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葬祭業M&Aがなぜ今頻繁に起きているのか~葬儀事例(1)~

  • 葬祭業 M&Aレポート
葬儀 M&A

今回は弊社でご支援させていただいた葬儀社のM&A事例について今回と次回で触れていきたいと思います。

ある葬儀社を運営している会社のオーナー様より会社の株式を売却したいとの相談があり、弊社がその売り手様のM&Aアドバイザーをさせていただいた際の事です。

その会社のオーナー様に株式を売却するという決断に至った経緯を伺いますと、2つの理由があるとの事でした。

1つは競合が近隣に出展してきたことだそうで、詳しく伺うと会社規模は日本でも業界トップ10に入るであろう会社が、自社の斎場の2倍以上の規模の斎場を隣接して出展してきたとの事です。
このオーナー様から見ると大手が自社に勝負を仕掛けてきたという事で、相当な脅威を感じられたとの事でした。

この背景として、現在葬祭業は、圧倒的な1番店という企業がまだ確立されておらず、群雄割拠の時代に入っていると考えられます。
推定でも概ね2040年までは日本人の死亡数は増加傾向にあることを鑑みれば、葬儀自体がコンパクト化に向かい客単価が下がったとしても、ビジネスモデルの工夫で比較的安定的に利益を上げる事業を運営していくことができるという見方が、業界や投資家の間ではなされています。

そのため、斎場の出展もしくはM&Aにより拠点を拡大していこうという動きが非常に盛んになっております。
これが顕著に表れたのがこの会社のケースとなります。これは日本全国各地で現在起こっているため、ここ2年以内に相当な件数の再編が起きると推測されます。

もう1つはこのオーナー様が、ある経営者の異業種勉強会に定期的に参加されており、その中でご自身よりも若く、仲の良かった経営者が急逝されたことがきっかけだとの事でした。

もし、自分が万が一そうなったら会社は大丈夫なのだろうか、誰が経営を引き継ぐのか、誰が株式を引き継ぐのか、自分がいなくても会社がまわるのか、会社の借入金で問題が起きないだろうか等、不安がよぎりご自身がオーナー兼代表取締役であることがこのままいけばリスクになるのではないかと思われたそうです。

いわゆる「所有と経営の分離」がない状態で会社と経営者の財布が一緒のまま運営していくと、万が一の際、相続や経営の継続に支障をきたすと考えられたそうです。

相続によって株式が分散してしまい、経営の決定権も同時に分散することで意思決定ができずに会社経営がストップしてしまう、その結果経営成績は一気に赤字に転落してしまう事は珍しくないです。
また次の後継者がいるかどうか、いたとしても今のオーナー兼代表者並みにできることは考えにくいです。

結論として、資本力のあり、ご自身が育ててきた会社をさらに伸ばせるビジョンを持っている会社に株式を譲渡し、社長は経営者として会社に残りつつ、経営を一緒にやっていくということを選択され、これが実現し、まさに売り手と買い手双方がWIN-WINの形でM&Aが成約となりました。

是非こういった視点をご参考になさっていただければと思います。
次回は葬祭業のM&Aにかかる重要な5つのポイントについてふれていきます。

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