小さな会社の売却準備
- 小規模M&A
M&Aというのは大企業だけの話ではなく、いまや小さな会社でも普通に取り組まれることになりました。
ただ、小さな会社ならではの事情で、売却が思うようにすすまない場合もあります。
今回は小さな会社を「売却」しようとしたときに、あらかじめ段取りしておくべきことについて、時々遭遇する事例から申し上げます。
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・契約書を取り交わす
店舗などの賃貸借契約書が存在せず、大家さんと口約束だけでこれまで営業してきた・・・という場合が少なくありません。買い手側にとって、これは大きなリスクで、「新しく会社を引き継ぐことになりました」とご挨拶にうかがったら、大家さんから「ちょうどいい、長らく据え置きだった家賃を上げてもらおうと思っていたところだ」なんてことになりかねません。
現在の条件で引き続き契約が続けられることが買い手にとっての買収条件になることが多いため、ここは売却前にしっかりと整理をつけておくべきことです。名義変更に伴う契約継承についても同様です。
賃貸借契約だけではなく、雇用契約についても同様となります。
社労士の方に対応をお願いしていれば、雇用契約・就業規則・退職金規定などが整備されていてしかるべきなのですが、そういったものが存在していない会社も少なくありません。
・設備等の名義をそろえておく
ある設備を有している会社を買おうとしたものの、よくよく確認したら、建物と中の設備の名義が違う、ということが少なくありません。たとえば一部の設備をオーナーが個人資産として所有していたりすることもあります。この場合、株式を購入してもこの設備は対象外などとなったら、買い手にとっては非常に面倒なことになります。設備資金を別途支払う、あるいは買い手側企業で別途調達するなどの方法もありますが、お互いにとって分かりにくく面倒になりかねません。また、こまごまと名義が分かれていては「話が違う」といった誤解を招くことにもつながりかねません。
よくご相談をうける例について解説いたしましたが、このほかにもケースバイケースで様々な対応が必要になることが多いです。
いざ売ろうとしたときに「売りやすい状態」になっていることもスムースな取引のために必要なことになります。ぜひお気軽にご相談いただけましたらと思います。
2008年銀行に新卒で入行。与信管理・調査部門を4年半程度経験後、21012年頃より、銀行にてM&Aアドバイザリー業務に従事。その後、2019年船井総研に参画後も、引き続きM&Aアドバイザリー業務に従事。
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