警備会社・ビルメンテナンス業の事業承継|3つの方法と許認可の引き継ぎを解説
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警備会社・ビルメンテナンス業の事業承継|3つの方法と許認可の引き継ぎを解説

警備会社やビルメンテナンス業の事業承継は、親族内承継・従業員承継・第三者承継(M&A)という3つの方法から選べますが、警備業の認定や警備員指導教育責任者といった許認可の引き継ぎが絡む点で、他業種の事業承継より確認すべき論点が増えます。

人件費の高騰と若手採用の難しさが同時に進む業界だけに、後継者を誰にするかだけでなく、いつ・どの方法で引き継ぐかという判断が、その後の経営を大きく左右します。

本記事では、警備業とビルメンテナンス業に共通する事業承継の論点に絞り、特定の手法へ誘導せず中立に解説します。


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警備会社・ビルメンテナンス業の事業承継とは|3つの方法を比較する

警備会社・ビルメンテナンス業の事業承継とは、経営者が保有する会社の経営権を後継者に引き継ぐことです。

方法は大きく分けて、子や親族が継ぐ親族内承継、役員や幹部社員が継ぐ従業員承継、社外の企業や個人に譲る第三者承継(M&A)の3つがあります。

どの方法を選ぶかによって、必要な資金の規模も、引き継ぐべき許認可の手続きもまったく変わってきます。

警備業とビルメンテナンス業を同じ視点で扱う理由

警備業とビルメンテナンス業は、扱うサービスこそ異なるものの、現場に人を配置して初めて売上が立つ労働集約型の事業だという共通点があります。

最低賃金の上昇がそのまま利益を圧迫する構造や、経営者・現場スタッフの双方で高齢化が進んでいる実情もよく似ています。

実務上は、両業種の経営者から寄せられる事業承継の相談内容にも重なる部分が多く、一つの記事で扱うことで判断材料を整理しやすくなります。

事業承継の3つの方法を一覧で比較したい場合

親族内承継・従業員承継・第三者承継(M&A)という3つの方法そのものの違いやメリット・デメリットを一覧で確認したい方は、こちらのコラムもおすすめです。

事業承継の方法3類型を比較|親族内・従業員・M&Aの違いと選び方ガイド。

事業承継全体の流れを通して確認したい方は、こちらのコラムもおすすめです。

事業承継とは|方法・進め方・税金までの流れをまとめて理解できるガイド。

警備会社・ビルメンテナンス業で事業承継が急がれる背景

警備会社・ビルメンテナンス業で事業承継の検討が急がれる背景には、人件費の高騰と人手不足という、業界に共通する2つの構造的な課題があります。

最低賃金の上昇が利益を圧迫している

警備業・ビルメンテナンス業ともに、最低賃金がここ数年で急速に引き上げられてきました。

パートや契約社員を数十人から数百人規模で抱える企業では、時給が20円、30円上がるだけで、年間の人件費負担が数千万円単位で膨らみます。

取引先への値上げ交渉を毎年のように重ねている企業も少なくありません。

実務上は、規模が小さい企業ほど、元請けや発注元との価格交渉力で見劣りしやすいという声も聞かれます。

経営者・現場の双方で高齢化が進んでいる

利益の圧迫に加えて、経営者の平均年齢と現場スタッフの平均年齢がともに上がっている点も、事業承継を急がせています。

現場では、就職活動中の若手が警備・ビルメンテナンスの仕事をあえて選びにくいという声があり、新卒採用がなかなか進まない実情があります。

現場を管理できる人材が育たなければ、経営者自身が現場に出ざるを得なくなり、社長業と現場管理の両方を一人で抱え込む状況にもつながります。

2030年問題とロボット・AI化による業界の二極化

2030年前後には、いわゆる団塊の世代が労働市場から退出することで生産年齢人口が急速に減り、シニア層の確保すら難しくなると見込まれています。

加えて、清掃ロボットの精度向上や、警備ロボット・監視カメラ・AIの活用が進む大手企業では、必要な人員そのものを絞り込む動きが出ており、DX投資に踏み切れない中小企業との二極化が進みつつあります。

設備投資の体力に乏しい企業が、グループ入りによって大手のノウハウやDX投資を活用するという流れも、現実的な選択肢として見えてきています。

こうした業界特有の相場観や評価基準まで詳しく確認したい方は、こちらのコラムもおすすめです。

警備会社M&Aの成功戦略|業界相場・評価基準・従業員を守る譲渡の鉄則。

清掃業・ビルメンテナンス業に特化した内容を確認したい方は、こちらのコラムもおすすめです。

清掃・ビルメンテナンスM&Aの秘訣|清掃業・ビルメンテナンスM&Aで従業員を守る!評価基準と実態を専門家が解説。

 


親族内承継で警備会社・ビルメンテナンス業を引き継ぐ実務論点

子や親族が警備会社・ビルメンテナンス業を引き継ぐ親族内承継では、一般的な事業承継の論点に加えて、警備業特有の許認可を後継者がそのまま引き継げるかという確認が欠かせません。

警備業の認定は後継者にそのまま引き継がれるのか

警備業を営むには、都道府県公安委員会から警備業法にもとづく認定を受ける必要があります。

一般的には、株式を後継者に引き継ぐだけで経営者が交代する場合は法人格そのものが変わらないため認定も維持されやすいとされる一方、会社分割や事業譲渡をともなう引き継ぎ方では、譲り受ける側で新たに認定を取り直す必要が生じるとされています。

どちらの引き継ぎ方に該当するかで手続きの負担が大きく変わるため、着手前に専門家へ確認することをお勧めします。

警備員指導教育責任者を後継者が担えるか

警備業法では、営業所ごと・業務区分ごとに警備員指導教育責任者を選任することが義務付けられており、この責任者は国家資格である警備員指導教育責任者資格者証を保有していなければなりません。

実務上、後継者本人がこの資格を持っていない場合は、承継後も既存の有資格者に残ってもらえるかどうかが、引き継ぎの成否を左右する重要な確認事項になります。

親族内承継そのものの進め方を確認したい場合

親族内承継そのものの一般的な進め方やメリット・デメリットを詳しく確認したい方は、こちらのコラムもおすすめです。

親族内承継とは|メリット・デメリットと進め方を経営者・後継者向けに解説。

 

従業員承継(社内承継)という選択肢

警備会社・ビルメンテナンス業で子や親族に引き継ぐ相手がいない場合、現場を知る役員や幹部社員に引き継ぐ従業員承継も選択肢に入ります。

現場を知る幹部への承継が持つ強みと限界

警備会社・ビルメンテナンス業では、現場を長年管理してきた幹部社員が経営を引き継ぐと、取引先との関係や現場運営のノウハウが途切れにくいという強みがあります。

現場では、株式を買い取るための資金をどう用意するかという資金調達の壁が、従業員承継に共通する課題として立ちはだかります。

従業員承継の一般的な進め方を確認したい場合

従業員承継そのものの一般的な進め方やメリット・デメリットを詳しく確認したい方は、こちらのコラムもおすすめです。

従業員承継(社内承継・MBO/EBO)とは|進め方とメリット・デメリット。

 


第三者承継(M&A)を選ぶ際の判断材料

子や親族、社内に引き継ぐ相手がいない場合、第三者承継(M&A)によって社外の企業に引き継ぐことになります。

警備業・ビルメンテナンス業では、譲渡価格の評価が上がりやすい特徴と下がりやすい特徴が、比較的はっきりしています。

評価が上がりやすい特徴|専門特化と自走できる組織体制

評価が上がりやすい特徴としてまず挙げられるのが、特定分野への専門特化です。実務者によれば、病院清掃のように専門性の高い分野に特化してきたビルメンテナンス会社が、全国展開を進める大手企業に譲り受けられるといった動きも業界では見られるといいます。

病院清掃は一般のビル清掃より求められる品質水準が高く、新規参入のハードルが高い分野だけに、専門特化してきた実績そのものが評価の対象になりやすいといえます。

もう一つの特徴が、管理職を外部に派遣しても現場が回る、自走できる組織体制です。

実務者によれば、質の高さにこだわった教育制度を早くから整えてきた警備会社では、毎年数名の新卒採用に成功し、賃上げについても取引先の理解を得やすいといった事例もあるといいます。

経験上、専門特化と自走できる組織体制の両方を備えた企業は、査定の場でも高く評価される傾向にあります。

評価が下がりやすい特徴|現場の高齢化と自走できない体制

反対に評価が下がりやすいのは、現場スタッフの平均年齢が高い企業です。

今は人数が足りていても、近い将来にまとまった人数が退職すれば、提供できるサービスの水準そのものを維持できなくなるおそれがあるためです。

加えて、譲り受け後に管理職を派遣する余力がなく、自走できない組織体制とみなされると、評価はさらに下がりやすくなります。

第三者承継そのものの流れを確認したい場合

第三者承継(M&A)そのものの一般的な流れや後継者の探し方を詳しく確認したい方は、こちらのコラムもおすすめです。

第三者承継(M&A)とは|会社売却の流れと後継者の探し方を中立に解説。

ビルメンテナンス業界全体のM&A手法や相場をさらに詳しく確認したい方は、こちらのコラムもおすすめです。

ビルメンテナンス業界動向とM&Aで押さえておくべきポイント。

 

警備会社・ビルメンテナンス業の経営者が事業承継を考え始めるきっかけ

警備会社・ビルメンテナンス業の経営者が事業承継を考え始めるきっかけには、いくつかの共通したパターンがあります。

自社だけでの成長に限界を感じたとき

一つ目は、賃上げによる利益の圧迫が続くなかで、自社単独での成長に限界を感じるパターンです。

取引先との価格交渉を重ねても、規模の小さい企業ほど交渉力で見劣りしやすく、経営的な観点から単独での成長の難しさを実感する経営者は少なくありません。

後継者が不在、または引き継ぐ意欲がないとき

二つ目は、後継者が不在、あるいは後継者候補はいても本人に引き継ぐ意欲がないパターンです。

この点は、業種を問わず事業承継全般に共通する動機でもあります。

周囲の経営者の姿を見聞きしたとき

三つ目は、自分自身の経営がうまくいっていなくても、周囲の経営者仲間が事業承継を選んだ話や、現場を切り盛りしながら心身ともに疲弊していったという話を聞いたことがきっかけになるパターンです。

現場を取り仕切れる人材が不足すると、経営者自身が現場に入らざるを得なくなります。

実務上、こうした精神的な負担が、事業承継を考え始める引き金になっているケースは少なくありません。

 


どの承継方法を選ぶべきか|警備会社・ビルメンテナンス業の判断軸

親族内承継・従業員承継・第三者承継(M&A)のどれを選ぶべきかは、あらかじめ決めてかかるものではなく、次の観点に沿って自社の状況を確認することをお勧めします。

後継者候補の有無と許認可を引き継げる体制

子や親族、あるいは幹部社員の中に、経営を引き継ぐ意欲がある人物が実際にいるかどうかに加えて、警備業の認定や警備員指導教育責任者といった許認可を引き継げる体制が整っているかどうかが、最初に確認すべき軸です。

現場の年齢構成と自走できる組織体制

現場スタッフの平均年齢がどの程度で、管理職を外部に派遣しても現場が回る体制が整っているかどうかも、承継方法を選ぶうえで欠かせない確認事項です。

ロボット・AI化への投資体力があるか

2030年問題を見据えたロボット・AI化への投資体力が自社にあるかどうかも、判断材料の一つです。実務上は、投資体力に乏しい企業ほど、グループ入りによって大手のノウハウを活用する第三者承継も、選択肢として検討する価値があります。

事業承継の相談先をどう選ぶべきかについては、こちらのコラムもおすすめです。

事業承継は誰に相談すべき?相談先の種類と選び方をわかりやすく解説。

 

【まとめ】警備会社・ビルメンテナンス業の事業承継は許認可の確認から始める

警備会社・ビルメンテナンス業の事業承継を検討するときは、まず後継者候補の有無を整理したうえで、警備業の認定や警備員指導教育責任者をどう引き継ぐかを確認することから始めます。

3つの方法のどれを選ぶ場合でも、この許認可の確認を後回しにすると、引き継ぎのタイミングで想定外の手続きに追われることになりかねません。

事業承継全体の流れを通して確認したい方は、こちらのコラムもおすすめです。

事業承継とは|方法・進め方・税金までの流れをまとめて理解できるガイド。

相談先の選び方について確認したい方は、こちらのコラムもおすすめです。

事業承継は誰に相談すべき?相談先の種類と選び方をわかりやすく解説。

船井総研あがたFASでは、警備会社・ビルメンテナンス業の事業承継についても手法を絞り込まず、税務会計と経営コンサルティングを一気通貫で見る立場から、許認可の引き継ぎを含めた選択肢を一緒に整理し、実行まで伴走する相談を受け付けています。

まずは自社の後継者候補と許認可の状況を整理したうえで、事業承継の無料相談を選択肢の一つとして検討してみてください。

あわせて、事業承継の資料ダウンロードもご用意していますので、気になる方はご活用ください。


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【業界専門コンサルタントが担当】「出口戦略」診断で自社の価値を正しく守る。ベストな承継を実現するための第一歩。


よくある質問

Q. 警備会社やビルメンテナンス業の事業承継とはどのようなものですか?

警備会社やビルメンテナンス業の事業承継とは、経営者が保有する会社の経営権を後継者に引き継ぐことです。

子や親族が継ぐ親族内承継、役員や幹部社員が継ぐ従業員承継、社外の企業や個人に譲る第三者承継(M&A)の3つに大きく分かれ、どの方法を選ぶかで必要な資金や引き継ぐべき許認可の手続きが変わります。

Q. 警備業の認定は事業承継後もそのまま使えますか?

株式を後継者に引き継ぐだけで経営者が交代する場合は、法人格が変わらないため認定も維持されやすいとされています。

一方、事業譲渡や会社分割をともなう引き継ぎ方では、譲り受ける側で新たに認定を取り直す必要が生じる場合があります。

どちらに該当するかは引き継ぎ方によって変わるため、着手前に専門家へ確認することをお勧めします。

Q. 親族内承継とM&A(第三者承継)は何が違いますか?

親族内承継は子や親族に経営権を引き継ぐ方法で、取引先や現場との関係を維持しやすい一方、後継者候補がいなければ選べません。

M&A(第三者承継)は社外の企業や個人に引き継ぐ方法で、後継者不在でも実行できますが、警備業の認定や警備員指導教育責任者を引き継げる体制まで含めて、譲り受け先を見極める必要があります。

Q. 警備業の認定の切り替えにはどれくらいの期間がかかりますか?

警備業の認定の切り替えにかかる期間は、都道府県公安委員会の審査状況や引き継ぎ方によって幅があり、一律の日数を示すことはできません。

事業譲渡など新たに認定を取り直す引き継ぎ方を選ぶ場合は、審査期間中に営業の空白が生じないよう、余裕を持ったスケジュールで進めることが欠かせません。

Q. 警備会社・ビルメンテナンス業の事業承継は何から始めればよいですか?

まず後継者候補の有無を整理したうえで、警備業の認定や警備員指導教育責任者を引き継げる体制が整っているかを確認することから始めます。

そのうえで、親族内承継・従業員承継・M&A(第三者承継)のどの方法が自社に合うかを、専門家に相談しながら比較検討することをお勧めします。

 


柚山 夏輝

(株)船井総研あがたFAS チーフコンサルタント

FPとして保険業界で10年以上の実務・経営を経験。現在は船井総研で警備業界のM&A・事業承継を支援する。営業・マネジメント・相続対策の深い知見を武器に、警備業経営者の意思決定を強力にサポートしている

柚山 夏輝

(株)船井総研あがたFAS チーフコンサルタント

FPとして保険業界で10年以上の実務・経営を経験。現在は船井総研で警備業界のM&A・事業承継を支援する。営業・マネジメント・相続対策の深い知見を武器に、警備業経営者の意思決定を強力にサポートしている