整骨院業界M&Aの最新事例
- 整骨院 M&Aレポート
整骨院業界は、近年、M&Aが活発に行われています。これは、高齢化社会の進展や、整骨院の需要が高まっていることが背景にあります。
M&Aを行うことで、整骨院は規模を拡大し、競争力を高めることができます。また、M&Aを行うことで、整骨院の経営者にとっては、事業承継や、事業の拡大・強化のための資金調達を行うことができます。
整骨院のM&Aは、大きく分けて、以下の3つのパターンがあります。
・M&Aによる事業承継
整骨院の経営者が高齢化し、親族や従業員に承継候補者がいない場合に第三者への事業承継としてM&Aを行うことがあります。
・M&Aによる事業の拡大・強化
整骨院が、事業の規模拡大・強化のためにM&Aを行うことがあります。中小の整骨院が大手の傘下に入ることが多いです。
・M&Aによる事業ドメインの拡大
整体やリラクゼーションの運営企業が、整骨院のM&Aを行うことがあります。整骨院の有資格者を確保することで、展開できるメニューの幅を拡げることができます。
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M&Aの方法と、それぞれのメリット・デメリット
分類 | メリット | リスク |
親族内承継 | ・従業員や取引先の理解が得られやすい ・後継者が家業を継ぐことに抵抗感が少ない場合が多い。 ・後継者育成に十分な時間が取れる ・相続、贈与、売買などの株式の移転方法に幅がある | ・後継者に経営者としての資質があるとは限らない ・贈与、相続が中心のため対価が得られない ・相続人が複数人いる場合、後継者以外への配慮が必要 |
従業員承継 | ・会社や業務に理解のある後継者を選択できる ・従業員からの理解が得られやすい | ・株式の売買にかかる資金超脱が極めて難しい ・個人債務保証の引継ぎ等に問題が多く、後継者家族への 配慮も必要 |
M&A (第三者承継) | ・譲渡益を獲得できる上、個人保証が解消される ・大手と組むことにより、更なる事業拡大が見込める | ・条件設定や候補先の探索など、自身だけで進めるのは困難 ・従業員や取引先など、利害関係者に対して十分な説明が必要 |
M&Aのメリットは、オーナー様が金銭的な対価を得やすい点と、身の回りに限らず、外部から後継者を探すことができる点があげられます。
親族内承継では、贈与税や相続税が課されます。納税資金の確保や持ち出しがネックになっており、対価が得られないという金銭的な問題で進みにくいという実情がございます。また血縁・縁故で選ばれた後継者が周囲の信頼に足る人物か、経営者としての資質を問われる点もあります。
企業内承継の場合、社内で企業を良く知っている人物が引き継ぐというメリットがあります。ただし個人が会社の株を買う恰好になりますので、買収資金の調達に苦慮する場合が多いです。
一方で、M&Aのデメリットは候補先探しや金額や条件の交渉、スキームの検討といった手続きが多くなる点です。また交渉相手あっての話ですので、納得できる協議内容を実現するためには、コミュニケーションや交渉術が求められます。
これらの点はアドバイザーを起用することでスムーズに進みやすくなるといえるでしょう。なおM&Aでは利害関係者に対する十分な説明が必要です。
利害関係者の代表例は、主要な取引先、金融機関、そして従業員です。特に従業員は、どのように環境や条件が変わってしまうのか?という不安を持つことが多いです。不安の解消策として、雇用条件や経営体制、今後の会社の成長性といった点について、売り手と買い手が協力して丁寧に説明する取り組みが求められます。
整骨院におけるM&Aのメリット
それでは、整骨院業界におけるM&Aのメリットは何でしょうか。今度は事業の観点を中心に見ていきましょう。
【譲主側のメリット】
・ノウハウの共有による事業基盤の強化や技術者の成長が期待できる。
・大手傘下による従業員のキャリアアップや、大手資本を活かした攻めの経営が期待できる。
・複数の事業経営の場合は、本業へ経営資源を集中することができる。
【譲受側のメリット】
・有資格者の確保により、企業の成長のスピードアップが期待される
・店舗拡大と自社ノウハウの活用により、売上・利益の拡大が期待される
・商圏内のシェア獲得により、早期に地域一番化を目指すことができる
・他エリアの店舗を買収することで新規エリアを開拓の足掛かりにすることができる
整骨院のM&Aを行う際の注意点
整骨院のM&Aを行うには、以下の点に注意する必要があります。
M&A相手企業の選定
M&A相手企業は、慎重に選定する必要があります。M&A相手企業は、経営理念や経営方針が一致していることが望ましいです。
M&Aの条件
M&Aの条件は、慎重に検討する必要があります。M&Aの条件には、譲渡価格や、譲渡後の経営権の割合などが含まれます。
M&A後の経営
M&A後の経営は、慎重に行う必要があります。M&A後の経営では、M&A相手企業との関係を構築し、事業を円滑に運営することが重要です。
整骨院のM&Aは、事業承継や、事業の拡大・強化のための有効な手段です。ただし、M&Aを行う際には、慎重に検討することが必要です。
整骨院のM&Aの失敗事例
整骨院のM&Aの失敗事例としては、以下のようなものがあります。
M&A相手企業の選定ミス
M&A相手企業の選定を誤った場合、M&A後の経営がうまくいかないことがあります。企業文化や理念などに共感できない場合に起こりえます。
M&Aの条件の交渉ミス
M&Aの条件の交渉を誤った場合、M&A後の経営がうまくいかないことがあります。取引先への対応や従業員への待遇の変更など、事前に詳細まで条件を詰めておく必要があります。
M&A後の経営の失敗
M&A後のPMI(企業統合プロセス)を軽視すると、目論んだ結果を出すことができず、経営がうまくいかず、M&Aの目的が達成されません。
整骨院のM&Aに関するよくある質問
整骨院のM&Aは、どのようなメリットがありますか?
整骨院のM&Aには、事業承継が可能になる、事業の拡大・強化が可能になる、資金調達が可能になる、競争力を高めることができるなどのメリットがあります。
整骨院のM&Aは、どのようなデメリットがありますか?
整骨院のM&Aには、M&A相手企業の選定が難しい、M&Aの条件が複雑、M&A後の経営が難しいなどのデメリットがあります。
整骨院のM&Aは、成功する確率は高いですか?
整骨院のM&Aは、成功する確率は高いとは言えません。M&Aを行う際には、慎重に検討することが必要です。
整骨院のM&Aは、どのような費用がかかりますか?
整骨院のM&Aにかかる費用は、M&Aの規模や内容によって異なります。
整骨院のM&Aは、どのような手続きが必要ですか?
整骨院のM&Aを行う際には、以下の手続きが必要になります。
- ・M&A相手企業の選定
- ・M&Aの条件の交渉
- ・M&A契約の締結
- ・M&Aの実施
- ・M&A後の経営
整骨院のM&Aに関するまとめ
整骨院業界は店舗数の拡大や柔整師の確保が事業拡大の要になることが多いです。
事業面におけるM&Aのメリットはこれらを一気に獲得できる点にあります。ただし、M&Aを行う際には、慎重に検討することが必要です。業界に精通したアドバイザーや弁護士、会計士などと連携することによって、リスクを最小限に抑え、M&Aの成功可能性を高めることが可能になります。
これからの整骨院業界の経営手法の一つとして、M&Aという選択もご検討ください。まずは、自社の整体・整骨院がM&A可能なのかどうか、専門家に問い合わせることからオススメ致します。
税務監査・財務コンサルティングの業務経験に加え、事業承継・事業再生コンサルティングの成功経験を多く持つ。2017年10月に船井総研中途入社後、M&Aコンサルティングにより22件の案件成約を担当。 現在、船井総研における事業承継・M&Aコンサルティングの中核的な役割を担う。
中野 宏俊の紹介ページはこちら 船井総研のM&Aの特徴とM&Aに関する解説ページはこちら