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士業事務所(税理士以外)における2023年のM&A動向の振り返り

  • 士業 M&Aレポート
M&A

2023年の士業事務所のM&A

これまで士業事務所のM&Aとしては、税理士事務所、会計事務所のM&A・譲渡のご相談、ご依頼が最も多いのですが、他の士業事務所からもご相談をいただいてきております。

具体的には、法律事務所(弁護士)、社会保険労務士事務所、司法書士事務所、行政書士事務所、土地家屋調査士事務所、特許事務所(弁理士)と幅広くご相談をいただいています。

中でも、社会保険労務士事務所、社会保険労務士法人はご相談をいただく機会が増えてきています。

私たちとしても2023年にいただいた士業事務所のM&A・譲渡のご相談は、これまでで最も多くのご相談いただきました。

ご相談が増加した背景の中には、士業事務所におけるM&Aがという戦略が徐々に浸透してきたことがあると思われます。

士業事務所のM&A3つのパターン

士業事務所のM&A・譲渡を実際に支援させていただいた事例や、他の成約実績を見ていくと、士業事務所がM&A・譲渡を検討される傾向としては3つのケースがあります。

  • ①一定の年齢(60歳前後、70歳前後が一つの区切り)を理由とした後継者不足の問題
  • ②代表者のご病気により急遽事務所の引継ぎを行わなくてはならなくなったことによるM&Aの検討
  • ③人材の離職や人材の確保が思うように進まないことで事業継続が困難になり、事務所規模の縮小や一部の顧問先の譲渡を検討

主にこの3つの理由によりM&A・譲渡を検討されているケースが多くなっています。

代表のご年齢によるケースは、小規模の事務所や資格者がいない場合にご相談いただくことが多く、これまで代表がおひとりでプライベートの時間も削り、夜遅くまで働くことで何とか事務所を回してきたところ、60歳、65歳、70歳と区切りの年齢が近づく中で、そろそろこの先の働き方や仕事の仕方を見直したいという考えから譲渡を検討され、ご相談をいただいています。

こうしたケースの場合、一番重視されるのは安定した引継ぎ先(譲り受け先)を選ぶこと、譲渡価額が納得のできる価額の提示であること、の2つが主な課題となります。

安定した引継ぎ先(譲り受け先)としては、一定以上の規模がありつつ、業務の特性や事務所の雰囲気、経営に対する価値観などを面談の中で把握していき、擦り合わせながら譲渡する相手を選んでいきます。

譲渡価額についてはある程度相場観に基づいた金額を出しながら、納得できる譲渡価額で提示いただける先を見つけてM&A・譲渡を実行していきます。

ゆっくり時間をかけて、というわけでもありませんがおおよそ6か月~1年程度の時間をかけて進めていきます。

次に、ご病気を理由としたケースの場合、譲渡価額については優先順位はやや下がり、価格交渉で長引かせるのは得策ではなく、できるだけ妥当で正確な事務所の価値評価と無駄のないスピード対応によるM&A・譲渡が必要となります。

スピーディーな対応が求められる案件の場合、事前の準備にかけられる時間も限られるため、M&A・譲渡実行後にある程度受け入れ態勢を早期に整えられる規模の事務所が買い手(譲り受け先)として求められ、早期にそれが可能な事務所を見つけ出すことも必要なことの一つです。

早期のM&A・譲渡ができたとしても、その後に顧問先やスタッフの離脱が起こってしまっては元も子もありませんので、そうしたことができだけ起こりにくい、事務所をご紹介させていただく、というケースが多くなります。

最後に、人材の離職や人材の確保が原因となるM&A・譲渡の場合、そうした条件でM&Aで譲り受けてくれる事務所を探すことが最重要ポイントとなります。

顧問先だけの譲渡となる場合は特に人材の余力がある先でないと、受け入れたくてもできないということもあり得ます。そうなってしまうと譲り受け先としては相応しくないとなってしまいますので、まずは受け手探しが最大の関門です。

譲渡価額に関しては、譲り渡す顧問先売り上げの1年分程度を最大値として、人材も一緒の譲渡となるのか、顧問先だけなのか、またその内容等によって交渉により決定します。

実際の事例を聞いているところ、小規模のやり取りに関しては対価がほとんどかからないケースもありますので、この辺りは当事者間でのやり取りにより決まるイメージです。

士業事務所の譲渡価額の決め方

士業事務所のM&Aをする際に、どの程度の値段で取引されるのか?はよくいただくご相談の一つです。

士業の業種によって様々あるというのが実際のところなのですが、一つ確実に言えることとしては、その事業を継続していくことで生まれる利益が年間どの程度あるのか?は基本の考え方としてあります。

「正常収益力」などといわれるもので、簡潔に言うと営業利益をベースに代表の私的経費や一過性の経費など、純粋にその事業を継続していくことで発生する利益を計算し、その継続性がどの程度見込めるかによって1年~4年分の範囲の中で計算していく考え方です。

何年分で計算すればよいのか?という点は、業種特性や受注経路、売り上げの再現性などの観点を考慮して算出するものとなります。

個別の事務所により異なる部分もあるため、一度ご相談いただけると幸いです。

士業事務所のM&Aの場合、譲渡対価が目的となるケースはあまり多くはありませんが、譲渡行う上では大事な要素の一つです。

もしかしたらこれからM&Aをすることになるかもしれない、事業を譲渡することになるかもしれないという方は、ぜひ一度事務所の価値がどの程度になるのかを把握していただければと思います。

いざその時になったとしてもスムーズに進行できますし、金額を知っていただくことで先生自身のライブプランも変わってくると思います。

もちろんM&A・譲渡後に働き続けるという選択もありますので、どの程度の給与がもらえるのか?という点も含めてお話させていただきます。

船井総合研究所では、企業価値試算、事務所価値試算を無料で行っております。

ぜひご相談ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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