事業承継の挨拶状・案内文の書き方|取引先・従業員向けの文例とマナーがわかる
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事業承継の挨拶状・案内文の書き方|取引先・従業員向けの文例とマナーがわかる

事業承継の挨拶状は、取引先・金融機関・従業員に承継の事実を正式に伝える案内文です。

「引継ぎを全くしてない状態で急いでいる代表権の移転と、株の譲渡がない雇われ社長というのが気になって仕方ありません」という声があるように、関係者への周知が整わないまま手続きだけが先行すると、不安や誤解を招きやすくなります。

本記事では、送付先ごとに求められる文例の考え方と送るタイミング、気をつけたい表現のマナーを、取引先・金融機関・従業員という3つの送付先に分けて解説します。

文例はあくまで一般的なテンプレートとして示すものであり、実際の表現の適否は専門家に確認することをおすすめします。 


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事業承継の挨拶状は取引先・金融機関・従業員に送る案内文 

事業承継の挨拶状は、社外向けの「案内状」と社内向けの「通知文」という2つの性格を併せ持つ文書です。

まず全体像を押さえたうえで、送付が必須になる場面と任意になる場面の違いを整理します。 

挨拶状(案内状)と社内向け通知文の違い 

挨拶状(案内状)は、主に取引先や金融機関など社外の関係者に向けて、承継の事実を礼を尽くして伝える文書です。

一方、従業員向けの通知文は、雇用条件や経営方針への影響を中心に、社内向けの言葉づかいで伝える文書になります。

宛先が同じ「事業承継の挨拶状」という枠組みであっても、社外向けと社内向けでは重視すべき記載内容が異なるという点を、まず押さえておく必要があります。 

事業承継の挨拶状を送る目的は関係者の不安や誤解を防ぐこと 

「要は乗っ取りということでいいのでしょうか」という声に象徴されるように、M&Aや事業承継という言葉自体に、周囲が警戒感を抱きやすい面があります。

事業承継の挨拶状には、こうした誤解を防ぎ、関係者に正式な経緯を落ち着いて理解してもらうという役割があります。

実務上、噂や不確かな情報が先に広まってしまうと、後から正しい経緯を説明しても納得を得にくくなる傾向があるため、正式な案内は誤解が広がる前に届けることが望ましいといえます。 

送付が必須になるケースと任意になるケース(事業譲渡・株式譲渡・M&Aで異なる) 

事業承継の挨拶状は、常に送付が義務づけられているわけではありません。

事業譲渡では、契約や取引の相手方に対する通知義務が契約書上定められている場合があり、この場合は送付が必須になります。

一方、株式譲渡や親族内での代替わりでは、経営権の異動自体に社外への通知義務が生じないケースも多く、送付するかどうかは経営者の判断に委ねられる場面が中心です。

どちらのケースに当てはまるかは、選んだ承継手法によって変わるため、第三者承継(M&A)の具体的な流れを詳しく知りたい方は、こちらのコラムもおすすめです。

第三者承継(M&A)とは|会社売却の流れと後継者の探し方を中立に解説』。

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事業承継の挨拶状はいつ送るべきか|タイミングと順序の目安 

事業承継の挨拶状を送るタイミングは、早すぎても遅すぎても関係者の受け止め方に影響します。 

契約締結・承継完了からおおむね1週間以内が目安 

契約締結や承継の手続き完了から、おおむね1週間以内をめどに送付するという実務上の目安が広く共有されています。

あまりに時間を空けてしまうと、他の経路から情報が先に伝わり、事業承継の挨拶状そのものが後追いの説明に見えてしまうことがあります。

反対に、契約締結前の段階で送付してしまうと、話が流れた場合の混乱を招くため、正式に手続きが完了したタイミングで送るという原則を守ることが実務上のポイントです。 

送付先が複数あるときの順序の考え方(社内・主要取引先・金融機関・その他取引先) 

送付先が複数にわたる場合、どこから知らせるかという順序も無視できません。

実務上は、まず社内の従業員に伝えたうえで、日頃の取引額が大きい主要取引先や、融資関係のある金融機関へ、そのほかの取引先へという順序で進めるケースが目立ちます。

従業員が社外からの噂で先に事業承継を知ってしまうと、経営者への不信感につながりやすいため、社内への伝達を後回しにしないことが望ましいといえます。

ただし、送る順序は会社ごとの関係性によって変わるため、あらかじめ方針を専門家と一緒に確認しておくとよいでしょう。

事業承継全体の手続きの流れをあらかじめ押さえておきたい方は、こちらのコラムもおすすめです。

事業承継の進め方・手続きの流れを解説|何から始めるべきか迷わず分かる』 

個人事業主の代替わりの場合は届出のタイミングにも注意 

個人事業主が代替わりする場合は、取引先への挨拶状だけでなく、税務署への廃業届・開業届といった行政上の届出のタイミングにも注意が必要です。

「こちらから切り出すのも何か違うような気がします」という後継者候補の声のように、家族間では代替わりの時期そのものが曖昧なまま進んでしまうことも少なくありません。

届出の時期と挨拶文の送付時期がずれると、取引先に混乱を与えてしまうため、両者をあわせて準備しておくことをおすすめします。

個人事業主の事業承継における法人との違いや手続きを詳しく知りたい方は、こちらのコラムもおすすめです。

個人事業主の事業承継とは?法人との違い・手続き・税金を解説』 

事業承継の挨拶状に書く内容は4つの要素で構成する 

事業承継の挨拶状には、送付先が誰であっても共通して盛り込むべき要素があります。 

①冒頭の時候の挨拶と感謝の言葉 

冒頭には、時候の挨拶に続けて、これまでの取引や関係への感謝の言葉を置くのが基本の型です。

いきなり承継の事実から書き始めると事務的な印象が強くなりすぎるため、まず感謝を伝えることで、関係者に丁寧な姿勢が伝わります。 

②事業承継(事業譲渡・株式譲渡等)の事実と実施日 

次に、事業承継が行われた事実と、その実施日を明記します。

手法が事業譲渡なのか株式譲渡なのか、あるいは代替わりなのかによって書き方は変わりますが、いつ・どのような形で経営体制が変わったのかを、あいまいにせず明確に伝えることが重要です。 

③引継ぎ先・新しい体制(新代表者名など) 

新しい代表者の氏名や役職、経営体制がどのように変わるのかを記載します。

取引先にとっては、今後の窓口が誰になるのかが最も気になる点の一つであるため、引継ぎ先の情報は具体的に書くことが望まれます。 

④送り主の所在地・連絡先 

最後に、送り主となる会社の所在地や連絡先を記載します。承継後も同じ場所・同じ連絡先で事業を継続するのか、移転などを伴うのかによって、取引先が確認すべき事項が変わるため、変更点があれば明確に示す必要があります。 

事業承継の挨拶状は送付先によって書き分けが必要 

事業承継の挨拶状は、取引先・金融機関・従業員という3つの送付先で、重視すべき記載の重点が異なります。 

取引先向け|今後の取引継続への安心感を伝える 

取引先向けの事業承継の挨拶状では、これまでと変わらず取引を継続できることへの安心感を伝えることが中心になります。

新しい代表者のもとでも、既存の契約条件やサービス内容がすぐに大きく変わるわけではないことを、具体的に触れておくと受け手の不安が和らぎやすくなります。 

金融機関向け|取引・融資関係の継続を丁寧に伝える 

金融機関向けの事業承継の挨拶状では、融資取引の継続という金融機関特有の関心事に配慮した書き方が求められます。

信用金庫系のキャピタル会社が公開している事例では、日頃から取引のあった信用金庫の担当者が経営状況の変化を察知し、事業承継の相談に応じたことが、手続きが動き出すきっかけになったことが紹介されています。

日頃から会社の状況を把握している金融機関だからこそ、契約締結後は早めに、かつ丁寧に事業承継の挨拶状を届けることが、その後の融資取引の継続にもつながりやすくなります。 

従業員向け|「支配されるのではないか」という不安に配慮する 

従業員向けの事業承継の挨拶状では、「支配されるのではないか」「相手先の仕事がすべてになってしまうのではないか」といった懸念に配慮した書き方が求められます。

M&A支援会社が公開している事例でも、承継後の社内でこうした懸念の声が上がったことが報告されています。

経営方針や雇用条件がすぐに大きく変わるわけではないことを、具体的な事実に基づいて伝えることが、従業員向けの通知文で最も注意すべき実務上のポイントです。 

事業承継の挨拶状で気をつけたい表現とマナー 

事業承継の挨拶状は、書き方によっては意図しない誤解を招く場合があります。 

「責任をもって債務を引き継ぐ」といった表現は避けたほうがよい場合がある 

「責任をもって債務を引き継ぐ」といった表現は、法律上の債務引受広告と誤認されるおそれがあると指摘されることがあります。

文面のどの部分がどこまでのリスクを伴うかは案件ごとの契約内容によって異なるため、断定的な表現を使う前に弁護士に確認することをおすすめします。

承継の手法ごとに必要な契約や条項を詳しく知りたい方は、こちらのコラムもおすすめです。

事業承継の契約書|手法別に必要な契約と盛り込む条項がひと目で分かる』 

手紙とメール、どちらで送るか 

事業承継の挨拶状は、手紙による郵送を基本とし、メールは速報的な連絡や、日頃からメールでのやり取りが中心の取引先に限って使う、という使い分けが実務上一般的です。

とくに金融機関や主要取引先など、あらためて礼を尽くすべき相手には、手紙での送付がふさわしいといえます。 

誤字脱字や表記の最終確認は複数人で行う 

次の点は、事業承継の挨拶状を発送する前に必ず確認しておきたい事項です。 

• 新代表者の氏名や役職に誤字がないか 

• 実施日や社名・所在地の表記が社内の他の書類と一致しているか 

• 「乗っ取り」「支配」を連想させるような一方的な言い回しが残っていないか 

• 「責任をもって債務を引き継ぐ」など誤解を招きやすい表現が残っていないか 

• 誤字脱字を残したまま発送すること自体が、受け取り手の信頼感を損ないやすいという点にも注意が必要です 

経営者一人の目だけで確認するのではなく、社内の複数人でチェックする体制を整えておくと、思わぬ表記ミスを防ぎやすくなります。 

【まとめ】事業承継の挨拶状は送付先に合わせて早めに準備する 

事業承継の挨拶状は、取引先・金融機関・従業員という送付先ごとに重視すべき記載内容が異なり、送るタイミングや順序、避けたほうがよい表現にも実務上の目安があります。

文例はあくまで一般的なテンプレートであり、実際の表現や送付義務の有無は、承継の手法や契約内容によって変わるため、専門家に確認しながら準備を進めることが望ましいといえます。 

船井総研あがたFASでは、事業承継の挨拶状や案内文の準備についても、送付先ごとの整理から、手法を問わない中立的な相談まで対応しています。

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挨拶状の文面や送付義務の有無に迷う段階でも、事業承継の無料相談を受け付けています。 

事業承継の基礎を業種を問わず確認したい方には、事業承継の資料ダウンロードもご用意しています。 


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よくある質問

Q.事業承継の挨拶状とは何ですか? 

事業承継の挨拶状とは、事業譲渡や株式譲渡、代替わりなどで経営体制が変わったことを、取引先や金融機関、従業員に正式に知らせる案内文です。

冒頭の挨拶、承継の事実と実施日、引継ぎ先の体制、送り主の連絡先という4つの要素を盛り込むのが基本で、通知義務がない場合でも、関係者の不安や誤解を防ぐ手段として送付するケースが多くあります。 

Q.事業承継の挨拶状は必ず送る必要がありますか? 

事業譲渡で契約上の通知義務が定められている場合など、送付が必須になるケースもありますが、株式譲渡による経営権の異動や親族内承継、個人事業主の代替わりの多くは、送付するかどうかが任意に委ねられています。

ただし、通知義務がない場合でも、取引先や金融機関、従業員への周知が遅れると「乗っ取りではないか」といった誤解を招きやすいため、早めに送付することをおすすめします。 

Q.事業承継の挨拶状はいつ送ればよいですか? 

契約締結や承継の手続き完了からおおむね1週間以内に送付するという実務上の目安が広く共有されています。

時間を空けすぎると他の経路から情報が先に伝わり、正式な案内が後追いに見えてしまう場合があります。

送付先が複数ある場合は、まず社内の従業員に伝えたうえで、主要取引先や金融機関、そのほかの取引先へと順序立てて知らせる進め方が実務上一般的です。 

Q.取引先向けと従業員向けの挨拶状に違いはありますか? 

はい、送付先によって記載する内容の重点が異なります。

取引先向けは今後の取引継続への安心感を伝えることに重点を置き、金融機関向けは融資取引の継続という関心事に配慮した書き方が求められます。

従業員向けは「支配されるのではないか」といった不安に配慮し、雇用条件や経営方針がすぐに大きく変わるわけではないことを具体的な事実に基づいて伝える書き方が求められます。 

Q. 個人事業主が代替わりする場合の挨拶文はどう書けばよいですか? 

個人事業主の代替わりでは、法人の場合と同様に、取引先へ承継の事実と新しい代表者を伝える挨拶文を用意する必要があります。

加えて、税務署への廃業届・開業届といった行政上の届出のタイミングにも注意が必要です。

家族間では代替わりの時期自体があいまいになりやすいため、届出の時期と挨拶文の送付時期がずれないよう、あらかじめあわせて準備しておくことをおすすめします。 

植木 諒

(株)船井総研あがたFAS マネージャー

士業事務所でキャリアを歩み、法務・不動産の現場実務に精通。2018年の船井総研入社後は、財務コンサルティングを主軸に数多くの事業承継・再生案件を完遂してきた 。現在はグループの事業承継分野で中核を担う存在である 

土地家屋調査士・行政書士の資格を保持し、「事業・財産・組織」の3つの視点から包括的に支援 。現場実務から承継戦略までをワンストップで解決できる希少なコンサルタントとして、多くの経営者から厚い信頼を得ている。

植木 諒

(株)船井総研あがたFAS マネージャー

士業事務所でキャリアを歩み、法務・不動産の現場実務に精通。2018年の船井総研入社後は、財務コンサルティングを主軸に数多くの事業承継・再生案件を完遂してきた 。現在はグループの事業承継分野で中核を担う存在である 

土地家屋調査士・行政書士の資格を保持し、「事業・財産・組織」の3つの視点から包括的に支援 。現場実務から承継戦略までをワンストップで解決できる希少なコンサルタントとして、多くの経営者から厚い信頼を得ている。