど多いです。

M&Aにおいて必要となる能力としては、

・会社や事業の価値を適正に算定すること
・業界の相場を把握すること
・買い手が見るポイントを理解して対策を施すこと
・財務・税務・労務・法務・不動産のそれぞれにおいて状況の整理と基礎知識を持つこと
・買い手の交渉に対してあらゆる面でこちらが不利に働かないように対応すること

などがあります。直接交渉や単なるブローカー的な役割だけでは、後々訴訟問題にもなりかねないため、そういったことに知見のある相手を選ぶことがまずは大事です。
さらに、相談相手の範囲を広げないことも重要です。

買い手との条件調整の途中で、M&Aが成就しない例としては、

・オーナー経営者の親族に相談してしまった
・他のアドバイザーに広く相談してしまった
・知り合いの経営者に相談してしまった

などを要因とした案件のブレイクが多くあります。

もちろん売却を検討しているオーナー経営者としては、自分の配偶者に相談したいと思うのは当然でしょう。しかしながら、これは相談の仕方を誤ると一気にブレイクとなるので注意が必要です。
理由としては、経験・知識・状況の理解が圧倒的に不足しているためです。相談された配偶者としては、本来M&Aが一番良い選択にもかかわらず、状況が正確に理解できないために否定的な思考を持ってしまうことが多く、全体最適とならない結果を作り出してしまう事が極めて多いです。ある程度の意思統一は最初から図っておきつつ、オーナー経営者が主体的に進めるという形で動かす必要があります。

また、せっかく買い手が見つかっていい形で進めていたにもかかわらず、他のアドバイザーや知り合いの経営者などに相談すると、うまい話だけを切り取って横やりを入れてしまうこともあり、結果話がまとまらなくなってしまいますので注意が必要です。
このような時流を捉えて、確実なM&A実行に取り組んでいくことをお勧めいたします。

なお、弊社主催の下記M&Aセミナーではより詳しく、売り手・買い手双方のM&A戦略について解説していきます。ぜひご自身の知見を深めるためご活用ください。

■関連セミナーのご案内

▼セミナーの詳細・お申込みはこちらから
2.『業界別M&Aの相場と企業価値算定方法』
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/065882

3.『M&Aができる組織体制の考え方』
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/065881

4.『借入金過大でのM&A手法』
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/065880

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