【飲食店譲渡のプロセスと注意点】
- 店舗 M&Aレポート
飲食店の譲渡は、オーナーが店舗を売却し、新しいオーナーがそのビジネスを引き継ぐプロ
セスです。成功するためには、いくつかのステップをしっかりと踏んでいく必要があります。
このコラムでは、飲食店譲渡の基本的なプロセスとその際に注意すべきポイントについて
詳しく説明します。
コンテンツ
1.事前準備
1-1 店舗の評価
まず、飲食店の価値を正確に評価することが重要です。店舗の立地、売上、利益、設備の状
態、顧客の評判など、多くの要素が考慮されます。専門の評価士に依頼することで、公正な
評価を得ることができます。
1-2書類の整備
次に、財務諸表、契約書、許認可証、リース契約など、必要な書類を整備します。これによ
り、潜在的な買い手に対して透明性を保つことができます。
2.買い手の探索
2-1公開と広告
店舗を売却する旨を公開するためには、適切な広告を行う必要があります。ビジネス仲介業
者や専門のウェブサイトを利用することで、広範な買い手にアプローチできます。
2-2非公開での探し方
一方で、既存の顧客や関係者にのみ情報を提供し、秘密裏に買い手を探す方法もあります。
これは、従業員や顧客に不安を与えないための手段です。
3.交渉と契約
3-1条件交渉
買い手が見つかったら、具体的な条件について交渉を行います。価格、支払い条件、引き継
ぎ期間、従業員の処遇など、さまざまな要素が交渉の対象となります。
3-2契約書の作成
交渉がまとまったら、正式な契約書を作成します。この契約書には、譲渡の範囲、価格、支
払い条件、引き継ぎの詳細などが明記されます。法律の専門家の助けを借りて、正確な契約
書を作成することが重要です。
4.引き継ぎ
4-1業務の引き継ぎ
契約が成立したら、業務の引き継ぎを行います。新しいオーナーがスムーズに業務を開始で
きるように、手順やマニュアルを提供し、必要なトレーニングを行います。
4-2従業員への対応
従業員に対しては、譲渡の事実を適切に伝え、新しいオーナーと良好な関係を築けるように
サポートします。従業員のモチベーションを維持することが重要です。
5.法的手続きと許認可の更新
5-1法的手続き
譲渡に伴う法的手続きは非常に重要です。店舗の所有権移転、契約書の登録、税務関連の手
続きなど、法的な観点から必要な手続きを全て完了させる必要があります。
5-2許認可の更新
飲食店の営業には、さまざまな許認可が必要です。新しいオーナーは、これらの許認可を更
新する手続きを行わなければなりません。保健所や消防署など、関係機関への届け出も忘れ
ずに行います。
6.その他
6-1フィードバックの収集
譲渡後も、新しいオーナーが順調に業務を運営できるように、一定期間はサポートを提供し
ます。フィードバックを収集し、必要なアドバイスを行います。
6-2連絡の保持
譲渡後も、新旧オーナー間の連絡を保持し、必要に応じて助言や支援を行います。これによ
り、店舗の成功を共に見守ることができます。
6-3誠実な対応
譲渡プロセス全体を通じて、誠実かつ透明性のある対応が求められます。買い手に対して、
正確な情報を提供し、信頼関係を築くことが重要です。
6-4リスクの把握
譲渡にはリスクも伴います。売却価格が予想を下回る可能性や、契約違反が発生するリスク
など、あらかじめリスクを把握し、対策を講じることが必要です。
6-5専門家の活用
法律、財務、ビジネス仲介など、専門家の助けを借りることで、スムーズかつ安全に譲渡を
進めることができます。専門家のアドバイスを受けることで、より良い結果を得ることがで
きます。
7.まとめ
飲食店の譲渡は複雑なプロセスですが、適切な手順を踏み、誠実な対応を行うことで、スム
ーズに進めることができます。準備段階から引き継ぎ後のサポートまで、一貫した対応を心
掛けることが成功の鍵です。専門家の助けを借りながら、適切な対応を行い、譲渡プロセス
を円滑に進めていきましょう。
大学卒業後、飲食FC本部事業を展開する上場会社に新卒入社。その後、FCビジネスに特化した経営コンサルティングを行う上場会社に転職し、M&A戦略による経営支援や資本提携、グループ再編に携わり、グループ上場会社の上席執行役員兼営業本部長として年商約50億円、従業員1,000名以上の営業部門を統括。
現在は株式会社船井総合研究所のM&A支援部にて年間10件のM&Aを成約に導く。過去M&Aに携わった件数としては100件を超える。
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