歯科のM&Aといっても、医院によって経営状況や強みもバラバラです。診療圏の違い、医院のタイプ別によって変わる歯科のM&Aのポイントについて解説いたします。
M&Aにおける歯科医院のタイプ
①都心立地 保険70%以上 | ③都心立地 自費率60%以上 |
②郊外立地 保険70%以上 | ④郊外立地 自費率60%以上 |
M&A視点では、歯科医院は4つのタイプに分けられる
歯科のM&Aにおいては、譲受側が好感する、あるいは躊躇する医院のタイプがあり、大きく4つに分けられます。
①都心に立地し、保険診療をメインで運営されている歯科医院のタイプ
②郊外に立地し、保険診療をメインで運営されている歯科医院のタイプ
③都心に立地し、自費診療をメインで運営されている歯科医院のタイプ
※複数院展開する医療法人は、医院単位でみるとこのタイプがほとんど
④郊外に立地し、自費診療をメインで運営されている歯科医院のタイプ
一般論になりますが、①から順に譲受側から好感されるイメージです。つまり④のタイプは譲受側が躊躇しやすいタイプということです。
タイプ別、譲受側からの一般的な見られ方
①都心保険タイプ 「譲受後の成長線が とても描きやすい」
| ③都心自費タイプ 「自費科目、キードクター の継続勤務次第」
|
②郊外保険タイプ 「集患と採用拡張性が 高ければ是非」
| ④郊外自費タイプ 「現体制の堅持と、 方向転換の受容は必須」
|
譲受後の成長戦略を描きやすいかどうか
上図に、譲受側からみたタイプ別の印象について、端的にまとめております。
①は、保険診療で再現性があり且つ集客も見込めるので非常に好感される
②は、保険診療で再現性があるが今後の事業拡張性があるかないかで印象変わる
③は、当該自費診療が需要あると見込めるか、またキードクターの継続勤務次第
④は、今の人員体制はそのままで、保険診療強化に同意できるかどうか
多くの譲受企業様とお話しさせていただく中で、タイプ別にざっくりと上記のような視点で見られることが多いと感じます。もちろん利益体質かどうか、債務超過かどうかなどでも印象は変わりますが、大枠は上図の通りです。
タイプ別、マッチしやすい譲受パートナー
①都心保険タイプ 幅広くパートナーを 募りやすい
| ③都心自費タイプ 次世代医療法人 or大手医療法人
|
②郊外保険タイプ 大規模が多いため 大手医療法人等が対象
| ④郊外自費タイプ 大規模が多いため 大手医療法人等が対象
|
タイプ別にマッチする相手は異なる
上図に、タイプ別にマッチしやすいパートナーについてまとめております。
①は、業績再現性が高く物件魅力度も高いので、院内承継含め幅広く手が挙がる
②は、大規模単院が多く利益も溜まっている為、資金力のある大手法人が対象に
③は、自費中心に積極的に展開する新興法人が興味をもつケースが多い。また
複数院展開する法人もこのタイプが多く、その場合大手法人しかマッチしない
④は、譲渡価格が大きいことと譲受側の知見が必要な為、大手法人が対象になる
まだ歯科業界では譲受パートナーが豊富という状況ではなく相手先が限られる中ですが、タイプ別譲受パートナーとしては上図の通りです。
タイプ別、M&Aを上手く進めるためのポイント
①都心保険タイプ 継続的な従業員教育と 親身な患者対応
| ③都心自費タイプ 従業員別売り上げの確認と 自費教育プランの作成
|
②郊外保険タイプ 月次数値の収集と 成長可能性の確認
| ④郊外自費タイプ 従業員別売り上げの確認と 自費教育プランの作成
|
タイプ別にM&Aを上手く進めるためのポイントは異なる
上図に、タイプ別のM&Aを上手く進めるためのポイントについてまとめております。
①は、譲受後も強い基盤を実現するための従業員教育と親身な患者対応を継続
②は、譲受後の第2期成長をイメージしやすくする為の数値収集と対策出し
③は、収益上のキーマンの確認と、自費診療の引継ぎ、教育のためのプラン作成
④も、③と同様の取り組みとなる
譲渡対価を抑えるための利益圧縮なども準備の1つに含まれることもありますが、譲受側は、譲受後も再現性をもって第2期成長させられるかどうかを軸に見ていますので、そこに向けた準備に力を割く方が良いです。
運営形態ごとに譲渡方法は異なる
本ページでは、医院タイプ別による譲受側からの見られ方、ポイント等についてまとめました。幸いにも良いパートナーが見つかり実際にM&Aの話が進む際に、必ず譲渡方法についてお互いに確認を行っていきます。その譲渡方法についても事前に大枠理解をしておく方がスムーズに話し合いは進んでいきますので、詳しくは下記リンクよりご確認いただければと思います。
歯科のM&Aに関するより詳しい情報は、下記の記事をご参照ください。
1.歯科医院M&AのTOP
2.歯科のM&A事例
3.歯科のM&Aの失敗事例
4.歯科のM&Aのメリット・デメリット
5.歯科のM&Aのポイント
6.歯科のM&Aの特徴
7.歯科のM&Aの譲渡対価の相場観
8.歯科のM&Aの注意点
まずは歯科M&Aの現況について、専門コンサルタントからお話を聞いてみたいという方は、いつでもご相談ください。先生のこれからに寄与できますと幸いです。

