介護

【介護M&A事例】整骨院と介護事業を営むコングロマリット企業が介護事業を譲り受け。ビジョンに基づくM&Aを推進。

左から

株式会社うららか、株式会社SOZO

代表取締役 本宮 貴浩 様

株式会社船井総研あがたFAS チーフコンサルタント 田畑 伸朗

岩手県内で介護事業を営む株式会社SOZO様が、同県内にあるデイサービス・有料老人ホーム等運営する有限会社はるかぜの家様を譲り受けられました。はるかぜの家様は、前オーナー様が素晴らしい運営をされていて、地域の方から絶大なる信頼を寄せられている介護施設でした。それが、前オーナー様が高齢になり運営負担が増大したことに伴い、M&Aを検討されていました。その中で、株式会社SOZO様とご縁があり、M&Aが成立しました。

今回、はるかぜの家様を譲り受けされました、株式会社SOZO代表取締役 本宮様にお話をお伺いさせていただきます。

まずは現在展開されている事業の全体像についてお聞かせください

本宮氏:もともと当社は、整骨院運営を行っていました。整骨院を2店舗に拡大し、その後デイサービス事業を立ち上げました。そこで介護事業の重要性を感じたこともあり、株式会社SOZOを設立し、有料老人ホーム運営も開始し、現在の形に至ります。

複数事業を運営されているのですね

本宮氏:そうですね。我々は【医療プラットフォームを創る】という10年ビジョンを持っておりまして、そのビジョンを実現するためには、到底単事業では成し得ないということで、整骨院、有料老人ホーム、デイサービス事業を展開しております。気付いたらここまで来たというのが正直なところですが(笑)。

新しいことに挑戦するのは自分自身も、会社としても大きな成長に繋がるので、これからもビジョンに忠実に取り組んでいこうと思っています。

今までご自身で新規開業されてきていますが、今回M&Aに踏み切られた理由をお聞かせください

本宮氏:M&Aという戦略を採用しようと思ったのは、船井総研さんと一緒に10年ビジョンを創っていく中でのことでした。

【医療プラットフォームを創る】というビジョンを実現するには、病院も作る必要があると。ただ、病院を一から作るには途方もない時間が必要です。だからM&Aを用いて、医療に資する事業や、クリニック、病院を譲り受けていこうと考えました。

そのような我々のビジョンを掲げている中で、タイミングよく船井総研さんから、介護事業の譲り受けのお話をいただきました。是非お話を進めたいとお伝えし、先方の代表とお会いしました。我々が大事にする理念とも非常に近いと感じましたし、何より従業員の方々のご挨拶をみて、理念が浸透していると感じました。

後継者がおらず、このままでは廃業せざるを得ないというお話を受け、あまりに勿体ない、我々が経営をお引き受けして利用者様、従業員の行き場を守りたいと思い、今回のM&Aに踏み切りました。

ただ、正直なところ、M&Aに対する心理的ハードルはありました。人様が育ててきた会社で、風土や文化、人材、ルールも違えば、財務状況も気になりました。けれども、リスク以上に魅力があったこと、そしてビジョンの実現のためには乗り越えるべきハードルだと感じ、M&Aに踏み切りました。今振り返れば、良い決断をしたと当時の自分を褒めたいですね。 

M&Aを実施してから、現在はどのような状況でしょうか

本宮氏:現在は、譲り受けさせていただいた事業所の売上も利益も、良い形で進んでいます。

当グループの経営方針の従業員向け説明会実施や、すべての従業員との面談の実施、現場に私自身が頻繁に訪問することを通して、譲り受け先の従業員との人間関係を構築していったことが、現在の好実績につながっているかと思います。

また、譲り受けたタイミングでは、様々なトラブルが発生しやすいのですが、トラブルが発生したら、私自身がすぐ駆けつけており、そういったことからも信頼関係を築けているのかなと思います。 

M&Aにおいて、注力していて良かったこと、しておけば良かったことについて教えて下さい

本宮氏:そうですね。M&Aのプロセスの中で注力していしていてよかったこととしては、前述していますが、経営方針説明会の実施、全従業員との面談実施、現場に頻繁に訪問する、そしてトラブルが発生した時はすぐ駆けつけるといったことでしょうか。やはり人様が創り上げた文化を引き継ぐわけですので、リスペクトをもって接することが重要ですし、何よりも従業員との信頼関係の構築が最優先だと思います。

逆に、もっと注力しておけば良かったことは、文化を尊重しつつも、当グループのオペレーションに形を変えることを、従業員や利用者に丁寧にお伝えしていくことでしたね。オーナー変更の利用者家族への案内内容の精査や、利用者の状況、従業員の就労状況なども詳細に把握できていればよかったと思います。 

最後に今後の事業展開について教えて下さい

本宮氏:四方善を実現することを当グループでは重要視しており、そのためには利益を生み出し続ける必要があります。また【医療プラットフォームを創る】というビジョンを達成するためにも、自分たちでドクターを雇用できる組織にしていきたいと考えております。

同じ考えを持つドクターと、地域を健康にする四方善経営を実践していくためにも、今後もM&Aを軸に戦略を構築していこうと思います。まだまだ道半ばではありますが、頼りになるメンバーと共に、夢を実現していきたいと思います。

田畑 伸朗

(株)船井総研あがたFAS チーフコンサルタント

大手地方銀行にて、中小企業コンサルティング業務に従事。本部にて審査部審査役を長らく務め、中小企業の資金調達や財務管理のみならず、金融機関側の与信判断にも知見を有する。2009年から4年間、銀行の医療福祉支援チームに属し、関西エリアのクリニック開業支援や介護福祉施設の設備投資案件等に数多く関わる。それら経験を活かし、現在は医療福祉業界を中心にM&A仲介業務に従事している。