唐津の自動車販売業がM&Aで住宅事業へ、そして大商圏へ
- 住宅・リフォーム
佐賀県唐津市に本拠地を置くヒューベストホールディングス。祖業は、自動車販売業ですが、現在は自動車関連事業の他、住宅・不動産事業、フィットネス、保育園等を展開。自社での新規事業展開と、M&Aによる新規事業展開を組み合わせて、2022年の売上は130億円、地域の有力企業へと成長しています。2022年2月には、地域の枠を超えて、神奈川県の住宅企業である住宅セレクションをM&Aでグループインされています。
― 岡野社長に伺います。今回、住宅セレクションさんをM&Aをされた経緯を教えてください。
当社はもともと唐津市で自動車販売業を営む会社です。船井総研さんには、長年、自動車販売のコンサルティングでお世話になり、おかげさまで業績を伸ばしてきました。
しかし、唐津市は毎年1,000人ずつ人口が減っています。人口が1,000人減るとは、自動車の保有ベースで言えば700台保有台数が減るということです。唐津市はもともと人口約12万人の小さな街ですから、新しい事業計画を立てても上がる利益には限界があると感じていました。
― そんな中で、自動車だけでなく、様々な事業を展開されています。自前での新規事業立ち上げ、M&Aと、まさに船井総研がご提案している、地域コングロマリット経営のモデルであると思います。
2017年にご縁があって、地元の工務店をM&Aしました。その会社は年間着工棟数が4棟前後で、売上が2億円程度の小さな企業です。この時も、船井総研さんに相談しまして、住宅部門のコンサルタントの方から、「超ローコスト住宅」という戦略を提案して頂き、おがげさまで、2020年には30棟を受注し、唐津市内のシェアナンバーワンの数字を達成できました。ローコスト住宅と中古車は、顧客層が重複しており、とても良い相乗効果がありました。
― そんな中、今回は、唐津市から遠く離れた、神奈川県の住宅セレクションさんをM&Aされました。
実は、その前に、唐津での住宅事業が成功していたため、地元の金融機関から、地元のゼネコンをM&Aしないか、というお話を頂いていました。無借金経営で、悪い会社ではありませんでした。
― その件のM&Aについても、船井総研のコンサルタントに意見を求められたのですよね。
なんでもご相談していましたから、このゼネコンさんの件も、船井総研さんに相談しました。そうしたところ、業務内容は橋や県庁を造るといった昔からのものばかりで、一見相乗効果がありそうに見えて、実は既存事業との相乗効果が見込みにくく、当社の若い社員の体質的にも合わないのではないか、ということでした。特に、当社の体質に…という部分は、その通りだなと思いました。船井総研さんからのアドバイスがなかったならば、私はそのゼネコンを買収し、苦労していたと思います。
― その後、船井総研から、ご提案させて頂いたのが、神奈川の住宅セレクションさんのM&Aでした。
はい。地元で複合的に事業を展開するだけでは、突破できない壁があると感じていまして、そんなお話をしている中で、ご提案頂いたのが、住宅セレクションさんでした。エリアは全く異なりますが、逆に、当社が成功体験のある住宅事業で、大商圏の神奈川県に出られるのは、大きなチャンスであると感じました。
― M&Aに力を入れられると共に、会社の仕組みづくりも積極的に行われています。
はい。多角化を進める中で、船井総研さんから、ホールディングス化の提案を頂いて、ヒューベストホールディングスを設立しました。ここに、祖業の自動車販売を行う唐津カーセンターや、M&Aした住宅会社、住宅セレクションなどもぶら下がる形です。
― 多角化、ホールディングス化を通じて、優秀な社員さんも採用できていると聞いています。
以前から新卒採用は行っていまして、入社する学生の数は2019年は7人、2020年は17人、2021年は16人、2022年が32人になりました。しかし、多角化を始めてからは、幹部人財、経営人材が必要になりますので、いわば「将来経営者を目指す人材を集める」というコンセプトにしました。
幹部候補生と考える学生には「一緒に事業を立ち上げよう」と社長が直接働きかけています。経営者として一番うれしい変化の1つは『店長になりたい』という向上心のある学生が増えたことですね。
― 最後に、今後の抱負について教えてください。
先日も、地元でも一番レベルに優秀な大学を卒業した学生が『経営者になりたい』と入社してくれました。『してあげよう』と言ってしまいましたから(笑)、嘘にならないように、彼ら彼女らにポストを用意できるよう、今後も積極的にM&Aを行うことを含めて、事業を拡大していきたいと考えています。