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2022年 整骨院業界のM&A時流予測とM&A活用方法

  • 整骨院 M&Aレポート

整骨院を運営されている会社様へ、M&Aの業界動向についてお伝え致します。
大手整骨院グループが中堅整骨院グループを買収するなど、昨今、整骨院業界でもM&Aが活発化してきております。着々と身近になりつつあるM&Aについて少しでもご理解深めていただければ幸いです。

1.整骨院業界の市場動向

矢野経済研究所のレポートによれば、整骨院の市場規模は2014年から2018年にかけて558,000百万円から481,000百万円へ年平均3.6%の割合で減少しています[1]

一方で、国家資格の柔道整復師(以下、柔整師)養成学校の規制緩和により、資格所有者が急増し店舗数は増加しています。厚生労働省によると、整骨院は2018年末時点で約5万77カ所まで増加し、10年間で約1.4倍に膨れ上がっています。市場規模そのものは微減傾向となりますが、事業者数が増えており、競争激化が伺えます[2]

また、帝国データバンクによれば、2018年度時点で年商を把握可能な整骨院事業者1,997社のうち、年商1億円未満の企業数が1,656社(全体の82.9%)、年商1~10億円未満の企業数が192社(全体の15.9%)となっています。また、従業員数別の企業数をみると「10人未満」の事業者数 は1,702 社で全体の81.4%となっております[3]


1 株式会社矢野経済研究所『柔道整復・鍼灸・マッサージ市場に関する調査を実施(2020年)』

https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2460

2 厚生労働省『平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/18/

3 株式会社帝国データバンク『特別企画:整骨院・療術・マッサージ業者の経営実態調

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p191102.pdf

整骨院業界は小規模事業者数の占める割合が多いといえます。こうした業界構造の場合、事業環境が厳しくなると競争力のある大手チェーン店に人材や資金などの経営資源が集約していきます。

コロナウイルスの影響で営業自粛や患者が大きく減少しましたが、2022年1月現在でも自社単独での運営維持が難しい企業が多くみられます。今後は事業承継ニーズをはじめ、数店舗単位の事業資産の譲渡ニーズや株式譲渡による経営権のバトンタッチ等、増々M&Aの需要が高まると予測されます。

2.M&A選択のメリット

次にM&Aを選択した際の代表的なメリットを検討します。譲主(売手)・譲受主(買手)それぞれにM&Aのメリットとポイントとなる検討点がありますが、ここでは譲主中心に記載します。

①事業承継時の金銭対価

自社の株式や店舗といった事業資産がお金になるという事が大きなメリットとなります。例えば、ご子息に引き継ぐような事業承継では、対価は発生せず、むしろ贈与税・相続税の対策が求められることが多くあります。いわば事業承継に向けた資金繰りが必要となります。M&Aの場合、第三者から譲渡対価を得ることができますので、老後の生活資金や将来の不安が解消できるというメリットがあります。

②事業資金や経営ノウハウ

自力で将来展望を描くことが難しい場合、M&Aを通じて第三者からの協力を得ながら事業拡大を目指すことも方法となります。

M&A実行後も引退せずに、代表や現場の柔整師として続投する場合もあります。この場合のメリットは、銀行借入れの保証を解消しつつ、買い手の資金力を活かしながら事業拡大に取り組めるという点です。

業界大手やフランチャイズ店が増加する中で引き続き成長を続けていくためには、患者のニーズに合った施術やWEBマーケティングの活用など、多岐にわたる経営ノウハウが必須となります。業界大手との提携やグループインにより、経営ノウハウや人材・ネットワークの享受もメリットです。

③不採算店舗撤退時の金銭対価

 不採算店舗を畳む場合にもM&Aを活用できます。例えば、設備をはじめとした事業用資産や土地建物の賃貸借契約を第三者へ引き継ぐ場合があります。これは「店舗M&A」と呼ばれ、下記の点でメリットがあります。

・原状回復にかかるコストを抑えられる可能性がある。

・赤字店舗であっても譲渡益を得られる場合がある。

・賃貸借契約の空家賃や違約金を免除できる場合がある。

コストをかけて退店する選択肢以外にも、店舗M&Aを通じてむしろ退店時に譲渡益を得る選択肢もあります。様々なM&Aのスキームの中から、自社に最適な選択を検討することが重要です。

3.整骨院がM&Aを検討する際のポイント

譲受候補先との協議・調整を始めるに先立って整理・検討しておくと、その後の進行がスムーズになる場合があります。以下では、売り手様の目線で検討点をご紹介してまいります。

①自身の求める条件の整理と優先順位

自身の求める条件を検討のうえ、優先順位をつけていきます。M&Aは相手(譲受先)がいますので、妥協できるところ、できないところを予め整理しておきます。

簡易的な企業価値算定で相場価格を把握

自社の決算状況・財務状況をもとに、譲受先から見たときにプラスとなる点とマイナスとなる点を掘り下げていきます。また、整骨院業界のM&A相場に合わせた企業価値算定を行い、今のタイミングで譲渡したらどの程度の譲渡価格になるのか、試算します。そしてご自身の希望される譲渡対価と比較検討を行います。例えば、事業承継であればセカンドライフの必要資金と現状の企業価値を照らし合わせます。

実際の譲渡価格は買い手と協議のうえ決定されます。初期段階で、自身の希望する金額が相場からどの程度離れているのか掴んでおくことが重要です。

立地条件や柔整師の人員の確認

買い手としては、M&A後もその店舗が自走できる状態が理想的といえます。一般的に物件や人員の確保・維持が焦点となる場合が多いです。

物件に関しては、賃貸物件であることが多い業態のため、賃貸契約が譲渡後も継続できるかを確認しましょう。稀に契約期限が到来しており、譲渡前のオーナーとの縁故などでの契約だった場合は、譲渡後の更新時に家主から家賃の増額や契約の継続を断られる可能性があります。

また人員としても柔整師が全て抜けてしまった場合、買い手側から派遣しなければならない事態となり、買い手がつかない可能性もあります。ある程度オーナーがいなくても自走できる仕組みにしておくことが大切です。

4.まとめ

これらのポイントを整理しつつ、買い手候補との協議を行っていくわけですが、買い手の見るポイントに対する対処がそれぞれ必要となります。また交渉が効きやすいタイミングの見極めも大切となります。

今すぐにM&Aを検討しない場合でも、会社の業績や財務状況を理解して重点的に改善していくことは、将来的にM&Aを実行した時の譲渡益の増加もさることながら、企業成長にダイレクトにつながります。船井総研では、決算書をお預かりし、無料で簡易的な企業価値評価を行っております。お気軽にご相談ください。

また、船井総研のM&Aの特徴は、整骨院業界専門の経営コンサルタントとM&A専門のコンサルタントがタッグを組んで貴社の事業戦略上にとってもベストなマッチングを行ってまいります。譲渡企業様も譲り受け企業様もお気軽にご相談いただければと思います。

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