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M&Aにおける2022年の振り返りと2023年の展望

  • M&Aの時流
M&A 2022

昨今、M&Aのニュースを目にしない日はなくなってまいりました。毎日、何かしらのM&A・資本業務提携・TOB・MBOなどの文字が新聞やメディアを賑やかしています。

一方、中堅・中小企業のオーナー経営者の方々にも、毎日のようにM&Aの手紙や電話がかかってくるのではないでしょうか?

そう。皆様が肌で感じられているように中堅・中小企業のM&A市場は今、盛況になってきているのです。

実際、2022年にどのようなM&Aが行われたのか。そして、2023年のM&Aの展望を見ていきましょう。

2022年のM&Aの振り返り

2022年はレコフデータ社の調べによると公表されているM&A件数だけで、4304件と、2021年の4280件を上回り過去最高の件数となりました。

ただし、こちらのデータはあくまでも新聞やプレスリリースで公開されているデータとなっており、中堅・中小企業のM&Aとなると公に公表されていないものも数多くあるため、この数字よりもはるかに多くのM&Aが成立していると考えられます。

M&Aの数が多い業種は
IT・情報産業」「サービス業」「建設業
等が挙げられます。

2022年、私たち船井総研がお手伝いさせていただいた業種で多かったのは
建設業」「物流業」「サービス業
等の業界のライフサイクルが変わり目にある業種が多くございました。

それらのお手伝いさせていただいた中堅・中小企業のM&Aでは、特性を2つにわけることできます。

①事業承継型M&A

文字通り後継者不在のため事業承継をしてくれる企業を探すM&Aです。

中小企業庁の調べによると、「日本の企業の127万社が後継者不在である」というデータがあります。

この情報からもわかるように今後は事業承継型のM&Aも年々多くなってくると考えられています。

事業承継型M&Aの場合は「同業種に引き継いでいただく水平型のM&A」だけでなく、

同エリアの雄に引き継いでいただく同一エリアの多角化型のM&A」のお手伝いをさせていただくことが多くあります。

②成長戦略型M&A

後継者はいる企業、もしくは、経営者が20代~50代の経営者が経営をしている企業でも自社の更なる成長を考えた際に、

自社単体でやるよりも他社と手を組んで成長スピードを加速していくと判断した際に、他社との資本業務提携をしていくM&Aを言います。

成長戦略型M&Aの場合は、

「同業種の大手企業のグループに入るM&A」

「サプライチェーン上にあり、シナジー効果が高い大手企業のグループに入るM&A」

そして、

「ファンドを活用した2段階イグジット型のM&A」

があります。

※2段階イグジット型のM&Aに関しては後述させていただきます

2023年のM&Aの展望

M&A市場は2022年以上に活発化していくと考えられます。

2022年から続く物価上昇ゼロゼロ融資の返済開始円安等により

今まで以上に企業の変革が求められる年なります。

このような変革が求められるタイミング、つまり、業界のビジネスモデルの変革、そこから来るライフサイクルの変革の変わり目は業界再編が進む傾向にあります。

業界のライフサイクルの変わり目とともに業界再編が更に進む

ライフサイクルという言葉を聞いたことのある方も多いと思います。

船井総研では、「導入期」「成長期」「成熟期」「安定期(衰退期)」に業界ごとにどのような変革が行われるのか、ということを注視しています。

導入期はこの業種・業態・製品は伸びるかな?という種(ネタ)が出てくるタイミングです。

このタイミングでは参入している会社は少なく、まだM&Aも活発化はしません。

成長期にさしかかると、注目を集めはじめ新たな企業が参入してくるタイミングになります。

このタイミングでは、VC(ベンチャーキャピタル)やCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)等から、出資を受けるという形で資本提携や出資だけでなく業務に関しても提携を進める資本業務提携が進んでいきます。

今ホットなワードでいえば、

脱炭素」「ESG」「宇宙」「メタバース

等が導入期と成長期のはざまにある業界であると考えられます。

AI」に関しては成長期ど真ん中で、今後数年かけて成熟期に差し掛かってくるといえるタイミングではないかと感じます。

「成熟期」になってくるとマーケットが飽和状態となり、徐々に各社の成長は鈍化し、お互いが持っているノウハウを集約させる方が成長への早道となり、本格的な資本業務提携が活発化していきます。

そして、「安定期(衰退期)」に差し掛かると、いよいよ業界再編が始まり、業界の寡占化が進んでいきます。大手数社で国内シェアを占めるような構図になっていきます。例えば、ビール業界や百貨店、スーパー、家電販売会社等の小売りを主体とする業界はライフサイクルの進みが早く、大手とグループインする形の資本業務提携が多くなっていっています。

このようにライフサイクルの変化とともにM&Aの形も変わっていきます。

今、伝統的な産業のほとんどが「成熟期」から「安定期(衰退期)」に位置すると考えられるため、2023年以降もM&Aが活発化していくと考えられます

地域連合軍を組成するコングロマリット型M&A

前項では、業界を切り口としたM&Aのお話をしましたが、もう一つの切り口が「地域」という切り口で見るコングロマリット型M&Aです。

今、CRM(カスタマーリレーションマネジメント)やカスタマージャーニー、LTV(生涯顧客価値)などを巷でよく耳にするのではないでしょうか?

簡単に言ってしまえば、一人のお客様のライフステージや購買経験に合わせて、商品を販売するといった形です。

例えば、結婚したら、賃貸マンションを借り、保険に入り、出産があり、一軒家を買い、車を買い・・・のように色々な形で一人の人を切り取ってもライフステージが変わっていきます。

となると、仮に、皆様が住宅販売をやっている会社であれば、地域の自動車販売店や不動産会社、保険会社、結婚式場を買収し、地域のコングロマリット企業になることで成長していくことも可能になります。

また、このように事業ポートフォリオを分散させることで、リスク分散をすることができるというメリットも出てきます。

少子高齢化、地方の人口減少が進んでいることもあり、2023年以降、よりこのようなコングロマリット化が進んでいくことが予想されます

自社の成長スピードを高める2段階イグジット型M&A

もう一つ多くなってくると考えられるのは伝統業種の中堅企業の2段階イグジット型M&Aです。

こちらは株式の一部をファンドや大手企業に譲り資本業務提携を行い、お互いの知見、ノウハウを共有しながら、IPO(上場)を目指していくM&A手法です。

※IPOだけでなく、大手企業のグループインという形での最終イグジットを行う場合もあります。

例えば、地方の産廃業者がファンドに一部の株式を売却し、上場を目指すというケースもあります。

まずファンドが株式を入れると採用が活発化します。実際に私どもも多くのファンドの出資後のどのような人財が採用できているかを見ていると、産廃業者に世界的有名なデジタル企業の経営人財が入社するなど、普通では考えられない採用ができています。

また、今までは地域一番の産廃業者という位置づけから、リサイクル分野に大きく舵を切り、産廃業者からESG銘柄として認識され、企業価値が数倍になるというケースもあります。(当然、それに伴い業績も上がっていることが前提、の話ですが)

このように自社単体で成長を行っていくのではなく、他社の知恵やノウハウも借りながら成長スピードを加速させる、ただし株の出資持ち分の一部は現オーナーが所持し続ける、といった資本業務提携(M&A)の手法もあります。

このような地方のキラリと光る中堅企業が、IPOを目指していくといった2段階イグジット型のM&Aも今後、さらに活発化していくと考えられます

中堅中小企業にとってM&Aとはいったい何なのか?

このようにM&Aといえば、株式を単純に「売って」「買って」を行うことと思われがちですが、実際のところは自社を成長させるために資本業務提携を行うということが、今後より活発化してくると考えられます。

自社の成長スピードを上げるために、自前主義で行くのか、他社と手を組んでノウハウを共有しあいながら行くのかを検討していく必要があります。

リソースが限られる中堅中小企業の場合は自前主義では成長スピードを上げていくことは難しいケースもあるため、その際は他社と資本業務提携を行い次なるステージへと成長していく、ということが大切になってきます。

船井総研グループでは、「サステナグロースカンパニーをもっと」をパーパスに、買って終わり、売って終わりのM&Aではなく、企業の成長にコミットしたM&Aのお手伝いをさせていただきますので、お気軽にご相談ください。

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