事業承継とは、経営者が築いてきた経営権・資産・知的資産(技術やノウハウ、顧客との信頼関係など)を、後継者にまとめて引き継ぐことをいいます。
読み方は「じぎょうしょうけい」で、「事業継承」と表記されることも少なくありません。
方法は親族内承継・従業員承継・第三者承継(M&A)の3つに大きく分かれ、税金や具体的な進め方、相談先まで理解しておくことが、後悔のない判断につながります。
「このまま倒産しそうな借金だらけの会社を継いでも、自分にメリットがあるのだろうか」「後継者がいない会社は、やはり廃業になってしまうのでしょうか」。
事業承継を調べ始める人の多くは、制度の説明より先に、こうした切実な迷いを抱えています。
事業承継はゴールではなく、事業を何十年、何百年と続けていくための手段にすぎません。だからこそ、方法や税金の知識だけでなく、迷いとどう向き合うかも含めて理解しておく必要があります。
この先で扱うのは、事業承継の定義、後継者不在から廃業に至る前の選択肢、3つの承継方法、税金・税制、準備から実行までの進め方、そして相談先の選び方です。事業承継の相談実務をふまえながら、多くの解説記事が踏み込みきれていない、後継者不在との向き合い方や相談先選びの判断軸まで扱います。
経営の正解は、一つではありません。 まずは出口戦略の『選択肢』を可視化する診断ツールを手に取り、 次なるステージへの展望を具体化する準備を始めてください。
プロの目利きで自社の『真価』を知ること。それが、後悔のない決断への第一歩です。


事業承継とは経営権・資産・知的資産を後継者に引き継ぐことをいう
事業承継とは、経営者が持つ経営権、株式や不動産などの資産、そして技術・ノウハウ・顧客との信頼関係といった知的資産を、後継者にまとめて引き継ぐことをいいます。
単に社長の肩書を譲るだけでなく、会社を支えてきた3つの要素すべてを次の世代に渡す取り組みです。
実務上は、株価対策や経営者保証の解消、資金調達まで含めて総合的に検討するケースが多く、税務だけを切り離して考えると、後になって対応しきれない論点が出てくることがあります。
事業承継の読み方は「じぎょうしょうけい」
事業承継は「じぎょうしょうけい」と読みます。
似た響きの言葉に相続がありますが、相続は経営者が亡くなった後に財産を引き継ぐ手続きを指すのに対し、事業承継は経営者の生前・死後を問わず、会社の経営そのものを次の世代へ引き継ぐ取り組みを指します。
事業承継と事業継承の違いは表記のゆれか意味の違いか
「事業承継」と「事業継承」は、どちらも同じ場面で使われる言葉です。
中小企業庁など公的機関の資料では「事業承継」という表記が使われており、実務上もこちらが標準的な表記として定着しています。
「事業継承」は同じ内容を指す表記のゆれと考えて差し支えなく、意味を厳密に使い分ける必要はありません。
ただし、資料や情報を探す際は両方の表記で調べておくと、必要な情報を取りこぼしにくくなります。
なぜ社長の交代だけでなく「事業承継」と呼ぶのか
社長が交代するだけであれば、代表交代という言葉で足りるはずです。
それでも事業承継と呼ぶのは、引き継ぐ対象が代表権にとどまらないからです。
株式や不動産といった資産、金融機関からの借入に対する経営者保証、そして長年かけて築いてきた顧客との関係や技術・ノウハウまで、会社を支えている要素をまとめて次の世代に渡す必要があります。
代表権だけを引き継いで資産や保証がそのままになっていると、経営の実態と法的な権限がずれてしまい、後継者が身動きを取りにくくなることがあります。
後継者不在のまま事業承継を先送りすると廃業に至ることがある
「後継者がいない会社は、やはり廃業になるのでしょうか」。
事業承継を調べ始めた経営者や従業員が、こうした不安を抱くことは少なくありません。
後継者不在は他人事ではなく、事業承継を検討し始める大きなきっかけの一つです。
帝国データバンクの調査によると、2025年時点の全国の後継者不在率は50.1%で、7年連続で改善が続いています。
ただし中小企業に絞ると51.2%、小規模企業では57.3%まで上昇し、規模が小さい会社ほど後継者が見つかっていない実態があります(出典:帝国データバンク「全国後継者不在率動向調査(2025年)」)。
「後継者がいない会社はやはり廃業になるのでしょうか」という悩みの背景
後継者がいないまま経営者が引退や体調不良を迎えると、事業を継続する担い手がいなくなり、廃業を選ばざるを得なくなります。
同じ帝国データバンクの調査では、2025年に代表者が交代した企業のうち、血縁によらない役員・社員を後継者とする「内部昇格」が36.1%となり、従来最多だった「同族承継」の32.3%を初めて上回りました。
家族が継ぐことを前提にできない会社が増えている実態が、数字にも表れています。
廃業と事業承継の分かれ道はどこにあるのか
廃業と事業承継の分かれ道は、後継者候補が「いない」ことではなく、「探す・育てる・引き継ぐ」という行動を起こしたかどうかにあります。
親族に継がせる相手がいなくても、従業員や社外の会社・個人に引き継ぐという選択肢は残っています。
事業承継の実務の現場では、廃業を考え始めたときこそ一度M&Aを検討してみるとよい、という言葉が昔から使われてきました。
廃業してしまえば、そこで会社の歴史も雇用も途切れますが、引き継ぐ相手が見つかれば、事業と雇用を残したまま経営者は引退できます。
後継者不在でも今から検討できる選択肢がある
後継者不在に気づいた時点から、親族内・従業員・第三者という3つの承継方法をあらためて比較する余地があります。
実務では、当初は身内への承継しか考えていなかった経営者が、検討を進めるうちに従業員承継や第三者承継へ方針を切り替えるケースも珍しくありません。
大切なのは、後継者がいないと分かった時点でできるだけ早く動き出し、比較検討の時間を確保することです。

事業承継の方法は親族内・従業員・第三者(M&A)の3つに分かれる
事業承継の方法は、親族内承継・従業員承継・第三者承継(M&A)の3つに大きく分かれます。
それぞれ引き継ぐ相手も、資金調達の仕組みも異なります。
実務では、この3つのどれか一つに絞り込むというより、状況の変化に応じて方針を見直しながら進めるケースが少なくありません。
親族内承継|家族に引き継ぐ方法
親族内承継は、経営者の子どもや親族に会社を引き継ぐ方法です。
かつては「家族だから継ぐのが当然」という空気の中で、後継者候補が「継いでほしい」と明確に言われないまま、義務感で引き継ぐケースが多く見られました。
時代とともにこの価値観は変わってきており、後継者自身のキャリアの選択肢として承継を捉える考え方が広がっています。
実務上は、親が本当に継いでほしいと考えているのか、後継者候補は経営者としてやっていく覚悟が固まっているのかを、それぞれ確認するところから始まります。
親子だけで話し合うと感情が先に立ち、話がまとまりにくくなることがあるため、第三者が客観的な立場で間に入り、感情論にならないように整理する場面もあります。
親族内承継で特有の壁になりやすいのが経営者保証です。
後継者本人は保証を引き継ぐことを受け入れても、配偶者から反対を受けるケースがあります。
経営者保証に関するガイドラインには、事業承継に焦点を当てた特則が2019年12月に公表され、2020年4月から適用されています。
この特則では、前経営者と後継者の双方に保証を求める二重徴求を原則禁止とし、後継者への保証の引き継ぎを当然とせず慎重に判断することが金融機関に求められています。
実務でも、保証がなくても事業が回るキャッシュフローを試算し、無理のない返済計画を提案する場面があります。
# 「引き継ぎのタイミング」と「相続」を混同しやすい落とし穴
個人事業主のもとで長年働いてきた後継者候補が、経営を引き継ぎたいと考えていても、自分から切り出せずにいるケースがあります。
背景には、親側が「引き継ぎのタイミング」を「相続が発生したとき」だと考えていて、生前の事業承継という発想がそもそも共有されていない、という食い違いがあります。
相続は経営者が亡くなった後に財産が移転する手続きですが、事業承継は経営者が元気なうちに計画的に進められる取り組みです。
この違いを家族内で早めに共有できるかどうかが、親族内承継のスタート地点になります。
親族内承継の具体的な進め方やメリット・デメリットについては、こちらのコラムもおすすめです。
『親族内承継とは|メリット・デメリットと進め方を経営者・後継者向けに解説』
従業員承継(社内承継・MBO/EBO)|社内の人材に引き継ぐ方法
従業員承継は、役員や幹部など社内の人材に経営を引き継ぐ方法です。
経営陣が株式を取得して引き継ぐ形をMBO(マネジメント・バイアウト)、従業員が主体となる形をEBO(エンプロイー・バイアウト)と呼びます。
日本の中小企業は資本と経営が一体になっている会社が一般的で、資本と経営を分離したまま経営だけを引き継ぐ形は多くありません。
そのため後継者となる従業員も、いずれは株式を取得することが前提になりやすく、まとまった資金の調達が課題になります。
従業員承継で課題になりやすいのは、社長という役割は担いたいものの、株式を自分の資金で買い取ることにためらいを感じるという点です。
株を持たないまま代表権だけを引き継ぐ、いわゆる雇われ社長という立場のままだと、上場企業の社長とは違い、業績が振るわないときに株主から退任を求められる可能性がゼロではないというリスクが残ります。
資金調達の方法としては、銀行からの融資が最もオーソドックスです。
会社から役員報酬という形で資金を借りて返済していくやり方もなくはありませんが、利息や返済を自分で確実に賄う必要があり、あまり良い方法とはいえません。
全額を一度に買い取れない場合は、種類株の活用や、役員任期を通常より長く設定するといった工夫で、株主からの圧力をやわらげることもあります。
従業員承継の進め方や資金調達の実務については、こちらのコラムもおすすめです。
『従業員承継(社内承継・MBO/EBO)とは|進め方とメリット・デメリット』

第三者承継(M&A)|社外の会社や個人に引き継ぐ方法
第三者承継は、社外の会社や個人に経営権を引き継いでもらう方法で、一般にM&Aと呼ばれます。親族にも社内にも適任者がいない場合の選択肢として広く使われています。
後継者不在で廃業しかねなかった会社を、取引先の上場企業がグループ会社として引き継ぎ、事業を継続させた例もあります。
引き継がれた側の社員が、規模の大きなグループに加わったことを前向きに受け止め、その後の事業拡大につながったケースも見られます。
一方で、譲受側の審査は年々厳格になっており、特に「売上は右肩上がりに伸びる計画になっているが、それを実行する具体的な体制や担当者がいない」という、希望的観測と実行可能性のギャップが指摘されやすい点には注意が必要です。
第三者承継(M&A)の具体的な流れや会社売却の進め方については、こちらのコラムもおすすめです。
『第三者承継(M&A)とは|会社売却の流れと後継者の探し方を中立に解説』
3つの方法を比較する視点
3つの方法は、それぞれ独立した選択肢というより、地続きの関係にあります。親族内承継であっても、後継者が先代に退職金を支払う形で実質的な対価のやり取りが発生する点は、第三者承継と共通する構造です。
昭和の時代は親族内承継が当然とされていましたが、平成・令和と時代が進むにつれて、後継者本人がキャリアを自分で選ぶという価値観が広がり、従業員承継や第三者承継を選ぶ経営者が増えてきました。
どの方法が向いているかは、後継者候補の有無だけでなく、資金調達の負担や経営者保証の扱い、譲渡対価をどう受け取りたいかによって変わります。
3つの方法を一つずつ比較検討したい場合は、こちらのコラムもおすすめです。
『事業承継の方法3類型を比較|親族内・従業員・M&Aの違いと選び方ガイド』
事業承継にかかる税金と、負担を軽くできる税制がある
事業承継では、株式や事業用資産を移転する際に税金が発生します。
誰にどのタイミングで引き継ぐかによって、かかる税金の種類も金額も変わります。
事業承継で発生する税金の種類(相続税・贈与税など)
親族内承継で株式や資産を生前に渡す場合は贈与税、経営者の死亡後に引き継ぐ場合は相続税が課税対象になります。
いずれも財産の評価額に応じた累進税率で、税率は最高55%に達します。
暦年贈与を使う場合、年間110万円までの基礎控除の範囲であれば贈与税はかかりません。
第三者承継(M&A)で株式を譲渡した場合は、個人株主であれば譲渡所得として申告分離課税の対象になり、法人が資産を譲渡する事業譲渡では法人税・消費税が関わってきます。
どの税金がどの程度発生するかは承継の方法や資産の内容によって大きく変わるため、具体的な税額は税理士に確認することをおすすめします。
事業承継税制とは何か
事業承継税制は、非上場株式などを後継者に贈与・相続する際にかかる贈与税・相続税の納税を猶予する制度です。
都道府県知事の認定を受け、一定の要件を満たし続けることで、猶予された税額の納付が将来的に免除される仕組みになっています。
中小企業の事業承継を後押しする目的で設けられた制度で、要件は法改正のたびに見直されてきました。
適用を検討する際は、現時点で対応可能かどうかを税理士に直接確認する必要があります。
事業承継税制は使わない方がいいという意見もある
事業承継税制は、後継者が事業を継続していく決意を固められているかどうかが前提になる制度です。
決意が定まっていない段階で無理に使う必要はありません。相続の場面では、そのときの相続税額次第で、事業承継税制を使わなくても他の財産で無理なく納税できる場合があり、一律に適用すべきものではないとされています。
実務上、負担として感じられやすいのが報告義務です。制度を利用すると、その後も継続して税務署への報告を提出し続けなければなりません。
この終わりのない報告を面倒に感じる後継者は少なくありません。
加えて、合併・増資・会社分割など会社の重要な意思決定をする際は、事前に税理士への相談・報告が必要になり、経営者が単独で自由に判断しづらくなるという見えない負担もあります。
本来の事業継続が難しくなった結果としてM&Aでグループ入りする場合は問題になりませんが、キャピタルゲインを得る目的で株式を売却するような使い方をすると、適用要件の違反にあたり利子税を負担することになります。
事業承継税制のデメリットや、使わない方がいいと言われる理由については、こちらのコラムもおすすめです。
『事業承継税制のデメリットと使わない方がいいケース|メリットとの比較』

事業承継は準備から実行まで複数の工程を踏んで進める
事業承継は、思い立ってすぐに完了するものではありません。
現状把握から実行まで、いくつかの工程を順番に踏んで進めます。
実務上は、この工程を飛ばして代表権だけを先に移してしまい、後から資産や保証の整理に追われるケースも見られます。
現状把握と会社の磨き上げ
最初に取り組むのは、自社の現状把握です。
自社の株価評価が現状どうなっているかを把握していない経営者は少なくありません。
株価評価の方法は見直しが行われることもあるため、まず現在の評価額を確認するところから始めます。
あわせて、財務内容の改善や、属人化している業務の仕組み化など、引き継ぎやすい状態に会社を整えていきます。
後継者の選定・育成
次に、誰に引き継ぐかを見極め、後継者としての育成を進めます。親族内承継であれば、後継者候補がサラリーマンとして働きたいのか、それとも自分で経営していきたいのかという志向を確認したうえで、経営者としてやっていく覚悟が固まっているかを見極めます。
準備が不十分なまま社長を引き継ぐと、就任後に想定以上の負担に直面することがあります。
先代が担ってきた業務を理解しないまま引き継ぎ、社長の大変さに気づいて一時は会社の売却まで検討したものの、サポート体制を整えたことで踏みとどまった、という例もあります。
後継者候補が長年経験を積んだ幹部から厳しい評価を受け、周囲を巻き込む努力が必要になるケースも見られます。
時間をかけて経営の仕組みと周囲の理解を引き継ぐことが、後継者育成の要になります。
事業承継計画の策定
後継者の方向性が固まったら、いつまでに何を終わらせるかという事業承継計画を策定します。
株式・資産の移転時期、経営者保証の整理方針、税務上の手続きなど、複数の論点を一つのスケジュールにまとめます。
計画があることで、後継者・金融機関・取引先など関係者への説明もしやすくなります。
実行(契約・引き継ぎ)にかかる期間の目安
事業承継の実行には、相応の準備期間が必要です。
実務上の目安として、少なくとも数年、6年以上は見ておいたほうがよいとされています。
経営者の年齢や健康状態に余裕があれば、10年ほどかけてじっくり借入をゼロにしてから引き継ぐという計画の立て方もあります。
逆にいえば、経営者の年齢が高く時間の余裕が少ない場合は、より早急な判断が求められます。
少しでも迷いがあるなら、今すぐ動き出すことをおすすめします。
準備を急いだり、工程を省略したりすると、実行段階でつまずくことがあります。
実際にあった事業承継の失敗事例とうまくいかない理由については、こちらのコラムもおすすめです。
『事業承継の失敗事例とうまくいかない理由|早期の相談で防げる備え方』

事業承継の相談先は経営者の状況によって選び方が変わる
事業承継は税務・法務・資金調達・組織づくりなど、関わる論点が多岐にわたります。
誰に相談すればよいかは、経営者の状況や検討段階によって変わります。
身内を飛び越えて専門家に相談しづらいという悩み
インターネット上の相談でも「義父という間柄で、銀行や税理士に相談に行くのも躊躇される」といった声が見られるように、身内を飛び越えて外部の専門家に相談することへのためらいを感じる方は少なくありません。
M&A仲介から届いた提案を「乗っ取りに近いのではないか」と警戒する声もあります。
相談先ごとの役割の違いが十分に共有されていないことが、この不信感の根っこにあります。
まずは、自社の事業承継に関してどのような課題があるのかを、しっかり精査してくれる相手を見極めることが最初の一歩になります。
相談先ごとにできることは異なる(税理士・M&A仲介・事業承継コンサル・公的窓口)
顧問税理士は、日頃から決算・申告を担当しているため相談しやすい相手です。
ただし、税理士であっても事業承継のサポートを「できない」「したくない」というケースは少なくありません。
税理士業界自体が人手不足で通常の申告業務以外に時間を割きにくいという事情に加え、事業承継は税務対策だけでなく、後継者が経営者として育っていけるかという経営承継の側面も含むため、税務の枠を超えた対応力が必要になるためです。
相談する際は、対応してもらえるかどうかを直接確認することをおすすめします。
税理士に事業承継を相談するメリットと注意点については、こちらのコラムもおすすめです。
『事業承継を税理士に相談するメリットと費用|できること・できないこと』
M&A仲介は第三者承継(M&A)を専門に扱い、譲受先候補の紹介や交渉の実務に強みがあります。
事業承継コンサルティング会社は、税務・財務・資金調達・組織づくりまで含めて総合的に伴走する立場です。
事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的窓口は、無料で相談できる入口として利用でき、必要に応じて民間の専門家につないでもらうこともできます。
事業承継コンサルの選び方や費用相場については、こちらのコラムもおすすめです。
『事業承継コンサルの選び方と費用相場|依頼できることと注意点をわかりやすく解説』
事業承継の相談先を選ぶときの判断軸
相談先を1社に絞り込む前に、複数の候補に幅広く声をかけて比較することをおすすめします。
顧問税理士だけでなく、事業承継専門の税理士事務所やコンサルティング会社にも話を聞き、自社の課題全体を見てくれる相手かどうかを見極めます。
判断軸として、次の4点を確認しておくとよいでしょう。
# 業種専門性
自社の業種特有の商慣習や許認可の事情を理解しているかどうかは、提案の的確さに直結します。
業種の実情を知らないまま一般論だけで進めると、実務に合わない提案になりがちです。
# 税務・法務・実務のワンストップ対応
事業承継の課題は、株価や自社株対策にとどまらず、財務体質の改善、経営者保証の解消、人材・組織づくり、事業のライフサイクルに応じた戦略まで多岐にわたります。
窓口を分けずに一社で全体像を見てもらえるかどうかは、相談先を選ぶうえで重要な基準になります。
# 手数料体系の分かりやすさ
着手金や成功報酬の有無・金額が、相談の早い段階で明確に説明されるかを確認します。
株価評価だけでも数十万円程度から、会社の規模や財産内容によっては百万円前後まで費用がかかることがあります。
報酬は高く感じられることもありますが、事業承継がうまくいけば会社はその先何十年、何百年と続いていくものであり、長期的に見合う投資と捉える考え方もできます。
# 秘密保持の徹底
事業承継の検討段階の情報が社内外に漏れると、従業員の動揺や取引先の不安につながりかねません。
秘密保持契約の締結や、情報管理の体制が整っているかも確認しておく事項です。
事業承継は誰に相談すべきか、相談先の選び方をさらに詳しく知りたい方は、こちらのコラムもおすすめです。
『事業承継は誰に相談すべき?相談先の種類と選び方をわかりやすく解説』

業種別の事業承継|業種特有の論点は個別の記事で確認する
事業承継の基本的な進め方は業種を問わず共通していますが、許認可の引き継ぎ方や資産・設備の評価の考え方、後継者をめぐる事情は業種によって大きく変わります。
船井総研あがたFASでは、業種特化のコンサルタントが各業界の実務を踏まえて支援しており、代表的な業種については個別の記事で解説しています。
自社の業種に近い記事があれば、あわせて確認しておくと、業種特有の注意点まで踏まえて検討を進めやすくなります。
• 個人事業主の方は、こちらのコラムもおすすめです。
『個人事業主の事業承継とは?法人との違い・手続き・税金を解説』
• 産業廃棄物処理業の方は、こちらのコラムもおすすめです。
『産業廃棄物処理業の事業承継|許認可承継と後継者不在への対応を解説』
• 保育園を運営する方は、こちらのコラムもおすすめです。
『保育園の事業承継|社会福祉法人と株式会社で異なる進め方を解説』
• 警備会社・ビルメンテナンス業の方は、こちらのコラムもおすすめです。
『警備会社・ビルメンテナンス業の事業承継|3つの方法と許認可の引き継ぎを解説』
• 運送会社の方は、こちらのコラムもおすすめです。
『運送会社の事業承継完全ガイド|後継者不在・2024年問題を乗り越えるM&A活用法』
• 税理士・会計事務所の方は、こちらのコラムもおすすめです。
『税理士事務所の事業承継を成功させる鉄則|2026年最新相場と「法務の罠」を解説』
上記以外の業種についても、業種別のM&A・事業承継の情報を業種特化ページにまとめています。
【まとめ】事業承継とは何かを理解し、次の一歩を選ぶために
事業承継とは、経営権・資産・知的資産を後継者にまとめて引き継ぐ取り組みであり、事業を何十年、何百年と続けていくための手段です。
方法は親族内承継・従業員承継・第三者承継(M&A)の3つに分かれ、それぞれ資金調達や税金の扱いが異なります。
税制優遇には報告義務などの負担も伴うため、後継者の決意を確認したうえで利用を判断する必要があります。
準備から実行までは数年から10年単位の時間がかかることもあり、後継者不在に気づいた時点でできるだけ早く動き出すことが、選べる選択肢の幅を広げます。
相談先は、税理士・M&A仲介・事業承継コンサル・公的窓口それぞれに役割の違いがあり、業種専門性やワンストップ対応、手数料体系、秘密保持を軸に、複数の候補を比較して選ぶことが大切です。
事業承継は、どの方法を選ぶかによって関わる専門家も進め方も変わります。
まずは自社の現状と課題を整理したうえで、税務・財務・経営の全体を見てくれる相談先に話を聞いてみることが、次の一歩になります。
船井総研あがたFASでは、事業承継の方法を1つに絞り込まず、税務会計と経営コンサルティングを一気通貫で見る立場から、状況に応じた選択肢を一緒に整理する相談を受け付けています。
気になる方は、事業承継の無料相談から状況を聞いてみてください。
あわせて、事業承継の資料ダウンロードから詳しい情報を確認できます。
経営の正解は、一つではありません。 まずは出口戦略の『選択肢』を可視化する診断ツールを手に取り、 次なるステージへの展望を具体化する準備を始めてください。
プロの目利きで自社の『真価』を知ること。それが、後悔のない決断への第一歩です。
【業界専門コンサルタントが担当】「出口戦略」診断で自社の価値を正しく守る。ベストな承継を実現するための第一歩。


よくある質問
Q. 事業承継とは何ですか?
事業承継とは、経営者が持つ経営権・資産・知的資産(技術やノウハウ、顧客との信頼関係など)を後継者に引き継ぐことです。経営者の引退や体調の変化をきっかけに検討が始まるケースが多く、方法は親族内承継・従業員承継・第三者承継(M&A)の3つに分かれます。承継そのものが目的ではなく、事業を長期にわたって継続させるための手段として位置づけられています。
Q. 事業承継と事業継承の違いは何ですか?
「事業承継」と「事業継承」は、同じ内容を指す表記のゆれで、意味に違いはありません。中小企業庁など公的機関の資料や事業承継税制などの制度名でも「事業承継」の表記が標準的に使われており、実務上もこちらが一般的です。情報を調べる際は、両方の表記で検索しておくと、関連情報を取りこぼしにくくなります。
Q. 事業承継にはどれくらいの期間がかかりますか?
実務上の目安として、準備から実行まで少なくとも数年、6年以上を見ておくのが一般的です。経営者の年齢や健康状態に余裕がある場合は、10年ほどかけて借入をゼロにしてから引き継ぐ計画を立てるケースもあります。後継者の選定・育成や税務手続きの進み具合によっても必要な期間は変わり、経営者の年齢が高い場合や体調に不安がある場合は、より早急な判断が必要です。
Q. 後継者がいない場合、事業承継はできますか?
後継者不在でも、親族以外に承継先を広げれば事業承継は可能です。帝国データバンクの2025年調査では、全国の後継者不在率は50.1%で、代表者交代のうち血縁によらない「内部昇格」が36.1%と同族承継を上回っています。従業員や社外の会社・個人への承継など、選択肢を広げて検討することが解決の糸口になります。
Q. 事業承継は家族に任せることはできますか?
親族内承継として家族に引き継ぐことは可能で、従来もっとも多く選ばれてきた方法です。ただし近年は、後継者本人のキャリア観の変化や、経営者保証・資金調達の負担から、家族以外への承継を選ぶ経営者も増えています。家族内で承継の意思とタイミングを早めに共有し、後継者候補が経営者としてやっていく覚悟を持てているかを確認しておくことが、選択の幅を保つうえで重要です。