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中小企業からグループ売上200億の中堅企業へ成長させた独自のワンストップモールとM&A戦略

  • 自動車販売・整備業M&A

株式会社リバティは1996年に京都府久御山町に本社を置く自動車販売店として創業。軽自動車の「届出済未使用車」の販売を中心に、車検、整備、鈑金塗装、保険なども展開し、お客様のカーライフをトータルサポートしています。

グループ会社は全国に4拠点。2004年に15億円だった売上は現在、単体で146億5,000万円、グループ連結約200億円にまで伸び、創業以来25期連続で増収増益。従業員数は単体350名、グループ連結450名を誇ります。

今回は、代表取締役社長 蓮尾耕司氏にお話を聞きます。インタビュアーは、船井総合研究所 モビリティ支援部 服部憲です。

(※数字は2021年8月当時のものです)

街の中古車販売店が売上10倍増した転機

服部:リバティは創業以来、中古車販売を続けていますが、直近15年で売上が10倍増と飛躍的に伸びています。15年前にターニングポイントとなることがあったのでしょうか?

蓮尾氏:当社は創業25年目ですが、最初はどこにでもある中古車販売店としてスタートしました。業績が思うように伸びず悩んでいた時、船井総研のセミナーDMが届き、「これからの中古車ビジネスは軽自動車がいい」と記載してありました。

そして参加したセミナーで、船井総研の方に言われたのです。「御社は、誰に、何を売っている会社ですか?」と。

私はハッとしました。当社にはお客様の目から見てハッキリわかる優位性や差別化ポイントがない。当社の資金力や展示場の面積等を分析してみると、商品を軽自動車に絞りこんだほうが差別化できるという結論に達しました。そして、軽自動車の専門店を始めたのが15年前で、そこから業績が右肩上がりになっていきました。

服部:軽自動車の専門店は、貴社のそれまでのビジネスとはやり方が異なる部分が多かったと思います。ノウハウをどのように獲得していったのでしょうか。

蓮尾氏:新しいビジネスモデルを確立するために、船井総研にコンサルティングをお願いし、モビリティビジネス経営研究会(会員制の定期勉強会)にも入会しました。

研究会は、全国から同業者が集まりお互いの事例を公開して情報交換する場です。私は他の地域の一番店の経営者と出会い、そこで学んだことはわが社の成長に大きな影響を与えてくれました。

服部:コンサルタントや他社の事例から得られる情報を活かしてビジネスモデルを確立していかれたのですね。軽自動車販売で収益性を高めるために何か強化されたことはありますか?

蓮尾氏:当社が販売する軽自動車は、新車や年式が新しい新車や届出済未使用車なので、お客様にクルマを買っていただくと、次の買い替えは10年先になります。しかしその10年の間にはクルマの保険や車検、修理、キズ直しの板金なども必要になってくるので、アフターサービスに力を入れていきました。

自動車販売はお客様をつくっていく手段であり、収益はアフターで獲得していく戦略です。お客様のカーライフに必要なものが揃う店、当社では「ワンストップモール」と呼んでいるビジネスモデルが仕上がっていきました。このビジネスモデルをとことん磨き込み、近隣都市へ出店を重ねていくことで事業規模を拡大していきました。

代表取締役社長 蓮尾耕司氏

会社の成長スピードを上げるための「人づくり」

服部:店が増え、従業員の数も増えれば、それを1つにまとめるための取り組みも必要になりますね。

貴社は企業理念として「私たちリバティは自動車の流通を通して、お客様の究極の大満足と全社員の物心両面の幸福を追求します」と掲げておられます。これをどう浸透させていったのでしょうか?

蓮尾氏:この企業理念は創業10年目の頃、私と従業員のベクトルを合わせたいと思い作ったものです。毎日朝礼で唱和するなどしていたのですが、なかなか浸透しなかったのです。

当時の従業員は中途入社が多く、仕事のやり方や考え方がすでに出来上がっていて変えることが難しい。従業員と理念を共有するには、採用段階から変えなければ、と新卒採用を考え始めました。

あるセミナーで「強いチームを作りたいなら採用が大事。プロ野球チームがドラフトに参加せずに強いチームが作れますか?」という話を聞き、私は心を決めました。当社には新しいビジネスモデルがある、そのビジネスモデルを実行する人は、新卒採用して真っ白な状態から育てていこう、と。

会社説明会や新卒採用サイトで学生を集めて、新卒4名を初めて採用しました。その後、毎年人数を増やし、今期は40名を採用しています。新卒が入るようになって、我社の戦略や社風、企業理念の浸透がスムーズに行えるようになりました。現在は新卒で入社した社員が全社員の7割を占め、店長や幹部になった者もいます。

当社はビジネスモデルで差別化し、新卒採用で人材も差別化できた。それが組織を大きくできた契機になりました。

代表取締役社長 蓮尾耕司氏

中小企業がM&Aで会社を大きくするには

服部:事業拡大されて、現在はリバティの他に、グループ会社4社を経営されています。2018年から企業買収を始められましたが、M&Aを検討されたきっかけは何でしょうか。

蓮尾氏:当社は店舗を京都、滋賀、大阪の関西エリアで展開してきましたが、さらに他エリアにも拡げようと思うと遠隔地の出店はなかなか難しい。そこで他エリアで自動車ビジネスをしている会社とM&Aができないかと考えました。

船井総研の縁で初めてのM&Aを行ったのち信用調査会社や金融機関に案件があれば紹介してほしいと頼んだところ、後継者がおらず困っている企業があるという話をもらい、これもチャンスだと思って会社を引き継ぐことにしたのです。

服部:M&Aで4社を引き受け、すべての会社の業績を上げておられますが、成功ポイントは何なのでしょうか。

蓮尾氏:2社目は創業者が40年経営してこられた会社でした。後継者がおらず、会社を手放さなければならないのは、その社長にとって辛いことです。私も創業者だから気持ちがよくわかる。まず、経営者の方の気持ちを尊重して関係性を築かねばなりません。

先方の経営者の想いをくみ取りながら話を進めていけば、M&Aした後も協力も得やすくなります。相手を尊重する気持ちなくして、中小企業のM&Aはないと思います。

服部:買収先の社員とは、どのように関係を築いていったのでしょうか。

蓮尾氏:オーナー社長と良い関係が築ければ、社員の方たちも、その社長についてきた人たちなので言うことを聞いてくれます。それでも会社が買収されて突然トップが変わるのですから内心は抵抗があるはずです。

私は現場の社員さんとの関係を築くために、1人ひとりと面談して不安を解消していきました。「私たちは共に成長して、幸せになっていきたい」と話して安心を与え、将来の夢やビジョンを感じ取ってもらい、わが社のビジネスモデルを素直に受けて入れてもらえるような関係性を構築していきました。

引き受けた会社にはまず当社の幹部を派遣して、ノウハウを浸透させていきます。私の後継者となる息子も一時出向していました。お互いの信頼関係ができれば、私たちのビジネスモデルをそのまま受け入れてもらうことができますし、以前から業績が良かった会社はさらに良くなり、厳しかった会社はV字回復していきました。

服部:リバティと4つのグループ会社の売上は合わせて200億円、経常利益6%と、業界平均の2倍以上の高収益化を実現されていますね。

蓮尾氏:グループ内で成功事例を共有する情報交換を定期的に行い、お互いの良いところを学び合い、シナジーが生まれることで各社業績を伸ばしています。

服部:成功事例の横展開がうまくいっているのですね。これから自動車業界は大きな動きがありそうです。業界は今、成熟期であり、100年に一度の改革期ともいわれていますが、社長はリバティグループのこれからの戦略、事業展開についてはどうお考えですか?

蓮尾氏:これからも企業規模を拡大するため、関西圏を中心にドミナント出店し、遠隔地への出店はM&Aを積極的に進めていきたいと考えています。将来的には株式上場を視野に入れ、この業界で日本有数と言われるレベルに拡大していきたいと思っています。

服部:船井総研もその夢の実現へ向けてサポートしていきたいと思います。蓮尾社長、今日は貴重なお話をありがとうございました。

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