55歳、業績順調の中、成長戦略として株式譲渡してM&Aを実行
2021年12月に資本提携した株式会社フロンティアホーム(埼玉県所沢市)と株式会社クラスコ(石川県金沢市)。フロンティアホームの中川社長はまだ55歳で業績も順調な中、グループインを決断。中川潤社長と小村典弘社長に改めてお話を伺いました。
<譲渡企業情報>株式会社フロンティアホーム 代表取締役 中川 潤 氏(以下:中川氏)
(埼玉県所沢市/売上10億7363万円(2022年5月度)/従業員数21名)
<譲り受け企業>株式会社クラスコ 代表取締役 小村典弘 氏(以下:小村氏)
(石川県金沢市/売上54億9364万円(2021年グループ全体)/従業員数197名)
まずは、中川社長に伺います。ご自身で創業された会社の株を売却されるということで、非常に大きな決断だったと思います。会社のこれまでの歩みからお聞かせいただけますか。
中川氏:弊社は平成15年に埼玉県所沢市にて私1人で創業しました。現在の管理戸数が2400程でこの6年間は売上10億円をキープしています。
中川社長は今年55歳、経営の最前線で取り組まれていますが、次の世代へどう承継するか、いろいろお考えになったようですね。
弊社は船井総研のコンサルタントの方に4年ほど前からコンサルティングに来ていただいていました。会社の5年後、10年後の将来について話し合う中で、M&Aについて考えるようになりました。
担当の方からM&A部門のコンサルタントを紹介いただいてお話を聞きまして、私自身の今後の人生をどうしたいのかを考えるようになりましたし、家族とも毎日様々なことを話すようになりました。
業績が順調の中で、M&Aを決断されました。社長の中でM&Aに踏み切るきっかけはあったのですか。
中川氏:日々忙しく30代40代と進めてきたところに、新型コロナが流行し、もし私が倒れてしまったら会社はどうなってしまうのだろうと心配になりました。大切な社員とその家族を絶対に路頭に迷わせてはいけないと思ったのです。
そこで株式譲渡を決断され、その後も経営者として会社を運営されているのですね。
中川氏: M&Aをするとすぐに仕事を辞めてしまう方もいますが、私はお客様と共に喜びを感じられるこの仕事が好きですし、今後のスタッフの育成など、先々のことも見ておきたいという気持ちがあります。
株式譲渡先をクラスコ様に決めたポイントは何でしたか?
中川氏:業界で様々な方にお会いしてお話を聞いてきましたが、小村社長は経営手法や仕組みづくりなどが上手な方だと以前から思っていました。船井総研さんから、クラスコさんのお名前が挙がった時は、「さすが良く分かっていらっしゃるな・・・」と(笑)。小村社長と直接お話して引き受けていただけたときは非常に嬉しかったです。
今まで以上に強い会社をつくっていこうと決意されているのですね。中小企業の経営者の方の中には、事業承継に悩んでおられる方も多いです。その選択肢としてM&Aを考えている方もいると思いますが、経験者である中川社長から伝えたい事はありますか?
中川氏:私の場合は、船井総研というパートナーがいて、私の悩みに寄り添ってもらえたこと、そして私の会社の文化などを尊重していただけるクラスコの小村社長とご縁があったことが、M&Aを決めた決定打になっています。自分が元気なうちにたくさんの情報を得て学び、信頼できるパートナーを見つけて相談をするべきだと思っています。
フロンティアホームさんから良いところを学びながら、お互いを伸ばしていきたい
続いて、小村社長にお話を伺います。会社の歴史からお聞かせいただけますか。
小村氏:弊社は1963年に私の祖父が創業し、私が3代目です。事業の中心は賃貸管理で、現在の管理戸数は1万7000室です。不動産の売買仲介、プロパンガス、注文住宅も扱っており、2010年にはデザイン会社も創業して、ホームページやオフィスのリニューアルなどのビジネスも展開し、アプリやソフトウェアの開発を行う会社も立ち上げております。
今回M&Aでフロンティアホームの株式を譲り受けたわけですが、社長は以前からM&A戦略は考えていたのですか?
小村氏:後継者のいない企業がM&Aで会社を存続させている例も聞いていましたので、私どもでも譲り受けられる会社があれば進めたいという思いはありました。
そこでフロンティアホーム様から株式譲渡のご相談があったのですね。
小村氏:フロンティアホームさんとは、6年前からリノベーションのフランチャイズ事業でお付き合いがあったので、お話をいただいた時はすごく驚きました。中川社長も社員の皆さんもよい方ばかりでしたし、当社に声をかけていただいたのはありがたいと思い、お引き受けすることにしました。お互いやっている事業が同じなので、イメージがしやすかったです。
実際にM&Aの契約をされて半年ほどたちますが、何か効果を感じられますか。
小村氏:フロンティアホームさんは、私たちが持っていないものをたくさん持っておられます。特に学ばせていただいているのは、社員の方がほとんど辞めない会社であるというところです。事業に関しては物件を買い取ってリノベーションをして再販する事業もやっていますが、リノベーションのアイディアが豊富なので学ばせていただいています。
一般的なM&Aでは、譲渡側企業の経営者の方は引継ぎだけして退任される方が多いのですが、フロンティアホームは、M&A後も引き続き中川社長に経営していただくことにしたのですね。
小村氏:はい、残ってくださるというお話でしたので、私もできるだけ長く居ていただきたいと考えております。
最後に、両社長にお聞きしたいのですが、今回M&Aされてよかったですか?
小村氏: はい、これから様々な可能性があると実感しています。お客様にも関東圏の物件を紹介できるようになり喜んでいただいていますし、社員と共に学ばせていただきたいと思います。
中川氏:非常に大きな決断でしたし、結論に至るまで様々なことに悩んできましたが、少しも後悔はありません。小村社長には感謝しかありませんし、これからも頑張っていきたいと思っています。
追加インタビュー:本インタビューは、グループインから2年後の2024年1月に実施しました。
M&Aから2年で利益4倍、管理戸数250戸増社長も社員も成長しました!
中川社長、クラスコさんにグループインされて、2年経ちました。改めて、業績順調ですが、M&A後の状況について、お聞かせください。
中川氏:ありがとうございます。おかげさまで、2年で営業利益は4倍、管理戸数も250戸増えました。
クラスコさんとの関係性やサポートについて教えて頂けますか?
中川氏:クラスコグループさんからは、様々な業務改善の助言をいただいています。もともと得意だった領域(賃貸管理・売買仲介)はさらに進めサポートいただいています。これまでの資本では諦めるしかなかったような仕事も、クラスコグループのサポートを受け、挑戦できるようになりました。
素晴らしいですね。まさに、M&Aのメリットを最大限に活用して、業績を伸ばされていますよね。この間、中川社長自身の変化はございましたでしょうか?
中川氏:クラスコさんも当社のことを非常に尊重して頂いていますし、押し付けられるようなことも全然ありません。船井総研さんにも引き続き、サポートして頂いていますので、グループイン後1年を過ごし、「実践できた」「成長できた」実感がありあす。
そうですよね。私も社長を見ていて、ますます精力的に動かれていると感じています。一方、社員さんは、どのような変化がありましたでしょうか?
中川氏:実は、グループイン後、最も変化したのが「従業員の意識」です。「グループインした後、中川社長やる気ないな」と思われないように、ギアチェンジをして動いてきました(笑)。従業員もはじめは戸惑いがないといったら嘘になりますが、社長の姿を見て、「変化に向き合って」「チャレンジ」していくなかで徐々に成果も出てきて、最終的にそれらがそれぞれの自信に変わったと感じています。
それが成果に繋がっているということですね。
中川氏:本当にそうです。実際に、M&A実行から、総利益 1.3倍、営業利益 4倍の脅威の実績を出すことが出来ました。社員も「ここまでできるのか」と自信をつけ、本当にM&Aを決断してよかったと感じています。
担当アドバイザーコメント
20 年間不動産賃貸のコンサルティングをやってきて、M&A 部門に異動するタイミングにて、 両社とも旧知の会社様で思い出深い案件です。中川社長が、業績順調の中で、会社の 将来の成長のためにM&Aを実行された経営者力に感服し、クラスコ様の未来へのM&Aによる成長戦略の第一歩をみました。(その後船井総研にて2社様M&A実行)