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パチンコホール店舗M&Aの評価事例

  • ぱちんこ M&Aレポート
パチンコ M&A

1.パチンコ業界に限らず、M&Aプレイヤーには「有力買い手」と「買い手」が存在する

以前のコラムでも触れましたが、パチンコ業界は店舗M&Aから法人M&Aの時流が台頭しています。売主様としては、少しずつ店舗を売却していくM&Aから法人全体を引き受けてくださる買い手を探すM&Aが主流に。その時流の背景は有力な買い手企業様が少なくなっているという現状があります。買い手様の事情として、「引き受けた物件の再投資(遊技機、設備)が年々高額になっている」「某大手法人の民事再生申請後、金融機関からのパチンコ法人向け融資が非常に消極的になっている」という諸事情がある中、その課題を乗り越えてM&Aを成立させたいとお考えになる有力買い手様はどうしても減るのは当然です。

ちなみに、売り手様としては、「有力買い手様」と「買い手様」という仕訳はすべきと思います。「有力買い手様」というのは、物件の潜在的なポテンシャルをしっかり評価される企業様で、そして、業績を伸ばすことに長けている企業様のことを指します。「有力買い手様」は、魅力的な物件とご判断されたら少々の課題があっても、それをいくらか許容してM&A成立を前向きに推進する企業様です。売主様視点では、高評価をいただける買い手様となるのですが、その背景は、業績を伸ばすことに長けている企業様であることに尽きるかと思います。「買い手様」としては、徹底的な価格交渉で投資回収を早めようとお考えになる企業様が一般的。「有力買い手様」も、できる限り安価でM&Aを成立させたいご意向がありますが、それ以上に、業績を伸ばせる裏付けをもとにした交渉をされる点が異なります。

ただ、「有力買い手様」といえども、売り手の独りよがりな評価を受け入れることはないのでご留意ください。潜在的なポテンシャルに着眼し、適切な評価を下した中でM&A成立を模索されるのが「有力買い手様」。表現が乱雑になりますが、徹底的に買い叩くことで自社に有利となる交渉を挑むのが「買い手様」。売主様としては、「買い手様」の徹底的な価格交渉で自信喪失とならず、「有力買い手様」と出会えることに全力を尽くすべきです。そして、「有力買い手様」と出会えたならば、その企業様との交渉成立に向けて全力を尽くすべきと思います。

2.店舗M&Aの一般的な評価方法について

また、パチンコ業界における店舗M&Aというのは、一般的に下記の項目の積み上げにて譲渡対価が算出されます。

①土地→土地は近隣の成約価格実績をもとに評価をされるのが一般的。プレミアムの価値がつく土地があるかもしれませんが、パチンコホールのM&Aの場合、この評価で売り手と買い手の評価が大きく分かれることはあまりありません。

②建物・設備→こちらも売り手と買い手の評価が分かれることがほぼない項目です。簿価を基準に譲渡対価に反映されます

③遊技機→効力発生日直前の時価で評価されるのが遊技機です。ただ、認定機であるものの、マイジャグラーVのようにパチンコ営業において価値の高い遊技機は然るべき評価をされることがあります。

④のれん代(営業権)→一般的には現在のEBITDAの3~5年分という評価となります。

ただ、のれん代は「有力買い手様」と「買い手様」で評価が大きく異なりますので、売り手様はご留意いただければと思います。「買い手様」は限りなく0円評価に近づけたいのが本音。もちろん「有力買い手様」もできる限り安くしたいというのは本音ですが、それ以上に、その物件の魅力を評価されるのが「有力買い手様」の特徴です。物件の魅力≒ぜひとも自社が取得したいというご評価をいただけるので、のれん代評価は「有力買い手様」と「買い手様」で大きく異なるという点もご留意いただければと思います。

3.「有力買い手様」が提示する譲渡対価の上限目安とは?

そして、「有力買い手様」が評価されるのれん代は、「買い手様」のそれとどこが異なるのか?と申しますと、決定的に異なるのは、いわゆる分母にあたる部分になります。

「有力買い手様」→自社が引き継いだ際、生み出すことができる可能性のある利益
「買い手様」→現状の利益。加えて、業界全体の市場縮小や業績ダウンを見越した利益

そして、「買い手様」は1~3年分というのが上限となる中、「有力買い手様」は3~5年分とご評価されることもあります。ただ、そんな高評価を受けるのは、もちろん魅力的な物件に限ります。潜在的なポテンシャルを秘めている物件に限定されることをご留意いただければとも思います。

要するに、有力買い手様も、買い手様も「譲渡対価+追加投資」が何年で回収できるか?という試算に尽きるのです。M&A専門用語をカッコつけて使うと収益還元法とでも言うべきなのでしょうが、要するに利回り発想に尽きる。例えば、10億円の投資で利回り5%ならば、「港区の高級マンションを買った方がリスク少なく利回り高い」となるのです。ので、利回り5%ならば買わない。ただ、自社の経営能力で利回りを高めることができる物件ならば買う判断となるのは当然のことといえます。そして、有力買い手様が求める利回りは15%前後というところでしょうか。希少性の高い物件ならば10%前後の利回りでもチャレンジされるでしょうが、自社の経営能力で業績を伸ばせると試算した中で利回りは15%前後というのが上限の目安と思います。

4.有力買い手様といえどもパチンコ業界の時流には逆らえない

重ねてになるのですが、ただ、有力買い手様といえども「再投資(遊技機、設備)が年々高額になっている」「某大手法人の民事再生申請後、金融機関からのパチンコ法人向け融資が非常に消極的になっている」という業界動向には逆らえない状況があります。売り手様としては、買い手様のシビアな評価に一喜一憂する必要なないです。ただ、有力買い手様から提示された評価を大切にしながらM&Aの成立を模索していただければと思います。

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