「継いでくれる人がいなければ、いずれ店を閉めるしかないのでしょうか」。
個人で飲食店を営む経営者が、こうした不安を抱くことは少なくありません。飲食店の事業承継は、法人の株式承継と前提そのものが異なり、個人事業主(個人店)としての引き継ぎか、法人化した店舗の引き継ぎかによって必要な手続きが変わってきます。
加えて、事業譲渡や株式譲渡による第三者承継(M&A)だけでなく、内装や厨房設備を残したまま次の営業者へ店舗を引き継ぐ「居抜き譲渡」という、飲食店ならではの選択肢も存在します。
本記事では、個人店が多い飲食店の事業承継について、親族内承継・第三者承継(M&A)・居抜き譲渡という3つの進め方と、飲食店営業許可や食品衛生責任者の変更といった行政手続きに絞って解説します。
親族内承継とM&A・居抜き譲渡のどちらが優れているかをあらかじめ決めつけず、後継者候補の有無や常連客・スタッフとの関係、許認可への対応力といった実情に応じて選べるよう、中立な立場で整理していきます。
経営の正解は、一つではありません。 まずは出口戦略の『選択肢』を可視化する診断ツールを手に取り、 次なるステージへの展望を具体化する準備を始めてください。 プロの目利きで自社の『真価』を知ること。それが、後悔のない決断への第一歩です。


飲食店の事業承継とは|個人店が多い理由と法人との違い
飲食店の事業承継を考えるとき、居抜き譲渡や第三者承継(M&A)を検討する前に、まず押さえておきたいのが、経営者の多くが個人事業主(個人店)であるという業界特有の構造です。
この前提を飛ばして手続きを進めると、後になって「思っていたより引き継ぐものが多い」と気づくことになりがちです。
飲食店の経営者に個人事業主(個人店)が多い理由
飲食店は、家族経営で長年営まれてきた小規模な店舗が多く、開業時に法人化せず個人事業主のまま事業を続けてきた経営者が少なくないとされています。
厨房設備や店舗といった事業用資産の規模が比較的小さく、法人化のメリットよりも手続きの簡便さが優先されやすかった、という経緯も背景にあります。
結果として、飲食店の事業承継では、法人の株式承継とは異なる進め方が必要になる場面が多くなります。
個人経営(個人事業主)と法人(会社)で事業承継の手続きが変わる
法人であれば、株式を後継者に移すことで、経営権とあわせて店舗・設備・契約関係がまとめて引き継がれます。
これに対して個人事業主には法人格が存在しないため、屋号・許認可・取引先との契約・事業用資産を一つずつ個別に移す必要があります。
個人事業主としての事業承継全体の仕組みや、法人との違い・税金まで詳しく確認したい方は、こちらのコラムもおすすめです。
『個人事業主の事業承継とは?法人との違い・手続き・税金を解説』
飲食店の事業承継で使われる「M&A」「事業譲渡」「居抜き譲渡」の違い
飲食店の事業承継を調べていると、「M&A」「事業譲渡」「居抜き譲渡」という似た言葉が並び、混同しやすくなります。
M&Aは会社や事業を譲り渡す取引全般を指す広い言葉で、株式譲渡や事業譲渡といった手法を含みます。
事業譲渡は、屋号・顧客基盤・設備といった事業用資産を選んで譲り渡す手法で、株式を持たない個人店でも使える点が特徴です。
居抜き譲渡は、この事業譲渡の一形態として、店舗の内装や厨房設備をそのまま残して次の営業者に引き継ぐ手法を指します。
3つの言葉が指す対象は重なり合う部分もありますが、範囲の広さは異なります。

飲食店の事業承継における親族内承継(親子承継)の進め方
親族内承継は、飲食店の事業承継のなかでも最も選ばれやすい方法だとされています。
ただし、進め方は個人店か法人かによって、また味や経営方針の引き継ぎ方によって変わってきます。
個人店を子や親族に継がせる場合の流れ
個人店の親族内承継では、後継者が長年にわたって店舗で修業を積みながら、少しずつ厨房や接客を任される範囲を広げていく進め方が一般的です。
事業用資産の名義は、生前贈与または相続によって移すことになり、屋号・取引先との契約・許認可もあわせて引き継ぎの対象になります。
時間をかけた引き継ぎができる点は、個人店の親族内承継ならではの強みです。
法人化した飲食店を親族に承継する場合の流れ
複数店舗を展開するなど、すでに法人化している飲食店では、株式を後継者へ贈与・相続・売買によって移す進め方になります。
株式さえ移せば経営権と店舗運営がまとめて引き継がれる点は、個人店にはない利点です。一方で、株価評価や贈与税・相続税への対応が必要になり、税務の専門家とあわせて進める必要が出てきます。
味・メニュー・経営方針の変更をめぐる親子の対立と向き合い方
親族内承継では、後継者が自分なりの味やメニューを打ち出したいという思いと、先代や常連客が慣れ親しんだ味を守りたいという思いとがぶつかりやすいという課題があります。
実務上は、承継の直後にすべてを変えるのではなく、看板メニューは維持しながら新メニューを少しずつ加えていくといった段階的な進め方が、対立を和らげる工夫として有効だとされています。
親族内承継全体の進め方やメリット・デメリットをさらに詳しく知りたい方は、こちらのコラムもおすすめです。
『親族内承継とは|メリット・デメリットと進め方を経営者・後継者向けに解説』

飲食店の事業承継をM&A・居抜き譲渡(第三者承継)で進める場合の流れ
親族にも従業員にも継がせる相手が見当たらない場合、社外の会社や個人に引き継ぐ第三者承継が選択肢になります。
飲食店の場合、M&Aに加えて居抜き譲渡という手法が使える点が、他業種と比べた特徴です。
事業譲渡・株式譲渡によるM&Aの一般的な流れ
飲食店のM&Aは、初期の相談から始まり、匿名の情報で相手候補に打診し、条件面で折り合えば意向表明・基本合意、その後デューデリジェンス(調査)を経て最終契約・引き継ぎへと進むのが一般的な流れです。
法人であれば株式譲渡、個人店であれば事業譲渡というかたちを取ることが多くなります。
譲渡価格の算定や交渉の実務、デューデリジェンスで確認すべき点まで詳しく知りたい方は、こちらのコラムもおすすめです。
『飲食店M&Aの成功ガイド|赤字店を「お宝」に変えて高値譲渡する鉄則』
居抜き譲渡という選択肢|内装・厨房設備を残して引き継ぐ方法
居抜き譲渡とは、内装・厨房設備・什器といった「造作」を残したまま、次の営業者に店舗を引き継ぐ手法です。
似た言葉に「のれん分け」がありますが、こちらは屋号やレシピの使用を許可する仕組みで、必ずしも同じ物件・設備を引き継ぐわけではなく、居抜き譲渡とは性質が異なります。
居抜き譲渡は、更地に近い状態から出店するより初期投資を抑えられるため、譲受側にとって現実的な選択肢になりやすく、譲渡側にとっても設備を撤去・原状回復する手間や費用を避けられるという利点があります。
中小企業基盤整備機構が運営する事業承継・引継ぎポータルが公開している事例では、中部地方で豆腐の製造小売を営む個人店が、後継者不在を理由に一度は廃業を決めてSNSで公表したところ、それを見た事業者から引き継ぎの申し出があり、公表から数か月ほどで事業譲渡契約に至ったケースが紹介されています。
業種は完全に一致しないものの、個人店・後継者不在・地域の顧客への影響という構造は飲食店にも共通しており、廃業を決める前に選択肢を探る動きが実を結んだ例だといえます。
M&A仲介からの営業に「乗っ取りでは」と身構えてしまう理由と向き合い方
M&Aの提案を受けた小規模な経営者からは、「要は乗っ取りということでいいのでしょうか」といった声が聞かれることがあります。
これは事業承継クラスター全般に見られる一般的な声を、個人店が多い飲食店の文脈に当てはめた傾向ですが、個人店の店主ほど同様の警戒心を持ちやすいと考えられます。
実務上は、M&Aを「買い取られる」ことと捉えるのではなく、事業を継続させるための選択肢の一つとして、他の手法と並べて比較する姿勢が向き合い方の第一歩になります。
喫茶店やカフェ、ラーメン店といった業態別のM&A・事業承継の実務をさらに詳しく知りたい方は、こちらのコラムもおすすめです。
『【喫茶店・カフェM&A】赤字・個人店でも譲渡可能?相場と高く譲渡するための「身支度」を専門家が解説』
『ラーメン店の事業承継で後悔しない!赤字店でも1億円超えの価値がつく成功の鉄則』
第三者承継(M&A)全体の流れや後継者の探し方を中立な立場で確認したい方は、こちらのコラムもおすすめです。
『第三者承継(M&A)とは|会社売却の流れと後継者の探し方を中立に解説』

飲食店の事業承継で必要になる営業許可・保健所の手続き
飲食店の事業承継では、他業種にはない行政手続きへの対応が欠かせません。
営業許可は経営者個人や法人という「営業者」に対して交付されるものであるため、経営者が交代する場面では特有の注意点があります(自治体・食品衛生法の運用の詳細は要出典確認)。
飲食店営業許可は後継者が新たに取得し直す必要がある(要出典確認)
飲食店営業許可は、食品衛生法に基づき、店舗の所在地とともに営業者(個人事業主または法人)の名義に対して交付される許可だとされています。
そのため事業承継によって営業者が変わる場合、原則として後継者が新たに許可を取り直す必要があるとされています。
名義の書き換えだけで済ませられる手続きではない点は、飲食店の事業承継に特有の注意点です。詳細な提出書類や審査の流れは自治体によって運用が異なる場合があるため、事前に管轄の保健所へ確認することをおすすめします。
食品衛生責任者の変更・防火管理者等の届出(要出典確認)
飲食店には、店舗ごとに食品衛生責任者を置くことが求められており、経営者が交代する際には新たな食品衛生責任者の届出が必要になるとされています。
調理師免許など一定の資格を持つ後継者であれば、講習の一部が免除される場合もあります。
また、店舗の収容人数等の条件によっては、消防法に基づく防火管理者の選任が必要になる場合もあり、あわせて確認しておく必要があります(必要書類・提出先は要出典確認)。
個人事業主から法人化して承継する場合に必要な許可の再取得
事業承継のタイミングで個人事業主から法人化する場合、経営の実態が変わらなくても、法律上は「個人」から「法人」へ営業者が変わったことになります。
このため、飲食店営業許可も法人名義で再取得する必要が生じるとされています。
法人化すべきかどうかの判断は、税金や資金調達のしやすさとあわせて検討することになるため、個人事業主のまま事業承継するか法人化するかで迷う場合は、税務の専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
居抜き譲渡でも設備や営業者が変わる場合は許可の取り直しが必要になりうる
居抜き譲渡は、内装や厨房設備という物理的な資産を引き継ぐ手法であり、営業許可という法的な許可までは自動的に引き継がれるものではありません。
設備をそのまま使い続けられる場合でも、営業者そのものが変わる以上、後継者側で新たに許可を取得し直す必要が生じることが多いとされています。
居抜き譲渡を検討する際は、設備の評価だけでなく、許認可の再取得にかかる期間もあわせてスケジュールに組み込んでおくことが実務上のポイントになります。

飲食店の事業承継にかかる税金と費用の考え方
飲食店の事業承継にかかる税金や費用は、選ぶ手法によって内容が変わります。
手法を比較する段階から、税金と費用の全体像をおおまかにでも把握しておくと、後の判断がしやすくなります。
親族内承継(相続・生前贈与)の場合の税金
親族内承継では、生前贈与であれば贈与税、相続であれば相続税が中心になります。
事業用資産の評価額が大きいほど税負担も重くなるため、後継者が引き継ぐ資産の内容を早い段階で洗い出しておくことが実務上のポイントです。
相続時精算課税や暦年贈与といった制度の使い分けについては、こちらのコラムもおすすめです。
『事業承継の相続税・贈与税とは|相続時精算課税と暦年贈与の使い分け』
M&A・事業譲渡・居抜き譲渡の場合の税金と譲渡対価の考え方(要出典確認)
法人が株式譲渡によって承継する場合、個人株主が受け取る譲渡対価には、原則として所得税・復興特別所得税・住民税をあわせた20.315%の税率で譲渡所得税がかかります。
個人事業主が事業譲渡や居抜き譲渡によって資産を譲渡する場合は、譲渡する資産の種類に応じて譲渡所得や事業所得として扱われ、設備等の譲渡には消費税が課される場合もあるとされています。
具体的な税額は資産の内容や保有期間によって変わるため、事前に税務の専門家へ確認しておくことをおすすめします。
造作譲渡料など飲食店特有の費用項目(要出典確認)
居抜き譲渡では、内装や厨房設備といった「造作」を引き継ぐ対価として、造作譲渡料を支払うのが一般的です。
これに加えて、賃貸物件の保証金・敷金の精算、リース契約の名義変更にかかる費用、什器の評価費用、専門家への報酬なども発生することがあります。
費用の内訳は物件や契約条件によって異なるため、居抜き譲渡を検討する段階で、想定される費用項目を一覧にしておくと交渉が進めやすくなります。

飲食店の事業承継で起こりやすいトラブルと対策
飲食店の事業承継では、税務や許認可といった手続き面だけでなく、味や人材の引き継ぎをめぐるトラブルにも注意が必要です。
引き継ぎ後に味やメニューが変わり常連客が離れる
承継後に味や接客が大きく変わったことで、常連客の足が遠のくというトラブルは、飲食店の事業承継で特に起こりやすい問題の一つです。
実務上は、承継の直後は既存のレシピや接客スタイルをできるだけ維持し、変更は段階的に進めるという対応が、常連客の離反を抑える工夫として有効だとされています。
料理長・店長・スタッフが承継後に離職する
譲渡後に料理長や店長、スタッフが相次いで離職してしまうと、味やサービスの水準を保てなくなり、常連客離れにもつながりかねません。
譲渡後の最初の期間にキーパーソンをどう定着させるかという実務については、こちらのコラムもおすすめです。
『飲食店M&Aの成功ガイド|赤字店を「お宝」に変えて高値譲渡する鉄則』
賃貸物件の契約・原状回復をめぐる大家との交渉(要出典確認)
飲食店の多くは賃貸物件で営業しているため、事業承継にあたっては賃貸借契約の名義変更や、貸主(大家)の承諾が必要になります。
貸主の承諾が得られない場合、原則として契約を解除し、原状回復をしたうえで退去せざるを得ないケースもあるとされています。
居抜き譲渡であれば、貸主の同意を得たうえで造作を残したまま次の借主に引き継げる場合があり、原状回復の負担を抑えられる可能性があります。
契約条件は物件ごとに異なるため、早い段階で貸主に相談しておくことが望まれます。

飲食店の事業承継はどちらを選ぶべきか|親子承継とM&A・居抜き譲渡の判断軸
親族内承継とM&A・居抜き譲渡のどちらを選ぶべきかは、経営者ごとの状況によって変わります。
特定の手法に偏らず、次の4つの軸で自社の状況を整理してみることをおすすめします。
後継者候補(親族・従業員)に継ぐ意欲と適性があるか
まず確認したいのは、継ぐ意思のある親族や従業員が実際に存在し、味や接客を引き継ぐ意欲・適性を持っているかどうかです。
継がせたいという経営者の期待だけが先行し、後継者候補本人の意思確認ができていないケースは珍しくありません。
営業許可・保健所手続きに対応できる専門家に相談できるか
飲食店営業許可や食品衛生責任者の変更といった個人店特有の行政手続きは、他業種の事業承継にはない負担です。
手法を決める前に、こうした許認可対応まで見据えて相談できる専門家がいるかどうかを確認しておくと、手続きの後戻りを防げます。
味・常連客・スタッフとの関係を維持できる相手かどうか
親族内承継であっても第三者承継であっても、承継後に味や接客の水準を維持し、常連客やスタッフとの関係を保てる相手かどうかは重要な判断材料です。
相手が変わっても店の価値を守れるかという視点は、飲食店の事業承継ならではの比較軸だといえます。
税務・許認可・経営を一貫して相談できるか
相続・贈与の税務から、M&A・居抜き譲渡の譲渡対価や造作譲渡料まで、税務会計の専門家と経営コンサルティングの視点を一貫して相談できるかどうかも、手法を問わず共通する判断軸です。
相談先を選ぶ段階から、特定の手法に誘導されず比較検討できる窓口を選んでおくと、後々の判断がしやすくなります。
事業承継の相談先の種類や選び方をさらに詳しく知りたい方は、こちらのコラムもおすすめです。
『事業承継は誰に相談すべき?相談先の種類と選び方をわかりやすく解説』

【まとめ】飲食店の事業承継は個人店の実務を踏まえ中立に選ぶ
飲食店の事業承継は、個人事業主(個人店)が多いという業界特有の構造から、法人の株式承継とは異なる手続きが必要になります。
親族内承継、第三者承継(M&A)、そして内装・厨房設備を残す居抜き譲渡という3つの選択肢があり、いずれを選ぶ場合も飲食店営業許可や食品衛生責任者の変更といった行政手続きへの対応が欠かせません。
手法を一つに絞り込む前に、後継者候補の意欲・適性、許認可対応力、味や常連客・スタッフとの関係維持、税務まで含めた一貫した相談のしやすさという4つの軸で、自社の状況を整理してみることをおすすめします。
船井総研あがたFASでは、飲食店の事業承継について、特定の手法に偏ることなく選択肢を比較しながら、実行まで伴走する相談を受け付けています。
飲食店の事業承継をどう進めるか迷ったときは、事業承継の無料相談で選択肢を比較できます。
飲食店の事業承継の進め方をまとめた資料は、事業承継の資料ダウンロードからご覧いただけます。
経営の正解は、一つではありません。 まずは出口戦略の『選択肢』を可視化する診断ツールを手に取り、 次なるステージへの展望を具体化する準備を始めてください。 プロの目利きで自社の『真価』を知ること。それが、後悔のない決断への第一歩です。
【業界専門コンサルタントが担当】「出口戦略」診断で自社の価値を正しく守る。ベストな承継を実現するための第一歩。


よくある質問
【H3】Q. 飲食店の事業承継における「居抜き譲渡」とは何ですか?
居抜き譲渡とは、内装・厨房設備・什器といった「造作」を残したまま、次の営業者に店舗を引き継ぐ手法です。更地に近い状態から出店するより初期投資を抑えられるため譲受側にとって現実的な選択肢になりやすく、譲渡側も設備の撤去や原状回復の手間・費用を避けられます。ただし営業許可は別途取り直しが必要になる場合が多いとされています。
【H3】Q. 居抜き譲渡と「のれん分け」の違いは何ですか?
居抜き譲渡は、内装や厨房設備といった物理的な資産をそのまま引き継ぐ手法です。一方でのれん分けは、屋号やレシピの使用を許可する仕組みで、必ずしも同じ物件や設備を引き継ぐわけではありません。両者は似た言葉として使われがちですが、引き継ぐ対象がまったく異なる点に注意が必要です。
【H3】Q. 飲食店の事業承継でかかる費用にはどのようなものがありますか?
居抜き譲渡であれば、内装・設備を引き継ぐ対価としての造作譲渡料が中心になります。これに加えて、賃貸物件の保証金・敷金の精算、リース契約の名義変更費用、什器の評価費用、税務・法務の専門家への報酬なども発生します。親族内承継の場合は贈与税・相続税が中心です。費用の内訳は物件や契約条件によって異なるため、早い段階で想定される項目を洗い出しておくことが大切です。
【H3】Q. 飲食店の事業承継で営業許可はそのまま引き継げますか?
原則として引き継げません。飲食店営業許可は店舗の所在地とともに営業者(個人事業主または法人)の名義に対して交付されるものであるため、事業承継によって営業者が変わる場合、後継者が新たに許可を取り直す必要があるとされています。居抜き譲渡で設備をそのまま使う場合も同様で、許認可の再取得にかかる期間をあらかじめスケジュールに組み込んでおくことが必要です。
【H3】Q. 飲食店の事業承継はまず何から始めればよいですか?
まず、継ぐ意思のある後継者候補(親族・従業員)が実際に存在するかどうかを確認することから始めます。そのうえで親族内承継・第三者承継(M&A)・居抜き譲渡という3つの選択肢を比較し、飲食店営業許可等の許認可手続きにも対応できる専門家に、早めに相談することをおすすめします。動き出しが早いほど、比較検討できる選択肢の幅は広がります。