パチンコホール業界M&Aの時流と今後
- ぱちんこ M&Aレポート
本コラムではパチンコホール業界のM&Aの時流や傾向、今後について解説します。
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パチンコ業界M&A:2022年前半
2022年2月の新規則遊技機の完全移行からしばらくの期間が経とうとしています。新規則遊技機の入替を控えた昨年のお盆明け頃から増加したパチンコホールのM&Aですが、現在は増加傾向に落ち着きが見られるものの、減少に転じた印象はありません。
今後、市場に供給される遊技機の結果次第でふたたび増加に転じるか、夏以降の動向に注視が必要です。さて、今年前半の主なM&Aを振り返ると以下となります。
2022年前半の主なM&A
<1月>
5日:常世が「クラブジェイ洞爺店」をグループ化
14日:ニラクが「スーパーEスペース行田店」をグループ化 / リューケイが「ドリームタイガー」をグループ化
17日:メトロが「コモ綾部店」「ゾロ」「パーラーアイドル」をグループ化
<2月>
15日:アビバが「スーパーDステーション海老名店」をグループ化
17日:プレシャスがラッキー商会の店舗をグループ化 / NEXUSが「ドットコムパワー」と「アクセス中間店」をグループ化
<3月>
下旬:ユーコーが「イーグルアールワン太宰府店」をグループ化
28日:アンダーツリーが永伸商事の店舗をグループ化
<4月>
19日:マルハンが「メガガイア盛岡みたけ」をグループ化
28日:楽園が「オリエンタルパサージュ上野」をグループ化
<5月>
16日:ジェイピーエルが「あかね立石店」をグループ化
23日:三公商事が「マルイ上田店」をグループ化
<6月>
6日:尾道タイガーが「キングイーグルス久留米店」をグループ化
14日:NEXUSが「エルグラン日向店」をグループ化
<7月>
5日:HASUNAが「三益球殿川崎塚越店」をグループ化
*官報公告日
2022年前半の主なM&Aの傾向
マルハン、NEXUS、アンダーツリーの全国チェーンに加えて、ニラク、ユーコー、三公商事、楽園、アビバといった地方及び地域の雄と呼べるチェーンを見ることが出来ます。また、リューケイやジェイピーエルといった自店商圏にある店舗を取得するケースも見られます。
パチンコホール新規店舗の主な動向
中堅大手のチェーン店においては、最低でも600台以上、更に言えば800台以上が基準となりつつあることが分かります。また、新規則移行後も店舗の大型化に拍車がかかっていると言えるでしょう。ちなみに、新規店の主な動向を振り返ると、以下のとおりです。
新規店の主な動向
<1月>
26日:楽園町田店グランドOPEN(765台)
29日:シルバーバック日向店グランドOPEN(765台)/ カネマン奥州店グランドOPEN(952台)
<2月>
11日:ニラクひたちの牛久店グランドOPEN(656台)
<3月>
9日:スーパーディーステーション新開地店グランドOPEN(1014台)
<4月>
2日:コンサートホール成増2グランドOPEN(307台)
27日:マルハン福井大和田店グランドOPEN(617台)
29日:MGM志布志店グランドOPEN(680台)/ アプロ飯田店グランドOPEN(635台)/ YUMEYA浜松大柳店グランドOPEN(648台)/ ニッコー泉田店グランドOPEN(1320台)
<7月>
7月1日:キコーナ立花店グランドOPEN(531台)
パチンコホール業界M&A:まとめ
近年、営業許可と旧基準機を承継するM&Aが主流でしたが、新規則移行後の傾向として、新規店の出店が増えつつあると思われます。勿論、M&Aによる取得は今後も続くことが推察されますが、実際のところ、M&A取得後に既存設備を新規交換するケースが多く、既存設備への評価がつきにくい状況が見られます。
他方、建設コストの上昇や半導体不足による納期への影響など、新規店における影響も無視できない状況がありますが、近年のM&A一辺倒の傾向から、いよいよ新店が増えてきた変化を感じるところです。今後、M&Aによる売却をご検討の売主様にとって、新規店の動きが出てきたことは無視できないところと言えるでしょう。
また、M&A、新規を問わず、最低でも600台以上が基準となる現在の状況を踏まえると、それ未満の店舗様においては、他業種への賃貸や売却も併せて検討すべきと思われます。今後の遊技機の動向を含め、注視が必要となります。
1996年に新卒で船井総合研究所に入社。1998年よりパチンコ業界のコンサルティングに従事。2019年にパチンコ法人のM&A仲介案件に初めて関わり、その後、パチンコ法人向けM&Aコンサルティングに従事している。著書『マルハンはなぜトップ企業になったか』
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