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M&Aの進め方【2】
(価格の検討
その1)

  • M&Aの進め方
M&A

前回、M&Aを検討する際「まず、誰に相談すべきか」について触れましたが、秘匿性が高く、経営者判断を要するM&Aの検討は、社内検討においても「代表者と数名の経営幹部に限定すべき」とお伝えしました。

次に、M&A検討の最初のポイントとなる「価格をどう考えるか?」について触れてみたいと思いますが、「価格の検討」は世に多くの専門書がある通り、広範囲かつ深いテーマとなりますので、数回に渡り価格検討の考え方について触れたいと思います。

●売手と買手の価格差は何故生まれるのか?

売手が「価格」を考える際、大概、以下のケースが多く見られます。
1.別事業にチャレンジするために、いくらの資金が必要だ。
2.借入金を清算するために、いくらの資金が必要だ。
3.簿価の資産価値から、この程度の資金は最低欲しい。
4.これまでの苦労を考えると、この程度の資金は最低欲しい。

他方、買手が「価格」を考える際、大概、以下のケースに収斂されます。
1.買収後の収益や人材等を考えると、この程度の価格だろう。
2.同業他社の取引事例から考えると、この程度の価格だろう。

初期の立ち上げから現在まで事業に邁進された売手は「過去と現在」に重きを置く傾向がありますが、他方、事業を引き継ぐ買手は「将来」に重きを置く傾向があります。
この重きを置くポイントの違いこそが、売手と買手の価格差を生む根本理由と言えます。

買手は、M&A投資資金をいずれかの時期に回収する必要があり、あくまでその源泉を「買収後の収益」に期待するのが一般的な目標となります。仮に、収益は見込めないが一等地の不動産を所有し今後の固定資産売却が見込めるため高値で買うという話は、不動産売却を目的とするいわば清算目的の買収であり、事業の引き継ぎを前提とするM&Aの本筋とやや異なると言えます。
また、取引事例をもとにした市場価格も、供給不足等によるプレミアムはありますが、買手が将来収益をもとに評価をした個別事例の積み上げであると考える事が出来ます。

●事業価値の算定

買手が評価する将来収益はどの様に価格へと反映されるのでしょうか?そのためには「貸借対照表の組み替え」と「将来収益の予測」が必要となります。

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最初のステップの「貸借対照表の組み替え」とは、決算書上の資産および負債について以下の処理をおこなう事となります。
①決算書上のBS
②非営業資産(および負債)を除外し、営業資産を抽出
③NET(相殺)処理(営業資産から営業負債を相殺。有利子負債から現預金を相殺)
④NET営業資産に対する事業評価の超過不足分をのれんとして認識し株価へ反映。

事業価値は将来収益予測をもとにした「収益評価」が基準となりますが、簡易的なキャッシュフロー倍率法から、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)法までいくつかの評価手法が確立されています。

また、事業価値(収益評価)を算定した後、BSとの差を「のれん」として認識する事となりますが、「NET営業資産との差」をのれんとして認識し、株価へ反映する事となります(BS上の固定資産との差ではない)。

対象となる会社の総資産から、本業の収益を生み出す営業資産を切り出し、それに対する評価をおこなう事が最初のステップとなります。
次回は、事業価値算定の基本となる「収益評価」の考えについて触れてみたいと思います。

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