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M&Aとはいったい何?~M&Aについてわかりやすく解説~

  • M&Aコンサルティングレポート

M&Aとは

M&A(エムアンドエー)とは「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の頭文字をとった略称で、「法人の合併・買収」を表します。文字通り、「法人と法人が合併すること」もしくは「他の法人や事業の買収すること」を表します。つまり、法人または事業の移転取引を指し、一般的には「法人もしくは経営権の取得」を意味します。

M&Aについて詳細についてはこちらのページもご覧ください

M&Aマーケットの時流

M&Aは近年、増加傾向にあります。大手企業同士のM&Aも活況ですが、日本国内においては中小企業同士のM&Aも年々増加傾向にあります。中小企業庁の調べによると、後継者が不在の法人は約127万社あり、そのうち60万社が黒字企業であるというデータがあります。つまり、業績が良い悪いにかかわらずM&Aという選択肢を選ばなければ、後継者が不在のために黒字廃業の選択をしてしまう企業が多く出てしまいます。また、後継者の不在だけが譲渡理由ではなく、企業がより成長していくために大手企業にグループインするという選択肢を選ばれる経営者もいらっしゃいます。つまり、M&Aは企業を成長させるための手段の一つとして選択される時代になっていると言っても過言ではありません。

M&A件数の推移

M&Aの件数はレコフデータ社の調べによると公表されている数だけでも年々増加しており、現在では4000社を超える企業のM&Aが発表されております。公表されていないM&Aも多数ありますので、実際にはこの倍以上のM&Aが行われていると予想されます。最近では、オンライン上でM&Aのマッチングを行うサービスなども多く出てきているので、より手軽にM&Aの選択肢を選べるようになってきました。昔はM&Aと耳にすると「乗っ取り」などのイメージをされる方も多くいらっしゃいましたが、非上場企業のM&Aに関しては双方の合意の元、株式譲渡契約をかわさない限りM&Aは成立しません。しっかりと納得したうえで交渉を進めることができれば、「乗っ取り」などは起こりえませんのでご安心ください。

M&Aの種類・スキーム

M&Aは様々な種類があります。大きく分けると、「合併」と「買収」の二つに分かれますがそれぞれ意味が違います。「合併」と「買収」に関しては狭義のM&Aと言われることが一般的です。M&Aを広義でとらえると「資本提携」「業務提携」までを含みます。企業同士の協業関係までをM&Aの一つとしてとらえることもできるのです。「合併」や「買収」にも下記のように様々なスキームがあります。それぞれどのような特徴があるのかわかりやすく説明します。

買収

買収とは、対象企業の「株式の取得」もしくは「事業の取得」を通して、「経営権」もしくは「事業」を譲り受けることをいいます。買収のスキームの中にも大きく6種類があります。

株式譲渡

株式交換

③株式移転

事業譲渡

吸収分割

新設分割

①株式譲渡

株式譲渡は、中小企業のM&Aで一般的に用いられる方法の一つです。譲渡企業の株式を譲り受け企業に譲渡するスキームです。譲り受け企業は譲渡企業に対して対価を支払います。(すべての発行済み株式を譲渡する場合もあれば、何回かに分けて段階的に譲渡する場合もあります)

>>株式譲渡についてはこちらのページもご覧ください

②株式交換

株式交換は、譲渡企業の全ての発行済み株式を譲り受け企業に集約します。売主は対価として譲り受け企業の株式を取得することとなります。

>>株式交換についてはこちらのページもご覧ください

③株式移転

株式移転は、新たに設立する会社に、すべての発行済株式を取得させることです。対価としては新設した会社の株式の割当をうける方法が一般的です。

④事業譲渡

事業譲渡は、譲渡企業の事業のすべて、もしくは一部を譲り受けるスキームです。事業の譲り受けとなりますので、事業価値としての対価を支払います。譲り受け企業としては簿外債務などを引き継がなくてよいという点でリスクが軽減されるメリットもあります。

>>事業譲渡についてはこちらのページもご覧ください

⑤吸収分割

吸収分割は、譲渡企業の一部事業を切り分けて、譲り受け企業に譲渡します。譲渡企業は対価として、譲り受け企業から現金もしくは株式等を取得します。

⑥新設分割

新設分価値は、譲渡企業の一部事業を切り分けて、新設する会社に承継します。譲渡企業は対価として新しく設立された会社の株式を取得します。

合併

合併とは、複数の法人が一つの法人になることを言います。スキームとして吸収合併と新設合併の2種類があります。

①吸収合併

②新設合併

①吸収合併

合併する会社のうち1社が存続し、他の会社は解散する手法です。吸収した会社は、吸収された法人の財産(資産・負債)や従業員等を引き継ぐこととなります。

②新設合併

新会社を設立し合併対象であるすべての法人の従業員・財産(資産・負債)、権利義務を新設会社に引き継ぎ、対象となるすべての法人は解散します。吸収合併に比べると、手続きが煩雑となり、新設会社ですべての許諾・認可を取り直す必要がでてきます。

提携(広義の意味でのM&A)

提携とは2社以上の法人が業務・資本面で協力、協業をすることを表します。合併や買収と異なる点は、経営権の取得することが目的ではないため、一般的なM&Aとは異なります。しかし、提携後、シナジー効果が十分に得られることで、合併や買収に進展していくこともあります。そのため、提携も広義の意味でM&Aとして扱われることもあります。M&Aをする前にお互いのことを見極めるために資本提携や業務提携を活用するのも一つの手段とも言えます。

①資本提携

②業務提携

①資本提携

資本提携とは、法人が他の法人の株式を取得する、もしくはお互いの株式を持ち合うことにより、関係性をより強くする方法です。この方法は買収と似ていますが、経営権の取得を目的としていない点が、買収と異なります。

②業務提携

業務提携とは、複数の企業が契約書を交わし業務上の協力関係を強固に持つことです。お互いの事業の強み・弱みを補完しあいシナジーを生み出すことが目的となります。「業務提携契約」を取り交わすことで提携関係を明確にすることが一般的です。

M&Aのメリット・デメリット

この章では譲り受け企業のメリット・譲り受け企業のデメリット・譲渡企業のメリット・譲渡企業のデメリットをお伝えします。

譲り受け(買収)企業のメリット

①時間を買い、リスクを軽減できる

②規模の拡大、スケールメリット

③節税対策

・時間を買い、リスクを軽減できる

一から事業を立ち上げ成長させるのは時間、コストを要します。また成功するかどうかが不明瞭というリスクもあります。一方で、現状すでに立ち上がっている法人や事業を買収することは、立ち上げまでの時間が必要なくなるうえに、事業計画が立てやすいという大きなメリットがあります。研究データによると、新規事業立ち上げの成功確率とM&Aで買収して新規事業に参入する場合の成功確率は2倍以上高まります。

・規模の拡大、スケールメリット

自社と同業種を買収する際には、新規事業の要素とは異なり既存事業の規模拡大が目的となります。規模を拡大していくことで、仕入れコストを下げることができる、生産性を高めることができるなどのスケールメリットを出すことができ競争力を高めることができます。また、お互いの企業のノウハウを共有しあうことで更なる成長スピードアップにつなげることができます。

・節税対策

譲り受け企業側には節税メリットが生まれる場合があります。譲渡対象企業が赤字を抱えていた場合、選択したスキームが適格合併と見なされれば、繰越欠損金を引き継げることとなり自社の黒字と相殺することができます。M&A後、数年の赤字は節税できること織り込みながら、事業の立て直しを図り発展させていくということを計算して赤字企業を譲り受けるというケースもあります。

譲り受け(買収)企業のデメリット

①簿外債務が出てくる可能性

②許認可を引き継げず事業継続ができないリスク

③思っていたシナジーを生むことができないリスク

・簿外債務が出てくる可能性

M&Aでは、買収成立後に貸借対照表に載っていない「簿外債務」が判明することがあります。代表的な項目としては「退職給付引当金」「残業代の未払い」などがあげられますまた、簿外債務だけでなく「顧客とのトラブル」や業種によっては「環境汚染」などの将来自社に不利益をもたらす「偶発債務」を継承してしまう可能性もあります。

偶発債務を意図せず引き継いだ場合、M&Aの後に訴訟に巻き込まれ多額の請求を受けてしまう可能性もありますので、注意が必要です。M&Aでは、上記のようなリスクを回避するために、買収監査(デューデリジェンス)をしっかりと行い、法務リスク、労務リスク、財務リスク、環境リスク等の洗い出しを行う必要があります。

・許認可を引き継げず事業継続ができないリスク

許認可の必要な事業を買収する場合、許認可に関する権利が引き継げるかどうかが重要な争点となります。もし許認可を引き継ぐことができなければ、事業自体の継続が難しくなるケースもあります。そのような自体を避けるためにも、事前に「許認可の有効性」「M&A成立後にその許認可を引き継げるか」「引き継げない場合に新たな許認可を取得する難易度やコスト」など、関係各所に確認を取りながら進める必要があります。

・思っていたシナジーを生むことができないリスク

M&Aに思い描いていたシナジー(相乗)効果を得ることができず投資回収の時期が遅れるケースもあります。譲渡企業が同業種である場合は、自社のノウハウを移植することでの収益改善、仕入れなどの調達コストに対してのスケールメリットを発揮する可能性も高くなります。一方で他業種の場合、見込んでいたシナジー効果があまり出ない、生産性向上の策を行うとすると社内でのハレーションが起き、改革が前に進まない、ということも稀にあります。他業種のM&Aを行う際は特にシナジー効果がどのように生まれるかをビジネスデューデリジェンスを通して見極めることが必要です。

譲渡(売却)企業・株主のメリット

①売却をすることで対価、株式を手にすることができる

②後継者問題が解決できる

③従業員の雇用を守ることができる

・売却をすることで対価、株式を手にすることができる

M&Aで会社の株式、もしくは事業の一部を売却した場合の対価として、譲渡企業は譲り受け企業から現金もしくは新株を発行するような形で支払われる形となります。非上場企業の場合は、株式は贈与や相続などの形で所有者が変わることがありますが、市場に出回るものではなく、なかなか現金化しにくいものです。第三者譲渡を選択すると、現金化、もしくは他株式に変えることで、オーナー資産を流動性の高いものに変えることができます。一方で株式価値が高まってきた会社を贈与・相続する際には多額の税金が発生することもあります。

・後継者問題が解決できる

後継者が不在の企業は多く存在する中で、M&Aを通して第三者に引き受けていただくことで、後継者問題を解決することができます。事業が好調でも将来的に親族内では引き継ぐ方がいらっしゃらない、従業員さんには能力があっても株を引き取る資産がない、あるいはリスクをとることを嫌がられる、というケースも多くあります。そのようなケースの場合は、自社の成長戦略を描くことのできる株の譲り受け先を見つけることがベストな選択肢と言えます。また、条件によっては譲渡後も経営者も代表権を持ったまま雇用維持をした状態で残るケースも多くあります。所有と経営の分離をし、後継者問題などを気にせず経営に集中できるというメリットもあります。

・従業員の雇用を守ることができる

M&Aで譲渡した後、従業員の雇用は継続されるケースが一般的です。後継者問題で廃業を選択してしまうケースにおいては、企業自体が解散してしまいますので、従業員の雇用も守ることはできません。譲り受け企業としても、事業を継続、発展させていくうえで従業員がいなければ難しくなるため、雇用を維持したいと考える企業がほとんどです。ただし、譲り受け企業側として働き手が欲しいわけではなく、単に事業や顧客が目的で譲り受けるという場合もあります。そのため譲り受け企業の性格をしっかりと把握する必要があるます。また、M&Aの条件に雇用の維持を盛り込むこともできますのでM&Aが成立する前にしっかりと明記してお伝えするようにしましょう。

譲渡(売却)企業・株主のデメリット

①株主としての権利がなくなる

②オーナーの特定資産を移動させなければならない

・株主としての権利がなくなる

株式を譲渡した場合は、株主としての権利はなくなります。株主の権利は大きくは2つにわけられます。1つは自益権、もう1つは共益権です。自益権は、配当金などの経済的な利益を受けることができる権利です。共益権は株主が会社の運営に参加することを目的とした権利です。特に中小企業のオーナー経営者の場合は、今まで有していた共益権がなくなることにデメリットを感じることが多くあるようです。

・オーナーの特定資産を移動させなければならない

中小企業の場合は、オーナー経営者の特定の資産、例えば車や住宅などが会社保有になっているケースがあります。M&Aの際にはそれらの資産をオーナー自身が会社から買い戻し、資産を移動させなければなりません。

M&Aの流れ~M&Aを検討し始めたら最初に行うべきこと~

M&Aを検討し始めたら最初に行うべきことは「自社の企業価値を知る」ことです。そのためには、まずはM&Aのサービスを提供しているプロに査定を依頼することが重要です。1社だけでなく、数社に査定をすることで市場の相場観を正しく知ることができるので、数社に査定を依頼することをお勧めします。特に、業種に強いM&Aサービスを提供している会社の方が相場観を業界の熟知している傾向にあります。実際に、船井総研にも他のM&A仲介会社では譲渡査定額3億だった企業様を、業界の特性上13億円で取引されると査定し、M&Aを成約に結び付けたケースもあります。決算書の数字が重要な指標であることは、どの査定においても変わりませんが、M&Aサービスを提供する会社が、業界の特性、会社の特性を正しく理解しているかどうかでM&A対価は大きく異なりますので、気を付けましょう。下記が、M&Aの一般的な流れです。

①企業価値査定

②M&A仲介契約の締結

③企業概要書の作成

④譲り受け候補先の選定

⑤譲り受け候補先への提案

⑥トップ面談

⑦基本合意契約

⑧買収監査(デューデリジェンス)

⑨最終条件の調整

⑩最終契約の締結・クロージング

①企業価値の算定

決算書の数値、業界における譲渡対象企業の強み、特徴などを加味しながら、企業価値の査定を行っていきます。価額を出す手法は一般的にはどのM&A仲介会社でも同じですが、その中に業界特性や貴社の強み・特徴を加味することができるかどうかが、大きく異なってまいります。

②M&A仲介契約の締結

納得のいく、相性の良いM&A仲介会社が見つかった場合、仲介契約を結び次のステップに進んでいきます。仲介契約は、専任契約と非専任契約があります。専任契約の場合は一社のM&A仲介会社のみが貴社の情報を取り扱うことになります。一方、非専任契約の場合は、数社のM&A仲介会社が譲渡対象企業の情報を取り扱うことになります。また、M&A仲介会社によっては、仲介契約を結んだ時点で、着手金が発生する場合もございます。(船井総研の場合は、着手金無料でサポートをさせて頂いております)

③企業概要書の作成

M&Aの業界では、インフォメーション・メモランダム(IM)と呼ばれる、譲渡対象企業の状況・特徴をPRするための企業概要書を作成いたします。この企業概要書次第で、譲渡対象企業の強みや特徴が譲り受け企業に伝わるかどうかが決まります。M&A仲介会社には、「業界的にはこれは一般的かな」と思う内容も話をすることで、自分たちでは気づかない自社の強みに気づくことができる場合もあるので、しっかりとM&A仲介会社と対話をしながら進めていきましょう。

④譲り受け候補先の選定

M&A仲介会社が譲り受け企業の候補となる候補企業をあげてきます。通常は、ロングリストといい100社近くの候補先企業の中から、候補となる数社の企業を選定していきます。(数社のリストをショートリストと呼びます)ただし、業界に精通しているM&Aコンサルタントの場合は、最初から精度の高いショートリストを作成し提出してくることもできます。どちらが良い悪いということはありません。自社の視点になかった企業との交渉をできる可能性もありますので、しっかりとリストを精査していきましょう。

⑤譲り受け候補先へのアプローチ

譲り受け企業に対して、ノンネームシートを使ってM&A仲介会社が声がけをしていきます。ノンネームシートは企業が特定されない基本情報が書いてあるシートとなります。そのシートを使い譲り受け候補企業へ声かけを行い、M&Aに興味があるかどうかの意思を確認していきます。意思があると表明された譲り受け企業に、NDA(秘密保持契約書)を結び、企業概要書(IM)をお見せします。企業概要書を確認いただき、譲り受け企業に興味を持っていただいた場合は次のステップに進みます。

⑥トップ面談

譲渡対象企業の経営者(orオーナー)と譲り受け企業の経営者(orオーナー・責任者)が面談を行います。お見合いのような形で、両社がお互いのPRを行いながら、お互いの相性が合うかどうかを確かめます。また、企業概要書から読み取ることのできなかった点に対して、譲り受け企業側から質問が来る場合もあります。一方で、譲渡企業側からも、譲り受け企業に対しての質問を投げかけながら、お互いの目に見えない不安の解消を行っていきます。

⑦基本合意契約

トップ面談を通じ、両社の相性を確かめ合い、お互いが次のステップに進むことを決断した場合、条件を織り込んだ基本合意契約書を譲り受け企業側が作成します。基本合意契約書の条件を基に、この後のステップの交渉が進んでまいります。売主(譲渡企業)側からの要望も正確に伝えながら、基本合意契約書に織り込んでいただく必要がありますので、要望はM&A仲介会社に正確に伝えるようにしましょう。譲り受け企業側からは数か月間の独占交渉権を希望される場合が多くあります。また、基本合意契約の時点で、中間報酬が発生するM&A仲介会社もあります。(船井総研の場合は、中間報酬はいただかずサポートさせていただきます。)

⑧買収監査(デューデリジェンス)

譲り受け企業が本格的な調査を開始します。会計、労務、法務、ビジネス、その他の面で簿外債務やリスクがないか、自社とのシナジー(相乗)効果、市場環境の確認、業績を伸ばすために取り組むべきことは何か等を調査します。譲り受け企業にとってのリスクの把握、そして、何よりも譲渡企業がM&A後にどのように成長していくのか、ということを細かく調査していくこととなります。期間としては通常1か月~2か月が目安ですが、まれに3か月程度かかることもあります。

⑨最終条件の調整

デューデリジェンスを受けて、条件の最終交渉に入ります。デューデリジェンスが順調に進み簿外債務等がない場合は基本合意契約通りの条件で進む場合もあります。一方で、簿外債務が見つかった場合、何らかのリスクが発見された場合は減額交渉や条件を付け加えられることもあります。お互いが納得した時点で最終ステップの契約締結・クロージングへと進んでいきます。

⑩最終契約の締結・クロージング

最終の条件のすり合わせができたら、最終の契約書となる、株式譲渡契約書(SPA)の作成にはいります。通常、譲り受け企業側が雛型を作り、譲渡企業側が確認、修正依頼をかけていくという手順を踏みます。双方が納得したうえで、調印を行った後に、株式譲渡対価が支払われクロージングとなります。中小企業のM&Aの場合は、調印日と株式譲渡対価の支払い日が同日というケースも多くあります。クロージング日と同日にM&A仲介会社に成功報酬をしはらいます。(船井総研は成功報酬のみでM&Aのサポートをおこなわせていただきます。※)

M&Aでの価値のつけ方

企業価値の算出方法には大きく分けると3つの考え方があります。

①コストアプローチ(譲渡企業の純資産価値に着目し算定する評価方法)

中小企業のM&Aにおいて使用することが多いのが、コストアプローチでの算出手法です。企業の保有している資産および負債をベースにして株式価値を算出します。その中でもよく用いられるのは「時価純資産法+のれん(営業権)」の計算方式です。BS(貸借対照表)を時価換算し時価純資産を出します。しかし、それだけでは将来的な収益力を加味することができないため、将来的な収益力を加味するため、「営業利益×3~5年」をのれん代(営業権)として、時価純資産に足し戻して算出します。※業種・業態によって、掛け合わせる年数が異なります。

②マーケットアプローチ(株式市場やM&A市場における取引価格を基準に算定する評価方法)

マーケットアプローチとは、株式市場やM&A市場におけるM&A取引価格を基準に算定する方法です。中小企業のM&Aの際には、同じビジネスモデル、かつ、同規模の上場企業を探し出すことが難しいという欠点があります。マーケットアプローチの中でも特に日本で一般的に使われるのが、類似企業比較法です。・類似企業比較法類似企業比較法は、業種や企業規模、収益性という観点で類似した上場企業を複数選出した上で、類似企業の事業価値(株式時価総額+純有利子負債)をEBITDA(償却前利益)で割りだし、EBITDA倍率(マルチプル)を算出します。類似企業のマルチプルの平均を出し、自社のEBITDA(償却前利益)にかけ戻すと、自社の企業価値を出すという方法です。

③インカムアプローチ(譲渡企業の収益力に着目し算定する評価方法)

インカムアプローチとは、譲渡企業に今後見込まれる収益やキャッシュフローから、リスクなどを考慮して企業価値を算出する評価方法です。新規事業を手掛けている最中の場合、現在は赤字であるものの将来的には大きな収益を上げる可能性を秘めている場合もあります。その際は、事業の将来価値を見込んで企業価値を算出する必要があります。一方で、あくまでも将来の収益力を見込んで企業価値を算出するため、情報に対する恣意性が排除されづらいという難点もあります。その中でもよく用いられる1つの手法は「DCF法」です。

・DCF法(Discounted Cash Flow =割引キャッシュフロー法)

将来、見込まれるキャッシュフローから、リスクの大きさに合わせて設定した割引率(将来的な価値を現在の価値に直すための利子率)を引き算出します。事業計画を作り、将来のキャッシュフローの予測を出すことが必要になります。会計上に現れない無形の資産(のれん代)についてもDCF法では加味されるため、現在の決算書やキャッシュフローだけでは測れない企業価値を測ることが出来ます。ただし、事業計画通りに事が運びそうかどうかを、デューデリジェンスで判断し、割引率の設定をしていく必要があります。

M&Aの譲渡対価の算出の方法は上記以外にも様々な手法があります。一つの手法で企業価値を算出するのではなく、複数のアプローチ方法で企業価値を算出することをオススメいたします。

M&Aを検討し始めたらまず行うこと

「M&Aで会社・事業を譲渡しようと検討し始めた」という経験は、経営者人生の中でもそう何度も経験をすることではありません。

また、M&Aで他社の譲り受けた経験がある、といった場合でも、いざ自分が譲渡側にたつと全く状況が変わり、一筋縄に物事を進めることは難しくなります。

一方で、M&Aで譲り受けを経験したことのある方にとっても、一度として同じような状況でのM&Aというものは存在しません。

デューデリジェンスの際に出てくる論点は毎度毎度違ったものになるというのは、M&A業界の常です。

そんなM&Aであるからこそ、専門家に相談しながら進めることはとても大切です。
船井総研では無料でM&A相談を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
業種専門のコンサルタントも含めて親身にご相談を承らせていただきます。

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