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株式交換

株式交換

株式交換によるM&Aとは?

株式交換によるM&Aについて解説いたします。

そもそも株式交換によるM&Aは、買い手が対象会社のすべての株式を取得し完全子会社化することを目的とする方法です。過半数取得などを目的とする場合にはこの方法を用いることはできません。

また、親会社となる会社の相応の株式数と完全子会社化される会社の株主が保有するすべての株式を交換することで、本取引は成立します。この制度は1999年の旧商法改正時に導入されました。 多くの株式交換事例では、買い手側が上場企業である場合が多いです。理由として、売り手側も買い手側の株式を取得するため、市場流動性の高い上場株式の方が換金性が高く、譲渡後にいつでも現金化できる資産として持ちたいという売り手側のニーズがあります。

株式交換が成立するまでの流れ・手続きとは?

取締役会による決議

完全親会社となる会社では、会社の意思決定ルールに基づき、取締役会決議において機関決定を行います。完全子会社となる会社においても、取締役会による承認決議が必要です。

株式交換契約の締結

株式交換契約書には以下の項目を記載する必要があります。項目を欠く契約書は効力を発生しないため注意が必要です。

・当事会社の表示(商号・住所)

・株式交換対価の交付に関する事項(株式交換完全子会社の株主に対して交付する金銭等)

・株式交換による完全子会社の株主に対する株式交換対価に関する定め

・新株予約権の交付に関する事項(株式交換完全子会社の新株予約権者に対する対価・その割当等)

・株式交換の効力発生日

事前開示書類の備置き

株式交換契約と法務省令で定める事項を記載した事前開示書類を、株式交換の効力発生日から6カ月を経過する日まで備え置く必要があります。法務省令で定める事項は以下の通りです。

・交換対価の相当性に関する事項

・交換対価について参考となるべき事項

・株式交換に係る新株予約権の定めの相当性に関する事項

・計算書類等に関する事項

・法第789条第1項の規定により株式交換について異議を述べることができる債権者があるときは、株式交換が効力を生ずる日以後における株式交換完全親会社の債務(当該債権者に対して負担する債務に限る。)の履行の見込みに関する事項

・吸収合併契約等備置開始日後株式交換が効力を生ずる日までの間に、前各号に掲げる事項に変更が生じたときは、変更後の当該事項

双方の株主総会で特別決議による承認

簡易株式交換、略式株式交換等の一定の条件を満たす場合を除き、株式交換の効力発生日の前日までに双方の株主総会にて特別決議による承認を受ける必要があります。

反対株主の株式買取請求

株式交換であれば少数株主の強制排除が可能ですが、株式交換に反対する少数株主は自己の有する株式を公正な価格で買い取るよう請求することができます。請求できる期間は簡易株式交換を除き、効力発生日の20日前から前日までの期間です。

債権者保護手続き

ケースに応じて、株式交換の効力発生1カ月前までに債権者に対して異議申述公告・個別催告を実施する必要があります。

臨時報告書の提出

上場会社・継続開示会社において、一定の場合を除き臨時報告書を提出する必要があります。

登記

株式交換の効力発生後、2週間以内に登記が必要となります。

事後開示書類の備置き

株式交換の効力発生後、6カ月を経過する日まで事後開示書類を備え置く必要があります。事後開示書類に記載が必要な事項は以下の通りです。

・株式交換が効力を生じた日

・株式交換完全子会社における株式買取請求手続、債権者異議手続、及び新株予約権買取請求手続の経過

・株式交換完全親会社における株式買取請求手続及び債権者異議手続の経過

・株式交換により株式交換完全親会社に移転した株式交換完全子会社の株式の数(株式交換完全子会社が種類株式発行会社であるときは、株式の種類及び種類ごとの数)

・その他、株式交換に関する重要な事項

このほかにも、条件に応じて対応しなければならない手続きがいくつもありますので、案件ごとに専門家の指導の下で行う必要があります。

株式交換のメリットとは?

完全子会社の場合

法人を存続させることができる

合併であれば法人が消滅しますが、M&Aであれば法人を存続させることができます。長年働いてきた従業員には会社に対する愛着があるため、法人を存続させることで取引成立後の離職リスクを抑えることができます。

少数株主の強制排除により完全子会社化が可能

会社法の規定に従い、完全子会社化することが可能です。株式譲渡の場合、完全子会社化するためには全ての少数株主と交渉し株式譲渡契約を締結する必要がありますが、株式交換はこのような問題を解決できます。少数株主の地位を強制的に失わせる方法を「スクイーズアウト」と呼びます。

親会社の経営に参画することも可能

売り手は株式交換によって親会社の株式を取得するため、株式保有割合に応じて親会社の経営に参画することも可能です。

完全親会社の場合

買収資金を必要としない

株式交換の最大のメリットは、買収資金を必要とせず自社株式を利用することでM&Aが実現できることです。その分を今後の設備投資や人材育成に充てることもできます。また、M&A後にグループ全体の売上や利益が拡大することで時価総額が拡大し、更なる攻めのM&Aが可能となります。

株式交換のデメリット・注意点とは?

完全子会社の場合

煩雑化する可能性

親会社においても同様ですが、株式交換は会社法に規定されている組織再編上の行為であり、通常の売買取引とは異なります。手続き漏れによって効力が無効となるリスクもあり、会社法に則った緻密な手続きが必要です。株式交換について知見の深いM&A仲介会社を選び、綿密なスケジューリングやリスクの洗い出しを行う必要があります。

親会社株式の株価下落リスク

買い手側は本取引実行にあたり、自己株式の処分もしくは新株発行を行います。発行済株式数が増える場合、1株当たりの利益が減少するため、株価にはマイナス要因となります。ただし、完全子会社化による業績向上が市場から期待される場合は株価が上昇する可能性もあります。下落リスクについては事前に考慮しておく必要があります。

完全親会社の場合

不要な資産も含めすべての資産を取得することとなる

債務を引き継ぐことはもちろん、目に見えない簿外債務を引き継ぐ可能性もあります。事業譲渡であればそういったものを引き継ぐことはありませんが、株式譲渡・株式交換ではこれらのリスクを引き継ぐこととなるため、デューデリジェンスの重要性が高まります。

過半数取得を目的とする場合には用いることができない

冒頭に記載した通り、株式交換は完全子会社化を目的とする際のみに用いるM&A手法です。過半数取得を目的とする場合には通常の株式譲渡取引を用いることとなります。

以上、今回ご紹介したように、株式交換は多くのメリットを享受できるM&A手法である一方、煩雑な事務手続きや緻密な計画が必要となる取引です。本取引をご検討の場合には、知見の深いM&A仲介会社を選ぶことが重要です。

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