グループホームのM&Aの現状と動向!成功事例・失敗事例をもとに徹底解説!
- 医療・介護 M&Aレポート
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グループホームとは
グループホームとは、認知症高齢者向けの小規模化介護施設のことです。
運営要件は、以下のとおりです。
・定員:2ユニットまで(1ユニットは5人以上9人以下。用地確保が困難な地域は3ユニット可)
・入居者は原則個室
・1ユニットごとの食堂スペース
・住宅地に所在(地域住民と交流を行うため)
入居条件は以下のとおりです。
・原則65歳以上(若年性認知症、初老期認知症の場合は65歳未満でも可)
・介護度:要支援2または要介護1以上
・医師からの認知症診断
・施設と同地区に住民票がある
・集団生活が可能
グループホームのM&Aスキーム
主なグループホームのM&A方法は、株式譲渡か、事業譲渡があります。
株式譲渡とは、会社すべてを他社に譲り渡すことです。
一方の、事業譲渡は会社の事業部を売り渡すことです。
グループホームM&Aで事業譲渡のスキームを使用する場合、以下のような特殊なM&Aの方法が可能になります。
事業譲渡の行う際に、グループホーム事業の営業権のみを譲渡したとします。
その際、土地・施設は売り手の手元に残り、買い手に対しオーナー(所有者)として土地・施設を貸すことになるので、M&A後も賃料収入を得ることが可能です。
※土地・施設をまとめて売却したときの対価と賃料収入のどちらがいいかの比較は必要なので、その点は注意する必要があります。
グループホーム業界の現状・動向
①利用者の増加傾向
厚生労働省の調査によると、高齢者の数は年々増加し続けています。
したがって、利用者も増加していく傾向にあるといえるでしょう。
②介護給付費増加
高齢者数が増加するのに伴い、年々介護給付費も増加しています。
③介護士の人材不足
グループホーム業界は、慢性的な人手不足に苦しんでいます。
介護士の数そのものは上昇傾向にありますが、利用者と比較すると、圧倒的に足りません。介護士の労務環境の見直しや、ロボットの導入などで人手不足を解消していくほかありません。
⑤施設数の増加
介護利用者の増加に伴い、介護施設数は増加傾向にあります。
しかし、施設すべてが満床ではなく、なかには空きのある施設もあるなど、利用率・収益性などに偏りが生まれているのも現状です。
利用者数や利益を確保できずに廃業・倒産する介護事業者が多いという問題も生じています。
グループホームのM&A動向
売却側の動向
グループホーム業界で、M&Aを行う際の売却側の主な動向としては、
人材不足での入居者難での経営不振があげられます。
先ほど述べた通り、グループホーム業界では慢性的な人手不足に悩まされています。
このことから、入居者をうまく受け入れられなくなり、資金繰りがうまくいかず経営不振に陥るケースが多いです。
グループホームの場合、経営不振に陥ると利用者の方に迷惑をかけることとなります。
そのため、利用者の方を安心させる意味合いでのM&Aは重要な意味を持ちます。
買収側の動向
グループホーム業界で、M&Aを行う際の売却側の主な動向としては、
高い入居率と安定した収益を求め、積極進出するケースや、新規開設が容易にできない関係から、M&Aで増やすということがあげられます。
積極進出するケースとしては、大手グループホーム会社が、さらなる利益を求め行うケースなどがあげられます。
いずれも、グループホーム業界は需要過多の傾向にあることから、ブランド力や資本がある大手企業にはメリットが大きいといえるでしょう。
まとめ
グループホームのM&Aは、介護業界で需要が高まる中で、経営の安定と市場シェアの拡大を目指す戦略として注目されています。
この分野での成功事例としては、高い入居率と収益性を維持しながら成長を遂げる企業があります。一方、失敗事例としては、人手不足や入居者難による経営の逆風に苦しむ企業が挙げられます。
グループホーム業界は需要の増加や介護給付費の増加傾向があり、一方で介護士の人材不足や施設数の増加といった課題も抱えています。
M&Aを行う際には、売却側は経営不振からの脱却を図る一方、買収側は入居率や収益性を向上させるため積極的に進出しています。
M&Aはグループホーム業界の成長戦略の一つであり、市場の変化や経営環境の改善を見据えた戦略的な選択として検討されるべきといえるでしょう。
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